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更新日:2011年3月1日

平成17年6月臨時市長記者会見

日時 2005年6月9日(木曜日)14時~
場所 記者会見室
記者数 18人

冒頭、市長から下記の話題について発表しました。

引き続き、次の話題について質疑が行われました。

発表内容

「任期の折り返しに当たって」

あすで丸2年たつということでございますので、この2年間私のやってきたこと、そしてこれからやらなければならないことと。1つのけじめでございますので、中間報告をさせていただきたいと思います。

既に第2回定例議会の代表質問が2日間行われまして、各会派からそれぞれの立場で、私のこれまでの公約の現実あるいは政治姿勢、それから具体的な施策、どんなことをやってきたのかというふうな検証で、かなりの時間を。皆さん方もお聞き届けいただけたというふうに思いますけれども、あらためまして私の方から、質問ではなくて、この間の情報提供させていただきたいというふうに考えております。

2年間の市政運営

まず、2年間の市政運営の基本についてでございますが、就任後、直ちに施政方針であります「さっぽろ元気ビジョン」というものを公表いたしました。

その後、このビジョンを実現するための3つのプラン、「さっぽろ元気プラン」というふうに言っておりますけれども、この3つのプランを、それぞれの市民会議からのご提言、あるいはパブリックコメントなどをいただいて策定をしてまいりました。

私の市政運営の基本は、自分たちのことは自分たちで考え、決定し、そして自分たち自身で行動していくのだと、こういう「市民自治」というものを根本に据えていることにございます。そのために、市民に信頼される「市民のための市役所」をつくっていくということが大事だというふうに考えているわけであります。

そして、目指すのは、市民と市役所が連携・協力しながら、まちづくりの政策を着実に進めていき、「市民の力みなぎる、文化と誇りあふれる街」札幌、この実現をしていくということでございます。

そこで1年目は、まずもってできることをすぐに実施するという姿勢で、プランの策定を待たずに、迅速に、さまざまな事業あるいは改革をしてまいりました。

特に、市民自治の土台となります市民との対話、そして情報提供といったものを徹底的に行おうということで、市民参加の仕組みもつくっていこうというふうにしてきたわけでございます。

2年目は、それをさらに前進させてきたところでございます。特に、地域という身近なところから市民自治の実践を始めていただきたいという考え方で、拠点となります「まちづくりセンター」の整備に力を入れてまいりました。

一方、目に見える市役所改革の一環といたしまして、サービスアップに取り組んだほか、厳しい財政状況の中で、政策を重点化すると。そして、必要なものは伸ばすけれども、削るものは削らなければならない、そういう、めりはりのついた予算組みをさせていただきました。

地域では、これまでの活動がさらに広がって、新たな活動も始まっております。市民自治が着実に根付き始めているという実感をしているところでございます。

2年間の取り組み

[市民自治の推進]

2年間の取り組みでございますが、市民自治を推進するというのがまず第1にございます。

市民自治の推進については、「市民との情報の共有」「市民意見の政策反映」、そして「市民との協働の推進」、この3つの柱で取り組みをしてまいりました。

特に情報の共有には力を入れまして、市民に分りやすく情報を提供し、そして、市民が考え、市政に参加するという環境づくりを一生懸命やってきたというふうに思っております。

また、連絡所をまちづくりセンターへ改編いたしまして、まちづくりセンターを通じて地域活動への支援を積極的に進めてまいりました。

5月末の時点で集計いたしました2年間の成果を説明させていただきます。

まず、連絡所から「まちづくりセンター化」をいたしました平成16年4月、新たにこのまちづくりセンターに3つの業務を加えました。その1つは、「住民組織等のネットワーク化支援」という仕事でございます。2つ目は、「地域のまちづくりの企画調整」、そして3つ目に「地域情報交流・市政情報提供」と、この3つの業務を新たにまちづくりセンターに課したということがございます。

1点目の「住民組織等のネットワーク化支援」ということの成果といたしましては、現在、35の地域でまちづくり協議会が結成されるなど、着実に支援の実を結んできているところでございます。

また、地域のまちづくり活動は、連絡所当時は全市で94の取り組み事例がありましたけれども、これをベースにしながらも、新たにまちづくりセンターに改編された後に、新しい活動が全市で131事例、この1年と1カ月の間に報告されるということになっておりまして、一層その活動が活発化しているというふうに私どもは考えております。

また、この取り組みの内容でありますけれども、特に課題解決型の活動が、まちづくりセンター移行前後で倍以上に伸びておりまして、市民の皆さんが、自ら自分たちの地域の課題解決に向けた動きを着実に実践されているということを示しているというふうに理解をしております。

これらの活動には、まちづくりセンターが情報提供や、きっかけづくり、あるいは団体間のコーディネートなど、さまざまな形でかかわっている事例がほとんどでございまして、センターの支援機能が生かされているというふうに私は考えております。

2点目の「地域のまちづくりの企画調整」についてでありますが、まちづくりワークショップ開催など26の取り組みが進められておりまして、これらもまちづくりセンターの支援が生かされている事例でございます。

3点目の「地域情報交流・市政情報提供」につきましては、まちづくりセンターの支援によりまして、地域住民のまちづくり情報誌や、あるいはホームページなどが、延べ数でありますが、62地域で作られております。

また、ITの活用や、市民が情報交流できるスペースを確保するなど、環境整備を47のまちづくりセンターで行うとともに、まちづくりセンター自身も情報誌発行やホームページ作成に取り組んでいるというところでございます。

さらには、本年度に創設いたしました「元気なまちづくり支援事業」により、これらの地域のまちづくり活動を積極的に支援することとしておりまして、まちづくりセンターの取り組みの強化と併せて、魅力あふれる地域の実現を目指してまいりたいというふうに考えているところでございます。

[市役所改革の推進]

私は、市役所改革というのは、市役所自身が変わるだけでは不十分であるというふうに考えております。市役所自身が変わることは当然でありまして、その変化を、変わったということを市民に分かってもらうというところまでいかなければ、本当の改革ではないというふうに考えております。

市役所改革の4つの柱のうち、「市民サービスの改革」と「コミュニケーションの改革」は、まさに、そのように市民に実感をしていただくための改革であります。

あいさつをするだとか、声を掛ける、名札を付ける、電話応対などを中心にしたサービスアップの取り組みは、言ってみれば当たり前過ぎることではありますけれども、そのように目に見える変化によって、市民と信頼関係をつくり上げていきたいというふうに考えた次第であります。

「経営資源の改革」というところでは、「人」と「財政」の改革が重点になりますが、「人」について、市民とともに自治を担う職員に育っていただきたいということで、大幅に研修内容の見直しと充実を図ってまいりました。

「財政」については、策定時点で見込まれました265億円の収支不足へ対応するとともに、持続可能な財政構造への転換を図るために、「財政構造改革プラン」を策定してまいりました。

プランの中には市民負担が必要な内容も含まれておりますことから、市民の皆さんとしっかりと議論することを通して、ご理解をいただきながら進めてまいりたいということでございます。

「組織の改革」について、1つは、トップである私の方針、あるいは政策というものを大きな組織の中でいかに浸透させ、実行するかということに力を入れてまいりました。

そのために、副市長へ権限を移譲し、定例的なことや既定方針内での判断は副市長にお任せをする、そして、私が本当に決断すべきことについては、十分に検討して私が決定できるような、そんなシステムにしてまいりました。

また、局区実施プランの導入によりまして、区長、局長が自ら責任を持って事業を遂行していくという体制を強化いたしまして、一方で、私と局長・区長との協議確認、つまり、私を通して各局長、各区長が市民と約束をするという形をとって、私がそのリーダーシップを発揮してまいりました。

もう1つは、出資団体や職員の再就職など、これまでの市役所の慣行だとか常識を見直していく改革であります。これについても着実に進めているところでございます。

[まちづくりの推進]

私がこの2年間で取り組んでまいりました政策について、「経済・雇用」「地域づくり・健康・福祉」、そして「環境・都市機能」「芸術・文化・スポーツ」「教育・人づくり」、この5つの分野で整理をしてまいりました。これは「新まちづくり計画」の分類に沿ったものでありますが、この中から幾つか説明を加えさせていただきます。

まず、「経済・雇用」でありますが、経済、そしてそれと連動した雇用の問題というのは、市民の皆さんからも非常に要望の高い政策でございまして、最優先課題として位置付けてまいりました。

経済の活性化は、国や道の政策に負うところが極めて大きく、また、行政が民間経済を大きく動かしていくということの難しさもありますけれども、できることは精いっぱい取り組んできたと自負をしているところであります。

特に、「札幌元気基金」によって、中小企業の皆さんやNPOなどの事業活動を運営資金面からサポートしてきたところでございます。

雇用面では、就業サポートセンターを開設いたしまして、女性や中高年の皆さん方、就職がなかなか難しい人たちへの就業支援に直接取り組んできたところでございます。

「地域づくり・健康・福祉」という問題でありますが、地域でのふれあいがあり、共に支え合って安心して、生き生きと健康に生活していけると、そのような地域社会を実現したいということを、私は考えてまいったところでございます。

特に、高齢の方、障がいのある方、女性、子ども、ともすれば社会の中で少数派だとか、弱者の側に回ってしまいがちな人たち、その誰でもが人として尊重される社会というものは、みんなが願うところだというふうに考えております。
そのために、子育て支援総合センターの開設や保育所の充実を進めてまいりました。

また、高齢者や障がいのある人が地域で自立して暮らしていけるための環境整備といたしまして、公共施設のバリアフリー化や地下鉄駅エレベーター設置の促進などにも努めてきたところでございます。

「環境・都市機能」の面では、毎年行います市政の世論調査というものがありますが、その世論調査では必ず、「札幌が好きですか、好きな理由は何ですか」ということをお聞きしておりますが、ずっと上位に入っている項目は、「季節感がある」だとか、「自然が豊かだ」、あるいは「便利」というものであります。

つまり、札幌の良好な環境を守り、都市機能を維持するということは、札幌の魅力、シンボルを守っていくということになりまして、将来の世代へ札幌の街を引き継ぐ私たちの責務として、こういうものが挙げられるのではないかというふうに考えております。

そこで、市民の皆さん1人1人にも協力をいただくような、緑をつくる作業、「一家庭一植樹運動」だとか、「マイタウン・マイフラワープラン」だとか、「エコライフ10万人宣言」などに取り組んできたところでございます。

また、行政としても、道路や公共施設の緑化の推進だとか、市立病院でのESCO事業の導入だとか、蛍光管や古紙の拠点回収の開始など、環境への取り組みを積極的に進めてきたところでございます。

地球規模の課題でもありまして、必ずしも大きな成果が目に見えて表れるということにはなりませんが、今後も、市民、そして企業、行政が協力し、そして、しっかりこの目標を進めていきたいというふうに考えておるところであります。

また、駅前通、創成川通の整備事業にも着手をいたしました。路面電車をどう役立てていくかを考えながら、快適で楽しい都心、活気あふれる都心の実現を目指していきたいというふうに思っているところであります。

「芸術・文化・スポーツ」の点でございますが、芸術・文化やスポーツの魅力によって、札幌の都市文化が豊かになっていくということは、そこに住んでいる人たちの生活を精神的に非常に豊かにしていくということになります。

そして、そのような札幌という都市の魅力が増していけば、一方では観光の振興にもつながっていくというふうに考えております。

また、新たに、市内の小学6年生全員が、札幌交響楽団という日本で屈指のプロオーケストラを鑑賞する「Kitaraファースト・コンサート」という事業もスタートさせましたけれども、このような経験が札幌のあすを担う子どもたちの感性を豊かにし、そして必ず札幌の財産になるというふうに考えております。

「教育・人づくり」でございますが、人づくりはまちづくりであるという基本に立ちまして、教育環境の整備だとか社会への働き掛け、人材育成の環境づくりなどに取り組んできたほかに、障がいのある子どもたちが将来自立し社会参加できるように、生きる力を育成するための事業も実施してまいったところでございます。

以上、2年間一生懸命に取り組んできたことの幾つかをご説明させていただきました。

公約の進ちょく状況

私が掲げました公約としては129項目の政策がございますが、すべて着手をしておりまして、そのうち31項目、24パーセントについては、既に実施済みか、一定の目標を達成している状況にございます。

また、数値目標を掲げた主なものについてでございますが、1つ目に「人員削減や事業の効率化で200億円を節約する」という公約がございますが、「財政構造改革プラン」において、人件費の見直しも含めた市役所内部の効率化を進める中で、確実に達成できるという見通しを持つことができております。

「500億円の札幌元気基金の創設」につきましては、金融機関とも連携をし、ほぼ達成することができるというふうに考えております。

「CO2を10パーセント削減する」、そして「緑を30パーセント増やす」、こういう公約につきましては、これは「すぐに環境対策に取り組む必要性がある」ということを強く訴えるためにも高い目標設定をしたわけであります。

「CO2削減アクションプログラム」や「みどりのボリュームアップ」事業に取り組みましたけれども、現時点では、この10パーセント、あるいは30パーセントという目標の実現というのは非常に厳しい状況になっております。

しかし、市民の皆さんと一緒に一生懸命取り組んでいくという気持ちは何ら変わっているわけではございません。未来へ向けた重要な約束として頑張っていきたいというふうに考えておりますので、皆さんにも、ぜひ、ご協力をお願い申し上げたいと思います。

【任期後半の取り組み】

任期後半は、市民の皆さんが生き生きと、自分らしく輝いて暮らしていける、そんな「元気な街さっぽろ」を目指していくつもりでございます。

具体的には、元気プランであります「まちづくり」、そして「市役所改革」「市民自治推進」、この3つのプランを着実に推進していくということが、まず基本であるというふうに考えております。

まちづくりの推進には、「新まちづくり計画」に掲げました事業を中心に、確実に実施していくことを第1に考えております。

そして、札幌市を取り巻く経済状況というのを考えたときには、財政の好転というのは、今後も期待することがなかなか難しいというふうに予測をしておりますけれども、そのような中でも、ここに掲げました事業を中心に、伸ばすべきものは伸ばし、そして効率的・効果的に実行していくというふうに考えております。

また、事業の効果的な実施のためには、特に、市役所改革、出資団体の改革、そして財政構造の転換、また、新たな行政評価による事業や施策の効率化などは、必要不可欠なことと考えております。

さらに、市民との信頼関係を構築していくために、目に見える市民サービスの充実を継続していかなければならない、このように考えております。

言い古されていることでありますけれども、「金がなければ知恵を出せ」という言葉がございます。

私は職員に対し、「お金のない状況は物を大切にする思想をはぐくみ、知恵を出さねばならない環境だとも言える」というふうに言っております。「今こそ役人の底力を発揮してほしい」と、そんな話をしているところであります。そのような積み重ねが「市民のための市役所」の実現につながるというふうに信ずるからであります。

これからは、少ない財源を大事に使っていく時代になります。どの政策を優先するのか、市民の皆さんに考えていただき、議論していただき、そしてそんな中から選択をしていただくということが必要になってくるというふうに思います。

市民自治の推進がますます重要になってくるわけであります。そこで、自治体の憲法とも言える「自治基本条例」を制定し、市民自治の理念というものをきちんとルール化していきたいと考えております。

また、市民自身が公共的サービスを提供するということも、どんどん出てきておりますので、市民活動を支援する条例の制定だとか、地域のまちづくりを推進する事業などにも取り組み、根付き始めたさまざまな活動を支援していきたい、このように考えているところであります。

さらに、市政への市民参加を充実・補強するものといたしまして、市民意見の政策反映システムを導入し、活用していきたいというふうにも思います。

つまり、お金がないからあきらめるというのではなくて、今ある資源、すなわち、情報、そして人材、施設など、こういうものを「集める、つなげる、広げる」ということで、夢のあるまちづくりを進めていきたいというふうに考えているところでございます。

ことしのお正月、冒頭にも申し上げましたけれども、私のことしのキーワードは「連携」ということでございます。「集め」「つなげ」、そして「広げる」、そういうことで効率化、あるいは少ない予算で大きな効果を発生させていく、そんなことができるように頑張っていきたいというふうに思います。

市民、企業、そして市役所が連携をして事業を行う。町内会をはじめ、地域活動をしている皆さんや、テーマを持って活動しているNPOなどに参加をしていただく方々が集まり、そして協力をしていくという姿。民間企業や北海道、他の自治体などと札幌が連携していく。そんなことが、足りないものを互いに補完し合う、そしてお互いに刺激し合って相乗効果を挙げていくということで、大きな力が生まれてくるものと私は信じているところでございます。

また、地域にも、これまで蓄積をされてきた「人」や「物」という財産、そこから生まれる知恵がたくさんありますから、それらをネットワーキングしていく、そして、地域で魅力的なまちづくりを進めていくということも期待できるわけであります。
これからの2年間は、「市民の力みなぎる、文化と誇りあふれる街」「元気な街さっぽろ」を目指しまして、多くの方々の知恵や工夫、力を「集めて」「つなげて」「広げて」いくという「連携」をキーワードに、今までの実績を生かして、市民の皆さんに成果を実感していただけるような、そんな活動を果敢に実行してまいりたいと、このように考えているところでございます。

きょうは、皆さんにお集まりいただきまして、2年間の総括と、これから後半2年、与えられました任期にどのような所存で臨むのかというふうな決意を語らせていただいたところでございます。

この2年間の皆さま方の市政に対するさまざまな評価、評論、そして報道、情報提供に尽くされましたお力に対して、あらためて御礼を申し上げますとともに、私のこれから進めていく札幌市の市政に対しても、変わらぬ批評、ご批判をちょうだいしながら、しっかりと進めてまいりたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げるということで、本日お集まりいただいたわけでございます。

配布資料

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質疑内容

「就任後2年間を振り返っての感想について」
「就任当初から現在までの市長自身の変化について」

NHK

きょうはいろいろと質問を考えてきましたので、いろいろ質問させてください。

まず、全般的な事柄なのですが、この2年を振り返ってのご感想、山あり谷ありだったかわかりませんけれども、それを第1点でお伺いしたいと思います。

第2点目としましては、初登庁したころ、実際に市政に携わってみた最初の時期と、丸2年がたった現在と、何か認識等で変わったことなんかがございますでしょうか。その2点をまず。

市長

2年間の感想でございますけれども、全く違う世界に入ってきたということで、最初は私も戸惑いましたけれども、職員の皆さん方も本当に戸惑われたのではないかというふうに思います。

そんな中で、私が選挙公約で掲げたことを、職員の皆さん方が一生懸命理解をし、あるいは善解をする、よく解釈をしていただけると。私の言葉足らずのところももちろんありましたけれども、その意をしっかり受け止めていただいて、善解をしていただいて、この2年間、いいプランをたくさん作っていただけた、努力をしていただけたというふうに思います。
私も相当きついことを、「市民はこう考えているのだ」と、「この市役所の内部の論理では、なかなかもう説得力はないよ」というようなことを、職員の皆さん方に、たびたび、いろいろなところで申し上げてまいりました。そういうことを続けていくうちに、さまざまなサポートをしていただける方がたくさん増えてきたというふうに私は感じておりますので、私としては、非常に幸せな2年間だったというふうに考えております。

初登庁からの変わったところといいますか、印象というのは、今と同じでありまして、一緒に仕事をやっていこうという仲間が増えていただいたということが、私自身がそういうことを感じることができるという状態になったということが、私の大変ありがたい変化であったというふうに理解をしております。

「民間出身の市長としての感想について」

NHK

今のことに関連してなので、若干質問がかぶるのですが、上田市長は民間からの44年ぶりの市長だということでお伺いしていますが、民間出身としての難しさ、あるいはその利点というものは、この2年で感じるところはありましたでしょうか。

市長

民間出身といいましても、もちろん民間なのですけれども、全くの組織人ではなかったというところで、私が、多分、組織の論理というよりも、やはり市民1人1人の考えていることをどう取り上げていくのかというふうなことに力点を置いた市政をやっていこうというふうに考えておりました。
そういう意味で、民間から入ってきたという、あるいは、一市民として市民生活を送っていた者が市役所に入ってくる、政策決定の極めて重要なポジションに就くということになることは、市役所にとっても、本来、良かったことではないかというふうに自分では思っております。

NHK

いろいろと、行政をトップとして執行する中で、民間出身で、一から勉強しなければいけないというご苦労なんかは、どんなふうな。

市長

それは、知らないことがほとんどでありますので、たくさんサポートをいただいて、どんな役職の方からも情報をちょうだいして、教えていただくという謙虚な姿勢でやってきたというふうに私は思います。

「市議会との関係について」

NHK

もう1点、議会の方では、民主・市民ネットと、与党の方は少数でありますが、その点で難しい点なんかはございますか、苦労された点。

市長

もちろん、さまざまな札幌市民がおられ、その表れが議会の構成にもなってきているわけでありますので。私は、選挙時に私を支持していただいたかどうかということとは別に、いろいろな方のご意見を徴するということが大事なことであるというふうに考えておりますので、議会についてもさまざまなご意見を謙虚に受けさせていただく、そういう立場でやってまいりました。

NHK

難しい、苦労した点なんかはございませんか。

市長

それは、もちろん、必ずしも私の考え方に賛同していただける方ばかりではないということでありますので、多くの会派の皆さん方には、是々非々という形で、そういう立場で私の話をお聞きいただいていると思います。
ただ、時間がなかなかかかるといいますか、私が申し上げていることをご理解いただけるのにはそれなりの時間が必要と。あるいは、私がどんな人間なのかということについてご理解いただくのには、それなりの時間と、私の言葉の数も必要であったというふうに思います。

「特に力を注いで取り組んできたことについて」

NHK

続いてなのですが、公約関係なのですけれども、この2年で、先ほどいろいろご説明ありましたけれども、特に力を注いで取り組んできたことを挙げるとすればどんなことでしょうか。

市長

先ほどもお話し申し上げましたけれども、すべてのことは市民自治に通ずるといいますか、もちろん地方自治をわれわれはやろうとしているわけでありますので、その自治が空洞化しないように、市民が本当に主人公になって、自分たちの街のことは自分たちで考えていくのだというふうなことを、いかに実現していくかというのが私の大目標でございます。

財政の問題も苦しい、確かに大変だ、国との三位一体の関係で、予定したお金が来なくなるという問題も、実は、自治がどれだけできるかということによって解決し、あるいは、乗り越えていくしか方法はないのだというふうに私は思っております。

そういう意味で、その自治を実践する場の提供、そういう環境をつくっていくということに力を注いできたというふうに先ほども申し上げましたけれども、まちづくりセンターを中心に、その努力が少しは動き始めているというのが私の印象でございまして、市民は私の問題提起なり政策というものをきちっと理解し、反応していただいているのだというふうに理解をしているところであります。

「2年間の自己評価について」

NHK

そうしますと、取り組んできた、特に力を入れてきた市民自治というものに対して、その大目標に向けてのこの2年間というのを総括するというか、自分なりに点数を付けるとすれば、どのようなことになりますか。

市長

先ほども申し上げましたように、公約の達成率が、まだ24パーセント程度であります。もちろん、見通しを立てているというのを含めれば、もっと多くなります。すべて着手をしておりますので。

けれども、24パーセントだから、4分の1しかやっていないかというと、そうではなくて、やはり物事が動くまでには相当時間がかかるということがありますので、あと2年、残されている時間内に、今、手を付けたいろいろなことが花開いてくるということになります。

従って、点数を今付けろと言われても、いろいろな観点があると思いますので、私は自分では点数を付けない。一生懸命やるということだけで、市民の皆さんに点数を付けていただければありがたいというふうに思っております。

NHK

ご自身では、今のところ、うまくはいっているという認識ですか。

市長

全力を尽くしてやっていると。どこも手を抜いていないというふうに自負をしております。

「住基ネットについて」

NHK

ちょっと変わるのですが、住基ネットの関係なのですけれども、市長は当初、いわゆる選択制の導入というものを主張されていたと思いますが、現在としましては、選択制の導入という主張に変わりはございませんでしょうか。

市長

一番理想的だというふうに、私は思っております。

NHK

そうしますと、今後はそれに関しては、どう取り組んでいかれますか。

市長

そういう考え方を持ちながら、これは何度もご説明をしておりますけれども、さまざまな法的な制約があるという中で、ことしの3月に住基に関する条例(札幌市住民基本台帳条例)を作らせていただいたということで、一定の、今できることを、そういう形で表させていただいたということであります。

NHK

今後、実際に動きとして、何かされようとか、そういうことは。

市長

たくさん裁判がかかっておりまして、過日、金沢地裁の判決があり、その翌日、名古屋地裁の判決がありというふうなことで、法的な判断が揺れているという状況もございます。そういうものを、しっかり注目しなければならないと。札幌地裁にも係属している事件がございますので、その動きというものは、われわれは、しっかり考えていかなければいけないなというふうに思っております。

「北海道新幹線の札幌延伸について」

NHK

次に、北海道新幹線、代表質問でも出ていましたけれども、これに関してなのですが、北海道新幹線の札幌延伸という問題については、現在はどう取り組んでいかれようとお考えでしょうか。

市長

北海道新幹線建設促進期成会というのがございますけれども、そこの要職に就かせていただくことになりました。基本的には、その活動というものを通じて、さまざまな働き掛けをしていくということになると思いますと同時に、市民に対して、しっかり情報提供するということに力を注いでいかなければならないというふうに考えております。

NHK

市長の立場として、札幌市までの延伸は望ましいとお考えですか。

市長

私は、そのように思っております。

NHK

伺いづらいのですが、代表質問で、当初はそれほど積極的ではなかったというあれもあるのですけれども、それは、私は当初のことは分からないのですが、何か心境が変わったということなのでしょうか。

市長

私は、そのように評価されるような発言は今までしたことはございません。新幹線について、1度も尋ねられたことはありませんし、私が発言したことはございません。

「夏季オリンピックの誘致について」

NHK

それと、オリンピックのことなのですけれども、この誘致活動というものに関してはどうお考えですか。

市長

誘致するかどうかも含めて、市民的な議論が必要だと。これは、議会において、誘致をするべきだという議決をされているわけであります。私は、執行部といたしまして、議会でそのような決議があった以上、単なる観念的にいいとか悪いとかということではなくて、どれだけ費用がかかるのかと。どれだけの設備投資が必要なのか、そういったことについて、あるいは、新しい設備をつくった場合には、その後メンテナンスがどれだけ必要なのか、ランニングコストがどれだけ必要なのか、そして、それをどう使うことができるのか、そういうことも含めて、どれだけのリスクといいますか、負担を市民がしなければならないのかという資料は、きちんとお示しをする。そういう作業をしなければならないというふうに考えておりますので、そういうことを議会でも約束をさせていただいたということでございます。

NHK

そうすると、現時点での市長のお考えとしては、誘致活動をするのが望ましいとか望ましくないとか、そういう判断はしていないということですか。

市長

難しい問題がたくさんあるということを、当初、申し上げてきたわけであります。オリンピックの目的、それを誘致したときの札幌のメリットといったものについては、精神的な意味でありますが、非常に人に感動を与えるとか、そういう意味での、「来たらいいな」と、「あったらいいな」ということは、誰もが同じだと思いますけれども、「それに対するさまざまなリスクもあるよ」ということ、「負担が伴うよ」ということを、従前から申し上げているところであります。

「財政の建て直しについて」

NHK

あと、財政に関係してなのですけれども、いろいろ市長の方からご説明もありましたけれども、財政の立て直し、これにどのように取り組んだかを簡潔にご説明いただけますか。

市長

まず、市役所内部の努力ということが大変大事なことでありますので、265億円という額がどれほど大変な額なのかということを実感しながら、乾いたタオルを絞るようにというふうなこと、職員の皆さん方に大変厳しい物言いをしながら、まず内部からしっかり頑張ろうというふうなこと、それでも足りない部分についてどうするかというふうなことを、今、議論していると。

持続可能な財政構造改革プランを、本当に泣きながら、みんな作っているわけであります。誰しも、市民負担というものを多くしたいというふうには思わない。みんな、そう思います。みんな、苦しいわけですから。

ただ、それを出さざるを得ないという、そういう状況だということを、しっかり市民の皆さん方にお分かりいただくという中で、それこそ自治的な判断といいますか、みんなに「それはしようがないな」と、「もう少し頑張ろう」というふうに思っていただけるような状況を、私たちがどれだけの情報提供をして、どれだけの説得力を持って、皆さん方にお話ができるか。そこがわれわれの、今、与えられている課題であり、力量が試される、そういう場面ではないかというふうに思います。

NHK

財政の立て直しの方もまだ道半ばだとは思いますけれども、それに特化してお伺いすれば、財政の立て直しはうまく進んでいるとお考えでしょうか。

市長

いいえ。今取り組んでいるのは265億円の収支不足の解消ということでありまして、これからまだ200億円から500億円という、まだまだ、今後どうなるのか分からない部分がたくさんあるわけです。

国の税制がどうなるかということも分かりません。それから地方財政計画、地方財政についての三位一体(改革)がこれからどういうふうに展開していくのかについても、まだまだ展望が開けていないという状況の中で、全国の自治体どこでも本当に右往左往しているというのが現状だと思います。

その中で、与えられた265億円というものについては、とりあえず、今、手当てをするといいますか、構造を変えていかなければならないということです。そのベースの部分には経費節約、あるいは将来的に市民負担ということも一部ありますけれども、そういう中で対策を立てているということでありまして、これさえやっておけばすべて解決できるという状況では全日本的にないというふうに思います。

NHK

そうしますと、札幌市の上田市政の今後2年の大きな課題の1つに、この財政の立て直しというのは当然入ってくるわけでしょうか。

市長

立て直しといいますか、新たな財政状況に対して適切に対応するということが、当然、市政を担う者にとっては大事なことでありますので、最優先課題と言ってもいいかもしれません。そういうことに努力を尽くしていきたいということであります。

「現在の市政に足りないものについて」

NHK

現在までの2年間を振り返って、これから2年間を見た場合に、ご自身で、現在の市政に足りないものというものは、どんなものが挙げられるとお考えですか。

市長

まちづくり活動については、市民が自分たちのまちづくりについて活発に活動を始められて、これまでの1年1カ月の間に、131の活動が立ち上がっています。これは、われわれの働き掛けにより、市民の皆さん方が、面白そうだということでやっていただける方がそれだけ増えたということであります。

これは、1つの実績ではありますが、まだまだごくごく一部であり、187万人のうち何人それに参加しているかというと、それはまだまだの話であります。

ただ、確実にそういう共感を市民の方々には持っていただけると思います。したがって、私が申し上げている、市民自治だとかといったものを追求していくということが、これからの札幌市政にとって大事なのだという認識や方向性などは、そう間違っていないというふうに私は思っております。

そういうことの確認や、市民の皆さんの反応だとか協力、一緒に悩んでいただけるというふうなことを得ながら、私はこれからの2年というものを展望していけるだろうというふうに考えております。

「市民活動促進条例について」

北海道新聞

市民自治の推進というところで、市民活動促進条例の制定とあるのですけれども、具体的にどういう形の条例になっていくのか、もし構想が決まっているようでしたら、分かる範囲で教えていただきたいのですが。

市長

これは、まだまだ内容について詰めているというものではありません。もちろん、いろいろな自治体で、NPOの活動を支援するなどといったものもありますので、それは当然、今後の参考にされるというふうに思います。
まちづくりには、いろいろなテーマの活動がございますので、そういったものについて、より動きやすいとか、あるいは札幌市がどういうスタンスでそれを支援するのかというようなことを盛り込んだ内容になればというふうに思います。

「路面電車の活用について」

北海道新聞

公約についていろいろ説明いただいたのですけれども、実施済みのところに「路面電車の活用を検討」ということがあって、確かに活用の検討というのは終わったかと思うのですけれども、存続という方針が打ち出されて、その後については、2年間で方法を検討したいということでした。ただ、これを実施済みと言われますと、ちょっと違和感があるという感じがいたしまして、その辺をちょっと市長の方からご説明いただければと思ったのですけれども。

市長

もちろん、まだ途上だという評価もございますが、一応どうするかということについての決断をさせていただいたと。そういう意味で、いったんの整理はしているということでここに掲げさせていただきました。

当然、これからの2年間で内容を決めていかなければならないということがありますが、決断をしたということにより掲げさせていただいきましたので、ご了解いただきたいというふうに思います。

北海道新聞

実際これからの2年間で検討していくということで、かつての会見のときにも、まちづくりの機能というものを考えていくということでしたけれども、その辺の方針で、またあらためてお伺いしたいのですけれども、どのように路面電車というのを生かしていこうとされているのか。

市長

それについては、いろいろな考え方があろうかと思いますが、現状のままで存続させるということに、なかなかならないのではと思います。ループ化の問題や延伸の問題あるいはもっと利用拡大をするには、ほかの公共交通機関との結節点をどうやってつくったらいいのか、存続させるための経営主体はどうあるべきなのかというふうなこと、さまざまな観点で議論がなされるというふうに思います。

やはり、これをいかにまちづくりの中に生かしていくかということが大きな問題であり、単に交通の利便性ということだけではなくて、路面電車があることによって札幌人の、札幌に住む人のライフスタイルが変わるだとか、そういったものにつなげていくというようなことが検討されるべき、構想されるべきことではなかろうかというふうに思っているところであります。

「今、札幌の中心で叫びたいことについて」

時事通信

以前の会見の中でも同じ質問があったのですけれども、「世界の中心で、愛をさけぶ」という本が一時ブームになりましたけれども、3年目を迎えるに当たって、今、札幌の中心で何か叫びたいことはございますでしょうか。

市長

なかなか厳しいですね。「みんな元気でやろうよ」ということぐらいしかないのですけれども。

「市民が、市民が」というふうに私は言い続けておりますので、「自治を追求しよう」、「全うしよう」ということに尽きるのではないかというふうに思います。

自らの自治力以上の自治はできないわけでありますので、その質を高めることが市民の生活、物の考え方、ライフスタイル、そういったことの質を規定していくというふうに私は思っておりますので、みんなでこの少子高齢社会といったものをしっかり生き切るためには、横の連携、一人一人の連帯感といったものを大事にしていきたいなというふうに思っているところであります。

(以上)

この内容については、重複した言葉遣いや、明らかな言い直しがあったものなどを整理した上で作成しています。

(作成:札幌市広報課報道係)

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