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更新日:2023年9月22日

令和5年度「札幌市平和訪問団」派遣報告

「平和へのメッセージ」優秀賞受賞者6名(小学生・中学生・高校生各2名)で広島県を訪問し、戦争や原爆について学んだ平和学習の成果を、令和5年8月15日に札幌駅前通地下歩行空間で開催した「札幌市平和のつどい」において報告しました。

派遣先

広島県

派遣期間

令和5年8月4日(金曜日)~8月6日(日曜日)

派遣者

令和5年度「平和へのメッセージ」優秀賞受賞者6名(小学生・中学生・高校生各2名)

札幌市平和訪問団の旅程

月日 内容
8月4日(金曜日)

朝、市役所に集合。市役所から新千歳空港へ。

新千歳空港から羽田空港を経由して広島空港へ向かいました。

広島空港到着後は呉市にある大和ミュージアム及び、てつのくじら館を見学しました。

てつのくじら館大和ミュージアム

8月5日(土曜日)

午前中は、広島平和記念資料館の見学及び被爆者体験講話を聴講した後、平和記念公園及び原爆ドームを見学し、午後は竹原市の忠海港から大久野島にフェリーで渡り、島内にある毒ガス資料館を見学しました。

毒ガス資料館被爆体験講話

8月6日(日曜日)

最終日は午前中に平和記念式典に参列した後、広島空港に向かいました。広島空港から羽田空港を経由して新千歳空港へ。新千歳空港から市役所へ戻り、解散となりました。

平和記念式典

「札幌市平和訪問団」広島派遣報告内容

「平和のつどい」において平和訪問団が報告した内容を掲載します。

大和ミュージアム、てつのくじら館について

報告者:彦田朱依さん(札幌市立前田北小学校6年)

「広島を訪問して感じたこと学んだこと」

私がもし平和とは何ですかと聞かれたらこう答えます。戦争をしないで安心安全に暮らすこと。ですが、広島に訪問して、平和であるためには、過去の戦争の悲惨さを深く知り、次の世代へと語り繋いでいくことが必要だと感じました。

広島訪問1日目、大和ミュージアムと、てつのくじら館を訪問しました。まず大和ミュージアムでは、戦争当時どのようなことがあったのかを知ることができ、それを踏まえて今後何をしたらいいのか、何が大切なのかを考えることができました。そして特に印象に残ったのが人間魚雷です。

人間魚雷とは、人間が魚雷を操縦しながら目標とする艦体に体当たりする特攻兵器のことです。相手に勝てるかわからないまま、自分を犠牲にします。これを聞いた時とてもびっくりして胸が痛みました。しかし、もっと胸が痛むものがありました。それは人間魚雷をして亡くなった塚本太郎さん21歳が家族へ残したメッセージです。これは文だけでなく音声もついていて、聞くことができました。

これを聞いて、私はびっくりしました。なぜかというと、自分の意思で魚雷に乗ることを決めていたからです。私はこれに強く胸を打たれました。家族を優先するか、国を優先するかとても迷ったと思います。ですが、私は塚本太郎さんはどちらも優先したと思います。これは勇気があってもなかなかできないと思うので、勇敢な人だなと思いました。

次に、てつのくじら館です。ここでは戦争後の様子を知れて、「あきしお」という潜水艦に入って中を見ることもできました。そこで自らを危険にさらして機雷を除去する掃海艇機雷の進化に応じて、各種装備の開発が進められている最も危険な任務に従事する、水中処分員という文字を見つけました。

これを見て、戦争が終わっても命がけで仕事をしていたということを知り、どういう気持ちだったんだろうと私なりに考えてみました。私の考えは、戦争があったけど、こういう仕事をして少しでも平和にしたいという気持ちがあったのではないかということです。

この話を今回知って、戦争当時だけでなく、戦争後も大変だったとわかり、辛かったんだろうなと感じました。私は3日間広島に訪問して、戦争の時の様子や何を使っていたのかなどを知り、戦争の辛さを感じることができたと思います。

今回は、教科書や授業だけでは学ぶことのできない体験や経験をすることができました。私は広島で学んだことを活かし、平和を願い続けたり、戦争の辛さを伝えていきたいと思います。

平和記念公園、平和記念資料館について

報告者:井上陽翔さん(札幌市立緑丘小学校6年)

「過去を知り、未来へつなげる平和」

広島での2日目、緑豊かで美しい川が流れる平和記念公園と、その中にある平和記念資料館を訪問し、原爆が落とされた昭和20年に小学校1年生だった被爆者の方の話を聞きました。

「食べ物はお粥くらい」「空襲警報が出たら、耳を塞いで走って逃げていたけれど空からは丸見えだった」「校庭で遊んでいた時に原爆が落ちてきた」という当時の生活を知って僕は胸が苦しくなりました。もし僕が1年生の時に同じ状況であったらと考えると、ただただ恐怖の思いでいっぱいになりました。

また、被爆者の遺品のほか、実際の被爆後の人々や町並みの写真もたくさんありました。原爆が爆発した際、物だけでなく人間も高熱の影響を受け、大変な思いをしたことを知りました。たった一発の原子爆弾により多くの命が失われ、78年経った現在も苦しんでいる人たちがいるという現実を目の当たりにしました。

戦争の悲惨さ、辛さ、今も続く苦しさ、今僕たちができることは何だろうと改めて考えさせられました。僕は戦後、黒色の街並みになってしまった広島から、今の色鮮やかな美しい広島を作ってくれた人たちの思いを知り、決して同じ過ちを繰り返さないという意思を強く持つことが大切だと考えました。そして過去に起こった悲惨な出来事を、今を生きる僕たちがしっかりと受け止め、伝え、未来へとつないでいくことが必要だと思います。

3日間、広島で戦争を学び、平和とは、「戦争や喧嘩をしないこと」はもちろん、現在、安心して生活ができる、今当たり前に感じている日常そのものであると実感しました。この貴重な経験を忘れず、平和な未来が続いていくよう1日1日を大切に行動していきたいと思います。

平和記念公園、平和記念資料館について

報告者:佐々木文香さん(札幌市立上野幌中学校1年)

「平和って」

皆さんは平和にどのようなイメージを持っていますか。私は今回、平和訪問団として実際に広島へ行きました。それまでの私の平和に対するイメージは、恐ろしいことの起きない世の中という簡素なものでした。ですが、この訪問をきっかけに私の平和に対するイメージは一転し、私たちがしなければいけないことが見えてきました。

その理由の一つは、2日目に訪問した平和記念公園にあります。この公園には、広島平和記念資料館や追悼平和祈念館、原爆ドームなどの様々な施設がありました。これらの施設や場所には、原爆が落とされた様子の生々しい写真や絵、さらに当時は亡くなった方々の家などもあり、私は実際にこれらを見た時、言葉を失いました。その代わりに言葉にできない感情が心の中に響き渡りました。この時私は、強く平和の尊さを知ることができました。

過去に戦争が行われた事実はなくなりません。ですが、だからこそ私たちにできること、目指すべきことを考え、実現することはできます。亡くなった方々の思いをつなげていくために、ぜひ周りにいる身近な方と話し合ってみてください。そうすればきっと未来は明るくなり、平和が続いていくと思います。

最後になってしまいましたが、私の平和に対するイメージは、様々な地域の方々が心地よく、住みやすい暮らしを送れることだとこの訪問を通して考えました。本当の平和を目指すために、私も日々成長していきたいと思います。

そして私たちが経験したことのない戦争ですが、これからもその経験が二度と起きることのないように、今できることを考え、進んで行動していきたいです。今回このような貴重な経験をさせていただきありがとうございました。

大久野島・毒ガス資料館について

報告者:三浦奏寿さん(札幌市立稲積中学校2年)

「空白の大久野島」

私は平和というのはみんなが笑顔にあふれ、戦争をしないことだと思っていました。しかし、今回の訪問を経験し、それだけではない平和への様々な見方を知りました。

ウサギで有名な大久野島は、かつて人が扱ってはならない毒ガスの島でした。殺人のために毒ガスを作り、威力を試すためにウサギを使った実験が行われていました。そしてその実験を行っていたのは人間の兵士でした。

もともと毒ガスの製造は国際的に違法であり、大久野島のことを島の外の国民には伝えずに、当時の地図では空白にして、載せられないほど極秘なことでした。当時の実験が、現代の科学につながっている部分があることに、私はとても複雑な感情です。そしてどんな思いで実験をしたのかを考えると、胸が苦しくて仕方がありません。

きっと辛く悲しい実験は、彼らの考える平和のためだったのではないかと思います。人を苦しめたくて戦争をするのではなく、誰もが皆平和を望み、幸せを願い、自分や自分の大切な人を守るために、どんなに怖いことやひどいこともしなければならなかったのではないでしょうか。

想像してみてください。自分の願う平和のために命を奪わなければいけなかった状況を。私は恐ろしい過去というよりも、とても悲しい過去を見た気がします。

今ある平和は当たり前のことではなく、過去にあったつらく悲しい出来事の上に成り立っていることを、私は改めて感じました。一人でも多くの人が戦争を知り、今ある幸せを感じてほしいです。二度とあの時代の悲しさを繰り返さないために、私はこれからも、今回の訪問を通して知った事実を、伝え続けていきたいと思います。

広島派遣全般を通して

報告者:村上舞海さん(北海道札幌あすかぜ高等学校2年)

私は今回、札幌市平和訪問団として広島県を訪れ、改めて平和とは何なのか、そして命とは何なのかについて考えることができました。初めに私は、広島県を訪問する前までは戦争は良くないこと、だが繰り返されてしまうこととして認識していました。なぜ私がそう思っていたのかと言うと、私は歴史と国際情勢の学習が好きなので、世界が一つにまとまることが難しいことを知っていたからです。

なので、私は戦争は起きてしまうものではなく、私たちが繰り返してしまっているものと考え、「平和とは何か」と問われると、「次の戦争への準備期間である」という言葉に強く影響されてしまっていました。しかし今回のこの訪問の中で、本当の平和と戦争、そして命について大きく考え方を変えることができました。

1つ目は、戦争はどんなことがあってもしてはいけないということと、どんな理由があっても命を粗末に扱ってはいけないということです。現在では一昔前よりも一段と生活が便利になり、その一つひとつに物のありがたみや人の命の大切さをだんだん忘れていってるように感じます。そのような中であの広島での惨劇を見た時、言葉にならないほどの衝撃と残酷さを感じて、心が締め付けられました。

私は二度とこの悲劇を繰り返してはいけないと確かに強く思いました。この他にも当時の貴重なお話を聞き、悲劇は一度だけで終わらず、残された遺族の方やその子や孫にまで繰り返されてしまうということも聞き、改めて戦争の残酷さを感じ、かけがえのない命を大事にしていかなければならないと思いました。

2つ目は、戦争を防ぐためにはお互いを理解し合うことと、戦争という悲惨な歴史を忘れてはいけないということです。私たちは常に平和を願っているようで、平和について何をすべきか結局はわからないことが多いです。ただ1つだけ確かなことは、戦争とは常に平和と隣り合わせであり、今ある日常が当たり前ではないということ、今ある大切な生活を守るためには、お互いの理解がとても必要だということです。

戦争は性別、年齢、それから国籍や宗教、文化などの些細な違いによって引き起こります。ですがそんな小さなことでも、お互いの気持ちへ寄り添い合っていけば、少しでも争いが起こることは少なくなっていくと私はそう信じています。まだまだこの国にも世界にもたくさんの課題は残っていますが、それでも少しずつ課題への取り組みや性別、国籍への理解が進んできています。

私たちもこの流れに乗って、身近な人と戦争や社会問題について話し合ってみましょう。私はその一歩として海外の方と文通のやり取りを始めてみました。まずは自分のできることから目を向けてみてください。そしてその行動はきっと、平和な未来へと私たちを導いてくれるはずです。

最後にこのような学習の場を設けてくださりありがとうございます。私はこの訪問を通して、自分に足りないものや知らないことを知ることができました。この時間は決して忘れません。この先、辛いことや困難がたくさん待ち受けているかもしれません。それでも諦めず、精一杯自分の命を大事にして、強く生きていこうと思います。ここまでお話を聞いてくださり、本当にありがとうございました。

広島派遣全般を通して

報告者:南悠太さん(北海道札幌西陵高等学校1年)

戦争や人が命を落としてしまうような争い事は絶対にしてはいけない。これは私が広島を訪問して感じ、皆さんに一番伝えたいと思ったことです。札幌市平和訪問団として広島に行くまでは、戦争は良くないという常識的な理解しかありませんでした。

しかし今回、その理解が確信に変わりました。人より何十倍も大きい戦闘機や潜水艦を見たとき、原爆投下時の円形立体映像を見たとき、被爆者の焼けただれた皮膚を見た時、私はこの身を持って怖いと感じ、これらの被害者となってしまった人たちのことを考えると、胸が苦しくなりました。原爆投下前と投下後の広島の姿を見た時、どうしてこんなことになってしまったのだろう、と心底思いました。

そんな中でも一番心苦しかったのは、戦艦大和内で死亡してしまった大勢の人たちの名前が流れるスクリーンを見たときです。亡くなられた方々一人ひとりに友人がいて、親戚がいて、家族がいると考えたら、言葉では表せないほどの切なさに包まれました。

今回のこの旅で、私は教科書を何回見返しても感じることのできない戦争の現実に、触れることができました。私は、今という時をこうして過ごしていること、大切にしたいと思う家族や友人と一緒にいることのできるこの時間を、当たり前とは思わないで欲しいのです。一人ひとりが当たり前なことではなく、幸せなことなんだと思えば、必ず未来は良い方向に進んでいくはずです。今回で、このことを深く実感しました。

私は自分と同じく、たくさんの方に戦争の被害にあった場所を実際に訪れて、身をもって戦争の悲惨さを感じてほしいです。そして、一人ひとりが暴言を言わないことや、人に優しくするという心がけを続けることで、戦争が起きない平和な世界になることを、強く願っていきます。

また、戦争が起こらないために、たくさんの人に戦争について知ってもらいたいと思いました。私には、今起きている戦争、詳しくはロシアとウクライナの間で起こっている戦争を止める力はありませんが、今、発表を聞いてくださっている方々の原動力を引き出す力ならあると思います。何か大きな行動は起こさなくてもいいのです。先ほどお伝えしたように、今できる小さな優しさや心がけが世界中に行き渡り、平和の世界の実現に必ず繋がります。

最後に本日、平和のつどいにご参加くださった方々、ご覧になられている方々に深く感謝を申し上げます。

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