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厚生労働科学研究費補助金(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)タンデムマス導入による新生児マススクリーニング体制の整備「と質的向上に関する研究 平成22年度総括・分担研究報告書115-118,2010
渡辺倫子*1、鈴木恵美子*1、野町祥介、林三起子*2、山本俊夫*3、一条敦子*3、石毛信之*4、木下洋子*5、山上祐次*5、小田切正昭*6、稲田佳美*7、稲岡一考*8、酒本和也*9、重松陽介*10、小林弘典*11、田崎隆二*12、青木久美子*13、松井 陽*14、原田正平*14
タンデムマス・スクリーニング精度管理用にアシルカルニチン14種類C0、C2、C3、C4、C5、C5DC、C5OH、C6、C8、C10、C12、C14、C16、C18およびアミノ酸10種類Val、LeuIle、Met、Phe、Arg、Cit、Tyr、Ser、Thrを添加した検体を作製した。検体濃度は無添加、低濃度、中濃度、高濃度とし、全国14施設で2010年7月と9月に測定した結果、全施設測定値平均に差はなかった。しかし一部測定平均値から50%ずれる施設があり、施設間のばらつきを少なくすることが必要である。
*1日本公衆衛生協会、*2北海道薬剤師会公衆衛生検査センター、*3宮城県公衆衛生協会、*4東京都予防医学協会、*5神奈川県予防医学協会、*6さいたま市健康科学研究センター、*7ちば県民保健予防財団、*8大阪府立母子保健総合医療デンター、*9大阪市環境保健協会、*10福井大学、*11島根大学、*12化学及血清療法研究所、*13久留米大学、*14国立成育医療研究センター
厚生労働科学研究費補助金(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)タンデムマス導入による新生児マススクリーニング体制の整備「と質的向上に関する研究 平成22年度総括・分担研究報告書58-60,2010
野町祥介、雨瀧由佳、吉永美和、花井潤師、高橋広夫、三觜 雄、窪田 満*1、長尾雅悦*2
札幌市では、2005年4月から希望者を対象としたタンデムマスによる新生児マス・スクリーニングを研究的に開始した。2010年7月までの5年4か月間で、保護者の希望に基づいて86,005名を対象にタンデムマスによる多項目検査を実施した。その結果、要再採血242例(0.28%)、要精査21例であり、要精査21例中12例が患者と診断された。一方で、見逃し例としてプロピオン酸血症1例が確認された。見出された12例のうち、11例は十分な治療効果が得られ良好に経過していることと、検査の感度及び精度がある程度良好なことが確認できたことから、札幌市は2010年8月よりタンデム質量分析計による新生児マス・スクリーニングを母子保健事業として開始した。
*1手稲渓仁会病院小児科 *2NHO北海道医療センター小児科
日本マス・スクリーニング学会誌20,243-249,2010
窪田 満*1、野町祥介、得永布由子*2、重松陽介*3、山口清次*4
新生児マス・スクリーニングが全国実施されてから30年以上が経過した。以来少子化の進行、財政状況の変化、国から自治体への一般財源化,技術革新、倫理的問題のクローズアップなど状況は変化している。特に少子化は、経費の面ではスケールメリットの低下をもたらし、またタンデムマスによる新生児マス・スクリーニングなどの新技術の開発は対象疾患拡大あるいは見直しを提起している。タンデムマスによる新生児マス・スクリーニングが世界的に普及し、古典的な「ガスリーテスト」にとってかわろうとしている現在、わが国の新生児マス・スクリーニングを効率的な体制に建て直す好機ととらえることもでき、タンデムマスによる新生児マス・スクリーニングの全国展開に向けて多角的に検討する。
*1手稲渓仁会病院小児科、*2北海道大学病院周産母子センター、*3福井大学医学部健康科学、*4島根大学小児科
日本マス・スクリーニング学会誌20,213-216,2010
雨瀧由佳、野町祥介、花井潤師、福士 勝、矢野公一、窪田 満*1、長尾雅悦*2、長 和俊*3
札幌市におけるタンデム質量分析計による新生児スクリーニングにおいて、2005年から2008年までの4年間で受検者の0.06%が、ピボキシル基を有する抗生剤を使用したことによるC5アシルカルニチン(C5)偽陽性例であった。これは、C5再採血例の約90%にあたることから、不必要な再採血を減らすため、2009年2月、スクリーニング広報誌である「マス・スクリーニングニュース」に、新生児への抗生剤使用についての注意喚起文を掲載し、産科医療機関に配布した。その結果、ピボキシル系抗生剤を使用したことによるC5偽陽性例は、受験者の0.01%にまで減少した。
*1手稲渓仁会病院小児科、*2国立病院機構西札幌病院小児科、*3北海道大学病院周産母子センター
Metabolism Clinical and Experimental 59, 1628-1632, 2010
Noriyuki Katsumata*1, Takashi Shinagawa*1, Reiko Horikawa*2, Kaori Fujikura
Congenital adrenal hyperplasia due to steroid 21-hydroxylase deficiency (21-OHD) is an autosomal recessive disorder caused by the defective CYP21A2 gene that leads to various degrees of impaired secretion of both cortisol and aldosterone. In the present study, we analyzed the CYP21A2 gene in a Japanese male patient with 21-OHD and functionally characterized the mutant CYP21A2 gene.
The patient presented with hypoglycemia and a salt-losing crisis during the neonatal period, and was diagnosed as having the salt-wasting form of 21-OHD based on the clinical and laboratory findings. Analysis of the CYP21A2 gene revealed that the patient is homozygous for a novel C to A conversion at −9 position of intron 9 (IVS9-9CNA) and that his parents are heterozygous for the IVS9-9CNA mutation. Transient expression of the IVS9-9CNA mutant CYP21A2 gene in COS-1 cells demonstrated that the mutation creates an aberrant splice acceptor site at −7 position of intron 9 and totally inactivates the authentic splice acceptor site of intron 9, which results in complete deficiency of 21-hydroxylase activity and loss of immunoreactive 21-hydroxylase protein. Clinical presentations of the patient as the severe salt-wasting form of 21-OHD are in good agreement with these results of the expression study. In conclusion, the patient is a homozygote for the novel intronic IVS9-9CNA mutation, which affects messenger RNA splicing and totally inactivates 21-hydroxylase to give rise to clinically manifest classic salt-wasting 21-OHD.
*1 Department of Molecular Endocrinology, National Research Institute for Child Health and Development *2 Division of Endocrinology and Metabolism, National Center for Child Health and Development
日本マス・スクリーニング学会誌20,17-20,2010
花井潤師、太田 優、田上泰子、阿部敦子、福士 勝、矢野公一、藤田晃三*1、西 基*2、長 祐子*3、飯塚 進*4
札幌市では、生後6か月の神経芽細胞腫マススクリーニングの休止後、2006年4月から、それまで2回目のスクリーニングとして行ってきた検査の対象を生後1歳2か月から生後1歳6か月に変更し、スクリーニングを実施した。2008年12月末までの2年9か月間に、26,687人がスクリーニングを受検し、神経芽細胞腫の患者を9人発見した。発見例9例中6例は初回手術時、原発腫瘍の生検や部分切除にとどまるなど、生後1歳2か月のスクリーニングの発見症例に比べ、病期の進行した症例が多い傾向が認められた。患者は治療後、2歳6か月から4歳5か月の時点で5例が担がん状態であったが、過剰治療を軽減し、進行例を早期に治療に結びつけるスクリーニングが対象とすべき患者を見出していると考えられ、生後1歳6か月は適切なスクリーニングの時期であることが示唆された。
*1前札幌市保健福祉局医務監、*2北海道医療大学生命基礎科学講座、*3北海道大学病院小児科、*4天使病院小児科
北海道小児保健研究会平成22年度総会,2010
太田 優、花井 潤師、福士 勝、矢野 公一
(財)日本公衆衛生協会の補助事業である地域保健総合推進事業の分担研究として「自治体レベルにおける妊婦および乳幼児の効果的なたばこ対策に関する研究」を行い、受動喫煙防止啓発DVDを作成し、その視聴効果について検証した。検証の結果、DVD視聴により禁煙に対する意欲が高まり、また効果的に受動喫煙の健康への影響に関する知識が得られることが分かった。
日本マス・スクリーニング学会誌20,21-26,2010
野町祥介、雨瀧由佳、花井潤師、福士 勝、矢野公一
タンデム質量分析計による新生児スクリーニングにおいて指標として用いられるアシルカルニチン類の一部は、採血時日齢によって血中濃度が大きく変化する。そのため、検査結果の判定に資する一定のデータを蓄積することが望ましい。私たちは、札幌市の新生児スクリーニングで2回以上採血を行った児を対象として、採血日齢群別に測定統計値を比較することで、新生児期とそれに続く乳児期のアシルカルニチン類の血中濃度の推移を評価した。
その結果、acetylcarnitine、propionylcarnitine、長鎖アシルカルニチン類は日齢20付近まで減少する傾向があり、C5OHアシルカルニチン、フリーカルニチンは日齢とともに増加する傾向があった。これらの傾向の把握は、精度の高い検査の実施に貢献するものだと考えられる。
厚生科学研究費補助金(新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業)「食品由来感染症調査における分子疫学手法に関する研究」、平成21年度分担研究報告書、25-29、2010
清水俊一*1、山口敬治*1、森本 洋*1、池田徹*1、和栗 敦*2、八柳 潤*3、岩渕香織*4、沖村容子*5、高橋恵美*5、金子紀子*6、菅野奈美*7、細谷美佳子*8、廣地 敬、勝見正道*9
パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)によるパルスネットの構築のためには、各検査施設における精度管理が重要であり、北海道・東北・新潟ブロックでは平成18から20年度に行われた「広域における食品由来感染症を迅速に探知するために必要な情報に関する研究」の中で、共通の生菌を送付して行う精度管理以外の方法としてプラグ送付による精度管理方法について検討を行った。今回、BraenderupH9812株でプラグを作成し1地研に送付して、制限酵素処理、PFGEを行い、泳動像を解析する方法を試みた。その結果、送付によるプラグの破損等は認められず、ブロック内10地研のうち8地研がクラスター分析(類似係数:Dice、デンドログラムタイプ:UPGMA、トレランス設定:1.0%)で99%以上の相同性を得ることができた。しかし、残り2地研のうち1地研は310.1Kbpのバンド2本に別れ、他の1地研は、452.7Kbpのバンドがずれていた。この2施設については、保存株の変異が考えられた。プラグのやり取りによりPFGEの精度管理を行う方法は、輸送コストの軽減と、生菌を送る場合のリスクをなくすだけでなく、プラグ作成段階と制限酵素処理以降の精度管理とそれぞれ確認できる利点があることが明らかとなった。
*1 北海道立衛生研究所、*2 青森県環境保健センター、*3 秋田県健康環境センター、*4 岩手県環境保健研究センター、*5 宮城県保健環境センター、*6 山形県衛生研究所、*7 福島県衛生研究所、*8新潟県保健環境科学研究所、*9 仙台市衛生研究所
病原微生物検出情報、31(7)、203、2010
菊地正幸、村椿絵美、扇谷陽子、伊藤はるみ、高橋広夫、三觜 雄、長野秀樹*1、駒込理佳*1、三好正浩*1、岡野素彦*1
2010年5月、札幌市内の医療機関で麻疹と診断された患者からH1型麻疹ウイルスを検出したので報告する。
患者は中国籍の女性(20代、北京在住)で、5月1日に観光目的で来札し、知人宅に滞在していた。5月6日朝から頭痛、夕方に発熱を呈し、7日に咳、8日に発疹が出現した。さらに10日には、コプリック班、結膜充血および鼻汁が認められ、市内の医療機関において臨床症状より麻疹と診断された。なお、患者のワクチン接種歴は不明であった。
5月13日に採取された患者の咽頭ぬぐい液、末梢血単核球および尿を用いてRT-nested PCR法による麻疹ウイルス遺伝子の検出を試みた。その結果、全ての検体で麻疹ウイルスのHおよびN遺伝子が増幅された。増幅されたN遺伝子の部分塩基配列はすべて一致し、系統樹解析によりH1型麻疹ウイルスと同定された。GenBankに登録されている株との相同性検索では、N遺伝子472塩基について、上海で分離されたMVi/Shanghai.PRC /22.06/11(DQ902857)と100%の相同性を示した。また、リファレンスセンターである北海道立衛生研究所にて実施しているウイルス分離では末梢血単核球と尿から麻疹ウイルスが分離されており、抗体検査では麻疹IgM>14.03と強陽性を示した。
今回の患者は海外からの輸入症例と考えられた。届出後、患者の行動調査を実施したうえで、感染機会があったと推定される対象者への注意喚起・健康状況確認を行った結果、6月18日現在、本症例からの二次感染例は確認されていない。今後、本邦における麻疹発生数の低下にともない、輸入症例への注意が必要になると同時に、麻疹ウイルスの分子疫学がさらに重要になると思われる。
*1 北海道立衛生研究所
病原微生物検出情報、32(2)、44-45、2011
菊地正幸、村椿絵美、扇谷陽子、伊藤はるみ、高橋広夫、三觜 雄、長野秀樹*1、駒込理佳*1、三好正浩*1、岡野素彦*1、篠原正英*2、布目博子*3、細海伸人*3、高橋恭子*3、舘 睦子*3
2010年12月、札幌市内の医療機関で麻疹と診断された患者からD4型麻疹ウイルスを検出したので報告する。
患者は30代女性で11月2日~10日までインドを旅行していた。20日に発熱、翌21日には高熱を呈し、26日に市内の医療機関を受診した際には発熱、発疹および結膜充血が認められた。医療機関における血清検査(EIA法、11月26日採取)で、麻疹IgM 9.38、IgG 9.0を示した。患者のワクチン接種歴は無かった。
12月1日に採取された末梢血単核球および尿を用いてRT-nested PCR法による麻疹ウイルス遺伝子の検出を試みた結果、いずれの検体からも麻疹ウイルスのHおよびN遺伝子が検出された。N遺伝子の部分塩基配列は一致し、それによる系統樹解析によりD4型麻疹ウイルスと型別された。
GenBankに登録されている株との相同性検索では、塩基配列が100%一致する株は見出されなかったが、2007年にカナダで検出されたD4型のウイルス(MVi/Quebec/38.07、MVi/Quebec.CAN/33.07)および2010年にインドで検出されたD4型のウイルス(MVs/VALSAD.IND/16.10/3、MVi/VALSAD.IND/17.10/5、MVs/VALSAD.IND/17.10/6、MVs/VALSAD.IND/17.10/7)と99%(453bp/456bp)一致した。
なお、レファレンスセンターである北海道立衛生研究所にて実施しているウイルス分離では、継代2代の時点では麻疹ウイルスは分離されていないが、抗体検査(12月1日採取)では、麻疹IgM>25.87と強陽性を示した。
今回の麻疹患者はインドから帰国後に発症した輸入症例と考えられた。本症例からの周囲への二次感染は確認されていない。札幌市では、2010年5月にも中国からの旅行者から麻疹ウイルスが検出されており(IASR 31: 203, 2010)、国内における麻疹発生数のさらなる低下にともない、今後も輸入症例に対する警戒とともに、麻疹感染拡大防止のためにも検査室診断を中心とした確定診断および分子疫学調査が重要になると思われる。
*1 北海道立衛生研究所、*2 NTT東日本札幌病院、*3 札幌市保健所
ノーステック財団研究開発助成事業研究成果報告書2010、1-2、2010
相沢智康*1、藤村達也*2、水島好清、出村 誠*1
大多数の食中毒菌は中温菌であり、その増殖は4℃以下の冷蔵で阻止できる。しかしながら、Listeriamonocytogenes等の一部の食中毒菌は、氷点下でさえ増殖できることが問題となっている。日持ち向上剤として広く用いられているニワトリ卵白リゾチームは、Listeria属菌に対して効果が期待できるものの、低温保存条件下では溶菌活性が急激に低下する。
そこで本研究開発では、低温保存条件下でも効果的な微生物増殖制御を可能にする新規技術の開発を行う。代表者が研究を進めてきた低温活性リゾチームをモデルとし、低温条件下での微生物抑制に対する効果を検証し、さらにタンパク質科学的な解析を元に、低温域での活性を高める新規技術の検討と開発を進める。
*1北海道大学大学院先端生命科学研究院、*2日本ハム株式会社中央研究所札幌サテライト
JOURNAL OF CLINICAL MICROBIOLOGY、Feb. 2011、484-490
Hisatoshi Kaneko*1, Koki Aoki*2, Shigeaki Ohno*3, Hiroaki Ishiko*4, Tsuguto Fujimoto*5, Masayuki Kikuchi, Seiya Harada*6, Gabriel Gonzalez*7, Kanako O. Koyanagi*7, Hidemi Watanabe*7, Tatsuo Suzutani1*1
For 4 months from September 2008, 102 conjunctival swab specimens were collected for surveillance purposes from patients across Japan suspected of having epidemic keratoconjunctivitis (EKC). Human adenovirus (HAdV) DNA was detected in 61 samples by PCR, though the HAdV type for 6 of the PCR -positive samples could not be determined by phylogenetic analysis using a partial hexon gene sequence. Moreover, for 2 months from January 2009, HAdV strains with identical sequences were isolated from five conjunctival swab samples obtained from EKC patients in five different regions of Japan. For the analyses of the 11 samples mentioned above, we determined the nucleotide sequences of the entire penton base, hexon, and fiber genes and early 3 (E3) region, which are variable regions among HAdV types, and compared them to those of other HAdV species D strains. The nucleotide sequences of loops 1 and 2 in the hexons of all 11 samples showed high degrees of identity with those of the HAdV type 15 (HAdV-15) and HAdV -29 prototype strains. However, the fiber gene and E3 region sequences showed high degrees of identity with those of HAdV-9, and the penton base gene sequence showed a high degree of identity with the penton base gene sequences of HAdV-9 and -26. Moreover, the complete genome sequence of the 2307-S strain, which was isolated by viral culture from 1 of the 11 samples, was determined. The 2307-S strain was a recombinant HAdV between HAdV-9, -15, -26, -29, and/or another HAdV type; however, the recombination sites in the genome were not obvious. We propose that this virus is a novel intertypic recombinant, HAdV-15/29/H9, and may be an etiological agent of EKC.
*1 Department of Microbiology, Fukushima Medical University School of Medicine, *2 Department of Ophthalmology and Visual Sciences, Hokkaido University Graduate School of Medicine, *3 Department of Ocular Inflammation and Immunology, Hokkaido University Graduate School of Medicine, *4 Host Defense Laboratory, Mitsubishi Chemical Medicine Corporation, *5 National Institute of Infectious Diseases, Kumamoto, *6 Kumamoto Prefectural Institute of Public Health and Environmental Science,; *7 Laboratory of Genome Sciences, Research Groups of Bioinformatics, Division of Bioengineering & Bioinformatics, Hokkaido University Graduate School of Information Science and Technology
平成22年度厚生労働科学研究補助金(新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業)「早期麻疹排除及び排除状態の維持に関する研究」分担研究報告書32-35、2011
長野秀樹*1、駒込理佳*1、三好正浩*1、工藤伸一*1、岡野素彦*1、菊地正幸、村椿絵美、伊藤はるみ
2010年の北海道における麻疹患者報告数は5例で、前年の17例よりさらに減少した。このうち、検査室診断において確定されたものは2例で、いずれも輸入感染例であった。北海道立衛生研究所での検査数は10例であったが、すべての試料において麻疹ウイルスRNAは検出されなかった。また、札幌市衛生研究所での検査数は5例で、そのうち2例において麻疹ウイルスRNAが検出された。1例目は中国人旅行者、2例目はインド旅行からの帰国者であった。それぞれの遺伝子型はH1、D4であった。前年に比べ、衛生研究所における確定診断のための検査件数が増加し、病原体サーベイランスとして機能してきているものと思われる。
*1北海道立衛生研究所
北海道立衛生研究所報60,53-56,2010
横山裕之*1、中野道晴*1、柴崎和誠*2、的場啓*2、扇谷陽子、高橋広夫、佐田文宏*3、岡野素彦*1
パンデミック(H1N1)2009インフルエンザの北海道全域の定点における患者報告総数について、各年齢群別割合の経時変化を解析し、近年大流行があった2005年の季節性インフルエンザと比較した。また、全道の報告総数の急増をみた期間において休日となった、いわゆるシルバーウィーク(第39週)の影響についても考察した。
*1 北海道立衛生研究所、*2 北海道保健福祉部健康安全局、*3 国立保健医療科学院疫学部
たばこ規制枠組条約に基づく有害化学物質等の国際標準化試験法及び受動喫煙対策を主軸とした革新的ながん予防に関する研究 平成22年度総括・分担研究報告書88-99、2011
三上 篤、花井潤師、三觜 雄
厚生労働省の取り組みと平行して本市が取り組む受動喫煙防止対策の一環として、本市の公共建築物を皮切りに室内環境と受動喫煙の実態調査を段階的に行い、将来の全面禁煙化に向けての科学的根拠となる調査を行った。
調査対象を完全分煙施設3庁舎10箇所とし、喫煙実態と浮遊粉じん濃度の6時間連続モニタリング及びニコチン濃度測定等を行った結果、喫煙室における時間平均の浮遊粉じん濃度が厚生労働省ガイドラインに示す基準値を超えた施設は3箇所、非喫煙場所における時間平均の浮遊粉じん濃度がWHOの指針値0.025mg/立方メートル(人体に影響のない24時間平均濃度)を超えた施設は1箇所、喫煙室内の一酸化炭素濃度がガイドラインに示す基準値を超えた施設は1箇所であった。
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