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更新日:2011年7月7日

平成17年度第18回定例市長記者会見

日時 2006年2月7日(火曜日)14時30分~
場所 記者会見室
記者数 24人

冒頭、市長から下記の話題について発表しました。

引き続き、次の話題について質疑が行われました。

発表内容

「平成18年度予算・定数・機構編成について」

予算・定数・機構編成の総括

平成18年度は、施政方針であります「さっぽろ元気ビジョン」を実現するための計画でございます元気プランの仕上げの年となります。計画に位置付けをいたしました施策や事業は、ほぼ達成できる見込みでありますが、それらを補強する事業につきましても積極的に取り組んでまいります。そういった意味で、さまざまな取り組み成果をより多くの市民の皆さんが実感し、共感の輪が広がるよう、「実感を共感する年」というふうにしたいというふうに考えているところであります。
また、厳しい財政状況を踏まえまして、「財政構造改革プラン」などを着実に実行し、事業の選択と集中を進め、さらに、指定管理者制度や規制改革を推進し、引き続き市民サービスの向上を図ってまいりたいと考えているところであります。

次に、予算総額についてでございますが、一般会計が7840億円、特別会計が4604億円、企業会計が3032億円、合わせますと1兆5,476億円、こういうことになります。

組織・体制についてでございますが、昨年は本庁機構を中心に体制強化を図ったところでありますが、18年度は区役所の体制を強化いたします。また、財政局税政部に特別徴収事務を集約いたしまして、事務の効率化を図ってまいります。

次に、職員定数でございますが、17年度は15、245人でありました職員定数ですが、260人減をいたしまして14、985人といたします。

予算の概要

[予算のポイント]

まず、「持続可能な財政構造への転換」についてでありますが、札幌市を取り巻く財政環境は、地域経済の回復の遅れなどから市税収入の伸びが期待できず、その一方で、扶助費や国保会計への繰出金などが増加をしておりますことから、18年度予算編成では、当初からおよそ200億円の収支不足が見込まれるなど、極めて厳しい状況でありました。
このために、16年度に策定いたしました「財政構造改革プラン」に基づいて、歳入歳出の両面にわたる見直しを加速させる必要があるというふうに考えまして、事務事業の見直しや事業の重点化を徹底的に進めた結果、目標の265億円を上回る273億円の効果を挙げることができました。

また、これに伴いまして、一般会計全体の予算規模としては、17年度に引き続いて2年連続の縮減ということになりました。

また、将来世代に過度な負担を残さないという観点から、市債の計上額を3年連続で縮減していくということとともに、昨年初めて減少に転じた市債残高についても2年連続で減少とするなど、財政構造改革に向けた取り組みは着実に成果を挙げているものというふうに考えております。

次に、「重要な政策課題への重点的な予算配分」でございますが、全体の予算が縮減する中においても、「新まちづくり計画」に位置付けをいたしました施策や事業については、前年度を上回るなど、積極的な予算配分を行いました。

また、特に「子育て関連」だとか「都市再生」、そして「市民自治」といった札幌市の将来につながる施策については、力点を置いて予算配分だとか、仕組みづくりといったものを行うとともに、市民生活の利便性や安全性を高める施策についても充実を図るなど、全体的にめりはりを付けた予算となったものと考えております。

[元気な経済が生まれ、安心して働ける街さっぽろの実現に向けた施策]

まず、「札幌元気ファンド」については、昨年ベンチャー企業向けに設立いたしましたけれども、既に多くの問い合わせをいただきまして、3社への投資を行うなど着実に成果を挙げております。新年度は、現在のファンドでは対象となりません株式上場を目指さない中小企業を対象とするもう1つのファンドを官民共同で立ち上げてまいりたいと考えております。

構造不況業種対策といたしましては、中小建設企業などが新分野へ進出したり経営効率化に取り組む場合の新たな補助金を創設するほかに、公共工事の入札において、地元企業の受注機会をより一層確保するために、共同企業体を結成する際の地元要件というものを強化するなどの対策に取り組んでまいります。

関連する事項といたしまして、公共工事の入札に係る透明性、客観性、そして競争性というものを一層向上させるために、新年度から一般競争入札を順次拡大いたしまして、平成20年度からは原則として一般競争入札とするなど、談合の防止に向けた入札制度の改善を図ってまいりたい、このような予定をしているところであります。

また、これまでJR札幌駅において北海道と札幌市がそれぞれ別個に行ってまいりました観光情報の提供などを一体化いたしまして、オール北海道の体制で道内市町村の特産品などを展示・販売する「観光と食」の拠点施設を北海道と連携して整備してまいります。

[健やかに暮らせる共生の街さっぽろの実現に向けた施策]

少子化対策につきましては、新年度予算において私が最も意を用いた部分でございます。まず、市内の児童会館のうち20館で夜間の自由来館日を設けまして、中高生の新しい居場所と活動場所づくりに取り組むとともに、小学校の空き教室を利用いたしましたミニ児童会館を、地域での要望状況などを勘案して、新まちづくり計画を大きく上回ります8カ所で整備いたします。

また、保育と幼児教育の機能を併せ持った総合施設の整備に向けた調査を行い、具体化に向けて検討を進めてまいります。

これまで計画的に設置を進めてまいりました地下鉄のエレベーターなどについては、新たに2駅の整備に着手するとともに、20年度中にはすべての地下鉄駅への設置を実現するべく、新たに3駅の設計を行います。

また、障がい者の自立につながる就労を支援するために、地下鉄大通駅コンコース内に、障がいのある方が作った製品を販売する、あるいは活動の発信の場となります「元気ショップ」というものを整備いたします。

[世界に誇れる環境の街さっぽろの実現に向けた施策]

まず、みどりの関係でありますが、来年度は、札幌市の木として市民に愛されておりますリラ、ライラックを、公共施設はもちろん、市民や企業の協力の下で民有地にも数多く植樹していただく取り組みを実施してまいります。

また、生ごみリサイクルとして、定山渓地区において、地域で発生する生ごみを堆肥(たいひ)化して特産品などの育成に再利用するという地域内循環のモデル事業を試行的に行います。

次に、都市再生の推進についてでありますが、駅前通地下歩行空間整備や創成川通アンダーパスの連続化を進めるほか、老朽化が著しい市民会館に替わる市民交流複合施設の調査検討に着手をいたします。

これらの取り組みによりまして、わが街札幌の顔である都心を、人と環境に配慮した、民間の投資を呼び込むことができるような、そんな魅力的な街並みにつくり上げていくとともに、大都市ならではのにぎわいや感動を将来に引き継いでいきたい、このように考えております。

[芸術・文化、スポーツを発信する街さっぽろの実現に向けた施策]

来年2月に、いよいよFISノルディックスキー世界選手権が開催されます。札幌の都市文化でありますウインタースポーツを通じてこの街を世界に向けて発信できる素晴らしい機会でありますので、大会を大いに盛り上げて成功させていきたいと考えております。

また、昨年11月を芸術文化月間というふうに位置付けいたしまして、演劇、音楽、美術などさまざまなイベントを開催した「さっぽろアートステージ」というものがございますが、この企画に、さらにオペラや能楽など多彩な催しを加えて充実するとともに、開業20周年を迎えることになりました芸術の森の魅力を再発見してもらうようなイベントも、民間とも連携しながら展開してまいります。

[ゆたかな心と創造性あふれる人を育む街さっぽろの実現に向けた施策]

まず、安心して学校生活を送るために、特別な教育的支援が必要な児童を適切に指導するための巡回指導員を新たに配置いたします。

このほか、子どもに対する読み聞かせ活動の推進を図るとともに、地下鉄大通駅にあります交通案内センターにおきまして、市民が図書を借りたり返却ができるコーナーを新たに設置いたします。

[その他の取り組み]

市民自治を実感できるような取り組みといたしましては、自治基本条例や市民活動促進条例の制定に向けたフォーラムなどを行ってまいります。

また、安全・安心なまちづくりでは、防犯ブザーの貸与やスクールガードなど、児童の登下校を含めた安全確保対策を充実するとともに、公共施設の耐震性を高めるための取り組みや災害時の医療救護体制の確立に向けた対策などに取り組みます。

そのほかにも、北海道新幹線の札幌延伸の早期実現に向けた検討や市有建築物の長寿命化に向けたモデル事業などにも着手をしてまいります。

[財政構造改革プランの取り組み状況と収支不足の解消]

先ほどお話しいたしましたけれども、18年度予算では、厳しい財政状況から、計画を上回る内部努力や事業の選択と集中などにより、合わせて131億円の見直しを行うこととしておりまして、17年度との合計では、目標額を上回ります273億円の見直しを達成する予定でございます。

内容を見てみますと、家庭ごみや保育料の見直しについては、審議会での議論の状況などから当初予算には改定を見込んでおりませんけれども、経費の削減幅を強化するなど徹底した内部努力、内部効率化と財産・基金の有効活用などによりまして財政構造改革の効果額を確保したところであります。

続いて、18年度予算における収支不足額は、固定資産税の評価替えの影響などによりまして、中期財政見通しにおける見込額よりも拡大をして221億円となりましたけれども、事務事業の見直しに加えまして市債の償還年限の延長などを行い、なお不足する52億円について財政調整基金により対応することとしたところであります。

[中期財政見通し]

昨年公表したものと比べますと、「財政構造改革プラン」に沿った取り組みを実施したことにより収支不足額は縮まっておりますけれども、今後も150億円から340億円程度の収支不足が見込まれるなど、依然として厳しい財政環境が続いていくものと認識をしているところであります。

従いまして、19年度以降もこの収支不足の解消に向けて、プランの未達成部分の実現や中長期的な取り組みとした項目の早期の具体化など、引き続き財政構造改革を進めていく必要があるものと考えているところであります。

「指定管理者制度の導入について」

公の施設の管理に民間事業者等の参入を可能にする指定管理者制度につきまして、札幌市では、ことしの4月から本格的に導入するため、このたび選定手続を終了いたしましたので、その結果と導入効果について申し上げます。
まず、導入施設につきましては、従来の管理委託を行ってまいりました公の施設など、総数で70種類・365施設、このうち公募を行った施設が56種類・167施設であります。

公募の施設につきましては、延べ295の団体から応募をいただき、学識経験者等の外部委員を含めた選定委員会において厳正に審査を行いましたところ、民間事業者やNPO法人など、新たに参入いたしました15団体を含む
95団体を指定管理者候補者として選定いたしました。

次に、制度導入による効果でありますが、民間事業者やNPO法人を含めた競争関係を形成する中で、公募の施設はもちろんのこと、非公募の施設におきましても、団体の経営努力によりまして、札幌市が負担する管理費用について、平成18年度で15億円、原則4年の指定期間全体になりますと65億円ほどの財政的効果を見込んでおります。

また、開館時間の延長や利用料金の引き下げ、さらには、さまざまな新規事業の計画など、応募団体の自発的な提案に基づく取り組みによりまして、市民サービスの向上を図ってまいりたいと考えているところであります。

なお、指定管理者は、(平成18年)第1回定例市議会における議決を経て正式に決定いたします。

「『札幌市集中改革プラン』について」

昨年、総務省が「新地方行革指針」を策定いたしまして、行政改革の取り組みについて期間や項目を統一した「集中改革プラン」として市民に公表するように各自治体に求めておりました。

札幌市では、これまでの取り組みや今後の計画について、あらためて市民の皆さんへの情報提供をできる機会としてこれを受け止め、「札幌市集中改革プラン」を策定することとしたものであります。

計画期間は、平成17年度から21年度まででございます。

「市役所改革プラン」「財政構造改革プラン」「出資団体改革プラン」などのプランに「定員適正化計画」を新たに加えて策定し、公営企業の集中改革プランとともに一括して公表いたします。

取り組み項目のうち「定員適正化計画」におきましては、今後5年間で850人、率にいたしまして5.5パーセントの職員数の純減を計画しております。札幌市では平成11年度から16年度までの5年間で、全国平均4.6パーセントを大幅に上回ります9.3パーセントという削減を行っておりますので、平成11年度から合計すると15.6パーセントの削減となります。誠に厳しい数字でありますが、しっかり取り組んでまいりたい、このように考えております。

「『2007年FISノルディックスキー世界選手権札幌大会』に向けた札幌ドームでのコース造成の検証について」

いよいよ今週末からイタリアのトリノで冬季五輪が開幕をするわけでありますが、多くの市民の皆さん方も地元選手の活躍を期待し、ウインタースポーツに関心が高まっているというふうに思います。

ここ札幌でも、来年、FISノルディックスキー世界選手権札幌大会が開かれるわけでありますが、先月、そのプレ大会として行われたワールドカップジャンプ大会で、伊東選手や葛西選手など、札幌で生活をしている選手が上位入賞いたしまして、徐々に開催機運というものが高まってきているものと考えております。

さて、来年の本大会では、世界選手権史上初めて、屋内施設の札幌ドームでクロスカントリー競技が行われることになっております。大会組織委員会では、2月11日に札幌市で開催されます「第84回全日本スキー選手権大会」のクロスカントリー競技・男女スプリントをこの本大会のテストイベントと位置付け、札幌ドームにコースを造成いたしまして、本大会に向けた検証を行うことにいたしております。

ドームを使いましたスキー大会は、札幌ドーム開業以来もちろん初めてでありますし、世界でも初めての試みでもございます。競技はもちろんのこと、造成中も取材が可能でありますので、足を運ばれて報道をしていただければ大変ありがたいというふうに考えております。

配布資料

質疑内容

「市債の償還年限の延長について」

毎日新聞

市債の発行を抑えるという政策は評価できると思うのですが、一方で、市債の償還年限を20年から30年に延ばすというふうなことを新年度なさいますが、負担の先延ばしではないかという見方もあると思いますが、その点についていかがかなと。

市長

確かにそういうふうにも見えるかもわかりませんけれども、もともと市債を発行して建築をする、建設をする設備の耐用年数というのは、20年ではありません。それを超えて30年も40年も使うと、こういうものであるわけであります。例えば学校でもそうでありますが、20年というとまだまだ使える、そういう性質のものに市債を発行して充てているわけであります。

世代間の公平な負担というのが、市債を発行するときの理由ということになります。20年を30年にするというのは、そういうものとの関係で、適正に世代間の負担をするということの趣旨で行うものでありまして、先延ばしのように見えても、それは実態に合った扱いに戻すということでございます。

ちなみに、ほかの政令指定都市でございますが、ほとんどの街が、30年を償還期限としているのが通常でございます。札幌はこれまで20年という形でやってまいりましたけれども、他の政令指定都市もそういう耐用年数との兼ね合いでそのような扱いをしているというのが現状でございまして、札幌もそういうものに戻していくということで考えておりますので、ご理解をいただきたいと、このように思います。

「扶助費等の増大について」
「財源不足への感想について」

朝日新聞

先ほどの予算の説明の中でも市長が触れておられたところなのですが、収支不足の中で厳しい予算編成だったというところで、ご苦労があったところだと思うのですが、生活保護等の扶助費、それから国保会計等への繰出金というところの負担を見ると、両方合わせただけでも4割近い額に達していると。しかも、これがまだ右肩上がりでますます増えていっているというところだと思うのですが、そうすると、7,800億円の一般会計の予算の中でも、既に4割近いところはその分に食われてしまっていると。扶助費が必要だからというところは確かにそのとおりだと思うのですが、予算編成をする上で見ると、まちづくりに向けて自由に使っていける裁量の範囲がかなり狭まる時代になってきているのかなと思うのですが、この点についての市長のお考えを伺いたいというのが1点。

それからもう1つ、市長査定をおやりになったときに、最後の仕上げの、1期目の仕上げの予算編成だというときに、手元に残っている財源というか、お金がかなりないなというふうに実感をされたのかどうか。その上でどういうふうに市長査定の中で捻出(ねんしゅつ)してやりくりされたのかという辺りのお話を伺えればと思います。

市長

ご指摘のとおり、固定費といいますか、義務費の割合がどんどん増えていくという状況になりまして、政策予算というものがなかなか組めなくなってくるというようなことは、ご指摘のとおりだというふうに思います。

そんな中で、必要なものにどのように予算を配分し、政策を実現していくかというのが、われわれに与えられた課題でありますので、今、「財政構造改革プラン」という、かなり厳しい節約をし、さらに財源を確保していくというふうな努力をするということで、まさに財政の構造を改革していくという、長期的に見てもそういう形でやっていくしかないだろうと。内部努力をしっかりやるということと、それから負担の公平というようなことまで含めて、将来的なことを考えて改革をしていくということしかないのではないかなというふうに思います。

お金がないという実感を持ったかというお話でございますが、これは査定をする前の段階から、各部局からの「こういうことをやりたいのだ」「ああいうことをやりたいのだ」というふうな、非常に建設的な職員の意欲といったものが、ばさばさと財政的な負担に耐えられないというふうな理由から切られていく、そういう悲鳴にも似た声が職員の方からも出てくるのを私は非常につらく思っていたところであります。そういう中でも、札幌市の将来をどうしていくのかというふうなことを考えた上で、将来にかかわる子どもの問題に関連する予算、あるいは都市再生をしていくというふうな予算、こういったものにはどうしてもしっかり予算配分をしていかなければならないということで、我慢をしていただく部局もたくさんございましたけれども、意を用いさせていただいたところでございます。

市民自治というふうな仕組みの問題も、都市再生というハード面の問題も、子どもという将来にかかわる人材の問題も一生懸命やっていきたいということで、職員一丸となって、この予算の限られた範囲でしっかり頑張ろうと、こんなことを考えながら来たところでございます。

「夏季オリンピックの誘致について」

HBC

市長、検討中というところで質問するのは非常に気が引けるのですけれども、夏のオリンピックについてなのですが、予算に計上されていないということは、やらないというご判断なのか。もし仮に立候補という判断をした場合、どのような形で対応されるのかを教えていただきたいのですが。

市長

ご質問のように、1万人アンケートの集約をいたしまして、過日、集計した結果をお知らせしたところでありますが、それを詳細に分析し、総合的にこの問題についてどう対処するかということを、現在、判断する過程にございます。未定である、まだ判断していないという状況でありますので、予算案の中には盛り込んでいないというだけでございまして、これ(夏季オリンピックの誘致)を積極に解するというふうな場合には、それなりの財政的な措置をまたしなければならないということもあり得ることだというふうにご理解いただきたいと思います。

「公約の達成状況について」

北海道新聞

今回、来年の市長選を控えて、ある意味で市長任期総仕上げの予算で、非常に力が入っていらっしゃると受け止めていますが、当選時の公約で約130項目、そしてその後、任期途中で、いわゆる実施計画、「新まち」として約270という項目を立てられました。これは、先ほども述べられましたが、公約、そしてその後のそれを受けた「新まち」の公約、これはほぼすべて達成できたと、着手したと、そういうふうに見てよろしいのですか。

市長

これは任期折り返しの時点でもお話しさせていただきましたけれども、着手はすべての項目についてさせていただいております。ただ、これからご審議をいただいて、詰めのさまざまな作業をしなければなりません。議会にお諮りをして予算をお認めいただいたという中で、しっかり実現に向けて、全庁挙げて努力をしていきたいと、このように考えておるところであります。

北海道新聞

そういう意味では、ある意味で市民に対して公約といいますか、約束したことをこれだけしっかりいたしましたと、つくりましたと、そういう形、でいわゆる見せるような予算ができたと、そういうふうに実感していらっしゃいますか。

市長

欲を言えば、やりたいことはいくらでもあるわけでありますけれども、限られた財源の中で、「財政構造改革プラン」を踏まえて、今、予算編成をしなければならないと。そういう状況の中で精いっぱいのところをさせていただいたというふうに考えております。

財政調整基金に手を付けざるを得なかったというのは、苦しい事情を反映するものであります。これまでも苦しいというときには財政調整基金、これはそういう苦しいときに使うために努力をして積み立てていくと、こういう性質のものでありますので、当初予算としてこの5、6年の間、20億円、30億円というのを使う予定ではありましたけれども、それなりにみんな頑張って使わないで、取り崩しをしないできた経過がございますが、事ここにまいりまして、市民の皆さま方にお約束をしたことをしっかり実現するということのために使わせていただくと。
しかし、これも当初予算でございますので、執行の段階でさまざまな工夫をして、なるべく取り崩し額を少なくしていくというような努力はしてまいりたいというふうに考えております。

「子どもに対する読み聞かせの推進について」

北海道新聞

市長は子どもにこだわっていらっしゃって、その中で、先ほども今回の重点項目の中でわざわざ挙げられました「読み聞かせ」なのですけれども、予算額で見ますと小さなものなのですが、「読み聞かせ」にこだわる理由といいますか、思いといいますか、それをちょっと教えてください。

市長

子どもたちにとって、今、何が必要なのかというふうなことを教育委員会、あるいは子ども未来局と、いろいろ議論をしていく中で、読書ということが物事を落ち着いて考える、そして活字文化の深みといったものに触れるということに極めて有効で、人格を育てていくときに必要なことではないかというふうに言われておりますし、皆さんもそういうふうな認識を持っているということで一致をいたしました。

そんな中で、行政が何をできるのかというようなことでございますが、学校教育の中で先生方に頑張っていただくということもありますが、児童会館等でも積極的に「読み聞かせ」といったことが行えるような、そんなきっかけを作っていきたいということで、これは金額的には非常に少額でありますけれども、大きな運動のうねりができてくる1つのきっかけにしていければというふうな意気込みに満ちたものでございますので、ひとつ、この点を読み取っていただければ大変ありがたいというふうに思います。

「生活保護の辞退の強要に関する報道について」

STV

生活保護を受けている男性がケースワーカーに強要を受けたという話がありますが、多分、調査はこれからするとは思うのですが、市長はそれに対してどのようにお考えですか。

市長

既に私の方は調査をいたしておりますが、この問題は、かなり個人情報の問題がございますので、詳しく反論するというのはできないわけであります。

道に審査請求が今、上がっているということでありますが、経過等については、きちんと対応できるように準備ができておりますので、その旨だけご報告をさせていただきたいと思います。

もちろん、お訴えになっている、強要されたという事実があれば、それはあってはならないことであります。もし、そういう指摘を受けるような事態があったとすれば、それはもちろん大変なことでありますので。ただ、今回の場合は、私どもはそうではないという認識でございます。

「職員費の削減等、市役所の内部努力について」
「市民会館の建て替えに伴う建築手法について」

朝日新聞

予算について再度2点ほど伺います。

1点目は、先ほどの内部努力をさらに進めるというお話についてですが、職員費の削減等々、随分、札幌市は内部努力を重ねてこられたのではないかと思われるのですが、民間では「乾いたタオルをさらに絞ってリストラする」という言葉があるわけですけれども、まだまだ札幌市役所の中にはそういう内部努力のでき得る余地はあるというふうにお考えかどうかという点が1点。

それから、ちょっと離れてしまいますが、市民会館の改築の問題、さっき言われていて、この予算の中でも調査費が盛られているところなのですが、ああいった公共施設の建設についても、こういう厳しい財政状況だと、市が市費を投じて建築というふうに行くのかどうか、その辺の建築手法等々についてもお考えをお聞かせください。

市長

乾いた手ぬぐいを絞って何が出てくるかというと、脂汗ぐらいなものでございまして、本当に冗談ではなく、予算の形成過程、案を作っていく過程で職員が一生懸命、「こうやったらいいのだけれどもな」という気持ちを持って、いろいろな企画や政策的な提言をしてくるわけでありますが、それの何分の1ぐらいしか実現できないという非常に残念な思いをしながら今日まで来ているわけであります。

職員費の、職員定数ということとの兼ね合いで、全国的な比較というのが、どれほど意味があるかわかりませんけれども、他の政令指定都市から見ると最も効率的な人事運営といいますか、人数で頑張っているのが札幌市だというふうに職員も自負をし、その点についても誇りを持っているところであります。

それをさらにどこまでやれるのかというのは、非常に厳しい問題ではあります。市民の皆さま方へのサービスを低下させないという1つの目標と、何人でこれをやり切ることができるかというようなこと、この相関の中で悩みながら、しかし、そういう社会情勢にあるということをしっかり胸に刻んでこういう計画を立てさせていただいたわけでありますので、それに向けて1つ1つ着実に全庁を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えているところであります。

もう1つ、市民会館の問題でありますが、これは、こういう厳しい状況の中で建て替えをせざるを得ないという時代状況に現在なっているわけであります。財政状況が厳しいときにどういうふうに再構築をしていくかということについては、その建設の方法も含めて、相当議論をしなければならないというふうに考えております。

市民の皆さん方に満足をいただける、そして市民文化というものをしっかりつくっていく拠点として必要不可欠な施設だというふうに考えておりますし、少なくともこれからの半世紀、それを使って札幌の市民が文化活動、さまざまな活動の拠点にしていくのにふさわしい、そういうものを造るためには、これを造るためのいろいろな知恵を出し合っていかなければならないだろうと、このように思っております。特に、財政との関係で建設手法等についても、十分な知恵を、そしてさまざまな経験を教えていただきながら詰めていきたいというふうに考えております。

「市民と共感できる予算編成の手法について」

北海道新聞

市長の予算に懸ける思いは、ことしは市民に実感を共感してもらいたい、3本柱の市民自治というのもあり、市民を非常に強調されていますが、この予算編成も市民にいろいろと知っていただきたいというのが恐らく思いだと思います。その中では、編成過程のプロセスもかなり市民にホームページなどを通じて開示するようになっていらっしゃると思うのですが、一方で、市民意見というのが、最後の方にありますけれども、5人・10件です。

この反応だけが必ずしも市民の反応ではないのは分かっておりますが、いかにこの予算編成、数字が並ぶ難しい予算編成などを、どのように市民と一緒に共感していきたいかと。その辺の手法を、さらにこれからもっと反応が欲しいというような部分でどのようにお考えになっているかを一言お願いしたいのですけれども。

市長

ありがとうございます。私も、リアクションが少ないということ自体は、なかなか本当に難しい問題なのだなということを実感いたしております。

ただ、アクセスの件数はそれなりにあるということもございますので、関心はあるけれども、物を言うだけの何か力が出てこない、あるいはちょっと知識が足りないといいますか、そういう状況に市民の皆さん方はあるのかもしれません。このホームページを見ても難しい。もうちょっとわれわれの方で情報の提供の仕方を工夫するなり、あるいは時間の余裕があれば、もっといろいろな場所でお話はできるということがあればいいのだけれどもなと思いますけれども。

この予算の市民に関連する部分といいますか、全部市民に関連するのですけれども、私どもで市民の皆さん方の利便性を上げ、あるいはこうしたいのだというふうな考え方というのは、1年を通じていろいろ予算を執行し、その中でいろいろなことを私どもは聞いてくるわけです。タウントークがそうでありますし、「市長と“おしゃべり”しませんか」というふうな企画の中で、私が直接出向いていったり、あるいは出前講座等で職員が皆さん方のところに行きまして、そこで、情報を提供すると同時に、ご希望をまたお伺いしてくるというふうなことがあります。

そんな中で練ってきた施策というか予算でございますので、たくさんリアクションがあった方がいいのですけれども、それなりに読まれて、結構やっているなというふうに思っていただいているのかなというふうなことも内心では思っております。

ただ、確かに意見をたくさん述べていただけるということが好ましいというふうに思いますので、もっとこういうふうに工夫した方がいいのではないか、あるいはこっちよりもこっちというふうな選択をしていくというふうなこともこれから本当に必要なことになってくると思いますので、そういう政策判断をし批判をしていただける市民の方が多くなるように、いろいろな機会をとらえて情報提供、そして情報の共有化といいますか、そういうことに努めてまいりたいというふうに考えます。

「朝鮮総連関連施設の固定資産税の減免措置について」

時事通信

朝鮮総連関連施設の固定資産税の減免措置について、先日、福岡高裁が減免措置は違法とする判決を言い渡しましたけれども、それで地裁と高裁とで逆の判決が出たことになるのですが、それぞれの判決についてのお受け止めと、そもそも減免措置についてどうお考えになっているのか。あと、今後、何か見直しを検討するとか対応があればお願いします。

市長

地裁、高裁で判断が違うというのは、公のとらえ方といいますか、公共ということのとらえ方について、かなり限定的にとらえるのか、もう少し一般的にとらえるのかというふうな幅の広さ、あるいは角度の違いということで、いろいろ観点があるかなというふうに思います。

私ども札幌市では、今、朝鮮総連関連施設そのものが、地域における地区会館とか町内会の会館とか、そういうものと同じような趣旨で使われていると。利用の実態から言いますと、そういうふうに私どもは理解をいたしておりますので、その利用実態の変更が特段あったというようなことであれば、また話は別でございますけれども、現状の利用実態は従前と変わらないというふうに理解をいたしておりますので、町内会の会館とかそういうものと同じような減免措置というのは、それなりに継続していきたいというふうに考えております。

「サービスアップの取り組みについて」

北海道新聞

これも先ほど市長が重点項目の中で説明しておられたのですけれども、図書館の開館日時の関係、児童会館、その他各コミュニティー施設について、わざわざサービスアップの取り組みとして、予算関係の発表の中でもまとめられているのですけれども、こういった利用者ニーズに立った、市民の目線に立った施設の利用関係の利便性の向上という部分に関して、これは市長のかなりいろいろな思いといいますか、指示といいますか、そういうものが反映されているのでしょうか。

市長

これはかなり労働条件の変更といいますか、多様な労働時間帯で働かなければならないというようなこと、職員の負担とかというようなこともいろいろございますので、かなり慎重に議論をさせていただきながら、職員の理解を得て、ここならやれるというところを出していただいたというところで、こういうサービスアップといったものが実現したわけであります。

私は、ここに掲げておりますサービスアップというのは、そういう意味では、職員が「一生懸命市民のために頑張るぞ」という意欲を示したものというふうにお受け取りいただきたいというふうに思いますし、私も職員に感謝をしながら、市民の皆さん方に喜んでいただきたいというふうに思っているところであります。

北海道新聞

これはある意味、既存の施設として職員の方を張り付けていらっしゃいますから、そう大きな予算措置といいますか、新たなそういった負担があるというレベルのものではないのですか。

市長

もちろん時間外とか変形労働とかいろいろございますので、全くそのままの状態でできるというわけではありませんけれども、工夫の中でやりくりをしながら市民ニーズに応えていくということでございます。

「子どもに関する施策への重点的な予算配分について」
「中期財政見通しにおける収支不足への対応について」

北海道新聞

今回の重点項目の中で、まさに子どもたちの部分、児童会館、ミニ児童会館、この辺りは市長も思いを語られましたけれども、もう少し、なぜ、ここに今回重点的に配分するかという思いを語っていただきたいのと、あとは、中長期見通しでもありますけれども、収支不足が今後圧縮しても続くという中で、財源を生み出すほうに何か今回の予算含めて、今後も含めて、新たなお考えがあるかどうか、お聞きしたいと思います。

市長

子どもに対する思いということでありますが、やはり私は、少子高齢社会というふうなことで、子どもの数が少なくなっていくということについての、そういう意味での大変さというのはひしひしと皆さん感じておられるかというふうに思いますが、そのことももちろんそうなのですけれども、やはり子どもがどういう環境でどんな教育、あるいは大人の指導助言といったものを受けて大きくなれるかというふうなことについて、内容について、相当、今、意識的に対応しなければいけない状態にあるだろうというふうに思っております。

そんな意味で、先ほども読書の問題をお話しいたしましたが、子どもが落ち着いて物を考えることができる、そんな環境をつくっていくということ、これは居場所というふうなことでもございますけれども、適正ないい環境を子どもたちに与えていくということ、その中で子どもたちが自分たちのことを自分たちで考えていくことができる、次代を担う市民に、しっかりとした札幌市民に育っていただくというためには、今そういうことに対する投資をしていかなければならないということは、多くの大人の皆さん方に、市民の皆さん方にご理解いただけるのではないかと、そんな思いを持っているところでございます。

収支不足は本当に厳しい状況にございますので、これは、先ほど来申し上げておりますように、何とか努力をしてやっていくということ以外にございませんが、どうやって財源を確保していくのかという、そういう積極的な財源を獲得していく努力でありますが、これは、都市再生ということも1つの柱に掲げております。

これは経済の活性化ということでもありますし、将来の街というものの形をつくっていくということ、魅力のあるまちづくりというものがそこにあるということ、これによっていろいろな投資効果といいますか、資本を投下する意欲を、いろいろな企業の皆さん方が「この札幌なら投資してもいいや」というふうに思えるような、そんなまちづくりをしていく仕組みをつくっていきたい。駅前の地下歩行空間の問題も創成川アンダーパスの問題も、そういう美しい街、そして市民が本当にこの街が好きだなと言える街、そういう街だからこそ企業もお金を投下してみようかと、そんなふうに思える、そして投下した資本が何倍にもこの街で循環をしていく、地域内循環をしていくというふうな仕組みづくりを何とかしていくことによって、財源を確保していくというふうなことに結び付けばというふうに考えているところであります。

(以上)

この内容については、重複した言葉遣いや、明らかな言い直しがあったものなどを整理した上で作成しています。

(作成:札幌市広報課報道係)

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