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更新日:2012年12月3日

札幌市衛生研究所-学会発表(2012)

LC-MS/MSによる先天性副腎過形成症スクリーニング確認検査法の検討

第38回日本マス・スクリーニング学会

2011年10月福井県福井市

藤倉かおり、山岸卓弥、田上泰子、野町祥介、花井潤師、高橋広夫、三觜雄、田島敏広*1、母坪智行*2、福士勝*3

CAHスクリーニングの偽陽性率の低減を目的としてLC-MS/MSにより17-OHPを含む5種のステロイドを同時測定する確認検査法を検討した。カットオフ値を適切に設定することで、スクリーニングの感度と特異度が改善するものと期待できる。

*1北海道大学病院小児科、*2NTT東日本札幌病院小児科*3札幌イムノダイアグノスティックラボラトリー


先天性甲状腺機能低下症スクリーニングにおける児と母親の尿中ヨードと甲状腺機能について

第38回日本マス・スクリーニング学会

2011年10月福井県福井市

田上泰子、藤倉かおり、山岸卓弥、花井潤師、高橋広夫、三觜雄、母坪智行*1、西川鑑*2、森俊彦*1、福士勝*3、田島敏広*4

クレチン症スクリーニング陽性児とその母の尿中ヨード測定は、一過性甲状腺機能低下症の鑑別のための有用な指標である。今回、健常児とその母の尿中ヨードを測定し、尿中ヨードの基準値を設定した。健常群とスクリーニング陽性群を比較した結果、スクリーニング陽性群では健常児にくらべ尿中ヨードが高く、ヨード負荷による一過性甲状腺機能低下が予想以上に多いものと推定された。

*1NTT東日本札幌病院小児科*2NTT東日本札幌病院産婦人科*3札幌IDL*4北海道大学病院小児科


タンデムマススクリーニングにより発見された超低出生体重児の中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症

第53回日本先天代謝異常学会

2011年11月千葉県千葉市

長尾雅悦*1、森井麻祐子*1、野町祥介、田中藤樹*2

中鎖アシル-CoA脱水素酵素欠損症は最も頻度の高い脂肪酸代謝異常症であり、欧米の新生児タンデムマススクリーニング(MS/MS-NBS)では最重要ターゲットとなっている。日本人では極めて稀な疾患とされていたがMS/MS-NBSが導入に伴い早期発見が可能となり、超低出生体重児における本症を経験した。様々なストレス下にある未熟児MCADDの長期臨床経過と生化学的検討を報告する。

*1北海道医療センター小児科,*2札幌医大小児科


市販鶏肉の汚染調査と冷凍保存による菌の消長について-サルモネラ、カンピロバクター-

第63回北海道公衆衛生学会

2011年11月札幌市

坂本裕美子、廣地敬、大西麻実、伊藤はるみ、高橋広夫、三觜雄

食肉を生あるいは生に近い状態で喫食する食文化が日本人に浸透してきている現在、加熱不十分な食肉を喫食することによる食中毒が年々増えている。そこで、小売店に流通している食肉(鶏肉)の1.汚染調査(鶏肉の主な食中毒起因菌となるサルモネラ、カンピロバクター)と2.汚染食肉の冷凍管理下における経時的なサルモネラ、カンピロバクターの消長について調査する。


タンデムマス・スクリーニングのカットオフ値設定-各指標の施設間差の検討-

厚生労働科学研究費補助金(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)タンデムマス導入による新生児マススクリーニング体制の整備「と質的向上に関する研究分担研究班会議

2011年12月東京都

花井潤師,野町祥介,高橋広夫,三觜雄,佐々木純子*1,磯部充久*2,石毛信之*3,穴澤昭*3,安片恭子*4,木下洋子*5,山上祐次*5,酒本和也*6,田崎隆二*7,小林弘典*8,山口清次*8,重松陽介*9

タンデムマス・スクリーニングのカットオフ値を検討するため、生データを貼り付けることにより、直接ヒストグラムや基礎統計量を計算することができるワークシートを作成し、各施設の各指標の正常値の分布を検討した。その結果、前処理条件、測定機器、内標の違いなどにより、各施設の正常値の分布、各指標の陽性率は必ずしも同一の傾向を示さない場合があり、今回得られた各施設のデータを比較・分析することで、自施設のカットオフ値の適正さを改めて検討すべきであると考える。

札幌市衛生研究所、*1公益財団法人岩手県予防医学協会、*2さいたま市健康科学研究センター、*3公益財団法人東京都予防医学協会、*4公益財団法人ちば県民保健予防財団、*5公益財団法人神奈川県予防医学協会、*6大阪市環境保健協会、*7一般財団法人化学及血清療法研究所、*8島根大学小児科、*9福井大学医学部看護学科健康科学


札幌市における伝染性紅斑の流行状況について

第25回公衆衛生情報研究協議会研究会

2012年1月和光市

扇谷陽子、高橋広夫、三觜雄

札幌市において、2010年~2011年に伝染性紅斑が流行した。この流行における札幌市の警報レベル期間は、半年以上の長期であった。この疾患は効果的に感染を予防することが困難で、長期の流行は、リスクの高い人への負担が大きい。そこで、今後の流行時の情報提供に活用することを目的として、札幌市における伝染性紅斑の流行状況を把握するために、これまでの札幌市の患者報告数を、市全体に加えて、定点医療機関が所在する10行政区別に分類して調査した。併せて、年齢別患者報告割合を、調査対象全期間・流行期・非流行期で調査した。この結果、1999年4月以降において、4年に1度程度の頻度で大きな流行があり、これらの流行期には、区に所在する定点あたりの報告数が特に多い区が存在すること、これはそれぞれの流行で一定でないことが判った。また、報告患者の98.1%は14歳以下であるが、小児科定点調査であるが20歳以上も1.8%報告されていること、流行期は、非流行期と比較して、1歳以下の患者報告割合が低く、6歳の患者報告割合が高かったことが判った。


大気中有機フッ素化合物の分析について

「有機フッ素化合物の環境汚染実態と排出源について」平成23年度研究推進会議

2011年10月東京都

吉田勤、三上篤、水嶋好清、三觜雄

ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)をはじめとするフッ素系界面活性剤は、科学的に安定で強い撥水性を有することから様々な用途に用いられている。しかし、その難分解性から環境中での汚染が懸念されるようになり、09年のストックホルム条約で新たに対象物質として追加された。そこで、PFOSを含めた類縁化合物の大気中における分析法を検討することとした。ハイボリウムエアサンプラーでサンプリングする際に、石英ろ紙とPUFを組み合わせるが、これらの抽出方法を検討したところ、PUFにはアセトンソックスレーが最も抽出効率がよかった。添加回収の結果がよくなかったのは、クリーンアップが不十分なことによる強いイオン化抑制が起きていると考えられ、今後、これらについて検討していきたい。


下水処理プロセスにおける有機フッ素系化合物(PFCs)について

2.型共同研究会議

2011年10月東京都(東京都環境化学研究所)

中島純夫

A下水処理場で流入水及び放流水を2時間毎に採取した試料中のPFCs濃度の変動を調査した結果、PFOAでは流入水より放流水濃度が高い結果となった。そこで、サロゲートを添加した返送汚泥をろ過し、ろ液とろ紙残渣中の濃度を調査した結果、返送汚泥中の濃度が最も高く、流入水ろ液と返送汚泥間隙水(ろ液)濃度から、放流水濃度を推定できた。この結果から、低濃度で流入したPFOAが返送汚泥中に徐々に蓄積されると同時に、反応タンク等で溶出が生じていることが示唆された。


平成22年度無承認無許可医薬品の買い上げ調査結果について-札幌市における検出事例-

第48回全国衛生化学技術協議会年会

2011年11月長野市

小金澤望、鎌倉浩之*1、最所和宏*1、合田幸広*1、武口裕、水嶋好清*2、三觜雄*3

平成22年度の札幌市保健所における試買調査において、いわゆる「健康食品」中に強壮目的で添加された医薬品成分を分析したところ、10検体中1検体から、医薬品成分ヒドロキシホモシルデナフィル、アミノタダラフィル、クロロプレタダラフィルを検出した。今回の事例は、札幌市内で販売されている健康食品から強壮系の医薬品成分を検出した初めての事例である。

*1国立医薬品食品衛生研究所、*2札幌市東区保健福祉部健康・子ども課、*3札幌市清田区保健福祉部


リン脂質除去カラムを用いたスピラマイシン及びネオスピラマイシンの分析法の検討

第48回全国衛生化学技術協議会年会

2011年11月長野市

細木伸泰、竹下紀子*1、武口裕、水嶋好清*2、三觜雄*3

畜水産物中に残留する動物用医薬品であるスピラマイシン及びネオスピラマイシンの分析法として、リン脂質除去カラムを用いた簡易・迅速な前処理を行った後、選択性の高いLC/MS/MSにより測定する方法について検討を行ったところ、前処理にかかる時間をほぼ半減し、かつ回収率70~120%を満たすことができた。本法はスピラマイシン及びネオスピラマイシンの新しい分析法として適用可能であると考えられた。今後は本法について更に検討や評価を行い、分析条件の改良及び適用可能な物質の範囲拡大を目指す。

*1札幌市建設局下水道施設部新川水処理センター、*2札幌市東区保健福祉部健康・子ども課、*3札幌市清田区保健福祉部


室内濃度指針値が定められていない化学物質による室内空気汚染について

第63回北海道公衆衛生学会

2011年11月札幌市

立野英嗣、恵花孝昭、三上篤、水嶋好清、三觜雄

厚生労働省では、家具、内装材から放出される化学物質によって引き起こされる「シックハウス症候群」を防止するため、トルエン、エチルベンゼン、ホルムアルデヒド等の13物質について室内濃度指針値を定めている。しかし、今回、室内濃度指針値が定められていない化学物質による「シックハウス症候群」様の事例が発生したことから、原因物質の特定、濃度測定及び発生要因について調査した。その結果、原因物質は2-エチル-1-ヘキサノールであることが判明し、その濃度は440μg/m3であった。また、その発生要因としては、床材の原材料である塩化ビニル樹脂に含まれる可塑剤が加水分解した結果、生成したものであると推察された。


札幌市における大気中のフロン濃度について

第38回環境保全・公害防止研究発表会

2011年11月青森市

立野英嗣、鈴木恵子、三上篤、水嶋好清、三觜雄

クロロフルオロカーボン類(フロン)は、成層圏オゾン層を破壊するといわれ、フロン-11を始めとしたいわゆる特定フロンはその使用が禁止された。しかし、依然として冷蔵庫やエアコン等フロンを使用した製品は現存しており、これらの製品からの漏れ、あるいは処分の過程で大気中に放出されることが予想される。このことから、札幌市ではフロンのモニタリングを行っており、今回、平成22年9月から平成23年8月までの1年間の調査結果を取りまとめた。対象物質は、フロンのうち使用量の多いフロン-11、フロン-12及びフロン-113の3物質とし、札幌市内4地点で月1回、試料採取を行った。試料採取は、ステンレス製試料採取容器(キャニスタ)を用い、24時間連続して行った。分析は試料濃縮装置(ENTECH7100A)と接続したガスクロマトグラフ質量分析装置を用いた。フロン-11の濃度は、都心部である北1条大気汚染観測局が最大560pptと高い値を示したが、他の地点では200~300pptと「平成22年オゾン層の監視結果に関する年次報告書」の測定結果と同様の値を示した。また、フロン-12及びフロン-113の濃度は、それぞれ500~700ppt、60~100pptであり、全ての地点で同報告書の測定結果と同様の値を示した。


札幌市における亜硝酸ガスの挙動について

第63回北海道公衆衛生学会

2011年11月札幌市

惠花孝昭、立野英嗣、三上篤、水嶋好清、三觜雄

乾性沈着の評価の際、ガス状亜硝酸(HNO2)は無視できない成分であるといわれているが、簡便な採取法がなかった。その後、道総研の野口らによる5段FP法が開発されたことから、本法による2008年度から3年間の測定データを用いてHNO2の季節変動、NOxとの組成比等を検討した。夏季濃度は8.6~24nmol/m3、冬季は26~47nmol/m3の範囲で、NOと同様に冬季にピークがみられ、暖房等の排ガスが影響と考えられた。NOxを除くHNO2、HNO3、NO3-等はNOyと称されており、定量可能な成分組成比はHNO2>NO3->HNO3の順で、HNO2は年平均でNOyの44%を占め、他の成分は39%、17%であった。NOyとNOxの5成分では、HNO2は2.3%を占め、NO2、NOに次ぐ成分であり、NOyは夏季に増加傾向にあった。NOxが95%を占めたものの、乾性沈着の評価の際は、HNO2は無視できない濃度であることが確認できた。


環境水中における陽イオン界面活性剤について

第48回全国衛生化学技術協議会年会

2011年11月長野市

阿部敦子、南部佳弘、水嶋好清、三觜雄

ヘ゛ンシ゛ルシ゛メチルアルキルアンモニウム4種(アルキル炭素数が12,14,16,18)、アルキルトリメチルアンモニウム1種(アルキル炭素数16)、シ゛アルキルシ゛メチルアンモニウム2種(16時16分、18時18分)、セチルヒ゜リシ゛ニウム、ヘ゛ンセ゛トニウムの計9種類を対象とし、HPLC/MS/MSにより、10ppb程度(検水当たりでは10ng/L相当)まで検出可能な試験法を検討した。HPLCでは、カラム、流路のシラノールなどの負電荷への吸着を防ぐため、移動相にアンモニウム塩を添加したが、そのためにODSへの保持が強まり、疎水性の強い成分が100%メタノールでも溶出できなくなったため、その一部をアセトニトリルに置き換えることにより全成分を25分で溶出することができた。精製に用いた陽イオン交換カートリッシ゛からシ゛アルキルシ゛メチルアンモニウムが溶出し、操作ブランクが高くなった。精製水400mLに混合標準溶液各々20ng相当を添加し、添加回収試験を行った結果、回収率がヘ゛ンセ゛トニウムでは40.2%と低く、操作ブランクを引かない状態だとシ゛アルキル(16時16分)シ゛メチルアンモニウム、シ゛アルキル(18時18分)シ゛メチルアンモニウムがそれぞれ154%、203%と100%を超えたが、その他の成分はいずれも50%から100%の間であった。当検査法は、環境水の検査に適用可能と思われるが、シ゛アルキルシ゛メチルアンモニウムの溶出について固相抽出カートリッシ゛の改良が望まれる。


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