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更新日:2011年3月1日

平成19年度第10回定例市長記者会見

日時 2007年9月27日(木曜日)14時~
場所 記者会見室
記者数 20人

冒頭、市長から下記の話題について発表しました。

引き続き、次の話題について質疑が行われました。

発表内容

「ミュンヘン市への出張に伴う帰国報告について」

ミュンヘン市との姉妹都市提携35周年ということで、この記念行事の一環といたしまして、(平成19年)9月18日から24日までの7日間、ドイツのミュンヘン市、そして近くのボン市、両市を訪問してまいりましたので、そのご報告をさせていただきたいと思います。

まず、ミュンヘンでの記念式典でございますけれども、9月20日にミュンヘン市のウーデ市長のご招待を受けまして、ミュンヘン市の新市庁舎内の会議室におきまして、大変フレンドリーな雰囲気の中で執り行うことができました。

新市庁舎といっても、140年たっている建物でございますので、皆さま方もご承知かもとも思いますけれども、非常に古い建物でございまして、歴史を感ずる、そんな素晴らしい建物でございますが、そこの会議室ということでさせていただきました。会場になりましたこの会議室が、実は35年前に板垣市長と当時のミュンヘン市の市長との間で姉妹都市の提携の調印をした、まさにその部屋だというふうに聞かされまして、あらためてこの35年というものを感じ、この間交流の火をともし続けました先人たちの努力に思いをはせたところでございます。

ウーデミュンヘン市長からは、「札幌市との交流は儀典の域を既に超えて、今日的な行政課題を研究し合う素晴らしいものだ」というふうなお話がございました。まさにこれが、私ども札幌市も望む、目指すものでありまして、「姉妹都市交流というものは、かくあるべき」ということを示していただき、私たちの35年のお付き合いも熟度を非常に高めてきているということをお認めいただいたことなのではないかなと、こんなふうに思っております。

今回の訪問でも、その成熟した交流ということの1つの内容といたしまして、環境政策の先進国でございます、「世界のトップランナー」と言ってもいいというふうに私ども尊敬をしておるわけでありますが、このドイツの環境保護について学ぶために、ごみ減量とリサイクルに関する意見交換、そして関連施設の視察などを行ってきたわけでありますので、特に印象に残ったものについて、若干、お話をさせていただきたいというふうに思います。

札幌市、ミュンヘン市、両市の環境への取り組みを報告し合う「環境セミナー」というものを設けさせていただきましたが、私からは札幌市の取り組みを幾つか紹介させていただきました。

1つは、食用油の回収をして、それをバイオディーゼルカー燃料にしていくという実践をしているという報告、それから、定山渓地区の生ごみの回収と堆肥(たいひ)化、そして堆肥を畑で使って、そこで収穫をした野菜等を観光客、お泊まりの皆さん方に提供すると、こういうリサイクルをやっているわけでありますが、その報告、さらに学校給食におけますフードリサイクル、子どもたちが給食の残飯を集めて、これを堆肥化したものを農家で使っていただきまして、そしてそこでできた食物をさらに給食で使い、子どもたちがそれを味わうと、こういうフードリサイクルの報告もさせていただきました。
ドイツ・ミュンヘン市の皆さん方からは、特に、この学校給食のフードリサイクルについて非常に高い評価をしていただきました。「大変進んだ取り組みをしている」というふうに、評価をいただいたところであります。特に私どもが、環境教育というふうなことに関して、学校でのフードリサイクルといったことが非常に効果を挙げているのだということを申し上げたところであります。子どもたちが、残飯の行方がどういうふうになるのかということをしっかり見つめて堆肥化をする、またそれがくるりと回って自分たちの食卓に上がってくるということを学ぶ中で、この残飯、残食というのでしょうか、食べ残しが有意な減少をしているということもございます。それも、環境教育の一環であり、またそのことが、子どもたちがしっかり大きくなる、あるいは家庭に帰って地域の中でさまざまな環境活動をしていく非常に大きな動機付けになっているということについて、われわれの取り組みについて高い評価を受けたと。

「できればドイツでもやりたい」というふうなことをおっしゃっておりましたけれども、残念ながらドイツでは給食制度というのがあまりないようでございます。学校給食という形ではなくても、教育の一環として、子どもたちと一緒に生ごみの問題について考える、そんなことを取り組んでいきたいと、こういうふうなお話であったというふうに思います。

また、「リサイクルデパート」と、それから、生ごみを乾燥化して資源化する施設を視察させていただきました。

特にリサイクルデパートでございますが、テレビ、パソコンなどの家電から、家具、食器、自転車など、あらゆる日用品がそろう総合展示場になっておりましたが、これらは市民が自ら分別をいたしまして、資源ごみ回収拠点に持ち込んだものを展示するということのようでございます。家具のリサイクルについては、札幌市でも大型ごみで出されたものを少し手直しして、そしてリサイクル市場に回すということをやっておりますけれども、これほど多種多様な廃棄物をリサイクルに回すということについては、非常に参考になったと、非常に驚いたところもございますけれども、札幌市でももう少し幅を広げたことができるのかというようなことで参考にさせていただくというふうに考えたところでございます。

もう1つ、観光の側面で、このミュンヘン市が世界に誇ります、毎年600万人という人々が訪れるというふうに言われております世界最大のビール祭りでございます「オクトーバー・フェスト」の初日、開幕式に参加をするという貴重な経験も積ませていただきました。

会場は、42ヘクタールにも及ぶ広大な会場でございまして、日ごろは何もない空き地にしているということでありますが、このオクトーバー・フェストのためにそれが活用されて、巨大テントのビアホールが全部で14も立ち並ぶというところでございまして、どのテントも数千人の人々であふれ返ると、こういうふうな状況の中でビール、そしてそのビールを収穫した喜びを分かち合うというようなことが行われているわけであります。特に、最も大きな「ホーフブロイハウス」というのがございまして、このビアホールのテントでは、1万もの座席が用意されておりまして、それが常時満席と、こういうふうにお聞きいたしまして、びっくりして帰ってきたと、こういうふうなことでございます。

私は、バイエルン州の首相ご夫妻と、それからミュンヘンのウーデ市長ご夫妻と同じテーブルに着かせていただきまして、楽団の演奏に合わせて、みんなで歌を歌いながらビールを乾杯すると、こういう騒然とした中でありますけれども、そういう体験をさせていただきました。参加者が一体となって会場の盛り上がりを演出するという非常に感動的というふうな場面でもあったわけでありますが、札幌のビアガーデン、今では夏の札幌の風物詩というふうになっているというふうに思いますが、大通公園で青空の下でビールをみんなで飲むという夏祭りでありますが、これも100万人から150万人、天気に左右をされますが、毎年お客さんがおいでになる、市民が参加する、観光客にも喜んでいただけるということでありますけれども、それの数倍の規模を誇るオクトーバー・フェストの地域の一体感といったものを獲得するのに非常に貢献しているものだなというふうなことを考えましたのと同時に、みんなで歌を歌ってビールを飲むというのは非常に面白い、そんなこともございまして、札幌のビアガーデンでも、みんなで札幌とビールの関係を歌い上げる、そんな歌ができるといいなというようなことを考えた次第でございます。多分、誰かに提案をして、それに乗ってくれる方がおられれば、また、歌を歌いながらビールを飲むというふうな文化もひとつできるかもしれない、そんなことを楽しみにしながら帰ってきたところでございます。

また、このオクトーバー・フェストの会場内のごみ処理状況、これも視察の対象でございまして、この600万人の方々がビールを飲み、そして名物の鶏料理を食べた残り、そして食器といったものがどのように処理されるかということが、1つ注目の対象であったわけでありますが、使い捨て食器は一切使わないということは徹底をされておりました。食器洗いに回すわけでありますが、その食器洗いの電源も仮設テントに設置された太陽電池から供給をするというふうな徹底ぶりでございます。また、食器類の洗浄水、これはただ捨てるのではなくて、これもそんなに取り組みは昔からではありませんけれども、1999年から、トイレの水に再利用するというふうなことが工夫をされておりました。徹底的に環境に配慮したイベントづくりというふうになっておりまして、環境に対する意識の高さと、それをまたやり抜くドイツ、ミュンヘンの方々の実力といったものも感じ取ってきたところでございます。

このミュンヘンとの姉妹都市提携30周年を記念した「ミュンヘン・クリスマス市」が、この大通公園で毎年11月の末から始まりますが、そこでも私たちは「使い捨ての食器をやめよう」というふうなことを学んで、ドイツ流の、ミュンヘン流の文化をそこで実践していこうということを今取り組んでおりますが、こういう取り組みが本当に広がるように、いろいろな動機付けをわれわれにまた与えてくれたというふうに感じたところでございます。

今回の、先ほども申し上げましたドイツ訪問では、ミュンヘン市のほかに、エネルギー政策に力を入れております、そしてまた、国連の機関もあるということで、ボン市に訪問させていただきました。

ボン市では、「ペンネフェルド・スクールセンター」という、学校が複合的にあるスクールセンターを訪れまして、そこが木材のチップを利用したバイオ暖房施設で稼動しているということをお聞きいたしまして、そこを視察させていただきました。3つの学校と2つの体育館で使用する熱の80%を、このバイオ木材のチップを燃焼させることによって賄っているというものでございまして、長期的には非常な経済的なメリットも見込まれるということと、それから木でありますので、切った、あるいは廃棄をされている、あるいは間伐材といったものを利用することによって、より環境に優しいエネルギー源になるということの利用でございます。

北海道にも、森林資源は非常に豊富でありますので、十分工夫をすることによって、こうした施設に、木材のチップを燃やすというようなことで暖房対策を取ることができるのではないか、そんなことも感じながら帰ってきたところでございます。

また、ボン市役所にもお伺いいたしまして、フィンガー副市長さんと意見交換をさせていただきました。特に、ボン市では、条例を作りまして、新たに家を建てる場合には自然エネルギーの導入を義務付けるというようなことも、今やられているというお話を非常に興味深く聞かせていただきました。地球温暖化、地球環境問題というのは、まさにグローバルな問題でもあります。今後、お互いに協力をし、このボン市とも交流を図っていこう、情報交換をしようというふうなお約束をさせていただいた、大変有意義な話をすることができたところでございます。

さらに、このボン市にございますユネスコのドイツ支部にもお伺いいたしまして、オッフェンハウザー副事務局長と、環境教育についての意見交換を行ったところでございます。

ドイツのユネスコでは、優れた環境教育プログラムというものを認定いたしまして、その認定をされた環境プログラムに対し、ユネスコのロゴマークの使用を許可すると、こういうふうなことをやっておられます。このロゴマークをもらうことによって、自分たちのさまざまな活動をアピールする、そういうことが非常にスムーズになったというふうなことでございます。環境教育の広がりというものを促すために取り組みをしっかりやっておられるようでございます。ユネスコとしては、このロゴマークを使うことを許諾するということだけで、お金をあまり使わずに効果が期待できるという、興味深い取り組みであるというふうに感じ取ったところでございます。

以上、簡単ではございますけれども、今回のドイツの出張についての報告とさせていただきたいというふうに思います。
今回のドイツ訪問は、私に大きな驚きと感動と、そして新たな自信も与えてくれた、そういう貴重な経験となったというふうに総括をしているところでございます。ミュンヘン市から学んだ環境に対する知恵と精神というものを、札幌の環境施策やイベントづくりにも生かしていきたいと、こんなふうに考えているところでございます。

「平成19年第3回定例市議会について」

この議会では、18年度、昨年度の決算を審査していただく決算議会というふうに位置付けられておりますけれども、決算のほかに、補正予算や12件の条例案などをご審議いただく議会でございます。このうち補正予算では、かねて懸案となっておりました、清田区に大量放置された産業廃棄物を、行政代執行することによって撤去するための費用を計上させていただきました。

この件につきましては、多額の費用が掛かるということで、慎重に対応を検討してきたわけでありますが、このたび、産業廃棄物の処理については「産業廃棄物処理事業振興財団」から、そして自動車関係の廃棄物につきましては「自動車リサイクル促進センター」から、それぞれ撤去費用のうち75%と80%を支援していただくことができるということの見通しが立ったということでございます。この場をお借りいたしまして、この両財団に感謝をしたいというふうに考えているところでございます。

また、この支援制度の適用に当たりご尽力をいただきました経済産業省、環境省の両関係各位にも深く感謝を申し上げたいというふうに考えているところでございます。

不法投棄に対しましては、5月25日のこの場所での定例記者会見におきまして、「不法投棄撲滅緊急宣言」というものを発表させていただきました。強い姿勢で臨む決意を表明させていただいたところでございます。このたびの行政代執行によりまして、その宣言が単なる形式的、あるいはカラ文言ではないということを証明させていただきたい、このように思います。

この議会での議決を受けて、この代執行でございますが、年内にも撤去作業を完了するとともに、放置者本人の責任追及についても、関係機関との協議を進め、厳しい姿勢で臨んでいくという考え方でございます。

また、この議会との関係では、昨日(9月26日)の本会議で、市議会議員への費用弁償を廃止するための条例案が議決をされました。この問題につきましては、私からもこの場でも申し上げましたけれども、「市民の皆さんの評価を踏まえて、早く結論を出していただきたい」と、このように要望していたところでありますけれども、市議会の皆さんが真摯(しんし)に議論を重ねられまして、結果として「費用弁償の廃止」という決断をされたことには心から敬意を表したいと、このように考えております。

今回の費用弁償の廃止によりまして、当初計上しておりました予算のうち、約4千万円の不用額が発生をすることになりました。これは、市議会の皆さんの英断により生み出されました貴重な財源でありますので、私といたしましては、この不用額を単に減額をして、厳しい財政の中で借金等の穴埋めをするのではなくて、経済的な理由で就学困難な学生や生徒の皆さんへの奨学金の原資として有効に活用させていただきたい、そんなふうに考えているところでございます。今議会の中で、補正予算を追加提案させていただきたいと、このように考えている次第でございます。

「『スリムシティさっぽろ計画』の素案策定について」

札幌市におけるこれからのごみ減量・リサイクルの方策などについて、「札幌市廃棄物減量等推進審議会」で2年間にわたりまして審議をしていただきました。そして、市民の皆さま方からのご意見等も踏まえまして、ことし(平成19年)の3月にこの答申がまとめられたところでございます。

ごみの問題は、今日、人類にとって大きな課題となっております地球温暖化問題への対策として避けて通れない重大問題でございます。この地球環境問題への対策に貢献し、そして「環境首都・札幌」を目指すためには、ごみそのものを減らすということが大変重要であると私は考えているところであります。

私は、このたびの選挙において、マニフェストといたしまして、清掃工場1カ所の廃止を目指して、焼却ごみ24万トンを減量するという大きな目標を掲げさせていただきました。この目標の達成には市民1人1人の力を結集しなければならないと、このように思っているところであります。

そこで、環境負荷の低減や埋め立て地の延命化、ごみの処理費用の削減をするために、札幌市としてどのようにごみ減量・リサイクルを推進するかということを検討し、このたび、平成20年度から29年度までの10年間を計画期間といたしました「札幌市一般廃棄物処理基本計画『スリムシティさっぽろ計画』」の素案というものをご提示させていただくことになったわけであります。

この素案では、まず、平成22年度までに、清掃工場、これは具体的には篠路清掃工場をイメージしているわけでありますが、この清掃工場の建て替えの要否が判断可能となる焼却ごみ16万トンを減量する、そして家庭からの廃棄ごみを1人1日当たり500グラムまでに減らすということを目指すものであります。これらを達成するために、「雑がみ」を分別収集し資源化するなどの、ごみ減量・リサイクルの新たな取り組みを盛り込んでいるものでございます。そして、この施策の効果を最大限に引き出して、ごみ減量・リサイクルを強力に推進するために、家庭ごみ有料化は有効だというふうに判断をいたしまして、ごみ減量施策と有料化を併せて実施することを市民の皆さま方に提案するものでございます。
家庭ごみ有料化は、ごみ減量の努力、排出量に応じて手数料を負担してもらうということでありまして、ごみ分別の動機付けを働かせて、より多くの市民に積極的にごみの減量・リサイクルの行動を喚起するということにあるわけでありますが、このことによりまして、ごみ問題や環境問題に関する意識というものが高まることも期待をするものであります。また、ごみ排出量の多い人と少ない人との間で、費用負担の公平性を確保できるようにするという、そういう側面もございます。

有料化で納められました手数料は、財源不足を埋めるために使うのではなくて、新たなごみの減量、そしてリサイクルの促進や環境教育、あるいは普及啓発の充実、さらには地球温暖化防止に向けた取り組みなどに充当させていただく、こういう考え方でございます。

今回、札幌市としてまとめましたこの素案を基に、地域での市民との意見交換会を約300回開催し、市民の皆さん方に丁寧に説明を申し上げて理解を求めていきたいと考えているところでございます。また、パブリックコメントや市民意識調査なども並行的に実施をさせていただくと、こんな考え方でございます。

ごみ減量に市民がこぞって取り組むということは、「目に見える市民自治」と言うこともできると思います。これまで4年間取り組んでまいりました市民自治、市民自身がみずからの街の主役になって、「自分たちに課せられた問題を自ら解決していくのだ」、そういう運動を展開させていただき、また、ことしの4月から「自治基本条例」が効力を発生いたしました。そんな札幌のまちづくりの中において、この市民自治の実践の場として、ごみの減量の問題を市民とともに札幌市役所一丸となって頑張っていきたいというふうに考えているところであります。まさに、目に見える市民自治ということを実践する中で、より、ごみの問題も含めて環境問題、そして自分たちのまちづくりに多くの皆さんが興味関心を持ち、そして参加していただくことを心から期待を申し上げたいと、こんなふうに考えているところでございます。

また、この目標の達成を目指すということは、ごみ減量・リサイクルに関しての日本のトップランナーを目指すということでもございます。市民の皆さんと一緒に、日本一の環境都市の実現に向けて、先頭に立って取り組んでまいりたい、こんなふうに考えているところでございますので、ぜひ、多くの皆さま方のこの素案に対するご批判、ご検討といったものを。皆さま方のお力も借りながら市民と共に考えてまいりたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたい、このように思います。

配布資料

質疑内容

「『家庭ごみ有料化』について(1)」

北海道新聞

ごみの有料化についてお伺いしたいのですが、ずっと、市民のご意見というのが、賛成、反対でほぼ拮抗(きっこう)している状態だと思うのですが、こうした中で、なぜ今、有料化を市民に問うという決断をされたのかということと、また、これから市民意見交換会を開くということですが、反対意見を持っていらっしゃる方は、どのように納得してもらうように説明するのかと。また、現在ある反対意見について、市長ご自身がどういうふうにお考えになっているのかというところをお聞かせください。

市長

ごみの問題は、潜在的に多くの議論がなされ、そして、「有料化」ということに着目をして賛成、反対というふうな議論がたくさんあることは十分承知をしているところであります。しかし、これは、有料化ということを取り上げて考えるのではなくて、環境問題、ごみ問題をどうするかということについて、私たちも、これ以上放置できない、現状のままでは立ち行かない状況にあるというふうな認識の中で、この問題を解決するときに、有料化をすることによって減量化をしていただける動機の1つになるということも1つございますけれども、それ以上に、現状のわれわれの財政の体制から言いまして、これ以上の減量化を進めるためには相当額の経費が必要になるというふうに私たちは考えております。

そういう意味で、この減量をするため、減量施策を取るために、新たな財源も必要だというふうな考えの中で、私は、市民の皆さま方にそのことをしっかりご理解いただくための努力をしていきたいと、こんなふうに考えているところであります。

北海道新聞

反対意見についてはどう思われますか。

市長

これまでも、新聞等に、この問題について少し報道された経過があって、札幌市にも市長あてのメール等々で、いろいろなご意見を早速お寄せいただいている市民の方もおられます。「反対する」というふうなお話もございますけれども、それは、単に反対ということだけのお話ではなくて、やはり、この問題は非常に重要な問題であると、よくよく考えていただける方々のメッセージ付きの「できることなら今まで通り負担がない方がいい」というふうな種類の反対論が多いように思います。

ですから、これから、私たちが今何をしようとしているのか、ごみの現状、そして、これからどうしていくべきなのかということについて総合的な施策をご説明し、われわれの選択できる方法といったものは、この有料化ということが非常に大きな原資になるのだと、そういうごみ減量化の施策を展開するために必要なのだということをご理解いただければ、「有料化そのものに反対」というふうなことも少しお考えを変えていただけるのではないだろうか、こんなふうに期待をしているところであります。

「『家庭ごみ有料化』について(2)」

北海道新聞

引き続き、ごみ有料化なのですけれども、まずは、市長として、有料化を決断されたということではまだないということでいいのでしょうか。そこをまず確認したいのです。

市長

(「スリムシティさっぽろ計画」の)素案の施策を徹底的にやるという場合には、有料化は必然であると、こういうふうに考えております。

北海道新聞

それから、これはこれからの作業になると思うのですけれども、今後のスケジュールですね、実施時期。多分、市民にとっては、いつから始まるのかという辺りが一番関心のあるところだと思うのですけれども、その実施時期というのは、見通しとしては、早ければいつごろからというのは。

市長

(平成19年)11月から、市民の皆さん方、(単位)町内会あるいは連合町内会の皆さん方等も含めまして、(意見交換会を)300回という計画を立てておりますけれども、これは、年明けの2月ぐらいまでは多分かかるだろうというふうに考えております。併せて、パブリックコメントということもございますので、そこら辺がまとまるのは、また少し時間がかかるかなというふうに思っております。

そういう手続きを経て、条例案を作り、そして提起をさせていただくと。あるいは、22年までにわれわれがやらなければならない目標がございますので、それとの関連でいつごろからということを逆算してみますと、そんなに余裕はないというふうに私は思っております。

北海道新聞

2年とか3年とか、それぐらいのスパンと考えていいわけでしょうか、実施時期は。市長の描いているプランでは、早ければそれだけいいのでしょうが、条例を提案して、議会の承認を得て、それからということになると思うのですけれども。

市長

そうですね。

これは、条例を問うてから周知徹底するのに相当時間がかかると思います。そういう意味では、今、もう年度の半ばを過ぎるわけでありますので、しかるべき時期ということになろうかと思います。

北海道新聞

先の統一地方選挙で対立陣営になった方は無料化ということを打ち出していらしたと思うのですけれども、市長はここについては言及がなかったと思いますが、有料化とも無料化とも言わなかった。これについて、むしろ、もしこういうふうに有料化という流れがあるのであれば、そのときにやはり有権者に問うべき、有料化か無料化かを。そして市長としてはこういう考えであるということ、そうやって対立する軸としてすべきだったのではないかという議論もあると思うのですが、ちょっとまた振り返っての話になってしまって恐縮ですけれども、その辺はどういうご見解でしょうか。

市長

これは、「ただがいい」「有料化がいい」という、それだけのことを際立たせて議論をするというのは、非常に感情的な問題になるというふうに思います。そうではなくて、「今、何をしなければならないか」「どういう現状にあるのか」ということも含めて、しっかりとしたデータを分析し、それをご理解いただくという、そういう作業なしに有料、無料という話は、私は成り立たない話だというふうに考えます。

そんな意味で、(平成19年)4月8日が投票日でございますから、3月の、相当差し迫った段階で(札幌市廃棄物減量等推進審議会の)答申が出たということでありますので、そこで直ちにそれを公約化するというところまではいかなかったというのが現状だと思います。ただし、その答申の内容については公表されておりますので、有権者の皆さん方は、十分そのことを踏まえながら、私が言及をしなかったことも含めてご理解いただけたのではないか、そんなふうに思います。

「『家庭ごみ有料化』について(3)」

札幌タイムス

有料化の手数料の制度設計というのは、これからに当然なろうかと思うのですけれども、(札幌市廃棄物減量等推進)審議会では、配慮事項の1つとして、「具体的な制度設計に当たっては市民参加が必要である」という話がございました。その審議の中では、「一定限度を無料にして、それ以上について有料化してはどうか」というような話も出て、それも選択肢の1つではないのだろうか、市民議論の中で生まれてくる可能性があるというような話でしたけれども、そういう点もこれからの論議になるのでしょうか。

市長

当然、そういうこともあろうかというふうに思いますけれども、これまで、札幌市だけではなくて、周辺の都市が大方有料化をされております。その有料化をされている料金設定でありますが、1リットル当たり2円あるいは1円というようなところが多いのかなというふうに思います。そういうふうなことから考えますと、それと全くかけ離れた制度設計というのもなかなか成り立ち得ないのではないか、私はそう思います。

いろいろ計算してまいりますと、今、1人当たり、当面の目標は1日500グラムの廃棄ごみにしようと、努力をしようと、こういうふうに考えております。最終的に400グラムまで絞り込もうというふうに考えているわけであります。そうしますと、それが1人当たりになりますが、平均的な世帯というものを考えたときに、おのずから負担する額というのは、お隣の街等々と比較をすると出てくるのかなと、そんな思いはございます。

そういう具体的な想定される価格といいますか、負担額といいますか、そういったものも出した上で、額等についての制度設計といったものもしなければならないのかなと、こんなふうに思います。

「『スリムシティさっぽろ計画』について」

札幌タイムス

(札幌市廃棄物減量等推進)審議会での配慮事項の中で、「スリムシティ(さっぽろ計画)」の中にも書いてあるのですが、「清掃事業の効率化を進めます」と、「収集業務の効率化を進めます」ということで、民間委託ですとか、その辺について触れられているのですが、直営比率の問題に触れられていますけれども、この辺と、新たなところでは、「さっぽろごみパト隊」ですか、それから「ごみGメン」という形での新たな人の配置も必要になろうかと思います。

全体の中で、清掃業務の、いわゆる市職員の部分を削減されるのか、民間委託も含めてですね、その辺はどういうふうにお考えなのでしょうか。

市長

直営と民間委託は、今、5対5の割合になっておりますけれども、これは削減の方向に行かなければならないだろうと。削減というのは、委託化の比率を高めていく方向にならざるを得ないというふうに思っておりますし、その計画の中にはそのことも盛り込まれているということでございます。ですから、必然的に減るだろうというふうには思います。

札幌タイムス

収集業務そのものは委託化ということで減るというふうに書いてあるのですが、全体のさっぽろごみパト隊、それからまたGメンという形で、当然、一時的に人が必要になるときもあるのだろうと思うのですが、実施、有料化の実施時期ですね。それ以降も、直営、市の職員が直接するのか、ある意味で、現在、たばこのポイ捨てなんかも、業務委託といいますか、そういったさまざまな形でされていますけれども、そういう形で、市の職員を減らす、清掃部門の職員を減らすような形で進められるのか、その辺はどうなのでしょうか。

市長

もちろん、そういう局面もあろうかというふうに思いますけれども、ごみパト隊、ごみGメン等が本当に職員でなければできないかどうかというようなことも含めて、これはこれから制度設計する中で考えていかなければならないことだろうと。単に減らす方向だけで考えようということではなくて、全体のごみ政策の中で必要な人員は確保しなければならないということと、民間でやれる部分についてはやっていただきたいということも含めて、制度設計をこれから考えていくというふうなことでございます。

札幌タイムス

この計画自体が来年度(平成20年度)からになるわけですが、計画と、それから有料化の時期というのは多少ずれるのかと思うのですよね、今のお話を伺いますと。そうしますと、さまざまな施策というのは、来年度から、まず減量化については手掛けられるというふうに考えてよろしいのでしょうか。減量施策ですね。有料化の問題は、これまた議会ですとか、周知の問題がございますけれども、その辺はいかがなんでしょうか。

市長

当然、条例が制定されて、それを施行するまでの間、いろいろ周知徹底をすると。行動様式、分別様式というようなことも習慣を付けていただかなければならないというふうなこともございますので、これは、そういう意味での有料化の実施時期というのはもう少し時間がかかるかというふうに思いますが、問題は、皆さん方に周知徹底して、そういう環境行動を取ってもらうというのは、今からでもやってもらわなければいけないことだというふうに私は思っておりますし、年度をまたぎましても議論はどんどん盛り上がっていくというふうに思いますので、分別をさらにやっていただくということは、政策としては取り組んでいきたいと、こういうふうに思っております。

「市議会議員の費用弁償廃止に伴う不用額について(1)」
「出資団体の職員による不祥事について」

北海道新聞

先ほど市長の方から、費用弁償の廃止に伴う不用相当額を就学困難な子どもたちなどのために原資として使いたいというお話がありました。これは、具体的にどういった形で活用されるのか。約4千万を例えば基金として使うのかとか、あとは一括して使うのかとか、いろいろ使い道はあると思うのですが、どのような形で使われるのか、まずそれが1点。

それと、先日来から、いろいろ新聞等でも報道されていましたが、出資団体の(札幌市)福祉事業団から始まって、今回も旧札幌市健康づくり事業団で相当額の横領があったということで、ちょっと不祥事が相次いでおります。実際、その各局長を通じて対策等を求めている市の姿勢というものもこちらには伝わってはきているのですが、具体的に今、現段階として出資団体の経理のあり方について、市長のお考えをとりあえずお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

市長

不用額でございますけれども、今のところ、私が想定しているのは、札幌市における奨学金制度でございます。その基金がさほど多くはなくて、支援を得たい相当数の学生さんに支給できずにいるという状況もございますので、できれば、その基金を太らせていくというか、豊かにしていく、そういうものにできればいいのかなと、そんなふうに考えております。まだ確定したわけではございませんが、そういう考え方でございます。

もう1つ、出資団体の職員の不祥事でございますが、極めて遺憾な事態が連続してあるということについては、本当に申し訳ないことだというふうに思います。

再発防止のために徹底した対策をとらなければいけないということで、すべての出資団体に、点検と、これからの発生防止という対策をどう取るかということについて、どんなことをやっているかという現状の報告をしていだき、そして、適切な管理が行われるような体制を整えていくということを今やっているところであります。

特に、今回の場合、原本との照合がされていないというのは極めて問題であろうと私は思っております。やはり、そこまで長期間にわたりまして不正を見破ることができなかったという体制というのは極めて問題であるというふうに思いますし、預金通帳等々の現金との突合を原本をもってやるという原則をしっかり実践するということが不正防止になるのだというふうに私は考えますので、そこら辺のシステムを含めてしっかりやらなければいけないという考え方でございます。

北海道新聞

具体的に基金の名称というのは付いているのでしょうか。何々基金というのは。

市長

多分、正確には申し上げられませんが、札幌市奨学基金というものがあるというふうに思います。

北海道新聞

それの増強ということでよろしいのですか。

市長

はい、そうです。

「北海道日本ハムファイターズの優勝パレードの実施について」

北海道新聞

昨日(平成19年9月26日)、劇的な勝利を収めました日本ハムファイターズですけれども、優勝が間もなく近づいております。昨年同様、パレードを行う予定はありますでしょうか。また、仮に日本一を逃した場合でも、パリーグで優勝しただけでもパレードは行いますでしょうか。

また、ことし、ヒルマン監督と田中幸雄選手という功労者が退団するということで、何か特別な内容を用意しているのか。

また、コースを変えられるのかどうか。

その辺りについてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

市長

大変、札幌人、北海道人にとっては好ましい結果が、今、生まれつつあるということで、私どもも喜んでいるところであります。特に、きのうの勝ち方は見事であったというふうに思いますし、皆さんと一緒に喜びを分かち合いたいというふうに思います。

パレードの件でありますが、私どもは今、球団といろいろご相談をさせていただいているところでありますが、基本的にはリーグ優勝をした場合、リーグ優勝を逸しながらもクライマックス(シリーズ)で出場権を獲得し、その上で日本一になった場合という2つの場合を想定して、パレードをやりたいというふうに考えているところでございます。

コースにつきましては、(札幌)駅前通が、ご承知のように、(工事の)機材がたくさん置かれておりまして、不向きであるという状況にあると思いますので、少し工夫をしなければならないというふうに考えておりまして、大通公園を起点に使ってはいかがかというふうなことを今考えているところでございます。

それから、ヒルマン監督は、本当に素晴らしい指導をしていただいた方が退団されるということが報道されておりますし、田中幸雄選手も2000本安打、本当にこつこつと頑張っていただいた選手でございますので、われわれの感謝の気持ちをどういう形で表すことができるかということも考えておりますけれども、11月25日に「ファン感謝デー」がございます。その際にでも、何か、私どもから気持ちを表すことができればというふうなことも考えさせていただいているところであります。

北海道新聞

(パレードの)時期は、ファン感謝デーの前でしょうか。

市長

パレードはその前になるというふうに思います。

北海道新聞

大体、昨年と同じような時期(11月中旬)にということでしょうか。

市長

ただ、天候もございまして、もう根雪になっているというふうになりますと、本当の吹雪だとしゃれにならないということもありますので、ちょっとお天気を眺めながら、球団ともいろいろご相談させていただきたいなと、そんなふうに思っているところであります。

「普通浴場の下水道使用料について」

STV

普通浴場の下水道料金の負担の件なのですけれども、(札幌市営企業調査)審議会から「負担させるべきではないか」という答申がございましたが、これを受けて、いつごろにまたそういうご判断をされるおつもりかということと、その内容が大型の銭湯の負担率が高くなるということになりますが、その目的というのは、中小の銭湯を守るためというふうに理解してよいのかどうかを教えてください。

市長

ご質問の件は、きょう(平成19年9月27日)、審議会の総会がございまして、下水道部会での答申案を総会で報告し、議論していただき、そして、先ほど、11時ごろでしたでしょうか、答申書をちょうだいいたしました。

これによりますと、今おっしゃいましたように、累進性と言うのでしょうか、たくさん使うところは負担が重く、小規模のお風呂屋さんといいますか、在来のお風呂屋さんの場合には負担が少なくということにしなければ立ち行かないというような状況も考えるべきだというようなことが付記をされておりますので、おっしゃったように、そういうことを踏まえて、われわれの社会の中の公衆衛生の上で非常に大事な設備でもありますので、時代の変化をしっかり見ながら、その必要性の度合いというのもそれなりの重みを持っているわけでありますので、生きていけるように、これが原因で仕事、営業ができなくなるということにならないような配慮はしなければならない、こんなふうに思っているところであります。

STV

いつごろまでにご判断を。

市長

これから、詳しい制度設計については、庁内議論をしなければならないという状況でありますので、いつごろになるのか担当部局に準備の程度を聞いてみなければ分かりませんので、申し訳ありませんが、部局でお聞きいただければ、少しは見通しが立つかもわかりません。

「市議会議員の費用弁償廃止に伴う不用額について(2)」

北海道新聞

先ほどの費用弁償の削減相当額の基金のお話ですが、ちょっと1点聞き忘れたので市長にお伺いしますが、今回、そういう基金に増強しようという、そういう思いに至った経緯と、例えば、先日来、議会のほうからそういうふうに何か有効活用できないかという声もあったようにこちらの方では伺っております。市長がそのように思いに至った決断の理由というのも1つお伺いしたいと思います。

市長

単に不用額を一般財源の中に繰り入れてしまっては、何に使われたか分からないというのはちょっともったいないなというふうな思いがございまして、今の格差社会と言われております中で、子どもたちの学習意欲だとか、それを支える家庭の皆さん方の大変さとかというふうなことを考えますと、子どもがこの札幌で学び育つことに役立てるのが、議員先生方のご英断にも応えることができるのではないか、そんな思いで決断をさせていただいたということでございます。

(以上)

この内容については、重複した言葉遣いや、明らかな言い直しがあったものなどを整理した上で作成しています。

(作成:札幌市広報課報道係)

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