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更新日:2011年3月1日

平成15年度第12回定例市長記者会見

日時 2004年1月23日(金曜日)15時~
場所 記者会見室
記者数 21人

冒頭、市長から下記の話題について発表しました。

引き続き、次の話題について質疑が行われました。

発表内容

「札幌駅前通および創成川通に係る事業の基本的な方針について」

この点については、既に何度か新聞、メディア等でいろいろな議論の経過等についても報道をいただいているということでございますけれども、最終的に現在私のほうで考えている状況はこうだということを皆さまにご報告を申し上げたい、このように思います。

まず、駅前地下歩行空間についてでございますけれども、この計画につきましては、従来、この地下歩行空間を造ることが有用であるという前提で、その段階でも、さまざまな意見が交わされた中で、都市計画決定をするということが昨年の3月段階であったわけでございます。

ただ、これにつきましては、地下の構造についてだけ決定をされておりまして、地下と地上の一体的な整備というようなことがどうあるべきなのか、あるいは並木の問題、中央分離帯にございます並木、あの木をどうするのかというような心配等々、さまざまな観点から市民議論が必要ではないかということで、当初予備設計に今年度、平成15年度に入るという予定であったようでありますけれども、少し市民議論をしようということで、先延ばしをさせていただいたという経過がございます。

この点について、市民の皆さんからさまざまな意見をちょうだいするということで、プレワークショップだとか、あるいはシンポジウムだとか、最終的には11月の14、15の両日にわたりまして、1000人ワークショップというふうな大規模ワークショップを実施いたしまして、極めて多様な意見をちょうだいしたわけでございます。非常に深まりのあるいい議論が2日間にわたり行われたというふうに、私は市民の皆さま方に対して心から敬意を表したいと考えているところでありますけれども、そこで提起をされた内容を踏まえて、私は、大方の意見ということのまとめといたしまして、地下歩行空間の計画を実施するということで結論を出させていただきたいというふうに考えているところでございます。

ただ、地下の空間の利用の方法等について、あるいは地上の設計の問題といいますか、どんな形にするのかということについては、基本的な計画といたしましては、人と環境といったもの、人を重視していく、そういうふうな都心のあり方といったものを札幌市民は求めているということ、それから、現時点における札幌市のあり方といったものについての考え方といたしましても、環境といったものを重視していこうというふうな考え方の延長線でちょっと考えますならば、これは人と車とどちらに重きを置くかというと、今までよりは環境を重視する、そして人を重視するというふうな視点で道路の整備も行うべきであるというふうな視点に立ちまして、道路の地上の交通につきましては、今、片側3車線、合計6車線の駅前通でございますけれども、片側2車線ずつ4車線のものにしよう、そして歩道を広げようと、あるいは、自転車の専用道路も幅員を確保しようと、そういうふうなところを今、私どもは検討をした結果、採用させていただきたいと、こういうふうに考えているところでございます。

それから、懸念をされておりました中央分離帯にございますハルニレの並木でございますが、この問題については、私は、それは非常に心の痛みを伴う仕事でございますので、多くの市民の方には、かなり慎重論が多いのではないかというふうに私は想定をしておりましたけれども、この間の議論を通して見ますならば、この調査会といいますか、並木の調査をしていただいた専門家の意見をしっかり踏まえて、市民の皆さん方が、これは若木に切り替えるのもやむを得ないというふうなご意見が大勢であったというふうに私は理解をいたしております。

そんな意味で、今ありますハルニレの木、これはオリンピックの後(1973年)に新しく植えたものでありまして、30年という期間、札幌の駅前をあのように豊かな緑にしていただいた、そんな木ではありますけれども、移植をするというようなことで現役を引退していただくと。ほかのところで移植をいたしまして、木の生涯を全うしていただくというふうな形になろうかと。そして、新しく若木を、植え替えをしていくというようなことにしたいと考えているところであります。

今後の市民の皆さん方からの意見といったものについては、これは、本当に地下の歩行空間というものが、4メートル、4メートルの通路以外の部分がございますので、その利用の仕方、やっぱり街のにぎわいといったものに、どうこの構築物が貢献するかというようなことから言いますと、市民が本当にこの歩行空間を利用するということについて積極的な意志を持って意見を述べていただく、参加していただくということが必要になってまいります。そのことも含めて、市民的な議論をさらに続けていただきたい、このように考えているところでございます。

それから、将来的な展望といたしまして、やはり環境のことを考えますと、車中心ということよりは、公共交通機関といったものがしっかり使えるような空間といったことも想定しながら、この駅前の道路の設計も後々もそういう需要、公共交通機関もそこに設置することが展望を失うことがないような、そんな設計にしていきたいというふうに考えているところでございます。

創成川通のアンダーパス連続化事業につきましては、これはワークショップ等で議論を随分させてきていただきましたけれども、大方の意見といたしまして、アンダーパスを連続化させること自体には多くの方の賛同をいただいているというふうに私は理解をいたしました。

ただ、さまざまな視点から、やはり人と環境といった問題、街と人の中において、人が中心になるべき、あるいは人が憩える、そういう都心づくりのために創成川通といったものを有効に活用するにはどうしたらいいのかというふうな視点からさまざまなご意見をちょうだいしたというふうには思っております。その意見をどういうふうに反映させるかということが最大の論点でありますし、私どもが時間をちょうだいして皆さん方と話し合いをさせていただいた目的でもあるわけであります。

大通公園の緑地帯と一体化するべきであるというふうなご意見だとか、あるいは人を徹底的に大事にするとするならば、車線を1車線にするべきであるというふうなご意見も貴重なご意見だというふうに思います。これらも、私は大変重要なご提言でもあり、そのまちづくりに対する思いをちょうだいした市民の皆さま方には本当にいい提案といいますか、素晴らしい議論がされたというふうに思うわけでありますけれども、現状の交通量といったものをやはり確保しなければならないという創成川通の役割といったものも無視し難い問題であるというふうに考えたときに、1車線というのはなかなか厳しいだろう、冬の雪のことも考えますと、雪をよけておくというスペースも必要だというふうなことも考えますと、2車線はやはり確保しなければならないことだろうというふうに考えて、将来、交通量が全体的に減るというようなことになれば、あるいはそういう政策をこれから公共交通機関を重視していくという札幌市の基本的な方向等がどの程度実現していくかというふうなこととの関連で、将来そういうご提言も生かしていけるような、そんな余地を残しながら、今ある計画を進めさせていただきたい、このように考えているところであります。

問題は、北大通の東側に向かう東伸、これがまた非常に大きな問題であったわけでありますけれども、私どもは、この東伸問題につきましては、これも一つ交通の利便性を促進するという視点から、そこの商店街の皆さん方だとか、利害関係を持たれる非常に多くの方が、東伸をするという計画を掲げて、それを早く実現してほしいというふうなご意見、ご要望もちょうだいしていることも確かでありますけれども、そのこともまた街としては大事なことではありますが、もう一つ、あの場所は、札幌市の中心部を形成する創世1.1.1区(さんく)計画も札幌のまちづくりにとって極めて重要な、今後のまちづくりにとって重要な問題であるというふうなことを考えますと、創世1.1.1区の計画がどのように進むのかというふうなことを見極めた上で、それとの関連性を持たせながら、北大通の東伸問題については、今後とも検討していきたい、こういうふうな結論に至ったわけでございます。

一応、計画には、東伸をする橋を造るということになっておりますけれども、そのことは一応置きながらも、私は、直ちに東伸に着手するということではなく、全体のあの創世1.1.1区の場所の交通量の変化だとか、あるいはまちづくりの進み具合、そんなこととの関連でこの問題を継続的に考えていきたい、こういう立場でいるわけでございます。

今後、平成16年度に実施設計を行うということにいたしまして、あわせて工事に着手をするというふうな予定でございまして、平成20年度の完成を目指したい、こういうふうに考えているところでございます。

それから、また環境との関係で、騒音の少ない舗装をするというふうな検討だとか、そういう工事方法、設備にしようというふうなことだとか、あるいは二条市場と狸小路の接続部分に広場を造るとか、そういうふうな市民のご意見については、十分配慮して計画を進めてまいりたい、このように思っているところであります。

なお、これからも当然、地上部についてのさまざまな意見が市民によってなされる、あるいは、そこに事業を展開されている方々のご意見といったものも十分にこれからも出していただいて、調整をしながら事業を進めていきたい、このように考えているところでございますので、そのような判断をしたということでお知らせをさせていただきたい、このように思います。

この2つの計画でございますけれども、来月の下旬から始まります第1回定例議会に、予算の中に事業費といったものを盛り込んで提案をさせていただくつもりでございます。

そこで、市議会のまたご判断、ご議論の対象になろうかと思いますけれども、私どもの現在までに検討した結果というものは、以上のとおりでございます。

「敬老パスに関するアンケート調査の集計結果について」

2点目でございますけれども、敬老パス、これも非常に大きな問題でございまして、お手元に資料といたしまして敬老パスに関するアンケート調査報告書概要版というのが配布されていると思いますが、これについて若干ご説明をしながら、現況、現状といったものについての私どもの判断というものをお示ししたいというふうに思います。

これは、昨年の11月から12月にかけまして、補正予算で調査費を計上させていただきましたことに基づいて、20歳以上の無作為抽出5,000人に対するアンケート調査の結果をまとめたものでございます。

まず、第1ページ目の回収率でありますけれども、70歳以上の皆さん方からの回答を得た数が80.84%、70歳未満の方々であっても57.56%、こういう非常に高い回収率であったということが、この問題に対する市民の関心の高さといったものを推し量る非常にいい数字ではなかろうかと思います。

さまざまな発問をさせていただきましたけれども、今後のあり方についての回答の傾向でございますが、11ページの「今後の敬老パス制度について」というところにございます。

70歳以上の皆さん方のこの問題についての回答でございますけれども、「現行のままでよい」というのが53.8%、これが一番多いわけであります。「見直しして縮小する」というのが35.0%と次いでいると。

70歳未満の方々の回答傾向といたしましては、「見直しして縮小する」というのが45.8%、「現行のままでよい」というのが29.3%、こういうふうになっております。

ただ、いろいろな発問をしておりますので、設問間のクロス集計というのがございます。「現行のままでよい」とか「見直しして拡大する」とか「見直しして縮小する」とかという大ざっぱな問いではなくて、ほかにいろいろな条件の中で回答をちょうだいし、それをクロスさせると真意が分かるのではないかということで、これは統計学的にもこのような手法をとられるようでありますけれども、23ページ以降にクロス集計というのが載っておりますので、ご参考にしていただきたいと思いますが、これによりますと、「現行のままでよい」というふうに回答をされた方のうち、70歳以上で約57%、70歳未満で約49%の方が、年齢を引き上げるとか、一部負担だとか、あるいは居住要件の制限だとか、こういう制限をすることに賛同するという意見を持っているということがこのクロス集計の中で明らかになります。

それから、7ページでございますけれども、これは負担の問題についての回答傾向でありますが、一部自己負担につきましては、70歳以上の方では「利用者負担なし」の41.2%が最も高くなっておりますけれども、「所得に応じ自己負担する」あるいは「一律に同じ額を自己負担する」というふうに回答した方が合わせて47.4%おられるというようなこともございます。

全くフリーという現行のまま、「利用者負担なし」という41.2%に比しまして、ちょっと負担してもいいのではないかというふうな方が合わせますと47.4%おられるというようなことも注目すべき回答かなと。

若い方、70歳に満たない方では、所得に応じて自己負担するべきであるというのが47.5%ある、ここら辺が一番多い回答であるということも特筆すべきことかなというふうに考えているところであります。

こういう結果なのですが、あと、どういうふうに使っておられるかというようなことについて調査をした結果、13ページ、利用頻度が書かれておりますし、あるいは9ページに、利用限度額を設けることについてどうかというふうなことも書かれておりまして、ここら辺が私どもが注目しているところであります。

いずれにしても、敬老パスを利用されている方々というのは、病院への通院だとか、あるいは買い物などという目的で平日の日中に利用されている方が非常に多いという傾向が見られるということと、それから、利用されている方々のばらつきといったものもかなりあるというふうなことも少しアンケートで分かるところでございます。

こういうふうな調査結果を基にいたしまして、これらのご意見を総合するとどういうことになるのかということを申し上げたいと思いますけれども、私どもの理解によりますと、市民の皆さんは、敬老パスという制度の意義というものは、ぜひ継続してほしい、継続させるべきであるという考え方を持っておられるということが第1点であります。

しかし、そのためには、あるいは将来的にこの制度を存続させるためには、存続可能な制度としての見直しといったものもやむを得ないのではないかというお考えをお持ちだというふうに読み取ることができると考えているところでございます。

敬老パスを利用される方の利用頻度といったものが、だいぶんばらつきがあって大きな差があるというふうなことだとか、フリーパス、無料であるということそのものについても、こういうことから言いますと、少し検討していかなければならないのかというふうに考えているところであります。

今後、これらのことを踏まえまして、利用者の方に何らかの形でご負担をお願いすることも含めて、さらにこの制度の具体的な検討といったものを進めてまいりたいと。そして、また高齢者の皆さん方にご意見をちょうだいするような場面もつくっていきたい、このように考えているところでございます。

「第11回北方都市市長会議について」

この北方都市市長会議でございますけれども、これは気候・風土が似ている世界の北方都市が集まりまして、「冬は資源であり、財産である」というふうなスローガンの下で、共通する都市問題といったものを話し合うということを目的といたしまして、札幌市が提唱をし、世界に呼び掛けて1982年、昭和57年に始まった会議でございます。ことしで11回目を迎えるものでありまして、本年2月18日から22日までの5日間、アメリカのアンカレッジ市で開催されます。

今回は「未知なる冬への挑戦」というメインテーマを掲げまして、参加をされる都市は11カ国、18都市でありまして、メンバーはそういうことになっていますが、オブザーバー等を入れますとだいたい25都市の方が参加されるというふうになっているところであります。市長さん、あるいは副市長さん、メンバーはすべてそろうという会議になっているところでございます。そういうことで、この会議の成功に向けて努力をしていきたいというふうに考えているところであります。
いろいろこの会議も議題がございますけれども、やはり11回目になりますので、会議の活性化だとか、あるいは事例というものをしっかりお互いに学び合うというこの効果が求められているというふうなことも考えますので、しっかりとした議論をしてまいりたいと考えているところでございます。

あるいはこの会議だけではなくて、いろいろなフォーラムがこの機会に開かれまして、我々も関心があります除雪の問題だとか、寒冷地工学だとか、エネルギーと環境、こういうふうな問題についてのフォーラム、研究発表、シンポジウム等も公的に開かれまして、北海道大学の教授の先生方のレポート、あるいはフォーラムでの発表、そういったものも予定されているというふうに聞いております。冬の見本市といったものも同時に並行的に行われるということもございます。
それが北方都市会議で、私ももちろん出席し、札幌市が提案した会議でありますので私が議長をしなければならない、こういうふうになっておりますので、しっかり務めてまいりたいと考えております。

「住基ネットの運用に係る本市の対応等について」

住基ネットの運用に関してでございますが、札幌市の対応につきましては、一昨日、21日に住基ネット対策会議のほうから発表させていただいて、既に報道もされておりますけれども、あらためて私から若干報告をさせていただきたいと思います。

住基ネットにつきましては、情報のセキュリティーということについて疑義があるということで、いわゆる選択制、ちょっと選択制という言葉が独り歩きいたしまして、市民の皆さま方から、住民基本台帳法の中に選択制という制度があるのになぜ選ばないのだというふうな誤解があるようでございますが、法律的に存在する制度ではないわけであります。ですから、選択制というのが法律上の制度ではないと。結果的に選択をしたのと同じことになっている状態をつくることができないかというふうな、既に住基法が、住基ネットが施行されている、そういう状況の中で私どもがどういうことを選択できるのかというふうなことについて検討を、この間、重ねてまいったわけでございます。

横浜市がやっている横浜方式というのを札幌市の場合に同じようにできるかというと、横浜市は初めからつないでいなかった状況の中から、希望者だけつなぐというふうな形をとったわけでありますが、札幌市の場合は、既に全部つながっているという状況の中でどういうふうにできるかということになりますと、いったん横浜のようにつながない状況をつくり出さなければ横浜方式のような形はとれないというような状況になるわけでありますので、そういう意味では、いったん何らかの重大な事由が発生したときに、これを切断し、そして再登録をしたいという方だけが、希望者が選択をしてつなぐというようなことが横浜方式、いわゆる選択制ということになろうかと思います。

そういったことができるかどうかということが検討課題としてあったわけであり、また12月の記者会見で、長野県の侵入実験によって、報道されているような重大な住基ネットについての本質的な問題、セキュリティーに対する危険といったものが真実であるとすれば重大な決断をしなければならないということで申し上げたわけであります。

私どもが一番心配していたのは、A市からB市に対して侵入することができる、こういうような事態が一番致命的な欠陥だろうと。我々の管理の及ばないところで住民のプライバシーが侵害されるというような状況になることを一番恐れて、そういう事態になれば、これは制度自体の欠陥であるというふうに私は思いますので、離脱というようなことも十分考えられる方法だろうというふうに考えたわけでありますけれども、その後の調査をいたしましたところ、どうやらそこまでは、いっていないというふうなことが判明いたしました。

総務省と長野県の個人情報保護審議会の見解はまだ対立したままでありますけれども、こういう状況の中で札幌市が致命的な欠陥であるというふうに断じて、離脱をするというようなことにもなかなかならないという判断に立ち至ったわけでございます。

ただ、結果的選択制を全部、そういう方針はもうとらないのかということになりますと、それはやはり私は問題意識として持っている、そして私に与えられた使命であります市民の個人情報といったものをしっかり守る立場にある、守らなければならない法的義務を持った私の立場からいいますと、本当にいったん事が起これば、重大な欠陥であれば、やはり離脱というものを視野に入れなければならないという考えを変えたわけではございません。そのような事態になった場合には、また結果的に選択制といったことも表れてくるかもわからないというふうな状況であります。

また、法制度の問題として、先ほど冒頭に申し上げましたように、選択制という方法はないわけでありますが、私は、やはり、そういうものが選択できる、ちょっと言葉がふくそういたしますけれども、選ぶことができるような制度もあっていいのではないかというふうに考えておりますので、引き続き国に対しても、選択制というものがあり得るような法体系にしたらどうかというような要望はしていくという考え方でもございます。

それから、住民基本台帳法上の問題といたしまして、いわゆる台帳の公開、閲覧の自由といった制度について、同じく個人情報が守られねばならないというふうな視点から、たとえ4情報(氏名・性別・住所・生年月日)だけであっても閲覧を制限されるべき事態があるのではないかというふうな視点から、いわゆるDV(ドメスティック・バイオレンス)、あるいはストーカー、そういった被害者からの申し出がある場合には閲覧を制限することができるというような条例をつくるということも今考えさせていただいているところであります。

もう一つは、大量に閲覧をされる方々、DM(ダイレクトメール)の業者、あるいは名簿業者等が大量に閲覧する、それが、何でこんなものが送られてくるのだろうというような視点で、迷惑だ、不愉快だというふうに思われる、そして苦情がたくさん出てくるというふうな状況の中で、私は、これも保護に値するものではないかというふうな視点でおります。ただ、住民基本台帳法というものが公開原則というのを立てておりますので、そこまで踏み込んでやれるかどうかについてはいまだ明確には申し上げられませんが、検討課題であるということで、どこまでできることなのかというようなことも、この際に条例化できるかどうかも含めて検討していきたいというふうに考えているところであります。

ちなみに、平成14年度の札幌市の各区においてどのような閲覧がされているかということでございますが、閲覧申請者は1,600人、そして閲覧件数は29万件と統計ではなっております。この割り算をすればどういうことになるかというと、要するに大量閲覧が圧倒的に多いという意味合いでございます。それで随分嫌な思いをされている方もたくさんおられて、中には苦情を寄せられる方も何人もおられるというような状況についてどうするかというふうな問題意識でございます。

配布資料

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質疑内容

「住基ネットについて(1)」

朝日新聞

住基ネットについてです。先日対策会議の方から発表がありまして、それに対して、公約に掲げられた選択制の棚上げだ、あるいは政策転換だという声がありますが、それについて上田市長はどう考えられているのでしょうか。

それから、札幌市の表明に対して、地方自治体との共同実験は実施しないと総務省次官が表明されましたが、共同実験そのものの現実性が乏しい中で、ではどうしていくのかという市長の決意を聞かせてください。

また、そうなってくると、この実験というのは名ばかりで、結局は当初掲げた旗を下げるそのカモフラージュではないのかという声もありますが、そのあたりも聞かせていただけませんか。

市長

私は、正しいことは通っていくはずだというふうに思っております。政策転換というわけではなくて、選択制、共同実験、実験の問題から言えば、総務省は今のところ長野県との共同実験というのはやらないというふうに言われているようでありますし、ほかの都市からそういう申し出があってもできない、しないというふうなことを言われているという新聞報道に接しておりますけれども、それだけの問題提起をされ、かつ、決して少なくない国民がこの住基ネットに対する疑問を持っているということに対して、総務省は、国は、おれが大丈夫だと言うのだから信用しろというのは、少し、いかがなものかというふうに私は思います。

問題提起をされて、それなりの根拠のある主張に対しては、しっかり謙虚に耳を傾けて、国民に対して説明をしていく、そういう姿勢があるべき民主制のありようではなかろうかというふうに私は思います。

そういう意味で、一刀両断に絶対共同実験をしないというふうな方針というのも、話し合いをしていけば分かっていただけるはずだというふうに私は考えております。

朝日新聞

政策転換ではないと。

市長

ですから、今でも、例えば重大な事態が発生すれば、これはわれわれの条例がなくても、住基法の36条の2という規定で、切断ということはあり得るわけです。その後どうなるのかといったときに、切断しっ放しかどうかということになりますと、いや、使いたい人もいるよということになれば、そういうリスクは十分わかった上で私は利用したいのだという方については、それは拒む理由もないということになりましょうから、事実上それは選択制ということになるでしょうというふうなことであります。ですから、政策転換というふうなことでは必ずしもないというふうに私は思います。

「駅前通地下歩行空間について(1)」

読売新聞

地下歩行空間の件です。これは構想は10年ほど前からありまして、上田市長が決断するまでの間、途中で先送りされたり、今回のように一歩引いてまた市民議論をやっていくというような形でようやっとこぎ着けたという形なのですが、決断する理由として、いろいろ考えられると思います。経済的なもの、それから利便性とか、地上部分のことについて議論の余地もあったと思いますが、決断した、ゴーサインを出した理由についてもう少し詳しく教えていただきたいと思います。

市長

地下歩行空間を造るということそのものについての議論というのはかなり以前からされて、それなりの合意が形成されてきたのだというふうに思います。ただ、市民的な立場からいうと、あまりよく分からなかったという事情もございます。
もう一つは、私は選挙の際に申し上げていたのは、地上部分がどうしても変更、掘るだけではなくていろいろな影響を受けるというふうなことを考えざるを得ないわけなのですが、その部分については何も議論がされていなかったというのが私の認識であります。

そういう意味で、一体として議論をした上で納得できるものなのかどうなのかということをみんなで考えていきたいというのが私の就任以来主張していたところであります。それが、半年間かけてさまざまなところで自主的な討論もありましたでしょうし、私どもが主催するワークショップ等にもたくさんの方が参加をしていただいて議論をしていただいたと。その中で、もちろん600人ぐらいの参加者でありますけれども、2日間にわたって議論をした結果、同じような結果が出ると。そうすると論点は多分市民の皆さん方もほぼ同じような傾向で考えていただけるのではないだろうかと。

その結論を踏まえて、地下歩行空間自体を造ることについては、財政上の問題だとか、今必要なのかとか、そういうふうな疑問を呈される方ももちろんおりましたけれども、私は全体的に容認をしていただけるというふうな立場で理解をしたということであります。

その上に、地上部についての整備が進むということ、それも人中心のまちづくりをしていくというふうなことがこれからの札幌を考えたときに有効であろうというふうに考えたこと、駅前から大通に通じる歩行空間ができることによってさまざまな利便性が高まる、あるいはその空間でまた創造的な活動もできる可能性が出てくる、そういうふうなことも非常に魅力であると私は考えたわけであります。

沿道ビルの更新時期というようなものもございますので、そういうことからいいましても、全体的に駅前を活性化し、大通地区と連結させていくというふうなことは、私は札幌のまちづくりの中で有効な投資ではなかろうかというふうに考えたわけであります。

読売新聞

今、JRタワーなんかができまして、札幌駅前と、それと大通地区のいわゆる2つに分かれている状況が、地下歩行空間で結ばれることによって経済的な波及効果がかなり期待できるのではないかというようなことも造ることの理由の一つに上げてよろしいでしょうか。

市長

それも期待する効果としてはあるというふうに思います。

読売新聞

前回、去年の審議会で予備設計費として1億円を保留した形にして、5、000万円を市民議論の経費に充てたといういきさつがありますが、今回の予備設計でも、額なのですけれども、やっぱり1億円程度はみる予定なのでしょうか。

市長

ちょっとそこのところは最終的な予算の問題ですのでまだお答えできませんけれども、予備設計の費用はこちらが持たなければなりませんので、それなりの費用を計上させていただきたいというふうに考えております。

「駅前通地下歩行空間について(2)」

北海道新聞

駅前の地下歩行空間で、ワークショップの結果がどのように市長の決断に影響したのかというのがすごく大事だと思うのですが、着手すべきだというのが48.6%で、あと、すぐ着工する必要はないとか、辛抱すべきだというのも決して少ない数字ではないと。

市長

そうですね。

北海道新聞

仮にこの数字、例えばこれからいろいろな事業をやっていく上で、多分こういうワークショップみたいなものを市長はいろいろやられると思うのですが、例えばこの結果が逆になった場合というのは、やっぱり市長の決断というのが違った決断になっていく可能性というのはあるのですか。

市長

もちろんそれは重要な判断要素だというふうに思います。ただ、いろいろな条件付きで賛成というところまで全部カウントしますと、全く要らないというふうに言われている方は少数ではなかろうかという判断をしたということが第1であります。

そして、札幌のこれからのことを考えて、将来を考えた際に、さまざまな条件付きで、こういうことがあったらいいのではないかというご意見については、随時計画の中に取り入れることが可能なものは取り入れていくというような柔軟な姿勢と、それから、これからもまちづくりにみんなで参加していただくための議論の素材にしていくというふうなことを私は考えているところであります。

「駅前通および創成川通に係る事業について」

北海道新聞

地下通路と、あと創成川の話と合わせてのことなのですが、市民ワークショップでは必ずしも推進ではないという方々も半分程度いらっしゃいますが、今後、そういう方に対する説明をどう考えるのかということが1つ。

それと、反対というか、慎重な意見を述べられている方の論拠の1つとして、財政的な問題で、財政難と言われている中で、果たして、国の補助があるとはいえこれだけ巨額のものを造るのはどうなのだろうかと。その辺の考えにどう答えられるのか。

それと最後にもう1つ、北大通の東伸の問題について、今後も検討を続けるということですけれども、着工が始まって、ことし一部着工する中で検討して、結論を出す時期というのはめどをつけていらっしゃるのかどうか、その3点をお願いします。

市長

ワークショップでたくさん議論をいただいた方については、私は、この結論といいますか、参考にしてこういう結論を出しましたということの説明会はさせていただくと。そしてまたそこでも議論をちょうだいするというようなことも、今後どういう形で議論を進めるのかというようなことについてはまたご案内したいというふうに思っております。

北海道新聞

説明会はいつごろ、年度中ですか。

市長

年度中です。それは、ワークショップのときにもそのようなことを約束したというふうに私は思っております。

それと、財政困難なときに予算がかかり過ぎではないかということでありますが、多分これは、財政は厳しいことは厳しいわけでありますけれども、国の補助事業であるということと、それから将来に、札幌のまちづくりのために必要な投資であるかどうかということの対比で高いか安いかというものは決まってくるというふうに私は思います。

今、これまで建設をするということで進めてきたその価値判断がまずあって、さらにその上で市民議論を尽くして、48%というのがそれは賛成という形で出てきたわけでありますけれども、そういうものをちょうだいしながら、そういう価値判断としては、財政の問題も、もちろんなるべく圧縮して、補助事業であるからたくさん補助金をいただいてというふうに財政的負担が軽減することを考えながら進めてまいりたいというふうに判断しているわけであります。

北大通については、いつ、どういう判断をするかということですが、判断のチャンスというのは、例えば、来年に、緑を感じる都心の街並み形成計画策定委員会、長い名前ですけれども、その委員会の答申を17年度に出していただくようお願いをしております。そこでのまちづくりの考え方もひとつ参考になるというふうに思いますし、平成19年になりますが、時限立法であります都市再生プロジェクト、このときにもう1つ判断のチャンスがあるのではないかと。それは、創世1.1.1区(さんく)の動きもそこら辺で連動してくるかなというふうに思います。

それから、もう少し言いますと、創成川通の交通量といったものがこれから相当変わってくる可能性もあるというようなことも考えられますので、少し長期に考えるということも視野に入れておきたいと思っております。

「住基ネットについて(2)」

HBC

確認させていただきたいのですけれども、住基ネットについて、札幌市が独自に侵入実験をするとなった場合、国の協力がないとなかなか完全な実験ができないと思うのですが、そのことを一緒にできるように国に働き掛けていくということと、あと選択制というものが、選べるような制度があってもいいのではないかというのを国に働き掛けるというのを並行して行っていくというふうに考えてもいいのでしょうか。

市長

そのように考えていただいて結構だと思います。

「住基ネットについて(3)」

北海道新聞

住基で、きょう、麻生総務大臣が、札幌市の呼び掛けの話に対して、経費の無駄遣いをする考えは全くないと言われたのですけれども、さっきの話と同じでよろしいですか。粘り強く話していけば分かってもらえると、そういうことでよろしいですか。

市長

はい。経費の無駄遣いという観点で、ちょっと視点は違いますが、私ども地方自治体がセキュリティーを守るためにどれだけお金を使っているのかといったことについて国では少しお考えいただきたいなというふうに思います。費用との関係で、どれだけ市民がその費用を負担しながら、市民の利便性はどこに確保されているのかというようなこともかなりこれから大きな問題になってくるのではないかというふうに私は考えているところであります。

「住基ネットについて(4)」

共同通信

もう一度住基ネットでお聞きしたいのですが、先ほど、法律的には選択制というものは存在しないというふうにおっしゃいましたが、それは、今の時点では選択制というのは無理だというふうに市長が考えていらっしゃるという解釈でよろしいのでしょうか。

市長

そうではなくて、法律制度の中に選択制というのはないということです。これは初めから分かっていることです。われわれが、いわゆるとか、結果的選択制と言っているのは、選択制があると同じような効果が出ているという状態を言っているわけです。ですから、横浜方式という言い方もしますけれども、それを選択制というふうに呼んだり、いわゆる選択制と呼んだり、結果的選択制と呼んだりしているわけです。苦労しているわけです。

ですから、そこのところは誤解がないように申し上げなければならないのですが、法律制度でないけれども、横浜のような結果が出ている。それは、市民の意思がそこで実現できるという、そういう制度になっているわけです。ただ、総務省は認めていないのですけれども。しかし、市民の意思を無視して登録をする、接続をするという(状況の中で)、首長の、横浜市長の判断で行われているわけでありますので、そういう状態を札幌で実現できるかどうかということを今われわれは検討したということです。

共同通信

そうすると、今の段階では法律的には存在しないけれども、そういう実態をつくっていって、ゆくゆくはそれが違法ではないという方向性に持っていきたいということですか。

市長

それを違法と言うかどうかはまた別なのです。法律にないということと、そういう結果が生じていることについて、それが違法と言うかはまた別の問題だと私は思います。住基法が想定していない制度とでもいいましょうか。

ただ、個人情報ということについて、それは人権の一つだから自分でそれは守りたい、一方的に使われるのは嫌だというふうな意思を通すことも保護の対象になるのではないか。しかもそれが危ういという状況の中ではむしろそれは保護されるべき利益ではないかということから、いろいろ考えた上で出てきた状態であると。そういう状態を結果的選択制、あるいは横浜方式というような形で今認識をしているのではないかと思います。

共同通信

もう1点なのですが、そうすると、総務省は違法ということをずっと言ってきていると思うのですけれども、市長は違法ではないというふうに考えているということですね。

市長

違法ではないと思います。それは一番最初のときにそういうお話をしたと思います。法令解釈については、裁判所が最終的に判断をしなければならないことだと思いますので。

「敬老パスについて」

NHK

敬老パスについてお聞かせいただきたいのですけれども、市長は以前、見直しを考えるというようなことで市民アンケートをやった結果、今のご説明の中では見直した方がいい、自己負担してもいいのではないかというような意見が非常に強かったというアンケート結果が出たと。市長としてもこれはかなり重く受けとめていると思うのですけれども、今後の方向性としては、全く白紙であるのか、それともこのアンケート結果が一定の市長のお考えの方向性を示すものなのかというところをお聞かせいただきたいのですが。

市長

もちろん私は高齢者の皆さん方からもたくさん要望をちょうだいしております。老人クラブとか各区のそういう高齢者の皆さん方から直接話をしたいというふうな話もちょうだいしておりますので。

そこに私はこういうアンケート調査に基づいた具体的な提案を、選択可能な提案をさせていただきながら、どういう考えを皆さん方がお持ちなのか探っていくといいますか、選んでいただくというようなことがこれから進めるべきことではないかなと。具体的にやってまいりたいというふうに思います。

NHK

アンケート調査に基づいた提案ということは、つまりアンケート結果を強く反映した提案をしていくと。

市長

先ほど冒頭のご説明でも申し上げましたけれども、負担をすることも含めて具体的なご提案を申し上げて討論をしていただきたいというふうに思っております。

(以上)

この内容については、重複した言葉遣いや、明らかな言い直しがあったものなどを整理した上で作成しています。

(作成:札幌市広報課報道係)

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