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更新日:2011年3月1日

平成21年度第17回定例市長記者会見記録

日時 2010年2月4日(木曜日)14時00分~
場所 記者会見室
記者数 21人

市長から下記の話題について発表しました。

引き続き、次の話題について質疑が行われました。

発表内容

平成22年度予算・定数・機構編成について

予算・定数・機構編成統括

平成22年度は、私の2期目の施政方針であります「さっぽろ元気ビジョン第2ステージ」に掲げております取り組みの総仕上げをする、そういう年として、市民と共に新しい札幌をつくり上げ、未来を担う子どもたちへ引き継ぐ礎といったものを築くことを念頭に置きまして、行政の役割は、良好な世代の循環を保障するところにあるという基本認識の下に予算を編成したところでございます。

具体的には、「第2次札幌新まちづくり計画」および「札幌市行財政改革プラン」の達成へ向けて、「伸ばすべきものは伸ばし、変えるべきものは思い切って変える」という基本的方針を堅持しながら、特に、経済雇用対策、環境都市、福祉の充実などのような次世代に良好な環境を残していく政策や、都心部に創造空間を広げるなどのような新しい札幌を創造する政策に意を尽くしたところであります。

また、「札幌市自治基本条例」「札幌市市民まちづくり活動促進条例」「札幌市子どもの最善の利益を実現するための権利条例」に基づく取り組みを強化いたしまして、市民自治の力を発揮して共に札幌を築いていく政策に力を入れました。

次に、予算総額についてでありますが、一般会計の予算規模は8229億円となりまして、平成21年度と比較をいたしまして4.4%の増、特別会計を含めました全会計では、1兆3898億円となりまして、21年度と比較して2.3%の増ということになりました。

組織・体制についてでありますが、シティプロモート等部局横断的なプロジェクトを推進するために、市長政策室にプロジェクト担当部長およびプロジェクト担当課長を新設するほか、新幹線誘致体制の強化や、道路維持業務の夏冬一体発注の試行等も踏まえました道路関連業務の一元的な執行体制の整備、円山動物園における繁殖調整機能の強化など、経済対策やまちづくり、環境に配慮した整備を行います。また、児童福祉の相談体制の支援や社会的養護に係る福祉分野の体制の整備を行うほか、10月12日をもちまして5つの市税事務所を開設いたします。

管理職ポストについては、スリムで機動的、効率的な組織体制を構築するために10%の削減というものを目指して取り組みを進めてきたところであります。平成20年度から22年度の3年間で75人の削減を見込んでおりまして、目標削減数であります95人に対して8割程度の達成見込みでございます。

次に、職員定数でございますが、21年度は1万4,490人でありました職員定数を265人減いたしまして1万4,225人といたします。職員定数以外の部分では夕張市に技術職員を1人派遣いたします。

従事する業務内容でありますが、水道施設の維持、更新に係ります業務でありまして、夕張市を応援するということはもとより、当該派遣職員にとりましても、大都市にはない困難さといったものを身をもって体験することで得られる大きな財産を持ち帰っていただける、このように期待をしているところでございます。

予算の概要

【予算のポイント】

1ページの予算のポイントをご覧ください。

まず、一般会計の予算規模でありますが、先ほど申し上げましたとおり、8229億円となりました。8000億円を超えるのは、平成16年度以来6年ぶりで、私にとっては本当に珍しく8000億円を超えたということでありますが、6年ぶりということになります。

新年度予算のポイントを申し上げますと、企業と雇用を守り、市内経済の活性化を図るための経済・雇用対策、最終年次となります新まちづくり計画を補強いたしまして、今日的課題へ取り組むための市長政策事業群の展開、そして、市民や企業のまちづくりへの参加によります市民自治の力、この3点でございます。これらの施策の実現のために、予算編成に当たっては、行財政改革プランに盛り込まれた取り組みばかりではなくて、事務的経費の見直しや事業成果の検証などをあらためて行いまして、収支悪化へ対応するとともに、重点施策に必要な財源を追加的に確保するために全庁を挙げて取り組んで、206億円の見直し効果を生み出すことができたところであります。

このほか、市民の皆さまのご協力によりまして、篠路清掃工場の早期運転休止が実現いたしまして、3億円の運営経費削減効果を挙げることができました。この市民のお力によりまして生み出されました貴重な財源も、これから説明をさせていただきます事業に活用させていただいているところであります。

〔間断のない経済・雇用対策の実施〕

2ページをお開きください。

まず、中小企業の経営を守るという観点から、景気対策緊急支援資金の貸与を継続するとともに、厳しい雇用情勢への対応として、就職内定率が芳しくない高校新卒者などを市の臨時職員として採用することによりまして、合計1,028人の雇用機会を確保いたします。

次に、市内中小企業の受注機会の確保についてでありますが、既存ストックの有効活用の観点から、普通建設事業につきましては、維持、修繕などの比較的小規模な事業や、バリアフリーあるいは環境といった新たな分野に重点化をいたしまして、新年度予算と同時に提出いたします21年度補正予算の経済対策分59億円と合わせまして726億円を確保したところでございます。

また、夏季の道路維持補修業務と冬季の除雪業務の一体発注化にも取り組んでおりまして、受託事業者の安定的な経営と雇用の確保というものを目指すほか、地元IT企業の受注が可能となるように標準的な技術を用いてシステムを構築いたします、そんな手法によりますシステム開発に着手をいたします。

さらに、民間需要の喚起という視点では、「札幌市環境負荷の低減等のための住宅リフォームの促進に関する条例」に基づきまして、住宅のエコ・リフォームに対する補助を新たに設けるほか、商店街が作成するクーポン券付きのPR誌への補助を本年度に引き続き実施いたします。

〔福祉の充実、暮らしへの支援〕

まず、急増する待機児童への対応といたしまして、保育所の新増改築を強力に推し進め、一気に820人の定員増を図るとともに、乳幼児への健康と命を守るために、政令市では初めて、ヒブワクチンの接種に対して助成を開始いたします。また、児童が地域で家庭的な生活を送ることができるように、地域小規模児童養護施設の設置に対する補助などを行うほか、特別養護老人ホームについても3施設を整備いたしまして、138人の定員増を図りたいと考えております。

障がいのある方への支援といたしましては、小規模作業所などの製品を扱う元気ショップの拡充に取り組むほか、地域のボランティアの協力を得て、重度の障がいのある方への介助時間を拡大するなど、「パーソナルアシスタンス制度」というふうに言っておりますが、この制度を本格的に実施いたします。

バリアフリー関連では、地下鉄駅全駅でのエレベーター設置に向けて、中の島、東札幌両駅の整備に着手するほか、歩道のバリアフリーにつきましては、21年度の約2倍の事業量を確保し、今後も計画的な整備を進めることによりまして、20年間で完成するというふうに見込んでいた重点地区の整備期間を10年程度に短縮していきたい、このように考えております。

また、市税事務所を新たに市内5カ所で開設するほか、これに伴って、区役所に生み出されたスペースを使いまして、待合・相談スペースの改善や窓口の集約化などに取り組み、市民サービスの向上を図りたい、このように思っております。

〔「環境首都・札幌」としての大いなる一歩〕

昨年度に行いました「環境首都・札幌」宣言を具体化するものといたしまして、太陽光発電設備の設置を小学校などで進めるほか、市有施設でのLED灯導入に積極的に取り組んでまいります。特に、街路灯のうち生活道路で使用している80ワット級の水銀灯が市内に約1万2,000灯ございますけれども、これを4年間ですべてLEDに置き換えるということにしております。このほか、市民向けの新エネ、省エネ機器の導入費補助を大幅に拡大するとともに、木質バイオマスのエネルギー利用など新エネ、省エネ技術の普及と研究にも積極的に取り組んでまいります。

〔シティプロモート始動~札幌市の魅力発信〕

将来の札幌を考えるときに、札幌の持つ魅力を国内外にもっと上手に伝え、集客あるいは定住人口の獲得と産業の活性化を図る必要がある、このような考え方に基づきまして立ち上げるプロジェクトであります。22年度におきましては、全庁を挙げてプロモートに取り組んでいくための戦略を策定してまいりますが、観光客誘致や文化芸術を足掛かりにした新たな魅力の創造などについては、戦略策定と同時進行で取り掛かることとしているところであります。具体的には、東アジアや新興市場でありますインド、マレーシア、ロシアからの旅行客の誘致や、コンベンションセンターなどのインフラを生かしました国際会議や展示会の誘致に取り組むほか、札幌のまちがこれまで培ってまいりました芸術文化の成果を世界につなげる、例えば2年に1度のビエンナーレ、3年に1度のトリエンナーレ、このような国際芸術展の実施に向けた調査や、札幌で暮らすことのよさを他府県の居住者へ知ってもらうためのPR事業などを関係部局の連携のもとで実施することといたしております。

〔都心部がカンバスに~ひろがる創造空間〕

また、札幌のとりわけ都心部の魅力に関連するものといたしまして、創成川公園と札幌駅前通地下歩行空間が、来年、23年3月、いよいよ完成することとなりますほか、地下鉄大通駅とバスセンター駅間のコンコースで毎年11月に開催されておりました「500m美術館」につきましては、展示の工夫を行うとともに、次年度以降に常設化をしていくための準備、検討を進めてまいります。

〔市民自治の力~公約3条例関連〕

次に、4ページをお開きいただきたいと思います。

私は、市長就任以来、一貫して市民自治を市政運営の中心に据えてきたところであります。「札幌市自治基本条例」「札幌市市民まちづくり活動促進条例」「札幌市子どもの最善の利益を実現するための権利条例」の3条例は、いずれも市政運営の基本的な枠組みでございまして、これらに基づいた数々の取り組みの中で、市民自治の理念あるいは方向性は着実に市民や企業、団体に浸透してきている、このように思っております。

実際、市民や企業からの多くの寄付によりまして、あるいは札幌市と企業とのパートナーシップ協定などを基にいたしまして、市民活動への支援、そして奨学金、災害遺児手当の支給の拡大が実現できたこと、また、先ほども申しあげましたが、市民がごみの減量に積極的に取り組むことで、篠路清掃工場の運転を早期に休止でき、そこで生まれ出た財源によって、年齢を問わずに楽しむことができますスポーツでございますカーリング場の通年型の専用施設の設計費や、市内の小学5年生が芸術の森において作品を鑑賞したり、あるいは、自ら作品を作る体験をいたします「『ハロー!ミュージアム』子どもの美術体験事業」について、23年度には、全校実施とするためのステップといたしまして対象校を100校まで拡大する、そのような予算が計上できたことなど、市民自治の力の発揮が具体的な形となって来年度の予算にしっかりと反映されております。まさに市民自治の力が実感できる、そのような予算となったと自負をしているところでございます。

【予算の姿】

【主な事業】

6ページ以降に、予算の全体像や主要事業の説明をそれぞれ載せておりますので、後ほどご覧いただきたいと存じます。

【行財政改革プランの進捗状況と収支不足の解消】

28ページをお開きください。

平成19年12月に策定いたしました行財政改革プランの進捗状況をお示ししておりますが、冒頭の予算のポイントでご説明した内容でありますので、後ほどご覧ください。

29ページは、平成21年1月に公表いたしました中期財政見通しからの収支の変動内容と収支不足の解消の状況についてでございます。

平成22年度は、市税の大幅減と、生活保護をはじめとする扶助費の大幅な増が見込まれますことから、収支不足が当初の想定よりも拡大いたしまして、プランによります見直し実施前の収支不足は、最終的には225億円となりました。この収支不足につきましては、28ページに掲げました見直し効果額などで209億円と財政調整基金の取り崩し16億円で対応することといたしております。

【中期財政見通し】

30ページは、平成22年度予算を踏まえた新しい中期財政見通しであります。29ページの上段に載せております21年1月の見通しと比較をした場合、臨時財政対策債を含めた実質的な地方交付税の増加やこれまで行ってまいりました行財政改革の効果などによりまして、推計期間を通じて収支不足は縮小すると見込まれております。

しかしながら、現行の行財政改革プランにおいて、財源対策として、まちづくり推進基金などの取り崩しを積極的に行ったこと、また、財源調整の最終手段でございます財政調整基金の22年度末の残高見込みが48億円となったことからいたしますと、今まで以上に財政運営は難しくなる、このように感じております。

このため、来年度からは、本格的に事業仕分けに取り組むなど、無駄の削減、そして事業の取捨選択といったものをしっかり行って、さらにめりはりの利いた予算編成を行ってまいる所存でございます。

緊急経済・雇用対策

長引く景気低迷や雇用情勢の深刻な悪化から、経済・雇用対策は昨年に引き続き喫緊の最重要課題となっておりまして、札幌市でも、国の諸対策との整合を図りながら、間断のない対策を講じてきたところであります。今回の予算編成に当たっては、私から新卒者への就職支援や地元企業の受注機会の拡大などについて特に指示を出しまして、22年度当初予算と21年度補正予算に所要の取り組みを多数盛り込んでおりますので、後ほどご覧いただきたいと存じます。

 

マニフェストの進捗状況および平成22年度の主な動き

私のマニフェストの現時点における取り組み状況を取りまとめたものでありますので、後ほどご覧いただきたいと存じます。

配布資料

質疑内容

「カーリング場の設置について」

HBC

まず、重点事業の概要のところで、カーリング場の設計費がことしも盛り込まれていますけれども、カーリング場をこしらえる狙いといいますか、それと、できた後の期待というのはどういうふうにお感じなのか、教えてください。

市長

カーリング場については、私の公約にも検討するという形で書き込んでおりますけれども、トリノオリンピックにおきまして大変素晴らしいスポーツであるということが全道民あるいは全国民の一致する見方ではないかと、評価が非常に上がったスポーツである。しかも、北海道出身の選手があれほど活躍をするということもございまして、彼女たちが、男子もおりますけれども、この北海道の中心地であります札幌に集まってくることが多いということも推定をされますし、また、札幌市民もカーリングを楽しみたいという声もたくさん聞いているところでございます。

そのような意味におきまして、市民が老若男女問わず楽しむことができるウインタースポーツの1つとしてカーリング場を設置することが妥当である、このように判断をしたということであります。

そしてまた、欲を言えば、常呂町等で盛んに素晴らしい世界第一級の選手が育ちつつあるという情報のもとで、これらの選手たちが札幌でさらに磨きが掛かるということが可能となれば、チーム札幌、チーム北海道という形でオリンピックにも出場する可能性があるのではないか、そんなことも期待を込めながら、このように早く市民がつくり出した財源をもって、しっかりとこれに取り組んでいきたいということでカーリング場設計ということをさせていただいたところでございます。

「HAC(北海道エアシステム)の新たな経営体制について(1)」

HBC

続いて、予算とちょっと離れる話なのですが、HACについてなのですけれども、JAL(日本航空)が保有するHAC株を今後手放した際に、その株をどこが引き受けるかという話になると思うのですが、札幌市が引き受ける可能性があるのかないのか、その考えがあるのかどうか、そこら辺をちょっとお聞かせいただけますか。

市長

HACにつきましては、今、北海道が中心になりまして、その経営分析等をしっかりやっているところであります。私どもは、従来から、JALが株を売却、どこかに引き取ってもらうという意味合いで手放すと、その手放し先についてという議論でありますが、民間企業でも、われわれ自治体であっても、経営内容、それから、これからのHACのありようがどのような枠組みになっていくのかという基本的な情報なしに、この株式を引き受けるところはどこもないと思います。私たちは、今、北海道に対して持てる情報すべてをちょうだいしたいということを申し上げているわけでありまして、まだまだ検討しなければならない要素がたくさんある。そういう中で、軽々に引き受けますということを述べるわけにはいかないというふうに、大切な市民の税金を使うことになりますので、これはまだそういう判断をする状況にはないと。そしてまた、北海道からもそのような申し入れは今まで1度もございませんので、このご質問には今の段階で、その意思の有無というようなことについては判断できないというふうに申し上げておきたいというふうに思います。

「劇団四季の専用劇場建設について(1)」

STV

一部の報道でも出ていましたけれども、劇団四季が札幌に専用劇場を今建設する構想を立てている、土地選考と地質調査が進んでいるということでありますが、この構想について市長はどのようにとらえていらっしゃるのか。あと、市としての受け入れとか協力体制が何かあればお願いします。

市長

数年前に1度この計画があって、新聞報道がされて、道民も市民も大いに喜んでいたところ、急に取り消し、挫折をしたという経過がございます。今回もそうならないように、期待をしているところでございます。これが本当に実現できれば、私どもとしては、札幌市民も道民もこのミュージカルに触れるチャンスが多くなるという意味合いにおいて、非常に喜ばしいことだというふうに思いますので、心から歓迎をしたいと、このように思います。

札幌市で協力できることは何かということは、まだご相談を受けておりませんので、今の段階では何も申し上げられませんが、市民の皆さん方が喜んでいただける施設ができるということについては、素直に、かつ、また率直に喜びたい、このように思っております。

「HAC(北海道エアシステム)の新たな経営体制について(2)」

「劇団四季の専用劇場建設について(2)」

北海道新聞

今のHACと四季の関係、それぞれ2つお聞かせください。

きのうの道議会のほうで、HACは新体制を6月までにということがあったと思うのですが、これについて市長はどう受け止められるかということが1つと、あと、劇団四季に関して、まちづくりの観点から、今、JR駅前にかなり集中していますけれども、それを大通の方にどう影響するかなどの視点からどう受け止められるかというのをお聞かせください。

市長

昨日の道議会での答弁ということでありますが、直接私はお聞きをしておりませんけれども、6月までにというのは、7月にANA(全日本空輸)、A-net(エアーニッポンネットワーク)が丘珠から引き揚げられるということから考えますと、もう少し早くならないのかなというのが正直な感想でございます。ただ、JALが会社更生法の更生計画の中でどのような体制を取るのかということについて不確定なこともございますので、道でお答えになるのも、安全圏といいますか、このくらいの時間がかかるだろうと、そういう思いの中で述べられたのかなということも想像いたしますと、致し方ないかなというふうに思いますけれども、しかし、これは道民の足、そして従前から申し上げておりますようなHACの持っている飛行力といいますか、輸送力といったものを、札幌を中心に北海道を考えていきたいという思いと重ね合わせますときに、やはり、早く体制を決める方針を、基本的な枠組みを早くつくっていくということはとても大事なことである、このように思っておりますので、積極的に私どもも情報開示を求める主体的な活動を今しているところでありますが、なかなかそれがかなわないという状況の中で、6月末ということだけを聞きますと、ちょっと遅いのではないかなという不安感を持っているという感想でございます。

それから、劇団四季のことでありますが、まちづくりとの関係で、今まさに創成川公園が来年3月にでき上がるわけでありますので、それとの関係から言うと、場所的にも、新聞紙上で発表されている場所であるとすれば、好ましい人の流れができるのではないか、そんな意味でも歓迎をしたいなと、このように思います。

 「平成22年度予算・定数・機構編成について(1)」

北海道新聞

予算案についてなのですが、まず、昨年の政権交代を受けて、民主党が掲げているものに関連したものが予算の中にも表れているかと思いますけれども、そういう部分での影響は大きかったかどうか、また、どのように受け止めているかをお聞かせください。

あともう1点、財政見通しの部分なのですけれども、今回の新たな見通しの中で、交付税に関しては、今後、5年の中で交付税額が終始市税収入などの部分は維持されるというような形で見通しは立てられていて、その一方で扶助費は増大していくというような形で見通しを立てていらっしゃいますけれども、そこについて、今後の財政状況というのをどのように受け止めていらっしゃるか。

市長

新政権とのかかわりでどう変わったかというお尋ねでありますが、私ども地方自治体としては、政令市も選挙の際に地域主権をどう実現するかということについて、マニフェスト、各政党の評価をして、その結果を発表させていただきました。その際に、民主党の地域主権に関する考え方が他の政党よりは少しいいという評価をさせていただいたところでありますが、そのことも含めて、地方と率直に政策議論をしようという姿勢は非常にあると現段階では思っております。その意味では、地方自治体にとっては好ましい政権の運営の仕方であるというふうに理解をしておりますし、特に、交付税が極めて毎年削減されていくという傾向があった前政権からみますと、今回、1兆1000億円ですか、交付税を増額するということで対応されました。本当に危機的な地方の状況といったものを、もちろん1兆1000億円で収まるわけではありませんけれども、少し、札幌市にとってみれば、97億円、臨時財政対策債を含めてでありますので借金という形にはなりますけれども、基本的には97億円程度の余裕をちょうだいできたということは、非常に一息つくという意味合いにおいていい結果として今のところは表れているのではないか、こんなふうに思います。その分を、余ったからぜいたくに使おうという気持ちは毛頭ございませんけれども、有効に市民のために精査をして使っていきたい、こんなふうに思っているところであります。

中期財政見通しですね。これは、交付税が維持されるだろうと、要するに、これは政権の公約でありますので、地方を大事にすると、そして、地方に負担が増えないようにするということを掲げた政権公約でありますので、これは、上がることはあっても下がることはないだろうということで、堅いところで現状維持という形で見ているところであります。

それに反して、扶助費は、高齢化というふうなことから言いましても、どんどん増えていくだろうということは想像に難くないということであるわけでありますので、これを、それだけ収支のバランスが悪くなるわけでありますので、どうやったらそれを解消できるかというと、先ほど冒頭でも申し上げましたけれども、本格的に事業仕分け等々をしっかりやって、スクラップ・アンド・ビルドの考え方でやっていきたい。それは、市民参加ということもございますし、議会の議員の皆さま方にもトータルな札幌市の財政を見た上での政策提言、あるいは削減していくためのご提言等々についてもお伺いできれば大変ありがたいと、こんなふうに思っております。

「平成22年度予算・定数・機構編成について(2)」

NHK

予算について、まず、外形的なところから質問させていただきます。ご自身も珍しくという言葉を使われたとおりで、8000億円というこれまで縮小予算をずっと組まれていた市長が4.4%増という積極的な予算を組まれたわけですけれども、これに関してのまずご自身の感想といいますか、こういう思いだということをお聞かせいただけますでしょうか。

市長

久々の8000億円ということの内実を言えば、子ども手当が270億円と、それから生活保護費がやはり1000億円を超えるという札幌市にとってみれば危機的な状況と。8000億円のうち1000億円が生活保護費ということになるわけでありますので、これは8分の1、財政規模が増えたといっても、そういう内実だということをとらえますと、決して大盤振る舞いをしたというわけではないわけであります。その意味で、極めて厳しい状況にあるという状況は変わりませんけれども、そういうことを踏まえて、もっともっと厳しく考えていたところ、少し、予期に反して1兆1000億円の交付税の配分が少しちょうだいできたということで、本来、自治体で努力をして、工夫をして市民のために使うことができる財政を少しちょうだいできたということを喜んでいるというわけでございます。

NHK

意地悪な聞き方になってしまうのですが、来年の4月に選挙があって、上田市長としては2期目の総仕上げの予算という思いはもちろんあると思うのですが、一方の見方からすると、選挙が控えているという現実的なところもあって、臨財債という国の制度そのものがいいかどうかという議論ももちろんあるのですが、これは将来の公債費負担に跳ね返っていくわけで、その中でどうしても来てしまう借金も含めて、もう少しカットしていく。今いただいている概要などで款・項・目・節の節レベルまでは細かくわれわれは見ることはできませんが、もう少し財政規律に傾けた、偏った予算編成という考え方もあったかと思うのですが、その辺りはどんなお考えで今回組まれましたか。

市長

私は、基本的には財政規律派でございますので、少子高齢社会において、労働生産能力人口といいますか、がどんどん減っていく、われわれの子ども、孫の時代には借金を残さない、なるべく負担可能な範囲での借金にしていくという趣旨でこれまでの市債残高を減らしていくということで努力をしてまいりました。今回も、その財政規律は基本的に保たれている範囲でございます。市債残高が増加するということではなくて、29億円ほど減るということになるわけでありますので、基本的には財政規律をしっかり守った上で、少しだけ明るい展望も皆に持っていただける。例えば、そのシティプロモートなどということは、札幌はこうなっていくのだという明るい見通しといったものが市民の活力に通ずるわけであります。創造性を高めていくということに、エンジン部分といいますか、気持ちのエンジンを高めていくというところに使っていくということで工夫をさせていただいたつもりでございます。

2期目の最後の本格予算でありますので、当然のことながら、これは公約を実現するために最終的に公約がマニフェストに、マニフェストが新まちの第2次計画になっているわけでありますから、これを完全に実現する努力をすることは当然のことだと、このように思います。

「平成22年度予算・定数・機構編成について(3)」

北海道新聞

2点ほど。

今までの質問ともちょっと似てくるかもしれませんけれども、まず1つ、2期8年の集大成ということですけれども、その思いというものがこの予算の中に、具体的にはどの部分に市長自身は表れているというふうにお考えになっているのかということをまず1つお願いします。

市長

私は、本当に1年目というのは、「札幌あたりまえ宣言」とか、非常に抽象的な、市民の、外から見て、市役所の常識と市民の常識は違うのではないかとか、いろいろなことを言って当選をさせていただきました。やはり、現実に市役所内部で行われている仕事のありようと市民の感覚の隔たりを自ら実感をしたというのが私の市政に携わる最初の印象だったと思います。1年、2年たちまして、市民自治ということを一生懸命述べてまいりましたけれども、やっと3つの条例が整って、市民の力が今こそ発揮できる、そういう状態に来たのではないかというふうに思っているところであります。

そして、最近といいますか、昨年ごろから行政の役割というのは一体何なのかというところに思い至ったときに、やはり、これは良好な世代の交代を保障する、世代の循環というものを保障するのが行政の役割であるべきだというふうに思い至りまして、そのキャッチフレーズといいますか、キャッチコピーの中で、子ども、高齢者、障がい者、そして、それを取り巻く環境といったものを重視した政策を実現しなければならない、こんなふうに思い至ったわけであります。

それから言いますと、環境政策などは、今年度の予算、いろいろ政府の助成金もございますけれども、非常に手厚くといいますか、かなり市民の目に見える環境対策といったものが実現できる予算になっているのではないか。それから、子どもにしっかり札幌で大人になっていくためのさまざまな訓練だとか、子ども自身の福祉、あるいは、子育てが非常に潤沢にできるような、そういう政策にというふうなことが盛り込むことができたのではないか、こんなふうに思っておりますので、良好な世代の循環を保障するという意味合いにおける政策を打つことができるようになったということを私はこの間の市政の成果といいますか、集積、集大成というふうに言っていいのではないか、こんなふうに思っているところであります。

北海道新聞

ありがとうございました。

今度は、やや厳し目の見方ですが、一方で、例えば生活保護1000億円を突破し、とどまることを知らないというふうに誰もが思っており、また、産業も札幌は非常に、3次産業に偏っていて明るい兆しがなかなか見えないと。交付税、下がらないことを前提に考えているけれども、いつどうなるか分からないわけで、そういう意味では、非常に、市民の多くが、札幌のこの先何年かの将来像について不安を持っている人もいるのだと思うのです。そういう中で、今回の予算が2期8年の集大成だとすれば、この先の札幌の将来像を描いたものになっているのかどうか。それは、では、どこの部分でそういうものを具体的なビジョンとして示しているのかということはぜひ聞いておきたいのですけれども。

市長

根本的な産業構造が変わる、例えば、製造業がどんどん入ってくるとか、そういったことはなかなか想定し難いというふうに思います。もちろん、企業誘致等々について考えるということは、努力をするということはあり得るにしても、それは、札幌ということだけではなくて、札幌エリアということで、周辺の石狩市とか、北広島市とか、小樽市とか、近隣の都市と連携しながらやっていくことが課題だと思います。

札幌の産業というのは、やはり、北海道の中における札幌という位置付けがされますので、一番期待されているのは道内の企業、産業が活性化するためにはどうしたらいいかということを担うことができる、そういう産業構造にしていくということが非常に大事だというふうに思います。それには、これまで培ってきた発信力や情報収集能力、アレンジ能力、そういうふうなことがこれからの札幌の産業、経済を伸ばしていく、そして、それが北海道津々浦々の市町村の第1次生産者を勇気付け、元気付けていくことになる、それがまた札幌の元気に戻ってくる、そういういい循環ができるということを私は想定をいたしております。

そういう中で、シティプロモートというのは、札幌のネームバリューがより高くなっていくというのは非常に大事な施策だと思っておりますので、そういう意味においては、シティプロモートというものを置いて、札幌がどこから見ても、札幌はこれをやっているのだということが分かるようなまちにしていくというのが展望であり、今回の予算について申し上げますと、少し欲目に見ていただければ大変ありがたいと、こんなふうに思っているところであります。

環境、健康、観光、これを3Kとかと言うらしいのですけれども、どれもそろっているいいまちでもありますので、それもシティプロモートの中に内実としてしっかりとらえていくということで、必ずしも悲観すべき将来像ではないというふうに私は考えております。

「事業仕分けの実施について」

朝日新聞

(行財政改革について)市民参加による事業仕分けも活用しながらということなのですが、この事業仕分けのことをもうちょっと詳しく、それから、いつごろからどういうふうな形で始めるか。これは今回の予算とは関係ないと思うのですが。

市長

時期的なこと等については、まだはっきりは申し上げられませんけれども、来年度には実施したいというふうに思っております。その準備段階として、何を事業仕分けの対象にするのか。対象項目は100項目くらいというふうに今は考えておりますけれども、その100項目をどうやって絞り込むのかということについて、市内5,000人に対して市民満足度調査というものを、今、アンケート調査をさせていただいております。これによって、そのアンケート結果で、満足、あるいは、どこに不満なのかということが明らかになりますので、それと事業とを対応させまして、事業仕分けの検討対象項目にしてまいりたいということで、既にその準備に着手をして、発送したところでございます。

具体的な日程、あるいはメンバーは、もちろん市民と学識経験者という組み合わせの中で議論していただこうというふうに考えておりますけれども、何班かに分かれてとか、具体的な制度設計等については、また確定した段階でご案内させていただきたいと思います。

朝日新聞

そうすると、公開の場で、政府がやったみたいな形でやっていくわけですね。

市長

はい。

朝日新聞

来年度ですか。

市長

来年度です。

朝日新聞

来年度のいつごろかはまだ分からないのですか。

市長

今からの準備ですから、半ばぐらいになるのではないでしょうか。

朝日新聞

分かりました。

市長

要するに、再来年度からの予算に生かせるようにという趣旨から、今からの準備と、事業仕分けをやって次の予算編成に間に合うようにやるという意味合いでありますので、半ばぐらいではないかというふうに言っているわけです。

(以上)

この内容については、重複した言葉遣いや、明らかな言い直しがあったものなどを整理した上で作成しています。

(作成:札幌市広報課報道係)

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