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更新日:2011年3月1日

平成15年度第13回定例市長記者会見

日時 2004年2月4日(水曜日)14時~
場所 記者会見室
記者数 23人

冒頭、市長から下記の話題について発表しました。

引き続き、次の話題について質疑が行われました。

発表内容

「平成16年度予算・定数・機構編成について」

予算・定数・機構編成の総括

例年この時期に、予算案というものを発表させていただいておりますが、ことしからは、予算・定数・機構といったものをすべて合わせてご説明したいというふうに考えております。

厳しい社会経済情勢の中で、私の施政方針でございます「さっぽろ元気ビジョン」、これを実現していくためには、お金と人、組織、こういったものが一体となって効果的に連動させると、そういう政策を進めなければなりません。そのために、今回の予算だとか、定数・機構の編成に当たりましては、まず、それぞれに共通する基本的な考え方を、私が全庁にお示しをいたしまして、その上で、それぞれの編成方針を策定するという作業に当たったわけでございます。
基本的な考え方といたしましたのは、資料にありますように、「予算・定数・機構を一体化した考え方のもとで編成する」と、こういうふうに書いてございますけれども、そのようにしたわけであります。そのためにも、政策・施策の論議をしっかりやっていこうと、こういう試みをしたわけでございます。

例えば、具体的な編成作業に入る前に、重点政策のプレビューというものを初めて実施をさせていただいて、そういう取り組みの中で政策を重点化していくというようなこともやってきたわけでございます。

そこで、予算・機構・定数がどのようなものになるのかということでありますけれども、お手元の資料の中で、「さっぽろ元気ビジョン」の政策体系別の編成内容といったものをお示しをさせていただきました。このうち、予算につきましては、後ほどご説明をいたしますので、まず、機構について少し申し上げたいと思います。

主な内容につきましては、資料のとおりでありますが、特に大規模なものといたしましては、観光文化局、子ども未来局、この局を2つ新設するということを挙げることができます。それから、経済局、環境局の充実強化ということも挙げることができるというふうに思います。そして、それぞれの機構に見合った、仕事量に見合った必要な人員配置を行うということでございます。

予算の規模などについては、また後ほどご説明いたします。

職員定数でございますけれども、1万5,981人を1万5,525人にするということで、456人の減ということになります。総職員数、いわゆる実人数では、今後の退職者数等を考えなければなりませんが、全体で300人程度の減ということになる見込みでございます。

次に、その他の機構の関係でございますけれども、昨年12月の定例記者会見でもお知らせいたしましたとおり、4月から副市長制というものを導入させていただきます。これは、助役の役割やその職務内容というものを市民に分かりやすくするというようなこととともに、職責の重要性に見合った名称にしたいということが目的でございます。ただ単に名称といいますか、呼び名を変えるだけではなくて、庁内マネジメントの改革といったものを狙いとしているところでございます。
具体的には、庁内分権の一環といたしまして、私から副市長へ、副市長から局長あるいは区長へと、こういう権限移譲ということを行って、最終的には、より現場に近いところで意思決定を行える組織に転換をしていきたい、こういうのが改称する狙いということになります。市民志向ということで、スピード感のある市役所の運営を行っていきたいという考え方でございます。

このほかに、局相当の組織といたしましては、危機管理対策室の新設を行っていきたいというふうに思っております。
また、私が公約に掲げました「200億円の経費削減」についてでございますけれども、今回の予算編成によりまして、80億円の削減効果を生み出しておりますが、具体的には予算の説明の後でご説明を申し上げたいと思います。

予算の概要

〔予算編成に当たっての基本的な考え方〕

本市を取り巻く財政環境というものは、景気の低迷により、歳入の基幹となります市税の収入、これが大きな伸びが見込めないという中にありまして、国における歳出改革路線というものも堅持されておりますので、「三位一体の改革」の影響などからも、札幌市は全国で一番交付税の配分が多いという特色を持った街でありますので、地方交付税などが大幅な減少ということになりますと、財政の悪化というのが直撃をするわけでありまして、これで極めて重大な事態に今ぶち当たっているというふうに認識せざるを得ないわけであります。

一方、歳出については、不況などの影響によりまして、生活保護費をはじめとする、福祉に関する予算と経費というものが著しい増加傾向にあります。依然として厳しい財政状況にあるということが言えると思います。
このような中で、「元気ビジョン」に掲げます、「市民の力みなぎる、文化と誇りあふれる街」、この実現を目指して、市民の視点だとか、生活感覚といったものを持ちながら、伸ばすべきものは伸ばし、変えるべきものは思い切って変えていくという基本方針に基づいて、新年度の予算編成に臨んだところでございます。

具体的には、後ほどご説明いたしますけれども、事務事業の見直しを強力に進めるということによって、「元気ビジョン」に掲げます事業については、「重点化事業群」といたしまして、積極的に予算を計上させていただくなど、メリハリのある予算ができたものというふうに私どもは考えております。

〔予算規模〕

一般会計は8、128億円、前年度比で0.4%の増、特別会計は4、377億円、3.2%の増、企業会計は2、923億円でありまして、4.3%の減、合計では1兆5、428億円ということで、0.2%の増ということになります。

平成16年度の国家予算の一般歳出は0.1%の増、全国の地方自治体の財政総額を表す地方財政計画では1.8%の減というふうになっております。これに比べて、札幌市の一般会計は0.4%の増と、高い伸び率ということになっております。

これは、先ほども申し上げましたけれども、生活保護費などの扶助費が大幅に伸びることが想定されるということに加えまして、公約の早期実現に向けて、元気ビジョン関連事業について、積極的に予算を計上させていただいたということによるものでございます。

これらの財政需要に対応するために、事務事業の見直しを進めるなど、財源の捻出(ねんしゅつ)に非常に努力をしたところでございます。その努力はいたしましたけれども、結果的には、59億円の財源不足が生じることになりました。これにつきましては、札幌市の貯金でございます財政調整基金を活用するということにしたところでございます。

なお、基本基金につきましては、これを今年度末をもちまして廃止を予定しており、その現金部分につきましては、基本基金の趣旨を生かしまして、財政調整基金に積み立てるということにいたしました結果、15年度末の財政調整基金残高は101億円というふうに見込んでいるところであります。

〔一般会計予算の概要〕

これまでの説明と重複する部分がありますので、ポイントを絞ってご説明させていただきたいと思います。

まず、歳入についてでありますけれども、地方交付税はここ数年大きく減少しておりまして、これを補うために臨時財政対策債というものが発行できることになっておりますが、「三位一体の改革」の影響によりまして、これを合わせましても、16年度は8.2%の大幅な減ということになります。

なお、この削減は、次年度以降も続くということが予想されるところでありまして、大変苦慮しているというところでございます。

次に、市債についてでありますが、発行額は、臨時財政対策債の大幅な減などによりまして、前年度に比較して13.8%の減となっております。また、建設事業の縮減に伴いまして、その他の市債につきましては、発行額および市債残高ともに減少しているところであります。

次に、歳出についてでありますけれども、職員費が給与や退職手当の見直しなどによりまして4.4%の減ということになります。

また、土木費につきましては、除雪は、ほぼ前年度同額を確保いたしましたけれども、公共工事等の縮減などによりまして5.4%の減ということになります。

〔元気な経済が生まれ、安心して働ける街さっぽろの実現〕

札幌市の経済および雇用環境といったものは、かつてなく厳しいという状況にありますことから、私は、中小企業やビジネスに挑戦する市民に対しまして、経済活動の血液ともいうべき十分な資金が流れるように、元気な経済への再生を願いまして「札幌元気基金500億円」の創設を重点公約として掲げてまいりました。

そこで16年度は、資金繰りに苦しむ小規模事業者向けの短期資金といたしまして180億円、経営革新、改善していこうと、体力を付けていこうという、そういう意欲的な経営者の方々に向けた、中小企業者向けの資金といたしまして30億円、また、企業再生を進める中小企業向けの短期資金といたしまして10億円、さらにはNPOなどの市民活動団体向けの資金といたしまして2億円など、総額222億円規模の札幌元気基金を創設させていただきます。

これが中小企業対策の経済政策でございますが、もう一つの経済政策、雇用対策という柱でございますけれども、これには、安心して働ける環境づくりということへの政策といたしまして、ハローワークや民間との共同でワンストップ型の、そこへ行けば何でも分かるというふうな、用がすぐ足りるという、ワンストップ型のきめ細かな就業支援ということを行っていきたいということで、就業サポートセンターを開設するととともに、女性や中高年齢層の失業者を対象とした、各種の就職支援事業を積極的に行っていきたいと、このように考えております。

次に、協働による観光振興とコンベンション事業の推進についてでありますけれども、「市民のおもてなしの心」を札幌の新しい観光資源というふうに位置付けまして、札幌の絵はがきを全戸に配布、これは「広報さっぽろ」等にとじ込むなり、そこに刷り込むなりという方法によるわけでありますけれども、全戸配布をいたしまして、そして186万人の市民自らが「札幌においでください」というはがきを書いて、道外の方々等に送っていただく、呼び掛けていただくと。そんな運動を展開していきたいというような事業なども織り込みまして、大規模なシティPRキャンペーンを展開していきたいというようなことも考え合わせまして、来客2000万人プランというものの実現に向けて、私自らもシティPRあるいはシティセールスということで、先頭に立っていろいろなところに呼び掛けをして、観光客あるいはコンベンションの誘致を展開していきたいと、このように考えているところであります。

〔健やかに暮らせる共生の街さっぽろの実現〕

まず、魅力あふれる地域づくりの推進についてでありますけれども、既存の連絡所、これを、地域住民によるまちづくりを実現すると、そういうための組織に改編をしていこうということで、「まちづくりセンター」を開設するということをメーンにさせていただいております。

それから、少子化対策の推進についてでございますけれども、保育所における保育の定員を、待機児童の解消を図るという意味合いにおきまして、前年度を上回ります660人の定員増を確保するということにさせていただいております。
また、多様な保育のニーズ、保育のバラエティーに富んだニーズがあるという、そのことに対応した延長保育だとか一時保育だとか、そういったものを拡充していきたい、このように考えているところであります。

そして、全市的な子育て支援の拠点施設として、都心部の資生館小学校に併設して、子育て支援総合センターが開設されますので、これの活動といったものがこの「健やかに暮らせる共生の街さっぽろ」のメーンの事業ということになります。

もう一つは、地域での高齢者、障がい者の自立支援の推進についてでありますけれども、全身性障がいの方に対する居宅介護サービスの利用時間が、現行14時間ということでございましたけれども、これを17時間に延長をさせていただくと、大幅な拡充を図りました。

それから、自立支援のための施設整備として、自閉症の方々に総合的な支援サービスを提供する専門施設の建設に着手するほかに、視聴覚に障がいのある方々の活動拠点として、情報文化センターを整備するということとさせていただきます。

地下鉄駅等のエレベーター整備などもバリアフリー化を従前図ってまいりましたけれども、それも引き続き計画的に進めてまいりたいと、このように考えております。

〔世界に誇れる環境の街さっぽろの実現〕

まず、「水とみどりの潤いと安らぎのある街の実現」については、重点公約として掲げました、豊かな緑の30%増の実現に向けまして、公園整備などの関連事業について、重点的に予算配分を行ったところであります。

中でも、校庭の芝生を増やすなど、公共施設の緑化ということを積極的に推進していきたい、このように考えておりますし、街路樹の剪定(せんてい)方法も、従前、強剪定といいまして、丸坊主にするような剪定の方法がとられておりましたけれども、これを見直しするというようなことだとか、複層化した植栽をするだとか、そういうことに力を入れていきたいと。北国の風土にふさわしい道路景観の創出といったものにも取り組んでいきたいというふうに考えております。

また、地球環境問題への対応と循環型社会の構築についてでありますけれども、同じく重点公約の一つでありますCO2排出量の90年比10%削減ということを実現するためには、市民の皆さんの一体的な取り組みといったものが何よりも大切であるというふうに私は考えております。

そこで、市民の方々にムーブメント、運動を起こしていただくというようなことに取り組んでまいりたいというふうに思いますので、CO2削減アクションプログラムといったものを総合的に展開していきたい、このように考えております。

また、市民要望の一番高い除雪の問題でございますけれども、狭いバス路線や交差点の排雪の強化を図っていくということ、あるいは凍結路面の対策についても充実した対策をとっていきたいというふうに考えております。

安全で安心なまちづくりの推進についてでございますけれども、危機管理体制の強化を図るとともに、夜間急病センターの開設に併せて、救急医療体制の大幅な見直しを行いまして、夜間と休日の診療体制などを強化してまいります。
これらは、札幌市医師会の全面的な協力に基づきまして、最先端といいますか、日本の中では一番進んだ救急医療体制が実現できるという見通しのもとで頑張っているところでございます。

〔芸術・文化、スポーツを発信する街さっぽろの実現〕

まず、芸術・文化の薫る街の実現についてでありますけれども、私はかねて、市民の誰もが気軽に芸術や文化に触れ、そしてその楽しみを享受できる、そんなまちづくりをぜひ進めていきたいというふうに考えておりました。

そこで、次世代を担う子どもたちに、札幌が世界に誇るコンサートホール「キタラ」を持っているわけでありますので、このキタラで本格的なオーケストラ、これまた私ども北海道民、札幌市民が誇りに思う札幌交響楽団の演奏を子どもたちに何とかプレゼントしていきたいというふうに考えているところであります。質の高い芸術と触れ合い、これに喜びを感じてもらうということを願って、キタラ・ファーストコンサートを開催し、市内の小学6年生全員を招待したいというふうに思っております。約1万6、000人おられるというふうに聞いておりますけれども、キタラのホールで8回から10回コンサートを開けば、全員が聴けるということになりますので、そういう事業を展開していきたいというふうに考えております。

次に、スポーツの振興についてでありますけれども、ワールドカップの剰余金を活用いたしまして、民間団体がサッカー場を整備するための用地を取得するほかに、2007年FISノルディックスキー世界選手権札幌大会の主催者として、その準備に要する経費を計上させていただいております。

〔ゆたかな心と創造性あふれる人を育む街さっぽろの実現〕

まず、自立した市民に育てる教育の推進ということについてでありますけれども、児童生徒数の増加が著しい屯田北地区における教育環境の改善を図るために、小学校および中学校をそれぞれ新設するということにさせていただきます。老朽化の著しい手稲東小学校の改築も併せて進めるということでございます。

また、特色のある市立高校の実現に向けて、高等学校の教育改革を推進するとともに、障がいのある子どもたちへの教育的な支援を充実させるほかに、子どもの権利条例の制定に向けて、市民フォーラムを開催するなど、広く市民も含めた検討をさせていただきたいと考えているところであります。

次に、札幌を支え発信する人づくりについてでありますが、これまで市民議論を踏まえて検討を進めてまいりました札幌市立大学について、平成18年春の開学を目指しまして、教育カリキュラムの策定や施設整備に向けた実施設計を行うことといたしております。

〔市役所改革とその他の行政課題への取り組み〕

まず、市民自治基本条例の制定に向けまして、15年度に引き続き市民会議での議論を深めるとともに、「市民自治」をテーマにしたフォーラムを開催いたします。

また、札幌市役所改革については、この秋をめどに「市役所改革プラン」を策定するとともに、第三者評価を取り入れた新たな行政評価制度の運用というものを開始したいということと、それから、ITの活用によりまして「3つのS」、すなわち仕事のスリム化、スピードアップ、そして市民サービスの向上を図っていきたいと、このように考えております。

また、先の記者会見で発表いたしましたとおり、札幌駅前公共地下歩道と創成川アンダーパスの整備につきましては、それぞれ予備設計及び実施設計に着手するとともに、地上部のあり方については、引き続き、市民参加のもとにワークショップなどを開催しながら、市民意見を反映させてまいりたいと、このように考えております。

〔特別会計予算の概要〕

国民健康保険会計につきましては、保険料の軽減をしておりますけれども、このために必要な措置や累積赤字の解消分などを含めまして、一般会計からの繰入金が総額で255億円になっております。大変重い負担でありまして、これは制度的な改革がなされなければなかなか回避できないという問題でございます。ご承知のとおりであります。

また、民間保険の普及などによりまして、その役割を終えた交通災害共済事業につきましては、平成16年、本年の9月末に廃止するということにさせていただいております。

〔企業会計予算の概要〕

病院事業会計では、小児医療体制の充実を図るとともに、健全な病院運営に向けての病院改革プランを策定するということにしております。

また、従前の交通事業会計につきましては、バス事業の民間移譲に伴いまして、路面電車のみの会計となりますことから、その名称を軌道事業会計に変更をいたします。

さらに、高速電車事業会計、地下鉄会計ですが、駅のバリアフリー化や火災対策の整備を進めるほか、駅業務の委託化ということを拡大して、一層の経営の効率化に努めていきたいという考えでございます。

〔市民1人当たりのサービスと負担〕

16年度の一般会計予算を、市民1人当たりに置き換えて表現したものであります。札幌市の予算総額は、あまりにも規模が大き過ぎますので、市民の皆さんにはなかなかイメージしづらいのではないかということから、今年度の予算発表から、初めて資料を用意させていただきました。

市民1人当たりのサービスに必要な経費を表しておりまして、その額は43万6、000円ということになっております。この内訳では、福祉や医療に要する経費が最も多く、次いで除雪や公園の整備、さらには、国民健康保険や地下鉄への繰出金、そういう順番になっているところであります。

〔中期財政見通し〕

これはなかなか深刻な内容であります。新年度予算を基に、平成20年度までの5年間の収支を、一定の条件の下に、機械的に試算をしたものであります。今回の試算では、歳入の市税、交付税などの一般財源について2つのパターンで記載をさせていただいております。

パターンIは、16年度の交付税と同額を見込んだものであります。昨年10月に公表したものと比較をいたしますと、地方交付税の大幅な減少だとか扶助費の増加などにより、歳入不足額は大幅に拡大しておりまして、今後5年間では200億円から500億円程度の不足が生じるという、誠に深刻な結果となっております。

また、パターンIIは、国の「基本方針2003」に基づきまして、平成18年度まで地方交付税の圧縮が継続されるといった、非常に厳しい仮定での試算でありますが、歳入不足額は400億円から800億円が見込まれるというものであります。

このように札幌市の財政状況というのは、中長期的にも非常に厳しい環境に置かれておりまして、今後とも徹底した事務事業の見直しを進めるとともに、内部努力では、いかんともし難い状況に立ち至ることは、ほぼ明白でございますので、行政サービスのレベルだとか範囲、市民負担のあり方、こういったものについても、十分な市民議論をこれから尽くしていかなければならないと、このように考えているところであります。

200億円の経費削減に向けての取り組み

平成16年度予算・定数・機構編成におきましては、厳しい財政状況を踏まえて事業の見直しを行うとともに、現在取り組んでいる事務事業の総点検と連動させまして、約80億円の経費削減効果を生み出すことができました。
その内訳でありますけれども、人員の削減で約34億円、職員数にいたしまして約450人の削減でございます。事務事業の効率化等で37億円、そのほかに9億円の削減効果というふうになっております。主な項目につきましては資料のとおりとなっております。

今後も内部努力の徹底といったものを図りながら、市役所改革市民会議での議論を踏まえまして、市民の視点に立った市役所改革を目に見える形で進めていきたいと、このように考えております。

「大通証明サービスコーナーにおける土日の諸証明発行の実施について」

札幌市では昨年の3月までに戸籍事務の電算化を完了いたしまして、窓口での待ち時間の短縮を図ってきておりますが、市民の視点に立った窓口サービスをさらに拡充するために、5月1日、土曜日から、地下鉄大通駅構内の大通証明サービスコーナーにおいて、土曜、日曜でも住民票や戸籍証明など諸証明書を即時交付できるようにいたします。土日および平日の執務時間外に戸籍証明の即時交付を実施するのは、政令指定都市では札幌が初めてのことでございます。

なお、これに伴いまして、本庁舎の2階にございます証明交付窓口につきましては、年々証明発行件数が減少傾向にありますことから、この3月末をもって閉鎖をいたしまして、5月から土日も時間外もやるという事業に向けた準備を整えることにさせていただきたいと考えているところであります。

「e-Silkroad(イー・シルクロード)2004コンベンションの開催について」

このイベントは、アジア地域におけるIT企業のビジネス連携を促進し、新たなビジネスモデルを探ることなどを目的に、2月26日、27の2日間、札幌コンベンションセンターで開催するものであります。今回は、札幌をはじめ韓国、中国などから行政や学術関係者、IT関連企業が参加をいたしまして、アジア都市会議やフォーラム、それからビジネスセッションなどが行われることになっております。

「産学官で開発した保護帽子『アボネット』が北海道電力の検針スタッフ用帽子に採用されたことについて」

札幌市や市立高等専門学校などが参加いたしまして、平成12年度から進めております「福祉用具のデザイン開発・研究プロジェクト」によりまして開発・商品化されました積雪寒冷地対応の保護帽子『アボネット』が、このたび北海道電力の検針スタッフの安全帽子として採用されることになりました。

今月下旬から約1、000人のスタッフの方にかぶっていただくことになっております。実用化ということで、誠に喜ばしいことだということでございます。

「2004ソウル札幌の物産と観光フェアの開催について」

2月20日から29日までの10日間、韓国・ソウル市の大手デパートを会場に「物産と観光展」を開催いたします。これは、札幌の物産と観光を広く紹介し、札幌産品の販路の拡大や観光客の誘致促進を図り、日韓両国の交流を深めることを目的に行うものでありまして、昨年に引き続き2回目の開催ということになります。

なお、私は、前回の記者会見で発表させていただきましたけれども、北方都市市長会議に出席するために今月16日から24日までアメリカ・アンカレッジ市などを訪問してまいります。訪問中は市役所を留守にいたしますので、その間よろしくお願い申し上げたいと、このように思います。

配布資料

質疑内容

「予算編成に当たっての評価について」

NHK

今回の予算についてなのですけれども、予算編成に当たっては、非常に厳しい財源の中からのやり繰りということだったと思うのですけれども、いろいろな公約が実現というか、盛り込まれていますが、市長ご自身の今回の編成に当たっての評価というのでしょうか、満足度といいますか、それはどのような感じでしょうか。

市長

ご指摘のように、本当に厳しい財政状況の中にあって、市民の皆さん方にお約束をしたことをどう実現するかということで、大変苦労の多い予算編成作業であったというふうに思います。全庁一丸となって努力をする、経費節減、財源の捻出(ねんしゅつ)をする、そして削るところは削って、血を流しながらも公約実現のために頑張っていただいたという意味合いにおいては、内部的には、一緒に仕事をしたという満足度の非常に高いものでありますけれども、客観的に、本当にやりたいことが全部できたかというと、それはなかなか厳しい問題がたくさんあります。

そして私は、その評価は、本当に市民の皆さん方に評価をお願いしたいというふうに考えているところであります。できれば及第点をちょうだいしたいということでございます。

「今後予想される歳入不足への対応について」

NHK

平成17年度には242億円歳入不足ということですが、先ほどさらに市民議論ということをおっしゃっていましたが、もうちょっと具体的に教えていただけますでしょうか。

市長

内部努力をするということは、もちろんこれからもしていかなければなりません。200億円削減というようなことで努力を今回もさせていただいておりますが、もっともっと努力をしていかなければならないというふうなことで、もう相当乾き切った手ぬぐいのようでありますけれども、もっと絞らなければならないということで、大変な努力をしなければならないと思いますが、市役所が今までやってきた行政サービスを多分いろいろなところで削らなければならないということが随所に出てくるのではないかと。このままでは到底維持できないという状況に立ち至ると私は思います。

ですから、これは本当に正直に、財政の入ってくるものが少ないということをしっかり市民の皆さん方に認識をしていただいて、そして市役所が本当にやらなければならないものの優先度をちゃんとつけて、そして民間にお任せできるものは民間の方にやっていただくというような方針をしっかりとみんなで共有していくというような努力をしていかなければ、この事態は解決できないというふうに私は思っております。

NHK

市民負担という意味ではどうだったのでしょうか。

市長

そのことも含めてです。要するに市民が、自分たちができることは自分たちでやるのだというふうに、これは何度も私はいろいろなところで申し上げており、市民自治の本当に基本だと思いますが、自分たちでやれることは自分たちでやろう、本当に役所がやらなければならないことに絞って役所がやるという、そういう対応を取らなければ、この先の財政事情といったものを考えたときには多分立ち行かない状況になるだろうというふうに考えるからです。

「今後の財源確保について」

朝日新聞

今回の予算案を見てみると、リストラと、それから財政調整基金という貯金の取り崩しで生まれた財源をもとにやり繰りしているというのが特徴だと思うのですが、そういうリストラと貯金の取り崩しで生み出した経済雇用対策、札幌元気基金とかもそうだと思うのですが、そういったものが新たな市税の増加に結び付くのかどうか、この辺の見通しみたいなものがあれば。それがなければ、内部努力もリストラを重ねるのも限界だと思うので、財源確保という意味ではどのように見られるのでしょうか。

市長

リストラという言葉の意味が少しあいまいだと思いますけれども、一般的に言われているような人員解雇だとかという方法は取れないわけでありますので、結局定年で退職される方の不補充という形でしかできない、そういう限界を持った、それでも人員削減という意味合いでは、結果的にそういうことになるかもわかりません。
そういうところで捻出(ねんしゅつ)したお金をどこに使ったかというと、これは経済対策なのです。経済対策に使うということはどういうことかというと、雇用を守るということと、事業所にそれなりの役割、経済活動をやっていただく、そのことによって、これは税源の涵養(かんよう)だと私は思っております。要するに、企業がしっかり利益を上げる体制にならなければ税金を納めていただけないわけでありますので、税源を涵養していくということは本当に経済政策としては大事なことになると思います。それをやらなければ本当に必要な事業もできなくなってしまうということになりますので、そういう意味で、間接になりますけれども、努力を重ねていくしかないのではないかなというふうに思っております。

朝日新聞

税収はある一定以上、上がってくる、そう見込まれますか。

市長

これも厳しい見通しだと思います。これ以上減らしてはいけないということもございます。そういう意味も含めてだというふうに思います。

「予算編成過程のホームページ上の公開について(1)」

北海道新聞

上田市長が就任されて今回初めての予算で、いろいろ新しい取り組みもされたと思います。その中の一つに、予算要求段階からホームページで公開したというのもありました。これは恐らく去年の春の市長選で市長が公約に掲げられた予算編成過程の公開と、それによって市民意見を査定に反映させるということを受けてのものだというふうに理解はしていますけれども、実際にそれをやってみて、意見は6件程度だったというふうに聞いていますけれども、どの程度査定に反映できたのか、あるいは来年度以降どういう点が課題だと考えていらっしゃるのかお聞かせください。

市長

ホームページ上に公開したのが12月11日だったと記憶しておりますけれども、それから実際に査定をするまでの間、約1カ月強ぐらいしか時間がありませんでした。時間的な限界の中で、これもぎりぎり、なるべく早く公開してとは思うのですが、やはり、全庁にわたって工夫をして要求をされてくるという過程からいいまして、なかなか時間をたっぷりとるというわけにはいかないという限界がございます。

そんな中でも、市民の方々に知っていただきたいということと、意見をちょうだいしたいということでホームページに公開させていただいたわけであり、結果的には6人の方からしかご意見をちょうだいできなかったということでありますが、1日に180人ぐらいのアクセスはあったというふうに聞いております。これは、ある意味では、こういう方式について、情報があるならそれにアクセスしてみようという関心を持った市民の方がたくさんおられるということだというふうに思います。

ただ、結果的にご意見はそれ以上出てこなかったというのは少し残念な思いはいたしますけれども、もう少し分かり良く工夫するなり、あるいは、意見を述べられるのだということをしっかりPRするなりという努力は続けていきたというふうに思います。
それから、どういうふうに今回の場合に反映したかということになりますけれども、これは、各部局で査定をする前に、それなりの意見をみんな心に持って査定に臨むというところで波及してというような形でしか今回はできなかったというふうにご理解いただきたいと思います。

「扶助費の著しい増加について」

毎日新聞

予算の中で扶助費の伸びがかなり大きい、その中でも生活保護費が平成15年度から見てみてもかなり伸びておりまして、その一方で不正受給等の声もあるのですが、そのことに関してどのようにお考えですか。

市長

伸びが著しいというご指摘は数字的に全くその通りであります。ただ、私どもは、もちろん申請があって、それに対してケースワーカーがしっかりそれを審査し、二重にも三重にもチェックをしながら受給資格者を確定していくという作業をやっておりますので、一応そういう意味でケースワーカーの仕事をより充実させなければならないというご指摘も半面持っておられるかと思いますが、この問題については、やはり、顔の見える綿密な関係をつくっていくということによって、働ける方はなるべく働くというご指導、ご助言をさせていただくというふうなケースワーカーの仕事をしっかりとさせていただくということで、対処していきたいというふうに思っております。

「予算編成過程のホームページ上の公開について(2)」

読売新聞

先ほどのホームページで公開したという点の関連です。今回は6件ということなのですが、内容はちょっと分かりませんけれども、今後意見が増えて、異論がかなり多くあるという場合に、その時点で事業を見直したりとか路線を変えたりとか、そういうことは考えているのですか。

市長

それは当然あり得ることだと思います。

「財政状況が厳しい中での積極予算について」

日本経済新聞

文字どおり待ったなしの財政状況だと思うのですが、来年度予算では、重点化事業をもう少し抑えるなり受益者負担に踏み込むなり、そういうマイナス予算なりを組む方法もあったと思うのですが、あえてそうしなかった訳は。

市長

何をやるにしても、市民がまず生活ができるということが大事でありますし、そして、いろいろなことを削減していくには、これからのまちづくりの中で市民の持つ役割といったものを理解していただくということが何よりも大事だと思うのです。予算をつくるにしても、どこに重点を置くかということについて、市民参加の中で、これは必要なのだ、これは自分たちで担うからいいよというふうに言っていただける、そういう市民になっていただかなければいけないと思います。

そういう意味では、市民自治というふうなことにお金を使わなければならないですし、それから経済対策もやらなければならない。私の元気ビジョンで考えた項目というのは大体そういうことにつながっているわけなのです。確かに懐具合が悪いわけではあります。しかし、そこから出てくる目標としていますことは、先ほど言いましたように、経済の税源を涵養(かんよう)するということとともに、自分たちでこの社会を担っていくというスタイルといいますか、そういったものをつくっていくことであり、そのために必要な経費であるというふうに考えて今回こういう予算を組ませていただいたということであります。

日本経済新聞

特に17年度以降だと思うのですが、行政サービスを維持できないという話がありましたけれども、縮小は避けられないという認識を持っていらっしゃるという理解でいいですか。

市長

この丸々200億円という経費削減、これが本当に現実になるかどうかわかりませんけれども、今想定されているような形でずっと進むということになりますと、行政サービスを維持するのは極めて困難だというふうになりますので、何らかの形で解決をしなければならない。

何らかの形というのは何かというと、2つしか方法はないです。内部努力をしてもっと絞るということが1つ。それからもう1つは、仕事を減らす。減らすということはどういうことかというと、市民がそれを担わなければならない。今まで受けてきた行政サービスと同じ、あるいは同じような目的、効果が出るような活動を市民が担っていかなければならないということしか多分ないのではないかというふうに私は思います。

そういう意味で、これこそ市民自治を考えていく上で非常に重要なテーマになると私は思いますので、あらかじめこうこうこうだというストーリーがあるわけではもちろんありませんけれども、いろいろな段階で、いろいろな角度から意見交換をしながらいかなければならないというふうに思っております。

「人件費削減について」

北海道新聞

今の関連なのですが、内部努力とおっしゃった中には、例えば人件費に手を付ける、つまり人勧(人事委員会勧告)プラスアルファ、あるいは退職金の問題、それに手を付ける考えがあるのかどうか教えてください。

市長

人勧の問題については、これは重大な問題でありますので、私はそれに手を付けるうんぬんという考えは今のところ持っておりません。それから、退職については、一定程度の解決をしていくということで、国のレベルと合わせるという意味合いでありますけれども、それは既に俎上(そじょう)に載っているというふうにご理解いただきたいと思います。

「札幌駅前通公共地下歩道について」

uhb

前回の会見でもおっしゃっていましたけれども、今回駅前地下通路の予備設計費を計上したということなのですが、市民の間で賛否が分かれている中であえてこの時期に計上した意義といいますか、理由についてもう一度お願いしたいと思います。

市長

公共地下歩道の必要性については、もちろん賛否両論はありますけれども、基本的には全体のこれからの札幌のまちづくりをしていく上に有効であろうということは、ほぼ理解を得られたのではないかというふうに思います。

財政との関係で今やる必要があるのかという、これまた非常によくお考えになった上でのご主張が一つあります。私は、この問題については、国の補助事業でございますので、そのタイミング、要するに補助が受けられる、そういう時期に適切にその制度を利用するということと、それから、札幌の将来にとってこれが必要かどうかということの兼ね合いで今の時期を選定せざるを得ないと、こういうことでございます。

「予算編成に当たっての基本的考え方について」

NHK

今回の予算編成に当たって、若干繰り返しになってしまうかもしれませんが、市長の頭の中で絶えずこれだけは守ろうとしていたものがあったら教えてください。

市長

それは、当然のことでありますけれども、私は初めて予算編成をさせていただくわけでありますので、私が選挙の際に市民の皆さんにお約束をしたこと、これはできるだけ実現する、そして、今できないものは何なのか、なぜできないのかということについては、きちんと説明できるようにしておかなければならないということは常に頭の中に置いて査定、編成させていただいたということであります。

(以上)

この内容については、重複した言葉遣いや、明らかな言い直しがあったものなどを整理した上で作成しています。

(作成:札幌市広報課報道係)

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