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更新日:2011年10月26日

平成23年10月3日臨時市長記者会見記録

日時

2011年10月3日(月曜日)14時00分~

場所 記者会見室
記者数 24人

市長から下記の話題について発表しました。

引き続き、次の話題について質疑が行われました。

配布資料

発表内容

 「第3次札幌新まちづくり計画」と「札幌市行財政改革推進プラン」の素案策定について

第3次札幌新まちづくり計画(案)

<目指すべきまちの姿>

 札幌は、これはもう耳たこでありましょうけれども、超高齢社会、人口減少、そしてまた、依然として厳しい経済・雇用状況、東日本大震災、それに加えて原発事故という厳しい状況、新しい社会状況も発生をしておりまして、こういう中で展望を描き切るということは極めて難しい時代にあるということが言えます。それでも、この計画では、そのような時代に未来を切り開いていくために、まちづくりの基本理念といったものを「市民自治の推進」ということと「創造都市の推進」ということにさせていただきました。これらに、創造性豊かな市民、都市機能、豊かな自然といった札幌が持つ資源が融合することによって、新しい価値を創造し、「新たな産業」「新たな文化」「新たなコミュニティー」「新たなまちの魅力」といったものが生み出されるのだと、こういうふうに考えているわけであります。この計画の目指すべきまちの姿というのは、そのような創造性あふれるまちというふうに、一言で言えばできるかと思います。

<事業数と事業費>

 この計画の事業数は300事業で、事業費は4年間で5800億円ということにさせていただいております。「第2次札幌新まちづくり計画」の事業費は4516億円ということでありましたので、これに比較いたしますと1284億円ばかり大きい計画になっておりますけれども、これは、主に災害対策など市民の安全を守るために必要な事業を多く計画をさせていただいたということだとか、市有建築物の適切な長寿命化を図るというための事業を計画化したことによるものであります。

<5つの政策目標と主な計画事業>

 政策目標の1つ目でありますが、「子どもの笑顔があふれる街」ということであります。

 近年の保育所の利用希望者の急激な増加ということに対応いたしますために、保育所定員をこの4年間に4,000人分を拡大いたします。また、多様な保育ニーズに対応いたしまして、保育ママを40人まで拡大するほか、一定の質が確保された事業所内保育所、幼稚園預かり保育、認可外保育施設の支援なども行います。

 また、全ての小学校区にミニ児童会館等を整備するとともに、児童クラブの対象学年の、今は4年生まででありますが、6年生までの拡大や開設時間の延長を行ってまいります。

 さらに、全中学校区に常設の子育てサロンを設置するほか、学校に通うことが難しい子どもの多様な居場所というものを用意するために、教育支援センター2カ所の設置やフリースクールへの支援といったことにも意を用いていきたい、このように考えております。

 政策目標の2つ目は、「安心して暮らせるぬくもりの街」というものでございます。

 東日本大震災の痛ましい被害状況を踏まえまして、札幌市の防災体制のあり方を見直すとともに、地域の支え合いによる防災力を向上いたします。

 耐震化が必要でありますが当面改築の必要のない学校99校全ての耐震化を完了するとともに、改築が必要な学校につきましては12校の改築に着手をいたします。

 また、特別養護老人ホームの定員1,018人増のほか、救急医療の電話相談窓口といたしまして、「(仮称)救急安心センターさっぽろ」というものを開設したいと考えております。

 それから、障がいのある子どもから大人までの切れ目のない支援のために、「(仮称)札幌市障がい児・者医療・福祉複合施設」というものを整備いたします。

 さらに、若年求職者の雇用の安定のために、中小企業の採用意欲を高める助成金制度、これを創設するほか、全区で職業紹介を行うことができるように、各区の職業相談コーナー等をハローワークとの連携によります「あいワーク」に移行をいたします。

 政策目標の3つ目は、「活力みなぎる元気な街」というものであります。

 地域コミュニティーの核となります商店街の再生に向けまして、空き店舗対策や大学等との連携事業を行ってまいります。

 また、成長、発展が見込まれます技術革新分野の企業誘致を進めるほか、6次産業を活性化させるなど、札幌市経済の成長を牽引する産業を振興してまいります。

 さらに、市民の文化芸術活動や創造的活動の拠点となります「(仮称)市民交流複合施設」の整備に着手するほか、世界中から人が訪れるまちを目指して、国際芸術展の開催やMICE(マイス)誘致を推進してまいります。

 そのほか、路面電車のループ化、都心の再整備、苗穂駅周辺地区のまちづくりなどを推進するとともに、急増いたします放置自転車に対応するための駐輪場整備を行ってまいります。

 このような事業を推進して、創造性豊かな市民、都市機能、札幌の持つ資源と、人と企業の多面的な交流といったものが加わることによりまして、新しい価値を創造し、安心して活力あふれるまちを実現していく考えでございます。

 政策目標の4つ目は、「みんなで行動する環境の街」というものです。

 再生可能エネルギーへの転換を進めるため、学校105校に太陽光パネルを設置いたします。

 また、「エネルギーネットワーク基本計画」を策定するほか、寒冷地でありますので、「札幌版次世代住宅基準」の策定をいたしまして、補助制度などを創設してまいります。

 さらに、都心部において、街路樹を緑豊かな姿に保つとともに、コンテナガーデンを拡大するほか、新たな助成制度を創設いたします。

 加えて、円山動物園にアジアゾーン、アフリカゾーンを整備するほか、ゾウの導入に向けた調査を実施してまいります。

 政策目標の5つ目は、「市民が創る自治と文化の街」というものであります。

 地域コミュニティー活動の拠点でありますまちづくりセンター、地区会館の更新を行うとともに、地域ニーズや地域が抱える課題を踏まえた整備を支援し、50館を目標に整備を行います。

 また、まちづくりセンターがより市民に身近な存在となるように、住民票などの即日交付サービスを全てのまちづくりセンターで行えるように全市的に拡大をしてまいります。

 そして、公共空間でアイヌ文化の情報を発信するとともに、伝統工芸品展示販売スペースの設置なども行います。

 さらに、次世代型の博物館の検討や、さとらんどにおけます遺跡公園の整備を推進するほか、カーリングを体験できる環境を整備してまいります。

 困難な時代にありまして、札幌の未来を切り開いていくために、市民、企業、そして町内会、NPOをはじめとして様々な団体がこれまで培ってまいりました市民自治の取り組みを積み重ね、さらに確かなものにしていきたい、このように考えております。

札幌市行財政改革推進プラン(案)

<プランの目的と必要性>

 先ほど申し上げたことと同じ時代認識から、今後、札幌市は限られた経営資源を最大限に活用しまして、新たな課題に対応できる行財政運営を追求していかなければなりません。

 また、そのためには、市民、企業、各種団体、地域など多様な主体と行政の力をつなぎ合わせていくことも重要でございます。これらの実現に向けた取り組みの指針として、「札幌市行財政改革推進プラン」を策定したところでございます。

 これからの札幌市の姿と行財政改革の基本的な考え方ということでありますが、時代に対応し、そして市民自治をより確かなものにするための行政運営と持続可能な財政運営の確立ということを大きく2つの目標に掲げまして、改革に取り組んでまいりたいと考えているところであります。

<行政運営の改革>

 市民力を生かす市役所ということと、組織の改革、さらに仕事の改革、この3つの視点に基づいて取り組みを進めてまいります。

 具体的には、札幌市が積極的に市民や地域に関わり、市役所との結び付きを強めるための取り組みや、身近な地域におけるまちづくり活動を支援する取り組みなどを進めてまいります。

 また、新たな課題などに対応していくために、組織力の向上や仕事の進め方の見直しというものを図りつつ、時代に即した市民サービスの提供などに取り組んでまいります。

<財政運営の改革>

 基本的な考え方としては、まずは人件費の見直しや一般事務費の節減といった市役所内部における経費の縮減を徹底してまいります。

 また、土地や基金等の財産を有効に活用するとともに、収納率の向上などの歳入増の取り組みを強化することで、市民サービスへの影響をできる限り抑えるというふうに考えております。

 なお、その上で、この社会経済情勢の変化等を踏まえまして、必要なものについては、サービス水準や受益者負担のあり方なども含めて、あらためて検証したいと考えております。具体的には、市営住宅使用料、保育所保育料等の見直しや、敬老優待乗車証、市有施設の高齢者利用料のあり方検討などを盛り込ませていただいておりますが、検討に当たりましては、十分な情報提供と市民議論を尽くし、常に透明性を保ちながら進めていきたいと考えているところであります。

<財政効果>

 歳出構造の改革が177億円、財政基盤の強化で342億円、合わせて520億円の効果額を見込んでおります。このうち、市民の皆さんに影響のあるものは、一部、試算が困難なために算入していない事柄もありますが、54億円、1割ぐらいと考えております。

 

 このプランの推進に当たっても、市民の皆さんとともに考え、ともに悩みながら、これからの札幌を築いていきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 

 なお、第3次札幌新まちづくり計画と行財政改革推進プランは、「さっぽろ元気ビジョン第3ステージ」実現のためのプランでありますことから、これらの関係をお示しした資料をご用意いたしました。資料左側には両プランの位置付けと概略をお示しいたしております。また、資料中ほどから右側にかけては、時代認識とそれぞれの状況に対する取り組みの方向性、さらに、これらを踏まえて両プランの中で具体的に取り組んでいく主な内容を記載しております。細かな内容につきましては、ただいま両プランについてご説明いたしましたので割愛させていただきますが、この2つのプランを両輪として、元気ビジョンの実現を目指していくというふうにご理解をいただきたい、このように思います。

 なお、この2つのプランにつきましては、10月11日からパブリックコメント手続きを行いまして、意見募集をさせていただくことにしております。市民の皆さん方の多くのご意見をお待ちしておりますので、報道各機関の皆さま方にもご協力をいただければ大変ありがたい、このように思っておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 藻岩山観光施設のリニューアルオープンについて

 藻岩山の諸設備のリニューアルに当たりましては、10年以上もの間、議論をした上で着手をさせていただいたところでありますが、施設の再整備のために、昨年の4月から休止をしておりました藻岩山の観光施設がいよいよ12月23日にリニューアルオープンを迎えることになりました。

主な整備内容は、ロープウエー設備の改修と駅舎および展望台の改築、ミニケーブルカーの新設などで、整備に当たっては「環境保全」と「バリアフリー」ということを2つのテーマに掲げてやってきたものでございます。

 環境保全につきましては、天然記念物の原始林が残る貴重な自然に配慮し、影響を極力小さくするというようにいたしまして、設計段階、工事段階において、逐一チェックをしながら進めてきたところでございます。また、観光道路の終点を山頂から中腹へと変更いたしまして、山頂にあった駐車場を市民参加のもとに緑地として整備をさせていただいております。

 次に、バリアフリーについてでありますが、山麓駅舎前に車寄せを設けまして、全ての建物にエレベーターを設置いたしております。さらに、ロープウエーやミニケーブルカーの利用者がスムーズに乗り場への移動や、車両への乗り換えができるように、段差をなくしました。これで、お年寄りや障がいのある方々でも山麓から山頂まで気軽に乗っていただけるようになるという仕組みでございます。

 このようにして山頂展望台に行っていただきましたところ、札幌の歴史・文化などを3D映像で紹介する設備を持った山頂展望台に到着することができます。また、この展望台には、登山者のために24時間利用可能な休憩施設を設けるなどを考えております。

 さらに、中腹から山頂まで新たに自然学習歩道を設置いたします。急勾配だった登山道をジグザグの形状にすることができまして、歩きやすくすることが意を用いたところでございます。

 なお、藻岩山へは、市電の電停そばから山麓駅までバイオディーゼルの無料シャトルバスを運行することになっておりまして、環境にも配慮しながら利便性の向上を図っているところでございます。

 市民が自然に親しめる身近な場所として、また、気軽に訪れることができる観光スポットとして、より魅力的に生まれ変わる藻岩山のオープンを、楽しみにお待ちいただきたい、こんなことをお願い申し上げたいというふうに思います。

質疑応答

 「第3次札幌新まちづくり計画(案)」について(1)

北海道新聞

 新まちについてなのですけれども、今回の新まちは、市長も3期目で4年間やっていく事業内容ということで、市長にとっても集大成的な意味もあるのかなと思うのですが、1つは、市長選で訴えてこられた公約、これは全て盛り込めたのか、盛り込めなかったものがあるのかということを教えてください。

 それから、もう1つは、市長も冒頭でおっしゃったように、札幌市というのは、人口減少とか超高齢化社会とか、転換期にあるとは思うのですけれども、市民も、今後安心して生活していけるのかどうか、相当不安がたまっているかと思うのですけれども、この計画を実施することによって、つまり、そういう不安を払拭できる中身になったのか、出来ばえを市長ご自身で評価していただきたいと思います。

 この2点をお願いします。

市長

 選挙でこれから4年間やることを約束してまいりました。これは、マニフェストで、項目としては91項目掲げさせていただいておりますので、全て入っております。ただ、完全にやり切れるかどうかですね。着手はしますけれども、工事の完成というふうなことになると、ちょっとずれることはもちろんあるにしても、基本的なことは、全てのことを実施するということで計画の中に盛り込んでいるところでございます。

 もう1つ、重大な認識の問題として、超高齢社会でいろいろな不安を市民の皆さんが持っておられる。それをこの新まち計画を実施することによって払拭できるかどうか。これは、多分、そうならないだろうというふうに思います。いろいろなこれまでの行政サービスのありようといったものを洗い直していかなければなりませんし、あるいは、超高齢社会におけるさまざまな人間関係だとか地域づくりといったこともしっかりやっていかなければならない。そういう問題意識は、これは当然、そちらの方向に向けて、不安を解消しようということで、よりよいまちをつくっていくということで策定させていただいておりますので、方向性は間違ってはいないというふうには思いますけれども、これは、日々、多くの皆さま方の努力と、そして、こういうふうな同じ認識をみんなで持ってもらうという、そういう運動の中からしか達成できないことがたくさんあると、こんなふうに思いますので、計画の方向性としては正しい、しかし、量的な、あるいは質的に深めていく、それは市民とともにこれからやっていくということによってしか達成できないだろうと、こんな考え方でございます。

北海道新聞

 新まちの「目指すべきまちの姿」というところで、これはパブコメも募集されるので市民も見るところだと思うんですけれども、どういうまちを目指すのかと市民が見た場合、「新しい価値」とか「新たなコミュニティー」とか「新たな文化」とか、「新しい・新たな」という言葉が…。

市長

 3つ、4つありますね。

北海道新聞

 ええ。創造都市という言葉も含めて、ここだけを見ると、具体性が市民に伝わりにくいというか、どういうまちを目指すのか、ちょっと伝わりにくいと思うのですけれども、ここはどういう思いを込められてこういう内容になったのか、教えていただけますか。

市長

 これまでの市役所の施策と市民との関係といったものが、ずっと私どもは市民とともに考え、ともに悩み、そして、ともに行動するんだ、こういうコンセプトで1期目からずとやってまいりました。それは、超高齢社会だとか、人口減少だとか、少子化だとか、同じことでしょうか、そういうものとの関係で、これから私たちが乗り越えていくキーワードとして、「ともに考える」。行政と市民が、これまでの、行政に何かやってもらう、市民はその利益を享受する、行政はそれを執行する、こういう関係性を達成することはできないだろうと。新しい行政のスタイルといったものを目指していくことになるだろうというふうに思います。

 そういうことで、行政と市民の関係、あるいはコミュニティーのつくり方も、昔の連絡所、それをまちづくりセンターに変えていくということで、横の関係にしていくということをさせていただいてまいりました。これも、新しいコミュニティーをつくるためのものであります。あらゆる意味で、産業もそうでありますけれども、今までのやってきたこと、みんな努力をして頑張ってきたことについては間違いのないことだというふうに思いますが、しかし、新しい社会状況の中で新しいものの考え方をしていかなければ突破していくことはできないぞと。そんな意味で、市民自治というのは、行政と市民の関係、これを再構築していくぞというふうな思い、それから、創造都市というのは、例えば一番簡単なものを申し上げますと、雪などですね。邪魔者だと思っていた、「克雪」というふうに考えていたものを、われわれの先輩は、それを雪まつり、あるいは「利雪」というような形で、雪を利用する、雪は、私の言葉で言えば、「天からの贈り物」だと。だから、それを受け入れ、そして、それをさらに価値のあるものにしていこうというふうな、これは創造性です。新しいものをつくるんですね。雪は、そのまま置いておけば雪のままであります。そして、道路、通行を障害する、そういうものであるわけです。だから、そこを克服していかなければならないという考えがまず第一にあるわけですが、それから、そうではなくて、われわれの先輩は雪を楽しむのだというふうにやってきて、雪まつりを採用し、そして、雪をコンセプトにした観光を考え、雪の白さというものを、あるいは純粋さだとかを、地域の特性として、われわれはそれを受け入れて、そして、産業をつくっていこうというふうにやってきているわけですね。こういう発想をいろいろなものに応用することができないかということだというふうに思います。

 そして、私は、創造性の一番のキーワードは、よく創造都市でやっておられるのは、芸術文化を起点にしてということが諸外国では行われております。私は、何で芸術文化なのかといいますと、これは、人と感動を共有する極めて有効なツールとして芸術文化が存在するからだというふうに思います。感動は、人を行動に結び付け、さらには、積極的なさまざまな思考を、あるいは行動を起こす、そういう材料になる、そして、感動を共感するということが地域の連帯を新しくつくっていく、こんなふうに思います。そこから、今、普通に行われている経済活動から1つ違う、人を感動させる、それは、ありていに言えば、購買力を、あるいは商品に対する関心を高める商品を開発する、そういうことにもなるだろうし、売り方についてだって創造性豊かな発想ができるだろうと。そういうふうな物事の考え方を転換していく、それをクリエーティブあるいは「アイデアズ・シティ」という名前で、私たちとしては創造都市宣言を平成18年にしたわけであります。それを本格的にやっていこう、あるいは、やらなければこれから生き残っていけないのではないかというふうな思いと、それをやり切ることによって、私は、1人1人の心もまた芸術文化を起点にしまして豊かな社会になるのではないか、そんなふうに思っているところであります。

 「札幌市行財政改革推進プラン(案)」について(1)

北海道新聞

 行財政改革プランのほうでかなり基金の取り崩しが目立つのですけれども、将来に向けた蓄えを先食いするというようなイメージも持たれかねないと思うのですが、どういう考え方でこの基金を活用していこうとお考えなのでしょうか。

市長

 これは、基金も大分たまっているところもあります。それは、ためてきたところでもあるわけです。というのは、1972年にオリンピックがあり、政令市に移行し、そして、その時に一斉に市有施設が建ち上がったわけです。そして、40年が経過しています。その40年が経過して更新しなければならない、あるいは長寿命化をするために相当額を使わなければならないということは、われわれは10年ぐらい前からみんな頭の中にあって、基金の有効活用という備えをしておかなければならない、そんな思いで、この基金をそのためにとっておいたと言ってもいいと思います。ゼロにすることは絶対にできませんけれども、今回、1200億円ほど、前回の第2次新まちづくり計画よりも多い事業総額になっておりますけれども、その多くも、やはり、市有施設の長寿命化なり、あるいは改築ということに充てる事業というふうになっております。そういうものを財源として、これまで蓄えたもの、これを有効に活用するということによって、市民の負担を低くしていく、こういう努力をしたという考え方でございます。

 「札幌市行財政改革推進プラン(案)」について(2)

読売新聞

 行革推進プランのほうで、受益者負担のことで、市長は先ほど、内部の改革を徹底した上でお願いするところはお願いするということでした。ただし、保育所の保育料なんかは、前身の行革プランでも掲げながら、ある意味、着手できなかった項目だと思うのです。あらためて、その受益者負担をお願いする際は、どういう手続きで、また、その理由ですね。お願いします。

市長

 特に、札幌は、保育料につきましては軽減する割合が大きいまちであります。これは、大都市ということもあって、その大都市の利益を保育者、保護者の皆さん方が持っておられるというふうに思いますが、だんだん、財政が厳しいということと、保育サービスの拡充ということも行っている、4,000人増やすとか、そういうことも含めまして、そういう中で、私たちのまちでやはり適正な負担をしていただかなければ、この制度が持続可能なものとして持ち得ないということになることを、私は、多くのご利用いただく保護者の皆さん方にご理解をいただこう、こんなふうに思っているところであります。

 といっても、隣のまちと同じぐらいの負担はしていただきたいというぐらいの思いでございまして、特に負担をよそのまちよりも重くするという考え方までは至っていないというふうに、そこはご安心いただきたいなというふうに思います。

 「札幌市行財政改革推進プラン(案)」について(3)

北海道新聞

 今の保育料に関してなのですけれども、新まちのほうを見ると、確かに、4,000人増だとか、今、市長がおっしゃった事業所の中に保育所を設置するように促進するだとか、ハード面であるとか、保育ママのようなソフト面とか、そういったものも盛り込まれてはいるのですけれども、子育てのしやすさというのは、1つは料金ということでもあろうかと思うのですね。

 市長はこれまで、子育てしやすさ日本一のまちを目指すというふうにおっしゃってこられましたけれども、値上げというのはその点に矛盾しないのかということについて、ひとつお伺いします。

市長

 低いところから平準・普通のところに戻すということになりますと、個人としては値上げという感覚になるかというふうに思いますが、適正な負担をするんだ、社会全体でみんなでこの制度を維持していかなければならないんだというお気持ちになっていただくということに私は期するのではないかなと、そんなふうに思います。

 どのようなサービスも、1年だけ集中的にやれば、できないわけではないと思いますけれども、これがずっと、今保護者でおられる方も、今の保護者の皆さん方の後輩の皆さん方も、この制度、保育所がちゃんとうまく機能できるようにしていくためには、適切な負担をみんなで負担していくんだ、こういうお気持ちになっていただく、そのことが大切ではないか、こんなふうに私は思います。

 「札幌市行財政改革推進プラン(案)」について(4)

北海道新聞

 それと、もう1つなのですけれども、敬老パス(敬老優待乗車証)についてなのですが、今回の行革プランの中では、持続可能な制度を目指すということですが、今現在、市長のお考えの中では、例えば、受給の年齢を引き上げるとか、受給額を下げるとか、いろいろなパターンがあろうかと思いますが、今はどうお考えでしょうか。

市長

 これは、いろいろな議論を始めなければいけないという状況に今は立ち至っていると思いますので、時期はもちろん明示できませんけれども、漠然と議論をしても、この問題はなかなか議論が深化しないといいますか、あるいは、負担感だけ多くなりまして、議論が混乱するというふうに思いますので、今はどういう状況にあって、そして、この札幌市の財政上の負担がどのぐらいであって、そして、どのくらいの人がどのくらいの利用をしているかということ、さらには、それを持続可能なものにして、これからわれわれのような団塊の世代が70歳になったら、みんな申請したらどうなるだろうかというようなことも含めて試算をしながら、いろいろな場合を考えてオープンな議論をさせていただいて、この制度が持続可能かどうかということについて判断をしていただく、あるいは、持続させるとするならどんな方法があり得るのかということも皆さん方でご議論いただけるような資料を早急に作って、しかるべき時に議論させていただければ、こんなふうに思います。

 「第3次札幌新まちづくり計画(案)」について(2)

STV

 まちづくり計画の中で、円山動物園に関することなのですが、ゾウの導入検討調査という項目がございます。これは、先日も園主催で市民の方のシンポジウムがあったり、札幌市は割と導入が決定する前からしっかりとお金と時間をかけて進めていることは、専門家の方からも高い評価をいただいているようなのですが、これも平成26年に決定となりますと、上田市長の3期目の任期をほぼ使い切るぐらい長い話だと思うのですが、今後どのように進めていきたいというふうに思っていらっしゃるか、市長の思いを教えてください。

市長

 ありがとうございます。

 既に議論をし始めているところでありますけれども、今、ゾウ舎が、花子が亡くなりましたので空いています。もう1頭居たわけですが、それが亡くなって、2頭分、一応、立ちながらですけれども、寝る所はあるのですけれども、そういう飼い方でいいのかという大問題が実はあります。今は希少動物でありますので、動かすためには学術目的として繁殖などの研究をしなければいけない、これはワシントン条約の示すところでもあります。そうしますと、何頭なら飼えるのだろうか、複数、群れ単位でゾウを飼うとなると、これは相当な費用が掛かります。それの判断をどうするかということは、かなり市民の皆さん方が、ゾウは60年生きますから、われわれの子どもたち、孫たちがそれを負担していくことになりますので、そういう覚悟を決めるためには、それなりの時間が必要ではないかと私は考えているところであります。

STV

 ありがとうございます。

 「第3次札幌新まちづくり計画(案)」について(3)

HBC

 今のゾウの導入の可否、平成26年までということなのですけれども、まちづくりと関連して、ゾウの導入というのが、今後、今、子どもたち、孫たちの世代という話もありましたけれども、この辺と関連して、どういったような意味合いを持っていくのか、市長の考えをお伺いしたいのです。

市長

 無理やり私の言葉で言えば、創造性に結び付くというふうに思うのですけれども、やはり、ゾウを見て驚く心を育む、地上動物、哺乳類で最大の動物でありますので、小さい子どもがゾウの前に立った時にどういう感動をするかということを思うと、少し心がうきうきいたします。私自身も、初めてゾウを見た時に、「こったらでかいものがどうしているんだべ」というふうにやはり思ったわけです。しかも、温和な性格で、鼻でいろいろ器用に、というふうなことも、生物多様性というふうに言ってしまうと何かあれですけれども、私は、人間の情操をつくっていくためにとても大事な要素ではないかと。そういう心の柔らかい、頭の柔らかい人材が札幌から育って、札幌の将来を支えていただく、さまざまな活力なりアイデアなり物事を変革していく、そういう動機を心の中に、エネルギーを持った子どもを育てるために必要ではないかという考え方でございます。

 「第3次札幌新まちづくり計画(案)」について(4)

uhb

 苗穂駅の移転計画についてなのですけれども、今、住民の方から、南北に分断されていて非常に不便だというような話も出ていますが、市長としては、これはどういうふうなイメージでこの移転を進めていこうと、また、再開発についてはどういうふうな考え方をされているのでしょうか。

市長

 白石駅舎ができまして、自由通路が設置されました。それで、南北の通路が非常に豊かになったということでまちづくりが発展するということになりました。苗穂につきましても、完全に分断されているということがありますので、そこに、もし横断できる設備ができれば、まちの発展に極めて有効であろうと、こんなふうに思っております。ただ、これはJRさんと協働で、認識を一致させて、さまざまなハードルを越える、今、作業をしているところでありますので、場所も含めて、まち全体の開発の中で議論をさせていただいているところであります。

 「札幌市行財政改革推進プラン(案)」について(5)

読売新聞

 税源の関係で、税源涵養(かんよう)を重視した取り組みということで、今回、かなりページも使って書いていると思うのですが、具体的にどうやって増やしていくかというところ、多分、まちづくり計画の取り組みとリンクすると思いますけれども、やっぱり、削るだけではなくて、増やすということも非常に大事だと思うのですが、その辺りもちょっとお願いします。

市長

 例えば、札幌駅前通地下歩行空間を設置しました。創成川公園を造りました。こういう大きなプロジェクトをやって、まちの魅力が上がり、建物の更新時期により大きな建物が建つということになりますと、固定資産税が上がります。これは、間違いなく税源の涵養に通じる有用な、有効な公共投資でもあるというふうに思います。

それから、創造都市と言っていることもMICEと通じるわけですね。まちの魅力を高めるということは、人がそこに集まるということ、そこに来たがるということ、これは、今、魅力度ナンバーワンという大変ありがたい調査結果をちょうだいして、われわれはそのことを基点にしてシティプロモートというふうなことで、多くの会議、ミーティング、国際会議、あるいはインセンティブツアー、イベント、こういうものを、普通の観光ではなくて、より財政効果のある、経済波及効果の高い人々に札幌においでいただく、そういうことに通じる政策として位置付けをさせていただいているわけであります。

 もちろん、決定的なものはありませんけれども、今、特区構想ということで、9月30日に「北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区」の申請をし、それから、「札幌コンテンツ特区」と言いまして、映画、画像、こういったものによって映画を制作するのに非常に便利のいいまち、魅力的なまちということになってきますと、映画産業、コンテンツ産業がそれによって発展できるのではないか。

そういうふうな意味合いでのさまざまな施策をこの計画の延長線上に、あるいは、各論のところにわれわれは構築し、税源を涵養していこう、こんな考え方でいるところでございます。

 「札幌市行財政改革推進プラン(案)」について(6)

北海道新聞

 受益者負担に戻って恐縮なのですけれども、市長は受益者負担の引き上げについては、市民議論を尽くすとおっしゃったのですけれども、既にこの原案の段階で児童クラブの利用料とか金額がほぼ出ているものがある一方で、特に高齢者の絡みだと思うのですけれども、敬老パスとか、市有施設の利用料とか、今後じっくり検討するという中身もございます。それで、見方によっては、高齢者の支援というか、助成というか、そちらに手を付けると結構抵抗が大きいので、そういうものを少し先に送って、取りやすいところと言ったら恐縮ですけれども、そういうところを先にしてしまったというように見えなくもないのですけれども、ここはどうしてこういう違いが出てくるのか、教えてください。

市長

 考える要素が非常に多いということと、前の、完全フリーから一部有料化というふうに踏み切った時の議論の経過がございまして、やはり、新しい制度にして5年くらい経過いたしましたでしょうか、それで、新しくもう一度、持続可能性を通じてみんなで議論しようというふうな経過がございます。

北海道新聞

 敬老パスの話ですね。

市長

 敬老パスの話です。

それから、時間軸の問題として、高齢化問題というのは、やはり、私が高齢者になるまであと2年しかありませんので、本当に急ぐ問題です。ですから、これはいろいろな側面から議論をしなければならないという意味合いで、急がなければならないという感覚を持っているわけであります。

 ただ、保育所の問題だとか公営住宅の問題は、従前からかなり具体的な数字が出た議論の内容でもありますので、それはそろそろ本格的に実施させていただきたい、こんな考え方でいるわけであります。

 「第3次札幌新まちづくり計画(案)について(5)」

NHK

 地域防災計画の修正ということで、震災を踏まえて津波と原発について盛り込まれております。特に、原発については、先日、北電のやらせの問題が明らかになったり、あとは、先日、岩内町長選挙もあったり、あとは、道に対しての申し入れもされたと思うのですけれども、特に、やらせの問題とかいろいろとある中で、どういったようにこれに対して取り組んでいかれるのかということについて、まず、やらせの問題も含めて、感想を含めてお答えいただけますでしょうか。よろしくお願いします。

市長

 やらせというのは、世論誘導という意味ですから、あるいは、世論偽装を図ったということは許し難いことだろうというふうに思います。そんな意味で、「やらせ」と言うと、そんなのはどこでもある話ではないかと、感覚的に少し軽く聞こえるかもしれませんが、世論偽装です。やっぱり、やってはいけないというもっと鋭い、何と言いましょうか、世論を誤導させる、偽装するという厳しい目で私は見るべきであるというふうに思います。脱原発依存ということを掲げて、私ども市議会も全会一致で私と同じ見解で、この間、対処していこうというふうに考えておりますので、私は、ある意味では、地に足が着いた原発に依存しない社会を求めるために、今、何をしなければならないかということを着実にさせていただきたい、そんな思いで、市議会でもお話し申し上げておりますけれども、今、再生可能エネルギーへの転換をどう図るべきかという調査活動に既に着手をさせていただいておりますので、これらを踏まえて、また多くの市民の皆さん方としっかり議論をする材料にしていきたいと、こんなふうに思います。

 「第3次札幌新まちづくり計画(案)」について(6)

HBC

 ちょっと個別のところになるのですけれども、市民交流複合施設、創世1.1.1区(さんく)のほうで平成26年に着工ということになりますけれども、これは、全体の札幌市のまちづくりにおける、この施設だけではなくて、この再開発事業としてやるということなのですが、この再開発事業の札幌市のまちづくりの中での位置付けと、それと、市民ホールはどうなるのかという、その2つです。

市長

 市民交流複合施設でありますけれども、これは、まちづくり全体の中では創造都市の最も中核的な施設になるというふうに私は考えております。オペラもすることができる、世界中のあらゆる芸術活動で見られないものはないというレベルの、設備がないからこれはできない、あれはできないということがないような環境をつくっていくということで、今、札幌市が保有するホール部分については、そのような考え方でおりますし、あるいは、市民の皆さん方、あるいは、今までの先輩の札幌のさまざまな芸術文化活動をされてきた集積を、そこに蓄積をして、そして新しい文化を考えていこうというふうなセンターにもするべきだというふうに考えております。さまざまな人々がまさにそこで交流し、そして複合的な関心の中で文化活動、まちづくりを含めてですね、考えることができる、そんなセンターにしていきたいというふうに思っております。

 これは、創世1.1.1区(さんく)といって、もう何十年も前からの札幌市にとっての悲願の北1条、大通を支点にした大きな事業の一環でありますので、その中の文化的な中核施設というふうにお考えいただきたいというふうに思います。

 そして、市民ホールは、今のところといいますか、それがあっても併存させていきたいというふうに考えているところでございます。

 東日本大震災の被災地からの避難者に対する支援について

朝日新聞

 被災者の方たちの受け入れのことでお尋ねをしたいのですが、自主避難で札幌近郊に来ていらっしゃる方たちへ、これもなかなか国のガイドラインというものがなくて、いろいろと要求もあるかと思うのですけれども、その方たちに、自主で避難していらっしゃる方たちへ市として何か考えておられるかということと、もう1つは、ここのところ急に寒くなりまして、今まで雪のないところから来ている方たちにとっては、雪に対する不安と寒さに対する不安というのは非常に大きいかと思うのですが、そういう被災者の方たちに対して何か支援を考えておられましたら、お伺いしたいと思います。

市長

 ありがとうございます。

 まず、冬のことは、北海道においでになった皆さん、冬に生活されるのはご心配だというふうに思います。今、市営住宅等を用意させていただいている、道営住宅もそうでしょうし、雇用促進住宅もそうでしょうけれども、暖房設備が付いております場合は、それを稼働させて寒くない冬を過ごしていただきたいということ。

 今、NPO団体で、ポータブルストーブを募集しているというところもございます。そういう市民団体の皆さん方は、冬が心配だということで、それに対するサービスをしっかり提供したいという思いでそういう活動をされておりますので、まず、その動きを私どもはしっかり見極め、そして、ご支援できるものについてはご支援させていただきたいというふうに思います。

 それから、自主避難の皆さん方も、それから、警戒地域あるいは避難地域からおいでになっている方も、基本的には原発から逃れようという気持ちでおいでになっている方々でありますので、特に区別することなく、ご支援できることはご支援させていただきたいと思いますし、市民団体の皆さん方も、差別なく、区別なくご支援していただいているものと、こんなふうに考えております。

(以上) 

 

 この内容については、重複した言葉遣いや、明らかな言い直しがあったものなどを整理した上で作成しています。(作成:札幌市広報課報道係)

 

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