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更新日:2011年3月1日

平成20年度第21回定例市長記者会見記録

日時 2009年3月25日(木曜日)14時00分~
場所 記者会見室
記者数 19人

市長から下記の話題について発表しました。

引き続き、次の話題について質疑が行われました。

発表内容

『札幌市子どもの最善の利益を実現するための権利条例』の施行について

私が初めて市長を志して以来、子どもたちの自律的な成長・発達といったものをサポートしていくために成立を目指してまいりました子どもたちの権利を守るための条例が、いよいよ4月1日から施行されることになります。当面の取り組みや、新たに設置いたします救済機関の概要をお知らせさせていただきます。

条例の施行に当たっては、この条例の理念や内容といったものが権利の主体となる子どもたちはもちろんのこと、子どもたちを支援する役割を持つ大人の皆さん方にも広く知っていただくことが何よりも必要である、肝要であると、このように考えております。

そのために、お手元に配布させていただいております大人向け、子ども向けなど4種類のパンフレットを作成させていただきました。このうち、小学校高学年、それから中学生向けのパンフレットにつきましては、特に子どもたちによく知ってもらいたいという思いから、約250人の子どもたちの意見を聞いて、見やすく分かりやすくするために作成に当たって工夫を重ねた結果、できた作品でもございます。今後、市内の小学校4年生から中学3年生までの全員に配布をする予定でございまして、授業や児童会、あるいは生徒会の場などで有効にこれを活用していただきたいというふうに考えているものでございます。

もとより、条例の広報・普及の取り組みのほかにも、札幌市といたしましては、今後、全庁的に子どもの施策、事業の充実といったことを力強く進めていく考えでございます。例えば、子ども議会の開催とか、児童会館の子ども運営委員会のような、子どもの参加・提案型の取り組みをさらに推進していくことはもちろんのこと、地域社会においても、子どもたちがもっとまちづくりに能動的に参加をしていくことができるようなサポートということを、区役所やまちづくりセンターなどを通して進めてまいりたいと、このように考えています。

また、条例を単に理念的なものとしないために盛り込んだ「子どもの権利救済機関」でございますが、これについても条例の施行に合わせまして4月1日から速やかに設置する予定でございます。これは、子どものさまざまな悩みについて相談を受け付けるということとともに、必要があるときには関係機関への調査や関係者間の調整、さらに改善の勧告などの権限を有した機関でございます。

この救済機関のポイントは、問題の解決のための方法を子どもと一緒に考えて、そして問題点を探し、そして何がその子どもにとって最善の利益なのかということを判断の基準にしていこうということであります。そして、子ども自身が成長いたしまして、みずからの力で次のステップに向けて1歩を踏み出すことができるよう支援していくということに主眼を置いたものであります。

救済機関には、臨床心理、人権・法律に詳しい2人の救済委員を置くとともに、複数の調査員・相談員を配置いたしまして問題の解決に当たっていきたい、このように考えております。

相談の受付日時や方法につきましては資料の通りでありますが、夜間あるいは休日の対応とか、最近、子どもはインターネットを使いますので、メールでの相談だとか、フリーダイヤルの導入など、子どもたちへの配慮もできる限りさせていただいたところであります。子どもの皆さんには、困っていること、悩んでいることがあれば、どんなことでも勇気を持って相談をしてほしいというふうに考えております。

条例は施行が目標ではなくて、その真価は、まさにいかにその意味合いが市民の皆さん方に浸透して、その効果を市民が実感できるかにかかっております。この条例の規定によりまして、1人でも多くの子どもたちが笑顔を取り戻し、その笑顔が輝き続ける札幌となりますように全庁を挙げて取り組んでいく所存でありますので、どうか報道機関の皆さま方にもわれわれの意気込み等々について、よろしくご理解のほどお願い申し上げたい、こんなように思います。

消防ヘリコプターの通年運航体制のスタートについて

4月1日から、新しい消防ヘリコプターを導入することになりました。これまで使用してまいりましたヘリコプターも予備機として引き続いて使用をすることになりますので、2機のヘリコプターによる通年運航体制といったものをスタートさせることができることになります。

これまでの1機体制では、定期的に行われます点検整備とか年に1度行います車の車検に当たるものでありますけれども、耐空検査というものがございます。この耐空検査などによりまして、代替機のリースでその間は対応しておりましたけれども、年間でも数十日は出動できない日が、空白の日があったということでありました。年間の稼働率といいますか、活動可能な割合というものが86%であったということであります。

しかし、今後は、常時、1機は出動できるという体制となります。大規模な災害が発生した場合には、隊員を招集し、ヘリコプター2機による活動も可能となるわけであります。また、道内外の被災地への応援出動をする場合でも、1機は被災地へ、そして残りの1機は市内の災害対応を行うことも可能となるわけであります。

ヘリコプターによります消防活動は、病院搬送に時間を要する重傷者の搬送をはじめ、林野火災におけます空中消火あるいは山岳地での捜索・救助、さらにはヘリに搭載されましたテレビカメラによります各種の災害の状況把握など非常に多岐にわたる活動が可能となります。平成20年中は262件もの災害活動に出動いたしまして、市民の安全・安心なまちづくりを確保するということに寄与したものでございます。

また、阪神・淡路大震災や有珠山の噴火災害、そして昨年発生いたしました岩手・宮城内陸地震などの大規模な災害にも応援出動をいたしまして、道内外において大変大きな役割を果してきたところでございます。

4月16日には、このたびの通年運航体制を記念いたしまして、石狩市にございます札幌市消防局石狩ヘリポートにおいて、この記念式典を行う予定であります。当日は、新規導入したこのヘリコプターを間近でご覧いただくことができますので、どうか報道機関の皆さまには、ぜひこの機会に取材をいただきまして、新しく美しい機体とともに、市民の安全・安心を守る消防ヘリの役割や、その重要性についても併せて報道方、お願いできればと、こんなふうに思っているところであります。

定山渓地域におけるバイオマス地域内循環について

私はかねて、定山渓地域の特徴に、特徴というのは一団をなした地域であるという意味合いでありますが、この特徴に着目をいたしまして、ホテルや旅館から排出されます生ごみを地域内でたい肥化し、それを地元での野菜の栽培の肥料として使いまして、そしてできた野菜をまた食材としてホテルなどに提供するといったバイオマス地域内循環が確立できる地域だというふうに考えていたところであります。

こうした思いを、直接、定山渓地域の方々にお伝えすることができたのが、平成17年の11月に私が定山渓温泉に参りまして、「市長と“おしゃべり”しませんか」という地域の方々との討論会があったわけでございますが、そこでそういうお話を持ち掛けましたら、大変、地域の皆さま方が興味を示していただきまして、「それはできたら面白いね」ということで話がとんとんと実施する方向で、かなり協力的な姿勢をお示しいただいたこともありまして、本格的にこれを進めるというための準備をこの間やってまいりました。ホテルが19ホテル、旅館も入れましてでございます。そして、病院が1つ、さらに学校が2つ、この人たちが全員参加いたしまして、生ごみの分別排出といったものを続けていただけるということでございました。しかし、たい肥化処理は、現実にこのたい肥化する処理自体でありますが、たい肥化する工場は近隣にはなく、石狩市にあります施設で行っておりました。こういったことから、地域内循環の確立に向けては、たい肥化施設の整備といったことが課題であったわけでございます。定山渓から石狩まで運ぶこと自体が、非常にCO2の関係から言いますと、なかなかばかにできないものがあるというふうなこともありまして、なるべく近くでこの地域内循環ができる工場を造っていきたい、こんな思いでいたわけであります。

そうこうしている中で、札幌市内の株式会社ばんけいリサイクルセンターから、たい肥化施設の整備についての支援の要請がございまして、検討した結果、国からの交付金を活用できれば自力での整備にめどが立つということになったわけであります。そこで、札幌市では、昨年3月、定山渓地域に施設を整備していくことを盛り込んだ「札幌市定山渓地域バイオマスタウン構想」といったものを策定いたしまして、国、農水省からの交付金給付の活用をするための足掛かりを付けたところであります。そして、このたび、交付金を活用しての民設民営の施設となります同リサイクルセンターにおけるたい肥化施設の整備計画がまとまったということでございます。

総事業費は約9億円でございまして、そのうち2億6800万円は国からの交付金を充てることができるという状況になっております。施設規模といたしましては、施設面積が約7千平方メートルでありまして、1年間に生ごみを4千トン、家庭から排出されます草や木3千トン、そして樹木のせん定によって生じますせん定枝2千トンを処理する計画であります。平成23年1月に本格的な稼働を開始する計画となっております。

札幌市といたしましては、今後もこの計画・事業の円滑化に向けた支援を行っていくわけでありますが、その一環として、このたび「札幌市定山渓地域バイオマスタウン推進協議会」を設立することといたしました。生ごみの資源を確実に循環させていくために、地元住民、観光協会、農業団体、そして農業指導機関等で情報交換あるいは調査研究等を行っていくことにしています。

定山渓地域バイオマスタウン構想は、定山渓温泉街の健康保養温泉地というイメージアップをもたらしまして、ひいては定山渓温泉の振興につながるものと期待しておりますし、これからのこの構想は、高い目標を設定いたしまして、ごみの減量化を推進いたします札幌市にとって象徴的な取り組みの1つとなるということから、この実現に向けてサポートをしっかりやっていきたいと、このように考えているところであります。

ここでうまくいけば、また札幌市のいろいろな場所でこういうことが実現できるような取り組みをさらに進めていく、そういう踏み台、スプリングボードになるということも期待をしているところでありますので、ぜひ皆さんからも、さまざまな問題意識を持ち、この計画が円滑に進むことをご声援、ご支援ちょうだいできればありがたい、こんなふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

配布資料

質疑内容

入札談合等関与行為調査委員会の調査結果を受けての対応について(1)

北海道新聞

昨年の6月に、札幌市役所のほうに公正取引委員会が立入検査に入りまして、10月に官製談合があったと認定され、先週、市長がお選びになった3人の弁護士の方、外部調査委員会が最終報告をまとめました。その中で、やはり官製談合があったという指摘をあらためて突き付けられたわけですが、札幌市として、まず、この官製談合があったのではないかという指摘をどう受け止めるのか、官製談合があったのか、なかったのかという認識について、まずお伺いしたいと思います。

市長

きょうは、建設委員会がございまして、その場でも冒頭に私からお話をさせていただきましたけれども、公取から官製談合があったという認定を受け、そして改善措置要求というものが出されました。それに基づきましてというよりは、事実をわれわれがしっかり見つめ、調査をしようということで調査委員会を立ち上げ、3人の弁護士に調査の依頼をしました。公取からのさまざまな供述調書等々についての提供を受け、その調書を精査し、さらに関連する職員、あるいは外部のOB等々とも連絡を取り調査に応じていただく、そのような活動を取りながら、この最終報告書では官製談合ありという認定がなされたということであります。

私どもも、昨年の8月に、これはほとんど客観的な外部からの業者等から事情聴取するということができない状況の中で、職員等々の聴取結果に基づきまして、どうも官製談合ということはみんなかかわっていない、こういうふうなお話でありましたので、ないという判断を、いったん報告を受けたところでありますが、このたび、この調査委員会の認定によっても官製談合、札幌市が談合に関与していたと、こういうことが断ぜられたということでありますので、札幌市といたしましても、その報告に基づきましてこの官製、札幌市の職員が談合に関与していたということを最終的に認めたということであります。

この問題につきましては、談合ということ自体が違法な行為であります。それに、市役所が関与しているということになりますと、札幌市の本来、信頼を置くべき行政でなければならないにかかわらず、このような結果が出たということについては、誠に遺憾なことでありまして、市民の皆さん方に、本当に信頼を害する行為があったということについて、心からおわびを申し上げたいというふうに思います。

私どもの今やるべきことは、そのことをしっかり踏まえた上で、再発防止、談合を根絶やしにするということを、以前、10月29日に私は職員に訓示をいたしましたけれども、その決意を新たにすると同時に、いろいろ想定をされる問題点といったものについて、現在、さまざまな限界がありますけれども、しかし、今やれる最大限のことを手当てして、そして再発防止に努めていきたい、こんな決意を新たにしているところであります。

短い期間の時間的な限界、それから調査委員会とて強制的な調査ができる権限があるわけではありません。そういういろいろな限界の中で調査をした結果ではありますけれども、3人の弁護士の調査の結果、そういう心証をしっかりお持ちになったということもございますので、私どももその判断に従って、今後のしっかり反省をするところは反省し、再発防止措置を考えられるすべてのことをやっていきたい、こういうふうに考えているところであります。

北海道新聞

その再発防止に関してですけれども、これまでにもいくつか市長のほうで打ち出されてきましたが、1番肝要な部分というか、どの部分を、首根っこを押さえるという意味でも、談合を2度と起こさない、根絶やしにするという意味ではどの部分が1番大事なのかとお考えになっていらっしゃるのですか。

市長

それを考えるためには、どうしてこういうことが起こるのかということについての洞察がなされなければならないというふうに思います。残念ながら、決定的な談合を引き起こすといいますか、業者のほうはもちろん利益になるからということでありますけれども、官がなぜそれにかかわったのかということについての決定的な背景だとか、理由だとか、動機だとかといったものはやはり分からないのですね。

そういう中で、きょうも委員会の中で議論はされましたけれども、やはり技術系の職員の皆さん方が仕事をする際に、やはり札幌市の仕事でありますので、何をつくるにしても立派なものを、クオリティーの高い仕事をしてもらいたいという気持ちがございます。これ自体は否定すべきことではもちろんありませんけれども、それが必ずしも今の競争入札制度によって実現されるかどうかについては、ちょっと技術系の皆さん方にありがちなといったらあれですが、少し疑問だ、あるいは不安があると、入札結果だけで、入札の価格の競り合いによってクオリティーの高い仕事ができるだろうかという思いがあるようだと。それが談合を誘発すると、あるいは絶対だめだというふうには考えない体質をつくっているのではないかというご指摘もございました。やはり、ここが1番、私ども大事なポイントであろうというふうに思っております。

私たちの仕事というのは、委員会でも申し上げましたけれども、いいものをつくるというのはこれは当然です。市民の皆さん方の財産でありますので、しかも、税金を使ってつくるものがクオリティーの高い、そういうものでなければならないという、これは信念が必要であります。もう1つは、安くなければいけないというですね、安くていいものをつくるという、そういう2つの要件を満たす発注方法といったものを追求しなければならないわけですね。それを実現する方法は、今の法律体系の中では競争入札という方法しか取れないのだと、こういう法体制になっているわけでありますので、いいものをつくりたい、だから誰か特定の者に割り当てたいというふうな発想は公務員としては絶対やってはいけないことであります。

ですから、これは法令順守という観点からいって、「法に基づき、われわれは行政をするのだ」、あくまでも市民の納めた税金、国民が納めた税金、これを使わせていただいて仕事をするわけですから、ハイクオリティーのいいものをつくりたい、しかし、それはなるべく負担が少なく低廉な額で、そしていいものをつくりたい、その方法は競争入札方法というのが、今、法律で定められているわけでありますから、このコンプライアンスといいますか、法令遵守というですね、そういうことをしっかり守る、そういう意識をどこもそこは疑いを入れない、そういう確信に基づいて、この競争入札制度が十全に機能するような方法でこの問題に当たらなければならないということをはっきりさせる、そのことは極めて大事なことだとわれわれは考えているところであります。

北海道新聞

最初に市長もおっしゃいましたけれども、外部調査委員会のほうの結果、報告でも、やはり実態がまだ十分分からない部分があるという終わり方でしたし、先ほどの委員会でもまだ分からないことが随分あるのではないかという、そこの部分に関しての認識をお伺いしたいのですけれども。だから、今後、もし、これで終わりということなのか、それともまた引き続き何かを考えるということがあり得るのか、あるいは議会のほうでは百条委員会をという声もありましたけれども、できればそちらのほうでやっていただきたいというような、そういう期待感などもあるのかどうなのかも含めてです。よろしくお願いします。

市長

この調査委員会も、相当限られた期間、限られた資料の中でということでありますけれども、かなり事実に迫るための努力をしているということについては、報告書を読んでもよく分かります。

私どもは、もちろんその事実を、本当に事実なのかということまで徹底的に追及するという姿勢は、理論としては正しいわけでありますが、実務感覚といたしましてはなかなか厳しい問題があるということを申し上げなければならないというふうに思います。理論的には、そういう追及方法がいいということにはなっても、現実的にそこから出てくる可能性がどういうものであるのかということは、それなりに想定をすることができる。そして、その体制を、われわれにとって今一番大事なことは、これを再発させない、根絶やしにするというふうに言っておりますけれども、想定できる背景だとか、原因、動機といったものについて、全部、ふたを閉めていくといいますか、動機がわかないような、あるいはコンプライアンス意識を常に醸成していくという、そのようなことがこれから継続的に取り組んでいくということによって、今回提起をされた問題についてはクリアできるはずだと、このように考えておりますので、ここはやはり理屈の問題と、それから実務感覚からいいます今力をどこに割かなければならないかということとの兼ね合いで、私は新しい提言を受けたことを誠実に履行する、そしてそれを単に一過的なものではなくて継続的にシステムとして談合が成り立たないような条件を、われわれが環境をつくっていくということに力を入れていきたいと、こんなふうに考えております。

北海道新聞

百条委員会についてはどうですか。

市長

これは、議会の決めることですので、やっていただいても私は別に構わないというふうに思いますけれども、これは議会でご判断いただきたいというふうに思います。

入札談合等関与行為調査委員会の調査結果を受けての対応について(2)

共同通信

今の関連ですけれども、1つ、主として、談合があったという結論をお出しになったわけですけれども、それで、関係した方々の、市長も含めた処分なんかについてはどのようにお考えになっているのか、お伺いできますか。

市長

当事者として挙げられて報告をされているのはすべて退職者になりますので、懲戒処分等々については不能といいますか、できないという状況にございます。

共同通信

現職の方々、同じ部署の方々、あとは市長方の責任についてはどのように考えているのでしょうか。

市長

現職の方がいないということです。

共同通信

市長ご自身は何か…。

市長

そういう意味での処分等については、今、議会に、この26日に、あしたですか、提案をさせていただきますけれども、市役所の最高責任者でありますので、私および副市長の地位責任といいますか、からいいましても、管理、監督の最終責任者ということで、今、減給という方向で提案をさせていただくわけであります。

入札談合等関与行為調査委員会の調査結果を受けての対応について(3)

STV

同じ関連なのですけれども、今、市長のほうから減給の身の処し方、そして今後の防止策の考え方を伺ったのですが、あとは、本当の市民目線でこういった調査委員会の結果、真相究明には至っていない状態で対策ということをおっしゃっていますけれども、そのことが市民の理解を得られるのかという視点でいきますと、市長としてはどういうふうにお考えかというのをあらためて伺えればと思いまして…。

市長

真相というのは、生の事実が全部明らかになるというのは非常に難しいことだというふうに思います。

そういう意味合いにおいて、私どもで今、いろいろな想定ができるのですね。どうしてこういうふうになったのだろうか。天下りが関係があるのではないだろうかとかですね、こういったことも指摘がございます。指摘が、要するに、この官製談合が起こる可能性のある人間の心理だとか、行動様式だとか、そういったものを分析して、それを絶つことによって再発を防止できるという、そういう観点で今回の事件をわれわれは大事に、これで幕引きといってなかったことにしようというわけではなくて、こういう大きなわれわれ試練を受けたということについてしっかり受け止めて、心に刻み、そして再発防止で考えられるすべてのことをやらなければいけないということでおるわけでありますので、市民の皆さま方にもそこのところはご理解いただけるのではないかなと、こんなふうに思います。

入札談合等関与行為調査委員会の調査結果を受けての対応について(4)

HTB

今、市長のお言葉からも幕引きという言葉がございましたが、けさの委員会でも、市長、3副市長の減給をもってして、これで幕引きでいいのかという声がありました。先ほどの回答とかぶる部分があるかもしれないのですが、本当にこれで次の対策を講じるだけで幕引きしてしまっていいというふうにお考えなのかという点と、あとは、委員会でほかの部署等でもあったということが考えられるということで、全部局を含めて継続的に調査していきたいというようなご回答があったかと思うのですが、一度内部の調査で談合がないという結論が出て、今回はひっくり返っている。そういった中で、市の内部調査を全部局を通してやっていくことで果たしてそれをあぶり出せるのかどうか、その点に対してどのようにお考えかを教えていただけますか。

市長

結局、同じ回答になるわけでありますが、幕引きというと、なかったことにしようということでは決してないわけでありまして、われわれの痛苦な経験をどう生かしていくかということのほうが今は大事であるというふうに判断をしているということであります。

もちろん、きょうの委員会でも指摘がありました。あるいは、報告書の中にも、この部局だけではない、必ずしも否定できないという表現でありますが、証拠に基づく認定ではありませんけれども、しかし、先ほど言いましたような、もし、この動機があるとしたら、技術系の職員の皆さん方の中に発注する者のクオリティーを高めたいという気持ちということがあって一定程度の技術レベルのある方々を順々に割り当てていくというようなことが起きやすいということであれば、その考え方を阻止するといいますか、崩していくということに対策としてはなると思うのですね。

そして、そういう考え方が発生するのは、何もこの下水道の電気工事だけではないだろうと。いろいろな工作物を発注いたしますので、当然、そういう同じ心理であれば起きても不思議がないというふうに考えるわけでありますので、そういう視点で、われわれは、この年間1,700件とかと聞きましたけれども、競争入札で発注業務をやっております、それの記録をいま一度、報告書にもありますように、5年分ほど読み返していくと、これはとても大変な手作業の仕事になりますので、かなり厳しい仕事になるというふうに思いますけれども、そこに一定の因果関係といいますか、が認められるということでもあれば、当然、われわれはどういうことでこういうふうになっているかというふうな検証をしていくことになっていくだろうと、こんなふうに思います。

入札談合等関与行為調査委員会の調査結果を受けての対応について(5)

北海道新聞

その談合の関係なのですけれども、今回、外部調査委員会で、昭和62年から20年くらいにわたってやっていたと。その間に別な官製談合というものもありまして、非常に問題が根深いというか、長期にわたってそういうことがずっと続けられていて、それが1つの風土なのではないかというような見方もあるようですけれども、それを崩すというか、変えるというのは非常に難しいような気もするのですが、それについての市長の認識を教えていただきたいのですけれども。

市長

初めからできないのではないかということではなくて、平成12年に除雪業者の割り付けというようなことが判明いたしまして、そのときにしっかり反省したはずではないかと言われれば、一言もない、反論できる立場にありませんけれども、しかし、報告書でもご指摘がある改革といったものを積み重ねていくしかほかに方法がないというふうに思うのですね。そういう意味で、最終的には、何のために公務員になったのか、何のために仕事をしているのかということを考え、その考えをしっかり共有できる職場といったものを形成していくということになっていくのではないかなと。それが、平成12年の出来事があったにかかわらず、検証が不十分だったのかなというふうな感想を持ちながら、今度はそういうことがないように、やれることはすべてやっていきましょうということでございます。

入札談合等関与行為調査委員会の調査結果を受けての対応について(6)

朝日新聞

談合の話が続いて恐縮ですが、今回、議会に、先ほど処分の話に触れておられましたが、今回の件については、市長は現在、減給50%、副市長についても30%、20%という処分を検討されているやに伺っております。その前に、バスの件の処分というのもありましたが、実際に決定権者としてかかわったバスの処分においては1カ月10%。今回、市長、副市長とも直接かかわっていないにもかかわらず、50%、30%という非常に大きい処分を科しておられる考えなのですが、このそれぞれの問題についてのご自身の責任についての、刑事で言うところの量刑と言えばいいのでしょうか、その量刑の違いはどういう考えに基づくものなのかということをまず教えてください。

市長

中央バスの場合には、私は責任原因は何かというときに、説明責任が、その都度のですね、説明が十分できていなかったことによる混乱であるということであります。政策、決断、いろいろな選択をしていく過程で、私は判断をミスったことはありませんと、こういうことで、手続き面の問題であるということで、私は1カ月10%という考え方を取りました。

今回は、これは明らかな実態的な違法行為が行われた。それの長としての責任、そして「再発防止をするぞ」という決意、その度合いを私は50%、1カ月カット、担当副市長は30%カット、その余の副市長は20%と、こういう考え方になったわけであります。

札幌市犯罪のない安全で安心なまちづくり等に関する条例について

バス路線維持のための新たな補助制度について

朝日新聞

あと2つほどちょっとお聞きします。

1つは、今議会に出ています犯罪のない安全・安心なまちづくり条例に関してですが、やはり、現在の素案では、例えば、警察の権力が市民生活の中に深く入り込む危険があるという指摘に対して、何ら抑止するような文言もなければ規定もないということが一部の議員さんから指摘されています。それについて、何らかの手だてを、市長は議会では議員さんにチェックしていただくことで、これからの運用をチェックしていただくというようなことを言っておられましたが、条例をつくるレベルで、そういう段階でそういう文言を入れたり、抑止するようなシステムを入れておくというお考えがあるのか、ないのか、まずこれが1点です。

もう1つは、先ほどちょっとバスの問題にも触れましたが、バス問題はいよいよ月内に補助の考え方をまとめるということをですね、かねて言っておられたのですが、どのようになったのか。

その2点をお願いいたします。

市長

市民生活に警察権力が常に介入していく可能性があるやに見える条例ということでありますが、私は、プライバシー尊重条項といいますか、これがあることによって抑止ができるだろうというふうに考えております。具体的に、例えば、極めて具体的な問題に立ち至るときでも、私はそれなりの手続きを踏むということで問題はなかろうという判断をしておりました、この問題については。

朝日新聞

手続きというのは、具体的にはどういう…。

市長

ですから、「プライバシーをまず尊重しなければいけないよ」「最終手段だよ」ということで考えればよろしいかなと思っております。

それから、これは、私の基本的な考え方は、消防もそうでありますが、こういう犯罪からまちを守るというのは、これは市民自治の1番の原点になければいけないことだと。ですから、市民活動がもちろん活性化していくということについて市がサポートしていくということが大事なのだという役割を規定させていただいたつもりであります。

ですから、今までは何でも市がやったり、警察がやったりということではなくて、やっぱり自分たちの安心・安全なまちづくりをするためには、非権力的な方法で、市民がしっかり地域のことについて関心を持ち続けていくといったことが何よりも大事だということを規定したつもりでありますので、当然、その条例の趣旨からいって、いつでも警察に頼らなければならないというような内容ではないというふうに私は考えているところであります。

それから、バスの関係でありますが、今は最終段階になっておりまして、補助基準についての一応の枠組みといったものは各事業者の皆さん方にご了解を得ているようであります。

その中で、個別の路線、営業所単位等々をどういうふうに当てはめるかということについての、ほぼ最終段階に今来ているというふうに私は報告を受けております。今月中に過年度分の補助金等については決定できるというふうな状況になると思います。今後は、路線の縮小だとか配置等について、これまで分析してきた結果を基にいたしまして、市民の皆さん方とも議論をしながら、路線のあり方についての議論をしていくように新年度には発展していくだろうと、このように思います。

朝日新聞

それに関しまして、議会でも担当部長さんのほうから、現在やっている調査をもとに、まちづくりを絡めた総合的な交通政策を考えるための計画づくりをやっていくというご意見もあったのですが、それについてはどのくらいのタイムスケジュールでお考えでしょうか。

市長

当然、バスというのは生活文化の拠点をどう守るかという問題でありますので、そんな意味において、バスという方法がいいのか、そうではなくて、ほかに代替輸送手段があるのかというふうなことも含めて議論をするということに、多分、なってくるのではないかなと。断定的ではありませんが、議論の過程としてはそういう議論もあり得るのではないかということを私は考えております。これは、もちろん、事業者の皆さん方と地域住民の皆さん方の必要度についての認識等をしっかり議論しながら、まちづくりのあり方ということと交通手段の確保といったことが相まって議論されるべきことだろうと、こんなふうに思います。

入札談合等関与行為調査委員会の調査結果を受けての対応について(7)

北海道新聞

すみません。また談合の話に戻ってしまって、しかも長くなって申し訳ありませんが、市長が、今、質疑応答の中で冒頭でおっしゃっていた話として、技術系の職員が事業のレベルを高くしておきたいということを市長は力を込めておっしゃっていました。一方で、別の質問では、天下りの関係とか指摘があるということもおっしゃいました。今回の案件が、例えば、業界に天下りということを、そのまま当てはまるかどうかは別として、今まで明らかになった官製談合はほとんどのケースで、いわゆる行政側から業界への人の天下りというのがあり、業界側からは仕事を割り振ってもらうという、そういう期待が裏表であってというのが今までの案件では多いケースだったと思うのです。その意味で言うと、高い仕事のレベルを求めるためにというのは市役所の言っている建て前にあまりに寄った考えではないかと感じていて、むしろ、本質は、役所の側から言うと、業界を仕切る、そして、そのかわりに人をとってもらう、業界の側から見ると、人を送り込んでもらい、それに見合う仕事を割り振ってもらうという期待感、こういうことが僕は問題の最大のポイントなのではないかと思うのですけれども、そこをあらためて認識を伺いたいと思います。

一方で、例えば、技術力とかというのであれば、入札に技術力を評価する仕組みをつくればいい話であって、この問題とは別ではないかと思ったので、そういう質問をしました。

ちなみに、これから先、税収の伸びが期待できなくて、事業の発注量もどんどん減っていくというか、増えていく見込みはなく、業界は非常に苦しいと思います。そういう意味では、官製、民間ということに限らないで、いわゆる談合の起きやすい環境というのは引き続き残っていくのではないかと思うのですけれども、そちらについてどのようにお考えなのか。

この2点をお願いいたします。

市長

先ほど申し上げたのは、技術力についてが動機の一部をなしているのではないだろうかという分析の中で申し上げているわけで、それがオーケーというふうに言っているわけではございません。

もし、それが理由だとすると、私は、それは公務員として一方の理念だけの話であって、われわれはそれを実現するために、しかも、それはいいものを安くつくらなければいけないのだという、その方法として選ばれている、われわれに与えられている手段というのは競争入札しかないのだと。ですから、これがしっかり機能するということを追求していくのが、コンプライアンスといいますか、法による行政を担っている公務員の仕事なのですね。ですから、一方の技術者だけの面を言ったのでは始まらないよと。そもそも競争入札制度ということを全否定することになりかねない話になりますので、そういう考え方をもしお持ちであるならば、それはやめてくださいということを申し上げているわけです。

もう一方、多くの事件が天下りとの関係が指摘をされているというのは、それは私も承知をしております。ただ、今回の問題についてはそのことについては確定できないという判断をちょうだいした上で、しかし、断定はできないけれども、もしそのような要素があるとすれば、あるいは、多くの場合、そのような先輩、後輩、あるいは再就職先の確保云々ということでの談合体質が温存されることになれば、これは断ち切らなければならないということでありまして、営業の5年間の禁止とか、多分、そういうメリットが、営業行為をやって、仕事なり情報をちょうだいできるというふうなことを狙って、このOBを採用するというようなことの経済的なメリットが全くないという状況をつくっていくことが私は大事なことだろうということで、さまざまな対策の中にそれを盛り込まさせていただいたと。

憲法22条の居住・移転、職業選択の自由がございますので、全面禁止というわけにはなかなかいかないのは、これはもどかしいところではありますけれども、しかし、全くメリットがないことは人間はやらないという、あるいは企業はやらないという経済原則というか経験則にわれわれはのっとって、防止できることを策として、このことを非常に大きく取り上げさせていただいていると。

それから、議会でも問題になりましたけれども、やはり、談合というのは、分からないようにやるのが談合であります。分からない、秘密なのですね。ですから、それをあからさまにしてくるという作業はものすごいエネルギーが必要です。そして、決定的なのは、やはり本人の供述しかない。それが最大の事件を解明するということでありますので、この公益通報制度といいますか、公益通報者保護制度といったものをより活用しやすい、そして自分の立場が困るのでだまっていようというふうな文化を廃するものにしていくための制度をつくっていきたい、こんなふうに考えているわけであります。

(以上)

この内容については、重複した言葉遣いや、明らかな誤りがあったものなどを整理した上で作成しています。

(作成:札幌市広報課報道係)

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