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更新日:2021年12月3日

令和3年度第14回定例市長記者会見記録

日時

2021年11月29日(月曜日)16時30分~17時54分

場所 市本庁舎12階1~3号会議室
記者数

29人

市長から下記の話題について発表しました

配布資料

動画(内容は下記「発表内容」「質疑応答」で文字掲載しています。)

引き続き、次の話題について質疑が行われました

発表内容

 新型コロナウイルス感染症への対応について

 市内の感染状況でございますけれども、11月に入ってから、1日当たりの感染者数は1桁で推移しておりましたが、市内医療機関でクラスターの発生がございまして、(11月)16日・17日の両日は、それぞれ20人を超える新規感染者数が確認されたところであります。先週に入りましてから、再び1日当たりの感染者数が、おおむね1桁台で推移しておりまして、感染状況は落ち着いている状況にあると考えております。

 これから12月に入りますと、忘年会のシーズンを迎えます。今まで以上に経済活動が活発となってくることが予想されますので、市民の皆さまにおかれましては、引き続き、新型コロナウイルス感染症への対策をお願い申し上げます。

 特に飲食の場におきましては、どうしてもマスクを外して会話をするという状況が出てきますので、飲食店は北海道飲食店感染防止対策制度の認証店を活用していただき、できるだけ短時間で深酒を避けるといったような感染対策について、引き続き、ご協力をお願い申し上げます。

資料「『さっぽろPASS-CODE事業』の試行実施1」(PDF:263KB)

 札幌市では、国のワクチン・検査パッケージ制度におけるワクチン接種履歴の提示手段として、日常生活・社会経済活動におきまして、こういったものを活用していただくことを想定し、近隣の11の市町村とともに形成いたします、さっぽろ連携中枢都市圏の住民および来訪者を対象に、「さっぽろPASS-CODE事業」を12月6日から来年(2022年)3月31日までの間、試行実施いたします。

資料「『さっぽろPASS-CODE事業』の試行実施2」(PDF:905KB)

 この事業は、スマートフォンで利用できるウェブアプリ「PASS-CODE」を活用いたしまして、本人確認書類やワクチン接種済証などの画像データをご登録いただくことで、簡単にワクチン接種履歴を提示できる仕組みを試行するというものであります。

 利用者の登録は、12月6日から開始いたします。

資料「『さっぽろPASS-CODE事業』の試行実施3」(PDF:329KB)

 また、この事業の利用者向けの特典などを提供する事業者の登録につきましては、12月1日から登録を開始させていただきます。

 ウェブ登録フォームに登録いただくことで、QRコード利用者への割引特典などを記載した店舗掲示用のポスターの出力が可能となります。

 12月1日には、専用のコールセンターを開設いたしますので、こちらへお問い合わせいただくようお願いいたします。

 この事業を通じまして、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と経済活動の両立に向けて、PASS-CODEなどのアプリケーションがどのように貢献できるのかということを検証し、今後の運用を検討してまいりたいと考えております。多くの市民・事業者の皆さまのご協力をお願い申し上げます。

 冬季オリンピック・パラリンピック招致に係る大会概要(案)の公表、市民対話の実施および意向調査について

 このたび、2030年冬季オリンピック・パラリンピック競技大会の招致に向けて、大会の具体的な計画内容を作成いたしまして、大会概要案として公表することとなりましたので、お知らせをさせていただきます。

資料「1972年大会をきっかけに発展」(PDF:598KB)

 大会概要案の具体的な説明に入ります前に、まず、札幌市が冬季オリンピック・パラリンピックの招致を目指す背景から、あらためてご説明させていただきます。

 札幌は、1972年の冬季オリンピック開催をきっかけに、地下鉄や高速道路などの都市基盤が整備されたところであります。そして、この大会の映像とともに、当時の「さっぽろ雪まつり」が世界各国にテレビで放送されたことで、多くの観光客が訪れるようになりまして、国際都市としての地位を確立し、今や約200万人もの人口を抱え、多くの観光客が来訪する大都市へと発展したところであります。

 それから50年が経過いたしまして、現在は1972年当時に建設された建物等のインフラの多くが更新時期を迎えているほか、人口減少・少子高齢化への対応、気候変動対策、共生社会の実現など、私たちが今後解決していかなければならない、さまざまな課題を抱えている状況であります。

 こうした前例のない課題を解決していくためには、たくさんの人の力と想いを一つに結集して、取り組んでいかなければならないわけでありますが、オリンピック・パラリンピックは、4年に一度開催される世界最大級のスポーツの祭典であると同時に、多くの人々が想いや力を結集し、束ねていく絶好の機会であると考えております。

資料「大会開催を新たな100年の礎に」(PDF:437KB)

 札幌は来年、市制施行から100周年という節目の年を迎えますけれども、この札幌の街が10年後、そして、次の100年後も多くの市民に愛されて、誰もが暮らしやすく、多くの人々を魅了し、輝き続けるサステナブル(持続可能)なまちづくりを進める礎としていくために、2030年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致に向けた取り組みを進めていきたいと考えております。

資料「大会ビジョン」(PDF:967KB)

 こうしたことを踏まえまして、大会概要案では、2030年大会のビジョンとして、「札幌らしい、持続可能なオリンピック・パラリンピック~人と地球と未来に優しい大会で新たなレガシーを~」を、目指すべき方向性として位置付けたところであります。

 ビジョンに掲げた持続可能という言葉には、3つの観点があります。私はこの大会を通じて、「持続可能な札幌のまち」「持続可能な地球環境」「持続可能なオリンピック・パラリンピック」、これを実現してまいりたいと考えております。

資料「大会がもたらすまちの未来1」(PDF:278KB)

 そして、2030年の大会を通じて、将来目指すまちの姿と、大会によってもたらされるレガシー(遺産)について、「スポーツ・健康」「経済・まちづくり」「社会」「環境」、この4つのテーマに分けて、大会によってもたらされるものを明確化したところであります。

 これは、2019年に開催いたしましたワークショップにおいて、市民の皆さまからいただいた意見、オリンピック・パラリンピックに期待するものをお話いただきました。それを元に、整理させていただいたものであります。この4つの分野ごとに、現在、札幌が持っている課題、そして、目指すべきまちづくりの方向性について、ご説明させていただきたいと思います。

資料「大会がもたらすまちの未来2」(PDF:744KB)

 まず、「スポーツ・健康」についてであります。

 レガシーの一例といたしましては、自分たちの街で大会が開催され、身近な施設やスキー場でトップアスリートが活躍する姿は、子どもたちに夢や希望を与え、将来のオリンピック・パラリンピックを目指すジュニアアスリートの発掘・育成につながってまいります。

 また、大会をきっかけに、気軽にスポーツができる環境を整備することによって、市民にとってスポーツがより身近なものになり、運動機会の増加、これを通じた市民の健康増進につながってまいります。

加えて、アスリートへの先進的な医学的技術を提供する体制を整備いたしまして、そこで得られた知見を市民に還元することで、スポーツ医学を市民の健康寿命の延伸に活用してまいります。

 さらには、全国から多くのボランティアが参加できる機会を確保いたしまして、市民の皆さまをはじめとするたくさんの方と一緒に大会をつくり上げていくとともに、参加ボランティアの今後の活動機会の確保などを通じて、大会を契機とした、スポーツボランティア文化の定着が期待できると考えております。

資料「大会がもたらすまちの未来3」(PDF:382KB)

 次に、「経済・まちづくり」についてであります。

 目指すまちの姿は、世界に躍進する魅力あふれるまちづくりであります。

 レガシーの一例といたしましては、大会をきっかけに世界中から集まる多くの人々に札幌の魅力を発信し、世界屈指のスノーリゾートシティとしてのブランドを確立してまいります。

 また、大会時の関係者の移動に次世代技術を活用した交通システムを導入し、大会後にそのシステムを取り入れるなど、これからの新しい時代に求められる交通体系の構築を目指してまいります。

資料「大会がもたらすまちの未来4」(PDF:448KB)

 続いて、「社会」についてであります。

 目指すまちの姿として、全ての人に優しい共生社会の実現を目指してまいります。

 レガシーの一例としましては、現在都心部では街のリニューアル、(建物の)建て替えなどが進められているわけでありますが、こうした時期に札幌で初めてのパラリンピックを開催することで、街全体をハード・ソフトの両面で、バリアフリーの街につくり替えていく原動力になると考えております。

 さらには、大会の開催、そして、現在札幌が行っているオリンピック・パラリンピック教育のさらなる拡充を通じて、人種・性別・国籍・文化などの多様性を受け入れる土壌を醸成して、全ての人に優しい共生社会の実現に向けたまちづくりが加速していくものと考えております。

資料「大会がもたらすまちの未来5」(PDF:715KB)

 最後の4つ目でありますけれども、「環境」であります。

 目指すまちの姿は、次世代が豊かな自然を享受できるまちであります。

 レガシーの一例として、大会時の選手の移動手段には有害物質を全く排出せず、環境に優しいゼロエミッション自動車などを活用して、大会後には、それを市民の日常の交通の足に利用することで、温室効果ガスの削減に貢献していく考えであります。

 このほか、多くの市民や企業の参加を受けて、緑を育む活動についても、今後さらに進めていきたいと考えております。

資料「人と地球にやさしいまち1」(PDF:1,017KB)

 また、地球温暖化の影響によって、気候変動対策が世界的な重要課題となっております。2030年以降のオリンピック・パラリンピックは温室効果ガスの削減量が排出量を上回ることを指す、「クライメート・ポジティブ」な大会であることが求められています。

資料「人と地球にやさしいまち2」(PDF:1,315KB)

 こうした中で、札幌は四季が明瞭で、自然の雪で大会を開催できる、都市と自然が調和した世界でも数少ない都市であります。札幌のメリットを最大限活用し、新たな環境技術の開発を促進していくことで、札幌発の環境技術の発信にもつなげていきたいと考えております。こうした取り組みを重ねて、環境先進都市として持続可能な地球環境の実現に向けて世界に貢献していきたいと考えております。

資料「大会概要(案)のポイント1」(PDF:517KB)

 次に、大会概要案のポイントについて説明いたします。

 まず、大会の会場となる施設は、既存施設を最大限活用し、大会経費の縮減に取り組みました。東京2020大会を節目に、IOC(国際オリンピック委員会)も大会の開催方針を転換し、オリンピック・パラリンピックは、持続可能なアプローチで大会運営を追求するようになってきております。

 2030年大会は、新規の競技会場の整備は行わず、既存施設を最大限に活用することとして、全体の92%を既存の会場とする予定です。

資料「大会概要(案)のポイント2」(PDF:371KB)

 施設整備費については、既存施設の活用等により約800億円と試算しておりまして、そのうち札幌市の実質負担額は約450億円と見込んでおります。

 また、大会運営費については、IOC負担金や大会スポンサー収入などの活用によりまして、原則税金を投入しない計画として、約2000億円から約2200億円と試算をしております。

 今後も大会経費の不断の見直しを行っていくことなどで、準備段階からコスト意識を持ち、持続可能なオリンピック・パラリンピックの開催モデルを目指してまいりたいと考えております。

資料「大会概要1」(PDF:710KB)

 次に、現在想定しております、オリンピック・パラリンピックの競技概要についてであります。競技の概要は、過去の大会を参考に想定したものであります。

 まず、オリンピックにつきましては、2030年2月8日から2月24日までの17日間、スキーやスケート・カーリングなどの7競技109種目、参加アスリートは約2,900人を想定しております。

資料「大会概要2」(PDF:888KB)

 パラリンピックにつきましては、2030年3月8日から3月17日までの10日間、パラアルペンスキー・パラアイスホッケー・パラバイアスロンなど6競技80種目、参加するアスリートは約600人を想定しております。

資料「会場配置計画」(PDF:1,049KB)

 競技会場につきましては、1972年の札幌オリンピックのレガシー施設であります大倉山ジャンプ競技場・月寒体育館・北海道立真駒内屋内競技場のほか、市外のニセコエリア、そして、帯広の森屋内スピードスケート場、長野市のボブスレー・リュージュパークを活用し、樹木の伐採等は競技の開催に必要な最小限の範囲におさめて、地球に優しい大会を目指してまいります。

資料「目指す大会の姿」(PDF:970KB)

 続いて、札幌市が目指す2030年の大会の姿であります。

 2030年冬季オリンピック・パラリンピックを通じて、多くの人が注目し、アスリートへ熱い声援が送られることで、会場にとどまらず、日本中が一つになる、そのような大会を実現していきたいと考えております。

 また、札幌で初めて開催されますパラリンピックは、不可能だと思えたことも、考え方を変えたり、少し工夫すればできるようになるという意味の「Impossible」を「I'm possible」に変えるという、パラリンピックの理念を市民が共有する機会となるものであり、2030年大会を契機に、札幌は共生社会の実現に向けて一層の歩みを進めていくことができると考えております。

 そして、全ての子どもたちがパラスポーツを観戦する機会を創出し、冬季パラリンピック競技の聖地ということになるように目指していきたいと考えております。

資料「皆さまとともに創る大会」(PDF:438KB)

 次に、住民との対話のことでございますけれども、今回公表いたしました概要案を基に、来年1月から市民の皆さまとさまざまな機会を通じて対話を重ねて、次の招致のステップに進むための検討を進めてまいりたいと考えております。

 有識者を招いたシンポジウムの開催のほか、子ども向け、そして幅広い市民の皆さま向けのワークショップや、地域に出向いての出前講座、1972年の札幌大会の50周年記念事業や2022年の北京大会(北京2022冬季オリンピック・パラリンピック冬季競技大会)と連動した取り組みなど、さまざまな機会を通じてオリンピック・パラリンピックに対する札幌市の考えをお伝えするとともに、皆さまの抱く想い、意見をお伺いし、今後の計画検討に取り入れてまいりたいと考えております。

 そして、(2021)年度内には市民・道民の皆さまを対象とした意向調査を実施し、多くの方の声をお聞きしていくことも考えております。調査方法などにつきましては、詳細が決まり次第、あらためてお知らせをさせていただきます。

 最後になりますけれども、札幌らしい持続可能なオリンピック・パラリンピックを開催して、札幌が未来に向けて輝き続けると同時に、世界に貢献する大会にしてまいりたいと考えております。

 そのためにも、札幌市は、これまで大会招致に向けて、大会の計画については、市民の皆さま、そして、IOCとの対話を経て、随時、更新してきたところであります。

 このコロナ禍や東京2020大会の影響を踏まえた計画の見直しを行いまして、その要点をまとめて、本日(11月29日)、大会概要案として公表させていただく運びとなったわけであります。

 多くの市民の皆さまにさまざまな機会を通じて、オリンピック・パラリンピック招致の想いをお伝えして、皆さまとの対話を続けてまいりたいと考えております。

 オリンピック・パラリンピックは、10年後、さらに将来の札幌、そして北海道が、市民に愛され、道民に愛され、誰もが暮らしやすく、多くの人を魅了し、輝き続けるための持続可能なまちづくりに関するプロジェクトと考えております。

 1人でも多くの方にこのプロジェクトに共感いただけるよう尽力してまいりたい、このように考えております。

質疑応答

 新型コロナウイルス感染症への対応について

読売新聞

 「さっぽろPASS-CODE事業」についてですが、(2021年)9月30日の定例記者会見で、秋元市長が、政府が年内に(ワクチン接種履歴を)スマートフォンを使用して電子証明化するということを踏まえて、全国的な動きに準じて準備していきたいというようなお話をされていたと思います。

その方針を転換し、札幌独自で接種証明のアプリ導入を決定した経緯や理由について伺いたいと思います

市長

 国のほうで検討している、ワクチンパスポートのデジタル化の詳細について、状況を見てきたわけでありますけれども、なかなか全体像が示されず、この年末に向けてのスケジュール感も示されてこない状況でありました。

 そのような中で、これからの年末年始に向けて、いろいろなサービスを展開したいというような事業者の方の声もいただく一方で、接種記録を紙ベースで常に持ち歩くというのはなかなか難しいということもあり、いわゆる接種記録のデジタル化ということで、今回、このPASS-CODEというアプリケーションを(凸版印刷株式会社から)提供いただくことになりました。そして、そのアプリケーションを活用し、手軽に接種記録を提示して、店舗等を利用できるという仕組みを試行していきたいと考えたわけです。

 国が行う正式なワクチンパスポートのデジタル化は、厳格な個人認証をマイナンバーカードを使用して行うものであり、まさに証明として使われるというものであります。

 今の札幌市が想定しているのは、そういった渡航証明としても使えるものではなく、接種記録を電子化し、気軽に持ち歩く仕組みを提供していきたいということであります。

 冬季オリンピック・パラリンピック招致に係る大会概要(案)の公表、市民対話の実施および意向調査について(1)

読売新聞

 今回、開催経費を最大900億円削減ということが発表されました。この削減の目的について、あらためて伺いたいということと、更新する施設の維持管理費について、今後の見通しなどはありますでしょうか。

市長

 まず、経費の削減に向けては、日常的に使われている施設、今後も使っていく施設について、基本的に既存施設を最大限活用していくということで、経費を削減したところであります。

 現状使っている施設を一部改修するものもあり、老朽化している月寒体育館については、後継施設として、新しい体育館に建て替えるということになりますけれども、維持経費などについては、今ある施設が、今後も使われていくということでありますので、新しい施設ができるという状況ではなく、その維持経費なども想定しながら、施設建設に係る費用を最大限に抑えたということであります。

 その他の大会運営経費などについては、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、開会式や閉会式が簡素化され、招待する方の人数を絞ったりすることで、そういった方々の宿泊費・交通費などを削減し、全体の経費を削減できたことから、東京2020大会のいろいろな取り組みを参考にしながら、大会経費の見直しをさせていただいたという状況です。

 冬季オリンピック・パラリンピック招致に係る大会概要(案)の公表、市民対話の実施および意向調査について(2)

日本経済新聞

 (2030年の冬季オリンピック・パラリンピック招致に関する)他都市の動向について、何か直近で聞いていらっしゃることがあれば、教えていただきたいのが一つと、確認ですけれども、市民への意向調査の結果次第では、他のことも考慮した上で、招致を撤回するというようなことがあり得るのかについてお願いします。

市長

 海外メディアなどの報道ベースでありますけれども、アメリカのソルトレークシティー、スペインのバルセロナ、それから、ウクライナ、カナダのバンクーバーなどが招致への関心を持っていると聞いており、いずれも、今の札幌と同じ状況で、IOCとの継続的な対話の段階にいるというふうに思っております。

 IOCなどからは他都市の詳細な情報は得られておりませんので、現時点では報道などで知る範囲という状況であります。

 意向調査の関係でありますが、札幌市民、そして全道域の道民に対して、今回の概要案をお示ししていく中で、大会そのものに賛成であるのかということをお聞きしてまいりたいと思っております。

 この意向調査でのいわゆる支持率は、IOCが最終的に候補地を決めるときに、かなりのウエートを占めてまいりますので、こういった数字がどのくらいになるのかということは非常に重要だと思っております。

 このほか、先ほど申しましたように、ワークショップでありますとか、さまざまな場面で市民のご意見を伺ってまいりますし、当然のことながら、市議会での議論というものもございます。そして、今回は、札幌以外でもニセコエリア、あるいは帯広、そして長野も会場として使用してまいります。

 とりわけ、道内の他の自治体にとっては、その地域、そして北海道全体の将来的な活性化にもつながってまいりますので、他の自治体の意向なども踏まえて、最終的に判断していきたいと思っております。

日本経済新聞

 撤回する場合もあるということですか。

市長

 総合的に最終判断をさせていただくということです。

 冬季オリンピック・パラリンピック招致に係る大会概要(案)の公表、市民対話の実施および意向調査について(3)

HTB

 市長は、市民の理解を得ることが重要だとおっしゃっていますけれども、市民の理解を得るための最も大きな課題としては、どのようなことが挙げられますでしょうか。

市長

 これまでの市民の皆さまとのいろいろな対話の中で出てきているものとして、オリンピック・パラリンピックに対する期待はもちろんでありますけれども、費用負担を含めた将来への負担が過重にならないだろうかというようなことですとか、オリンピックのための施設を建設した後、維持に困るというようなことがないだろうかといった不安の声が数多くありました。

 そういう意味では、今回の概要案では、施設・会場については、今まで使われている施設の活用、将来も使用していくための施設ということに限定することで経費を抑えています。ですから、将来負担については、漠然とした不安というものはかなり払拭(ふっしょく)できるのではないかと思っております。

 その他に、やはり、オリンピック・パラリンピックを開催するに当たり、まちづくりとどういう形で連動させていくのかという声もありましたので、先ほど4つの観点でお示しをさせていただいたところであります。

 このオリンピック・パラリンピックの開催を通じて、大きなプロジェクトとしてまちづくりを進めていくということについてご説明していきたいと思っており、その中で、市民の共感を得られるよう尽力していきたいと思っています。

HTB

 既存の施設を使うということは理解できているのですが、例えば、東京2020大会ではIOCだったり、関係する機関からのリクエストに応えることで、かなり経費が上がっていったということを伺ってますけれども、そういった不安はないのでしょうか。

市長

 概要案については、これまでの間、IOCとも協議を行い、いろいろな対話の中で進めてきたものでありますので、既存施設を使うということについて、IOCの考え方と大きな差はないと思っています。

 いろいろな競技団体からはさまざまな要望などが出てくるというふうにも伺っております。ただ、この経費の問題については、外からの要望だけでそのまま受け入れるということではなく、大会にどうしても必要なものであるのかどうかといったことについてしっかりと考えた上で交渉していかなければいけないと考えています。

HTB

 市民からは、経費が不安だという声がありますけれども、今後どのように市民に理解を求めていこうとお考えでしょうか。

市長

 先ほど言いましたように、まずは、考え方をしっかりお伝えすることが重要だと思います。多くの市民の方は、何か新しい施設がたくさんできるのではないか、建て替えるのではないかと思っていらっしゃいます。

 例えば、当初の計画では、真駒内の屋内競技場(北海道立真駒内公園屋内競技場)も建て替えるということで想定しておりましたが、それについては、北海道との協議の中で、一部改修という形で、既存の建物の建て替えなどをしないということで整理をしておりますので、まずは、そういった事実をしっかりお伝えしていくことが必要だと思っています。

HTB

 そうしますと、今回の経費圧縮については、IOCですとか、IF(国際競技連盟)ともいろいろな話をされた上でということで、かなり現実的なものと考えてよろしいのでしょうか。

市長

 先ほどもご説明させていただいたとおり、IOCとは協議をしております。IFとの協議は、実際にオリンピック・パラリンピック大会の開催が決まってから具体的に出てくると思いますけれども、やはり、いろいろな関係者の言うとおりにするのではなく、地元としての考え方をしっかりと持って進めていかなければならないと思っています。

HTB

 東京2020大会については、経費の精算の途中でありますけれども、今回の経費圧縮に関し、例えば、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会から参考にしたものはありますでしょうか。

市長

 事務的には、組織委員会の関係者からいろいろな話を伺っています。例えば、電力ですとか通信の二重化といったようなことについても情報をいただいて、かなり具体的な形で積み上げた数字になります。また、大会に必要なシステムなどについても、東京はゼロから作っているという状況でありますけれども、今回は、いろいろな大会で使った既存のシステムを改修することで対応が可能となります。そういったことから、今回の概要案は、東京2020大会での結果を反映していると考えていただいて結構だと思います。

 一方で、夏と冬の大会では、競技の数や参加者数など、規模が圧倒的に違います。東京2020大会の費用と、札幌での冬季のオリンピック・パラリンピック開催の費用をイコールに考えておられる方も結構いらっしゃるのですけれども、規模が全然異なり、経費としても冬季大会は夏季大会の3分の1以下になるというようなことも含めて、事実をしっかりお伝えしていくことが重要だろうと思っています。

 また、例えば、東京2020大会は、無観客になりましたので、チケット収入はゼロということになっています。ただ、無観客になったことで、警備の経費でありますとか、暑さ対策の経費など、当初想定していた経費がかからなかったというものもあります。今後、東京2020大会の収支も明らかになってくると思いますが、大きな赤字になるというようなことでもないのではないかと考えております。

 冬季オリンピック・パラリンピック招致に係る大会概要(案)の公表、市民対話の実施および意向調査について(4)

TVh

 きょう(11月29日)公表されました概要案において、前回大会(札幌オリンピック)のレガシーということで、いろいろお書きになっていらっしゃいますけれども、前回大会では、滑降競技に使われた恵庭岳の樹木伐採による自然破壊という負のレガシーもあったかと思います。今回、2度目の招致をされるに当たって、環境にどう配慮されていくのかということをお聞きします。

 また、他にも(2030年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致に)手を挙げそうな都市がいろいろ出てくると思うのですけれども、札幌の最大の強みが何なのかということについて、市長はどう考えているかお聞かせいただければと思います。

市長

 1972年の札幌オリンピックの時は、恵庭岳に滑降コースを作らざるを得なかったという状況がございました。今回は基本的に、森林を伐採するなど、環境を維持できない形で競技場を造るということはしないという考え方の下、概要案を作成しました。地球環境に対しての負荷を最小限にしており、あのときのような大規模な開発は考えておりません。

 札幌の強みということでありますけれども、他の都市との関係でいいますと、例えば、交通インフラ・空港からのアクセス・ホテルの数が充実しているほか、競技場も既存の施設で対応ができるということ、そして、さまざまな国際大会の実績もあります。

 また、市民のおもてなしも含めてでありますけれども、今回の東京2020大会を見ても、日本の大会開催運営能力は非常に高く、国際的に誇れるものだとに思っており、札幌でもマラソン・競歩競技が開催され、この運営をしっかりやってきました。

 ハード面・ソフト面、そして既存のレガシーを使った状況の中で大会を開催できるというところが一番の大きなポイントだと思います。

 そして、例えば、これだけの大きな街の中心地から、大倉山のジャンプ競技場へは車で20分ほどの距離であり、そういった状況の中で天然雪で競技ができることが何よりも大きな強みであります。

 札幌・北海道の強みである、天然雪での大会開催を継続させるためには、やはり、地球規模での環境保全が重要であります。ですから、ゼロカーボンへの取り組みなどについても世界にアピールできる大会にしていけるのではないかと思っています。

 このように、大会の運営そのものはもちろんでありますけれども、先ほど来申し上げているように、環境への取り組みも、世界にアピールしていくための重要な要素になるのではないかと思っています。

  冬季オリンピック・パラリンピック招致に係る大会概要(案)の公表、市民対話の実施および意向調査について(5)

読売新聞

 東京2020大会が終わった後に、市長は2年前の試算以上に簡素化を進めていくとのお話をされていたと思います。運営費ですとか人員の配置に関しては、おそらく、東京2020大会を参考にかなり削減ができたと思うのですが、競技場についてみたときに、2年前に構想として出てきた話が中心で、そこからさらに簡素化をしているという印象はあまり見えないのではないかなという点と、一応、新設会場はゼロということなのですけれども、月寒体育館については、老朽化に伴って、別の場所に新しい物を建てるということで、考え方によっては、事実上の新設会場のようなものなのではないかなと思うのですが、その点についてどうお考えでしょうか。

市長

 先ほど言いましたように、いろいろな議論はありましたけれども、例えば、ボブスレー・リュージュは手稲山で行い、屋内競技場については、建て替えをして使うというのが2年前までの計画だったと思います。それに対し、今回は、そり競技については長野の施設を使用するということで、明らかに違いがあります。

 そして、北海道立真駒内公園屋内競技場についても、建て替えをしないということであり、議論はありましたけれども、前回の計画から明らかに変更したというところがあると思っています。

 それから、月寒体育館については、老朽化してますので、今、建て替えをするという計画で進めています。オリンピック・パラリンピックの開催に関わらず、月寒体育館については建て替えをするということであります。

 大会の期間中は、例えば、新しい月寒体育館と今の月寒体育館の2カ所を使いますが、その後については、2カ所とも残すということにはなっておりませんので、新設という考え方にはなりません。ただ、その辺をはっきりするために、今回の概要案の中でも、建て替えをする施設については、今回の計画の中に明確に盛り込んでお示しをしています。

 見かけ上で新設を減らし、表面的に繕っているのではなく、既存の施設を使うというものではなくて、建て替えをするということをしっかりとお示しをしています。

読売新聞

 市長は、先ほど、1972年の札幌オリンピックのレガシーを使っていくというお話をされましたが、前回の計画までは、計画の中に、宮の森ジャンプ競技場が入っていたと思いますが、今回の計画では、大倉山ジャンプ競技場のデュアル化という形になっています。例えば、場合によっては、維持費なども増えてくるため、オリンピック・パラリンピックが招致できた場合には、宮の森ジャンプ競技場を廃止するということもあり得るのでしょうか。

市長

 今、ジャンプ競技場が大倉山と宮の森の2カ所にありますが、そうなると、例えば、ジャンプ台以外の施設なども2カ所必要な状況となり、運営体制も別々に必要になります。

 これを一本化したほうが、整備などの面においても有効活用していけることになり、経費の節約についても、デュアル化したほうがメリットがあるということで、今回その判断をしています。ですから、大倉山の横に宮の森ジャンプ競技場を移設するという状況と考えていただければと思います。

読売新聞

 東京2020大会の場合は、新型コロナウイルス感染症の影響で中止にするという話も一部であったというふうに聞いています。まさに歴史をさかのぼると、1940年には、札幌オリンピックが日中戦争の影響で中止になってしまったということもあります。

 今、東アジア情勢が昔に比べて不安定な状態にある中で、札幌でのオリンピック・パラリンピック開催が決定し、準備が進んだ段階で、オリンピックが開催できない状況になるという可能性もゼロではないと思うのですけれども、そういった大きなリスクに対して、どう準備していくお考えですか。

市長

 今、想像はつきませんけれども、例えば、同じような感染症が出てきて、無観客でやらざるを得ず、チケット収入が入ってこないということも想定し、今回、大会運営費の中に予備費というものを計上しました。本来的には、積み上げはもっと削減された数字ですけれども、約10%ほどの予備費を新たに200億円積んだという状況になっており、これは仮に、チケット収入がない場合でも対応できる規模だと考えています。このほかに、いろいろなリスクに対しての保険などについても、今後、IOCなどとも協議していく必要があると思ってます。

 今回は、例えば、感染症が拡大した場合や、何かの理由で無観客になった場合などでも対応できるというところまでは想定しましたが、それ以上、何かが起きるということは、現時点では想定しかねる状況です。

 さっぽろ雪まつりの開催について

STV

 さっぽろ雪まつり(第72回さっぽろ雪まつり)の開催が決定したことへの受け止めと、2年前の雪まつりの後に、札幌では新型コロナウイルス感染症が流行した印象がありますが、世界各国でオミクロン株の感染も確認されている中で、雪まつりでの感染対策はどのように考えていますか。

市長

 今、オミクロン株が世界のあちこちで確認されているという状況がありますけれども、まずは、やはり、国内に一度入ってしまいますと、なかなか国内で(感染拡大を)止めるということは難しくなるので、国外から国内に持ち込まれることを水際でしっかり抑えていただきたいと思います。

 今、雪まつりは開催する前提でございますけれども、仮に新種の変異株によって感染が拡大し、感染状況が悪化していけば、中止ということも考えざるを得ないと思っています。

 現在、市内の新規感染者数はゼロではありませんが、(感染は)収まってきており、ワクチン接種や、抗体治療薬なども出てきており、状況は変化しておりますので、感染拡大を防止しながら、社会経済活動をできるだけ通常に戻すことを目指しています。

 どうしても北海道では、冬の観光客数が落ちてまいります。札幌の雪まつりが中止になると、他の地域で行っている冬まつりにも大きな影響がありますので、感染対策を考慮し、規模は少し小さめですが、開催していくことに決めています。

 感染対策にしっかりと取り組みながら、国内外でも有名なこの冬の一大イベントである雪まつりを実施するということは重要なことだと思っております。

STV

 道外からの観光客もある程度来ることが予想されると思うのですが、雪まつりを開催する上で、市長が一番必要だと考える感染対策は具体的にどういったところになりますか。

市長

 新たな変異株が入り込んでくれば、別な状況になりますけれども、今、国内(の感染状況)は収まっていますので、現状の中では、国内の移動については一定程度の感染対策をしていけば、開催できるのではないかと思っています。

 屋外でありますが、密にならないように、見る人が滞留しないような回遊型で鑑賞する方策を取るほか、今回は、飲食や物販もやりません。また、検査をしっかり行いながら、従事者から感染者が出ないようにしていくことが重要だと思っています。

 冬季オリンピック・パラリンピック招致に係る大会概要(案)の公表、市民対話の実施および意向調査について(6)

NHK

 経費について、先ほど言いなりになることは避けていかなければならないという趣旨の発言があったかと思いますが、(IOCなどとの)対話の上で、必要なものであれば、経費が(今回の概要案よりも)膨らむ可能性も考えていらっしゃるということでしょうか。

市長

 できるだけ、今、想定できるものは見込んでいるという状況です。

NHK

 基本的には上がることはないというふうに考えていますか。

市長

 上がることを避けていかなければいけないと思っております。

NHK

 さまざまな課題解決という背景も含めて、先ほど説明があったかと思いますが、オリンピック・パラリンピックで課題の解決を進めたいということに対する意義・メリット・懸けている思いをあらためてお聞きできますでしょうか。

市長

 一つは、民間の投資を進めていくきっかけになるというふうに思っております。例えば、バリアフリー化や環境問題については企業も取り組んでおりますが、一定のコストがかかりますので、改修に当たっては、単に思いだけでは進まないところがあります。

 オリンピック・パラリンピック競技大会を開催するということになると、ホテルなども改修や建て替え、新築すると思います。それはオリンピック・パラリンピックの開催だけではなくて、今後、北海道の経済の持続可能な仕組みとして、冬の集客にこの雪を十分に活用することで、スノーリゾートシティとして確立することへとつながっていくと思っています。

 ホテルの建て替えなどが今進んでおりますが、仮にパラリンピックをやるという状況になれば、それに対応した部屋数も必要になっています。あまり報道されていませんけれども、東京2020大会によって交通機関のバリアフリー化は相当進むと同時に、ホテルなどのバリアフリー化も進みました。

 今、建て替えの時期でありますので、共生社会の実現に向けた取り組みや、ゼロカーボンに向けて、省エネルギーな建物への建て替え協力をいただいていくためにも、一つの目標として、単なるスポーツイベントではなくて、世界にアピールできる最大のスポーツイベントを活用することで、民間投資を誘発するきっかけにしていきたいと考えています。

 今進めている取り組みというものは、例えば、20年、30年かければ進んでいくと思いますが、低炭素化も含め、自動車の無公害化をスピードアップさせていくための一つのきっかけとして、(オリンピック・パラリンピックの開催は)世界から注目されますので、そういった新しい技術などを札幌で使っていただくことも提案していきたいと考えています。

 オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、環境問題や共生社会の実現、あるいは健康をキーワードにしたさまざまなプロジェクトを民間企業と一緒に立ち上げていくための共通目標として、オリンピック・パラリンピックを実施してまいりたいと思っております。

 冬季オリンピック・パラリンピック招致に係る大会概要(案)の公表、市民対話の実施および意向調査について(7)

共同通信

 市民の理解という部分に関して、東京2020大会の前後で、市民の受け止め方に何か変化を感じる部分がありますでしょうか。

市長

 具体的な数字に向けた調査はしておりませんので、今の時点で明確に把握できているものはありません。感覚的なものということだけですけれども、(東京2020大会の)開催前は、やはり新型コロナウイルス感染症との関係がずいぶんありましたし、それから、さかのぼっていけば、東京2020大会の開催に向けて、国立競技場の建設からいろいろな課題があって、少しオリンピック・パラリンピックの開催に対するネガティブな意見が多かったという感じはしています。

 しかしながら、東京2020大会が行われた結果、とりわけ、パラリンピックにおけるアスリートの皆さんの活躍は、非常に大きな感動を与え、そして、コロナ禍で少し暗いイメージがあった中で、明るい話題を提供してくれた、元気をもらったということにもつながったのではないかと思います。

 そういう意味では、少しネガティブな状況から、ポジティブな意見も多くなってきているのではないかと感じておりますが、具体的な数字として把握しているものではありません。

共同通信

 開催の決定時期について、少し気が早い部分はあるかもしれないのですが、招致熱の冷え込みですとか、招致プロセスの変化を背景に、IOCはなるべく早めに開催都市を決めようとしているような傾向が近年あるかと思います。札幌市としては、なるべく早く決まったほうがいいとお考えなのか、その辺りはこだわっていらっしゃらないのか、もしお考えがあれば教えてください。

市長

 最終的に開催地を決める権限は、ご案内の通りIOCにあります。今、IOCの招致の決定プロセスは明らかにされておりませんので、私どもとしては、今できる最大のことをやっていくという状況だと思います。

 その中で、今は(IOCと関心を持っている候補地との)継続的な対話という状況にありますけれども、2030年を明確なターゲットとして進めていくためには、市民の理解・支持が非常に重要になってまいりますし、当然のことながら、最終的にはスポンサーとなる企業ですとか、国の支援・支持も重要になってまいります。当然、札幌市だけが開催したいということではなくて、いろいろな環境がどういう状況にあるのかということを見ていかなければなりせん。少なくともそういうプロセスを丁寧に進めた上で、市民理解を得て次のステップに進んでいかなければいけないと思っておりますので、そこはIOCにおいてもご理解いただいているのではないかと思っています。

 いずれにしても、決定プロセスというのは私どもが決める形ではありませんので、状況にしっかり合わせていくということになりますけれども、まずは市民との対話というプロセスを経て、そして議会なり、他の自治体や関係者との対話を経た上で、次のステップに行くということは、私どもにとってもマストな条件だと思っております。

 冬季オリンピック・パラリンピック招致に係る大会概要(案)の公表、市民対話の実施および意向調査について(8)

北海道新聞

 IOCも市長も、意向調査を経て、住民の支持率を重視するということですけれども、目標値といいますか、例えば、少なくとも6割の賛成が欲しいですとか、過半数は最低限ですとか、その辺りの数値的な目標についてはいかがでしょうか。

市長

 これはもうできるだけ多くの方にご理解いただくということでありますので、まずは今、概要案というものを策定して、経費の見直しですとか、いろいろなまちづくりとの関係を盛り込んだ案を作りましたので、まずはこれについてしっかりとご説明をしていきます。その上で、例えば、さらなる不安や懸念が出てきた際には、しっかり受け止めて、それが解決していけるものなのかどうかということを市民との対話の中でしっかり議論していきたいと思っています。

 北海道新幹線の札幌延伸について

北海道新聞

 現状では2030年度末に開業ということになっていると思いますけれども、経済界を中心に、オリンピック・パラリンピックの開催前への前倒しを期待する声があると思います。市長は、この開業時期について、どのような期待を持たれているのかということと、現時点でその実現性の見通しについてはどのようにお考えでしょうか。

市長

 札幌市としては、沿線の自治体、あるいは北海道などと共に、まずは遅れることのないように、確実に2030年度末に開業することを要望しております。北海道新幹線は、札幌まで延伸となって初めて効果が出ますので、1日も早い延伸を要望しています。

 一方で、トンネル工事などを行っている鉄道・運輸機構(独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)の状況としては、今の2030年度末というスケジュールはクリアできるけれども、前倒しについては、どこまで可能なのかということについて、非常に難しいという話もしているようであります。

 そういう状況からすると、今は、まずは1日も早くということでありますけれども、(前倒しの開業が)実現可能なのかどうかについては、今後の工事の進捗(しんちょく)状況次第ということでもありますし、当然のことながら、毎年の予算がどういう状況になっていくのか、あるいは、物理的なものも含め、いろいろな要素がどうなっていくのかというところがありますので、今のところ完全に、2030年の開催に間に合う状態になるだろうという見込みを持てる状況にはないと思っています。

北海道新聞

 仮に前倒しをする場合、例えば、トンネル掘削を両方向から行うですとか、そういうことをする場合には、かなり追加の費用負担がかかるというふうに伺っております。そういった場合に、オリンピックに間に合わせるために、市として何か新たな費用を負担してでも間に合わせたいという思いはありますでしょうか。

市長

 仮に大会の開催が決まって、それに間に合わせることができれば、ベストだと思います。ただ、オリンピック開催と新幹線の開業は、必ずしもリンクしなければならないわけではなく、そこにこだわるものではないと思っています。一部の方からは(新幹線の札幌延伸が)完成した後の、2034年の招致を目指せばいいのではないかとおっしゃる方もいらっしゃいますけれども、そこまで新幹線の開業にこだわるというものではないと思っています。

 今、倶知安までの高速道路の延伸も計画されておりますので、仮に高速道路がつながっていけば、輸送の問題はクリアされますので、必ずしも固執しているわけではなく、早く開業できればそれに越したことはないと思っています。

 冬季オリンピック・パラリンピック招致に係る大会概要(案)の公表、市民対話の実施および意向調査について(9)

北海道新聞

 仮に開催都市に決まった場合に、開催都市の希望で新しい競技を行うことができるというふうになっているかと思いますが、現時点でイメージされているようなものがあればお聞かせください。

市長

 当然、競技数が増えれば、会場が必要になったり、コスト面もかかってまいります。費用が増幅するようなことであれば、新たな提案をできるものではないと思いますし、仮に何らかの形で、今想定しているような経費の中で収まる取り組みが可能であれば、それは提案するということで、そこはトレードオフの関係になると思います。

 冬季オリンピック・パラリンピック招致に係る大会概要(案)の公表、市民対話の実施および意向調査について(10)

毎日新聞

 (2022年)1月・2月にも市民との対話事業をやられるということなのですが、資料を見ると、(参加する市民は)だいたい多くて700人にいかないぐらいなのかなと思います。先ほど申し上げたように、五輪への不信感といいますか、ネガティブな感情が一部の人にある中で、東京2020大会の決算もまだ出てなくて、(オリンピック・パラリンピックの開催是非の)判断ができないという人もいると思うのですが、この短い時間で市民対話をやって、今年度中に意向調査を行うというのは、市民のリーチとしては十分だと市長としてお考えなのかということと、市民との対話事業は招致の関係で早くやらなければならないスケジュールなのかということをお聞かせください。

市長

 先ほど申しましたように、市民との対話事業というのは、ワークショップやシンポジウムの会場だけではなくて、出前講座なども含めて、いろいろな地域の方々といろいろな場面でお話をしていくものであり、その中で、子どもたちの意見を十分に聞いていかなければいけないと思っています。

 前回(2019年)のときにも、子どもたちのワークショップを行いました。そのときに、子どもたちからオリンピック・パラリンピックに出てみたいという意見はもちろんあり、選手として出たいという子どもたちもいましたけれども、外国語を勉強して海外の人をおもてなしできるようになりたいという子どもさんもいました。そのほか、報道機関に勤めて、札幌・北海道の良さを発信したいとおっしゃった子どもたちもいます。子どもたちは単純に選手になるということだけではなくて、いろいろな可能性、夢を期待することもあるのだろうと思います。

 また、インターネットなどでも、いろいろな年代の人たちの意見を十分聞いていけると思っています。ですから、最終的なアンケートも、前回は1万人でしたけども、それを超える規模で行いたいと思っておりますし、当然のことながら意向調査をするときには、大会の概要ですとか、今皆さん方から出ているような疑問にしっかりとQ&Aでお示しをして、理解いただいた上で、何らかの意向を示していただく必要があると思います。ワークショップなどは、当然限られた回数・人数での開催になると思いますが、インターネットでのアンケートなども含めて、できるだけ多くの方の意向を確認していきたいと思っています。

 そういう意味では、1年やればいいというようなことではなくて、ある程度集中的に、できるだけ多くの方に意向を示していただけるような場をつくる努力をしていきたいと思っています。

 冬季オリンピック・パラリンピック招致に係る大会概要(案)の公表、市民対話の実施および意向調査について(11)

道新スポーツ

 100年後の札幌のまちづくりですとか、既存の施設を使うということですが、札幌市としては、もし30年(の招致)が実現しなかったとしても、34年、38年と招致を続けていくお考えなのでしょうか。

市長

 現時点でそこまでのことは考えておりません。50年先、100年先を見据えたまちづくりの方向性をつくっていく必要がありますが、そのためには、この10年ぐらいの期間の取り組みが重要だと考えています。これまでは人口規模が増えてきたことで、経済活動が回ったり、街が大きくなったりしていましたが、サステナブルなという意味では、これからの札幌はそのような状況ではありません。むしろ人口減少・高齢化が進んでいく状況になりますので、そのような状況になっても、住んでいる人たちが、経済的にもある程度安定した生活ができるようにしていく必要があります。

 そして、やはり環境面ですとか、健康面がより重要視されてくる時代に入ってきたときのまちづくりとして、オリンピックは、例えば、健康という意味では、単にスポーツをするだけではなく、アスリートの皆さんが行われている、けがをできるだけしない、病気をしないという予防医学的なトレーニングなどの知見・ノウハウを、一般の市民の人も活用できるようなプロジェクトを組み立てていくことで、単にスポーツの場を提供するだけではなく、健康寿命につながっていくような取り組みとなります。そのような取り組みを、経済面や環境面、あるいは多様性など、まちづくりの方向性と連動させていきたいと思っておりますので、2030年(の冬季オリンピック・パラリンピック招致)を、この10年間のターゲットにしたいと考えています。

 冬季オリンピック・パラリンピック招致に係る大会概要(案)の公表、市民対話の実施および意向調査について(12)

朝日新聞

 今回の大会概要案で、新設の競技会場がゼロとありますが、月寒体育館を新月寒体育館に建て替えるということは、要は新設ではないかと思ってしまうのですが、建て替えと新設がどう違うのか、もう一度説明していただけないでしょうか。

市長

 0から1になる(既存施設の無いところに新しく建設する)のが新設だと思っています。

 月寒体育館については、1から1に変わる(もともとある施設が建て替わる)わけであり、建て替えるということも、明確にこの計画の中で入れています。それ以外は部分的な改修ですので、1から1にもならず、そこが違いであると私どもは考えています。

朝日新聞

 大会が招致できた場合には、旧月寒体育館と新月寒体育館は併用して使うのでしょうか。

市長

 大会期間中は、例えば、アイスホッケーなどの競技は2会場必要なので、新月寒体育館と真駒内の競技場が会場となります。今ある月寒体育館は、壊す前に、カーリングの競技場として大会期間中は使う考えです。

朝日新聞

 有効活用し、大会後に旧月寒体育館は廃止するという方法ですか。

市長

 はい。

朝日新聞

 前回(2019年)、北海きたえーる(北海道立総合体育センター)をカーリング競技場に改良にするという案があったと思うのですが、今回の大会概要案から消えたのは、経費削減という観点からでしょうか。

市長

 経費削減といいますか、月寒体育館は老朽化していますので、建て替えをしなければならないという状況ですが、現在地で建て替えるのではなく、一時的に両方使える期間をつくるということです。そして、つどーむは収容人数が結構ありますので、ここにフィギュアスケートの会場として、仮設の施設を造るということで、(今回の大会概要案は、)このようにいろいろなものを見直し、最終的にお示ししたものです。

朝日新聞

 最大限に経費削減ができるのはこの案だったということでしょうか。

市長

 オリンピック・パラリンピック開催後も使っていくことも考えつつ、経費を最大限縮減していく方策として、現行で考えられる最大値としてお示しをしたという状況です。

朝日新聞

 10年先、人口減少や少子高齢化がさらに進んでいく中で、スポーツ施設にここまでして経費をかけて建て替える必要性はあるのか、もっと優先してやるべきことはないのかという疑問があるのですが。

市長

 体育館のことで申し上げれば、現状も相当の経費が使われています。札幌には約200万人の人口がおりまして、この人口が若干減っていくとしても、180万人などの数字になります。そういった人口規模の中で、この体育施設ですとか、いろいろな施設が、人口比から過剰かと言われると、逆に私は少ないぐらいだと思っています。

 例えば、人口が2万人から5万人の街でも体育館は1つか2つは必ずあります。(札幌市には)体育館が10区にそれぞれございますけれども、これは市民が普段使う施設であって、プロスポーツなどの大きな競技ができる会場というのは、今の札幌では、北海きたえーるや、北ガスアリーナ札幌46などです。

 例えば、冬にフィギュアスケートの大会などを開催するということになると、今は真駒内の屋内施設で行っていますけれども、ここは改修するだけで、建て替えの計画がありません。そうすると、ここがいずれ使えなくなると、将来、フィギュアスケートの国際大会などが実現できる会場がなくなることになりますので、このようなことを考えると、決してこの体育館の建て替えは、札幌にとって過剰だとは考えておりません。当然のことながら、(建て替えに)かかる経費というのは、将来的な返済と市債の発行により賄うこととなりますが、それが過剰な負担にならないよう計画的に行うという前提で、今後の市政運営や財政運営を考えた中でできる最大値として考えております。

朝日新聞

 スポンサー収入はどれくらい見通しがあって、トップスポンサー収入と国内スポンサー収入をどのくらい見立てたのでしょうか。

市長

 今、この(見立てた収入額について)幅を持たせています。今回の東京2020大会では、コマーシャルを含めて、本来であれば、スポンサー企業がオリンピックをサポートしていることを全面的に出していく形になりますが、(新型コロナウイルス感染症の影響で)無観客になったことで、そういうコマーシャルなども十分にできなかったため、マインド的に企業がどのようにオリンピックを評価しているのかが、若干不透明な部分があります。そういう意味では、少し抑え気味の数字ということで、幅を持たせた数字になっています。

 一方で、パラリンピックに対しては、非常に企業の関心も高まってきています。以前は、パラリンピック競技にお金が集まるということはほとんどありませんでしたが、今はむしろパラリンピック競技のほうが、企業の社会貢献・使命というものについて、非常に良い評価を受けるようになってきております。当然のことながら、いろいろな新技術を発表する場などにも関わってくるのかなと思っておりますが、そういう意味では、少ない金額になるかもしれないというような幅を持たせて、今回(収入額を)見立てています。

 

この内容については、重複した言葉遣いや、明らかな言い直しがあったものなどを整理した上で作成しています。(作成:札幌市広報課報道係)

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