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更新日:2016年5月27日

札幌市衛生研究所-学会発表(2008)

 胎児・乳幼児のタバコ曝露の実態ーニコチン代謝物測定による検討ー

厚生労働科学研究費補助金(がん臨床研究事業)研究課題:がん予防に資する未成年等における包括的たばこ対策に関する研究、第1回班会議
2007年5月 佐賀市
矢野公一

 

2003年に、札幌市の4か月児健診を受診した乳児1048人の保護者を対象として、喫煙に関するアンケート調査を行った。父・母の喫煙率はそれぞれ58.9%、21%であった。両親共に喫煙しない家庭は39%に過ぎず、両親共に喫煙する家庭は18.3%であった。2004年に、生後4か月~3歳までの38児の家族の喫煙に関するアンケート調査と母児の尿中コチニン測定を行った。6児の尿中コチニンが陽性で、いずれも母が喫煙者であった。コチニン陽性の母では、母乳栄養の方が児のコチニン陽性者が多く、母乳由来の可能性が示唆された。

 EFFECTS OF DIOXINS IN BREAST MILK ON THYROID FUNCTION IN INFANTS BORN IN JAPAN: EFFECTS OF BIRTH ORDER

Dioxin 2007
2007年8月 Tokyo
Nobuo Matsuura*1, Hiroshi Tada*2, Yshikazu Nakamura*3, Ritei Uehara*3, Naomi Kondo*4, Yukifumi Yokota*5, Masaru Fukushi


Dioxins (PCDD+PCDF+Co-PCB) contents of breast milk were measured in infants who were first, second and third children at the age of 30 days and their effects on the development, thyroid function and immune function of children at the age of one year were evaluated. The dioxin content in breast milk significantly decreased in infants with birth order. Thyroid function was not different by birth order. The dioxin content in breast milk in Japanese postpartum women does not effect on thyroid function in infants in Japan.


*1 Seitoku Univerty, *2Toho University School of Medicine, *3Jichi Medical School, *4Gifu University

 Is neonatal screenig for congenital adrenal hyperplasia feasible for universal screening?

6th Asia-Pacific Regional Meeting of International Society for Neonatal Screening
2007年8月 Singapore
M Fukushi,K Honma,M Yoshinaga,K Yano,T Tajima*1,K Fujieda*2


The second-tier steroid measurement in dried blood samples using HPLC can reduce false positive results, as well as unnecessary blood draws, medical evaluations, and stress and anxiety to families. Our screening program was able to detect all patients with potential risk of developing salt wasting crisis through timely and adequate therapy. Our data indicate newborn screening for CAH is highly effective and should be universal.
これまで札幌市の通常の新生児スクリーニング検査申込者のうちおよそ98.5%がMS/MSスクリーニングによる検査(本検査)を希望し、保護者の本検査に対する高い関心と、産科医療機関における本検査が有用であるとの認識の広まりを示した。本稿執筆の時点(平成18年12月13日)で検査実施人数はのべ2万6千人を越えており、このうち5名を精査とした。そのうち2名が患者、もしくは現時点で患者の疑いが濃厚な例である。その内訳はグルタル酸尿症2型が1例、古典的フェニルケトン尿症(疑)が1例である。特にグルタル酸尿症2型の患児は、本試験研究によらなければ早期診断が困難な例であり、MS/MSスクリーニングの有用性を示すものとなった。


*1 hokkaido University Department of Pediatrics *2Asahikawa Medical College Deapartment of Pediatrics

 Neonatal screening for congenital hypothyroidism by simultaneous measurement of TSH and free T4

6th Asia-Pacific Reginal Meeting of International Society for Neonatal Screening
2007年8月 Singapore
M Fukushi, K Honma, M Yoshinaga, K Yano, T Tajima*1, K Fujieda*2


The simultaneous measurement of TSH and FT4 is a useful and recommendable strategy for detecting not only primary CH but also central CH and neonatal Graves' disease.


*1HokkaidoUniversty Department of Pediatrics, *2 Asahikawa Medical University Department of Pediatrics

 札幌市における麻疹抗体価の疫学調査―妊婦甲状腺機能スクリーニング乾燥濾紙血液を用いた検討―

厚生労働科学研究費補助金:新興・再興感染症研究事業:ウイルス感染症の効果的制御のための病原体サーベイランスシステムの検討、第1回班会議
2007年08月 東京都
矢野公一


1996~2005年までの10年間にわたり、札幌市の濾紙血液による妊婦甲状腺機能検査を希望した妊婦のうち、1951~1990年生まれの妊婦10,732人を対象に風疹HI抗体価を測定した。HI抗体陽性率(>8倍)は全体で93.8%であった。女子中学生へのワクチン接種が終了した以降の年齢群(1981年以降の出生)の妊婦の抗体陽性率は89.6~90.3%であり、女子中学生へのワクチン接種を受けた年齢群(1964~1980年に出生)の抗体陽性率(92.4~96.6%)に比べ低値であった。2007年は妊婦の麻しん抗体価も併せて測定する。

札幌市におけるタンデム質量分析計による新生児マス・スクリーニング 2年間の実施成績

第34回日本マス・スクリーニング学会
2007年09月 千葉県千葉市
野町祥介,阿部敦子,太田 優,坂上絵理奈,臼井知美,太田紀之,福士 勝,藤田晃三,矢野公一,長尾雅悦*1,窪田 満*2


札幌市では新生児マススクリーニングの対象疾患を増やし、その効果を高めることを目的に2005年4月から希望者を対象とした新生児マススクリーニング検査を開始した。その結果、2年間で98.6%に当たる31,503名がこの検査を受け、2例のプロピオン酸血症患者と1例のグルタル酸尿症2型患者を発見した。このことから、効果的なスクリーニングが実施可能であると考えられた。


*1国立病院機構西札幌病院小児科,*2手稲渓仁会病院小児科

非誘導体化および誘導体化MSMSキット、最適データ解析用のソフトウェアの組み合わせについて

2007年09月 千葉県千葉市
C.Paulette*1,U.G.Jensen*1,野町祥介,福士 勝


タンデム質量分析計の性能の向上に伴い、従来ブチル誘導体化によりイオン化効率を向上させていたアミノ酸及びアシルカルニチンの一斉分析において、非誘導体化による簡便な方法が可能となっている。非誘導体化によるパーキンエルマー社MS8980EYキット及び誘導体化MS3026-0010キットについて、現在の汎用機種であるウォーターズQuattro Microによりデータ収集を行ったところ、十分な感度が得られ、従来法との相関も良好であった。


*1 PerkinElmer Life and Analytical Sciences

タンデムマスによる新生児マススクリーニング導入時の検査施設基準

第34回日本マス・スクリーニング学会
2007年09月 千葉県千葉市
福士 勝


タンデムマスによる新生児マススクリーニングでは、分析機器の効果的活用と保守管理、担当者の技術維持、専門医の存在などが必要である。また重要な問題であるコスト低減も踏まえると、以下の条件を備えた施設で行うことが望ましい。(1)担当者が十分な技術を持つ環境にあること、(2)専門のコンサルタント医がいること、(3)精査医療機関、産科・小児科との連携が確保されていること、(4)精度保証があること、(5)アミノ酸及び有機酸分析に関わる二次検査体制が確立されていること、(6)年間5万件以上の検体を扱っていること。

タンデムマススクリーニングによる予後改善効果の検討 発症後に診断された症例との比較

第34回日本マス・スクリーニング学会
2007年09月 千葉県 千葉市
長谷川有紀*1,小林弘典*1,遠藤 充*1,重松陽介*2,大浦敏博*3,福士 勝,鈴木 健*4,田崎隆二*5,山口清次*1


2001年から2006年までの間にタンデムマススクリーニングで発見された31例と、スクリーニングされず発症後診断された118例の予後を比較した。スクリーニング発見31例については1例が死亡、3例に発達遅滞があったが他の27例はすべて正常に発達していた。一方で、スクリーニングされなかった118例では27例が死亡し、正常発達を獲得できていた例は31例に過ぎなかった。


*1島根大学医学部小児科,*2福井大学医学部看護学科・小児科,*3東北大学医学部小児科,*4東京都予防医学協会,*5化学及血清療法研究所

MS/MS法におけるアミノ酸分析の問題点と精度管理

第32回日本医用マススペクトル学会
2007年09月 京都市
野町祥介


札幌市ではタンデムマスによる新生児マススクリーニングを開始するにあたり、従来HPLC法により行っていたアミノ酸代謝異常症三疾患の検査もHPLC法からタンデムマス法へ移行した。これに伴い、外部精度管理は精度管理センターによるものと、CDCによるものを受けることとしたが、タンデムマスによる検査ではLeuの変動が大きく、また精度管理センターの検体が従来のカットオフ値では陰性となっていしまう問題点がある。このため、精度管理センターと協力して指標物質にValを含めること、精度管理検体のLeu濃度を複数にすることなどを考えていきたい。

札幌市における妊婦甲状腺機能スクリーニング~7年間の検査結果とろ紙・申込書の様式変更について~

第34回日本マス・スクリーニング学会
2007年09月 千葉県千葉市
吉永美和,藤倉かおり,太田紀之,福士 勝,矢野公一


妊婦甲状腺機能スクリーニングの2000年4月から2007年3月までの検査結果についてまとめた。バセドウ病が73名(1:840)、橋本病による甲状腺機能低下症が66名(1:930)と妊娠初期の甲状腺異常を高頻度で発見する事ができ、早期治療に有用であった。また、申込書・パンフレットの様式を変更する事により、検査のインフォームドコンセントが徹底でき、ろ紙の様式を変更する事により、検体の保存スペースを縮小する事ができた。

ESI-MS/MSによる新生児マススクリーニングで発見されたグルタル酸血症2型及び軽症プロピオン酸血症

第32回日本医用マススペクトル学会
2007年9月 京都市
福士 勝,野町祥介,田上泰子,阿部敦子,藤倉かおり,吉永美和,太田 優,太田紀之,矢野公一,窪田 満*1,長尾雅悦*2


ESI-MS/MSによる生後4日から6日の新生児マススクリーニングにより、31,000人からグルタル酸血症2型1例及び軽症プロピオン酸血症2例、あわせて3例のβ脂肪酸代謝異常症及び有機酸血症を検出てきた。また、精査時のGC-MSによる尿中有機酸分析が迅速診断に有効であることも判明した。


*1手稲渓仁会病院、*2国立病院機構西札幌病院

札幌市におけるQFTの導入と今後の展望

北海道保健所長会地域保健研修会(設立60周年記念講演会)
2007年11月 札幌市
矢野公一


QFTの原理と測定値の判定について概説した後に、札幌市でのQFT実施事例について報告した。1病院での集団感染事例、2学生の集団健診事例、3職場での集団健診事例、4ヘパリン採血管がQFT検査結果に影響を及ぼした事例、5QFT陰性者からの発病事例(千葉市)について概要を報告し、留意点、今後の展望について述べた。

Developing a newborn screening system for mucopolysaccharidosis

49日本先天代謝異常学会
2007年11月 山形市
戸松俊治*1,山口清次*2,鈴木康之*3,折居忠夫*3,佐倉伸夫*4,福士 勝
*1セントルイス大学 *2島根大学 *3岐阜大学 *4重症心身障害施設鈴が峰

生後18ヶ月の神経芽細胞腫マススクリーニングについて

第59回 北海道公衆衛生学会
2007年11月 札幌市
阿部敦子,田上泰子,太田紀之,福士 勝,矢野公一,飯塚 進*1,長 祐子*1


神経芽細胞腫マススクリーニング事業は、生後6ヶ月児を対象として、1985年から国の指導のもとで実施されていたが、過剰治療の問題と、死亡率の低下に関して一定の見解が得られていないことから、2003年に一旦休止された。しかしその後の厚生労働省研究班による後ろ向き研究の結果では、1990年以降の受診群で2歳以降の年長児の症例が半減し、進行例の早期発見に寄与していたとの報告もある。札幌市では、2006年度から、過剰診断をできる限り低減し、予後不良例を早期発見することを目的として、生後18ヶ月児を対象としたマススクリーニングを開始した。


*1北海道がんセンター小児科

札幌市における麻疹小流行

第59回 北海道公衆衛生学会
2007年11月 札幌市
高橋恭子*1、山内敏博*1、赤石尚一*1、古畑雅一*1、藤田晃三*1、矢野公一、他


平成18年12月に成人麻しんの発生があり、この患者を発端として職場、医療機関、家族などの感染で、合計10人の麻しん患者の発生を確認した。今回の小流行については、感染経路が確定できない事例も認められたが、発症時期や通勤経路、居住地等から、発端者から二次感染、三次感染が起きたものと考えられた。患者10人中2人以外はワクチン未接種者であり、感受性者に対して感染が拡大していた。特に小児は全例がワクチン未接種であった。患者発生報告とそれに伴う積極的な疫学調査が対策上重要であると考えられる。


*1札幌市保健所

1996~2005年の妊婦風疹抗体価の推移-妊婦甲状腺機能スクリーニング検査残余ろ紙血液での検討

第270回例会 日本小児科学会北海道地方会
2007年11月 札幌市
矢野公一、福士勝、藤倉かおり、吉永美和、藤田晃三


1996~2005年に毎年、妊婦風疹HI抗体価を、妊婦甲状腺機能スクリーニングろ紙血液を用いて測定した(計10,695人)。平均抗体保有率は93.8%であった。ワクチン対象者が女子中学生から生後12~90か月の男女に1995年に変更になったが、2005年の調査で、ワクチン経過措置世代(1979~1987年生まれ)の抗体保有率(91.6%)は、それ以前の世代の抗体保有率(95.7%)に比べ低値であった。

札幌市における小児、妊婦の受動喫煙―アンケート調査および尿中・唾液中コチニン測定による検討―

厚生労働科学研究費補助金(がん臨床研究事業)研究課題:がん予防に資する未成年等にける包括的たばこ対策に関する研究
2007年12月 佐賀市
矢野公一、田上泰子、藤倉かおり、吉永美和、阿部敦子、太田紀之、福士勝


札幌市内の保健センターで実施している妊婦対象の母親教室受講者431人を対象に喫煙に関するアンケート調査と、唾液中コチニン測定を行った。妊婦の5.8%が喫煙継続し、23.9%が妊娠判明後に禁煙した。妊婦の13.9%が唾液中コチニン1ng/ml以上であった。また、保健センターで実施の1歳6か月児健診受診児(641人)とその保護者(734人)を対象に、それぞれ尿中コチニン測定と喫煙に関するアンケート調査を行った。父・母の喫煙率はそれぞれ53.9%、16.7%であった。児の29.8%が尿中コチニン20ng/mgCre以上であった。

タンデムマススクリーニングにおける精度管理の現状

平成19年度厚生労働科学研究(子ども家庭総合研究事業)「タンデムマス等の新技術を導入した新しい新生児マス・スクリーニングのあり方に関する研究」研究班全体会議
2008年01月 東京都
渡辺倫子*1,鈴木恵美子*1,福士 勝,鈴木 健*2,石毛信之*2,山上祐次*3,木下洋子*3,小田切正昭*4,石山 洋*5,稲岡一考*6,田崎隆二*7,原田正平*8,加藤忠明*8,松井 陽*8


タンデム質量分析計を導入、もしくは試験的に使用開始しているマススクリーニング検査施設は全国で7施設となり、今後も増加していくことが予想される。そのため現在CDCに依存しているアシルカルニチン類等の精度管理を、今後は国内でできるように体制を整備していく必要がある。


*1日本公衆衛生協会 *2東京都予防医学協会 *3神奈川県予防医学協会 *4さいたま市健康科学研究センター *5静岡県予防医学協会 *6大阪府母子保健総合医療センター *7科学及血清療法研究所 *8国立成育医療センター

採血手技によるマススクリーニング検査データの検討

 平成19年度厚生労働科学研究(子ども家庭総合研究事業)「タンデムマス等の新技術を導入した新しい新生児マス・スクリーニングのあり方に関する研究」研究班全体会議
2008年01月 東京都
河地 豊*1,福士 勝,藤倉かおり、望月孝一*2


新生児マススクリーニングにおける採血は、足底から、直接ろ紙をつける方法で行うよう指導しているが、採血医療機関を対象にアンケート調査したところ、手背から、あるいは毛細管を用いるなどの方法を用いているところも見受けられた。またヨードによる消毒を行っている施設もあった。そのような施設の数は地域間で差が認められた。今後もデータを集積して検討することが必要だと考えられた。


*1愛知県健康づくり振興事業団 *2埼玉県小児医療センター

検査施設のあり方に関する研究 -検査施設における検体管理と精査・診断・治療状況の把握-

 平成19年度厚生労働科学研究(子ども家庭総合研究事業)「タンデムマス等の新技術を導入した新しい新生児マス・スクリーニングのあり方に関する研究」研究班全体会議
2008年01月 東京都
福士 勝,梅橋豊蔵*1,山口清次*2


スクリーニング施設が実施すべき項目として、地域協議会等の設置、検体の管理、精査例の診断名や治療状況の把握がある。タンデムマスの導入によりスクリーニングシステムの再編に合わせてこれらの課題には取り組んでいく必要がある。


*1熊本保健科学大学 *2島根大学小児科

ムコ多糖症の新生児マススクリーニング開発

 平成19年度厚生労働科学研究(子ども家庭総合研究事業)「タンデムマス等の新技術を導入した新しい新生児マス・スクリーニングのあり方に関する研究」研究班全体会議
2008年01月 東京都
戸松俊治*1,アドレアーナ・モンターニョ*1,小熊敏弘*2,鈴木康之*3,折居忠夫*3,佐倉伸夫*4,福士 勝,山口清次*5


新生児マススクリーニングのろ紙血検体を用いて、LC/MS/MS法により、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸を測定することで、様々な病型をもつムコ多等症の一斉スクリーニングは技術的に可能である。治療法の進展と合わせて、今後パイロットスタディを経て、いずれは新生児マススクリーニングの検査項目として実施していくことが望まれる。


*1セントルイス大学 *2第一三共薬物動態研究所 *3岐阜大学 *4重症心身障害児施設鈴が峰 *5島根大学小児科

MPS症の血液ろ紙とタンデムマスによるスクリーニング法の研究

平成19年度厚生労働科学研究(子ども家庭総合研究事業)「タンデムマス等の新技術を導入した新しい新生児マス・スクリーニングのあり方に関する研究」研究班全体会議
2008年01月 東京都
小熊敏弘*1,戸松俊治*2,福士 勝


ムコ多糖症の病型により蓄積するヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸は、酵素処理することで生成するオリゴ糖をLC/MS/MSで測定することができる。そのため、これらの疾患を対象とする新生児マススクリーニングも技術的に可能だと考えられる。現在、パイロットスタディを実施する下準備として札幌市衛生研究所に技術移管を行っている。


*1第一三共薬物動態研究所 *2セントルイス大学

タンデム質量分析計による新生児マススクリーニングにおける非誘導体化法の検討

平成19年度厚生労働科学研究(子ども家庭総合研究事業)「タンデムマス等の新技術を導入した新しい新生児マス・スクリーニングのあり方に関する研究」研究班全体会議
2008年01月 東京都
野町祥介,仲島知美,櫻田美樹,太田紀之,福士 勝,矢野公一,Ulrich G Jensen*1
タンデム質量分析計により従来行われている新生児マススクリーニングにおいては、ブチル誘導体化によりイオン化効率を高める方法が一般的であった。今回、前処理が簡便で大量処理に適した誘導体化法について、札幌市の機器環境で有用な検査データが取得可能か検討したところ、十分な結果が得られ、従来法との相関も良好であった。


*1PerkinElmer Life and Analytical Sciences, Denmark

「北海道はしかゼロ作戦」の成果ー第2報ー

33回札幌市医師会医学会 2008年2月 札幌市
富樫武弘*1、舘石宗隆*2、矢野公一、山中樹*3
平成13年5月に北海道小児科医会総会において、5年以内に北海道から麻疹の発症をゼロにすることが決議された。この決議は、「北海道はしかゼロ作戦」として、ワクチン接種率を95%以上にすることにより麻疹の発生をゼロにするものであった。平成16、17年の北海道の麻疹ワクチン接種率は、3歳児検診時それぞれ95.5、96.2%であった。平成16、17年の麻疹報告はそれぞれ44、5件であった。しかし、平成18年秋から19年夏にかけて首都圏を中心に麻疹の流行があり、北海道でも500例を超える流行となった。
*1札幌市立大学、*2札幌市保健福祉局、*3札幌市小児科医会

札幌市における麻しん抗体価の疫学調査妊婦甲状腺スクリーニング乾燥濾紙血液を用いた検討

第33回札幌市医師会医学会
2008年2月 札幌市
矢野公一、吉永美和、藤倉かおり、福士勝、中田修二*1、菊田英明*1、富樫武弘*1


1961~1990年生まれの妊婦スクリーニング乾燥濾紙血液を用いて麻しん抗体価を測定した。若年妊婦ほど麻しん抗体保有率は低下し、1986~1990年出生群の抗体保有率はそれ以前のすべての出生群に比べ有意に低値であった。このことは、妊婦以外の同世代の女性や男性にも当てはまるものと推測され、この世代の麻しん感受性者への積極的なワクチン接種が必要と考えられる。


*1札幌市小児科医会

札幌市における麻疹抗体価疫学調査―妊婦スクリーニング血液を用いた検討―

厚生労働科学研究費補助金:新興・再興感染症研究事業:ウイルス感染症の効果的制御のための病原体サーベイランスシステムの検討、第2回班会議
2008年02月 東京都
矢野公一


1961~1990年生まれの妊婦スクリーニング乾燥ろ紙血液を用いて、麻疹PA抗体価を測定した。≧1時16分の抗体価の抗体保有率は妊婦全体では96.9%であった。発症予防レベルとされる1:128あるいは1:256以上の抗体価の抗体保有率はそれぞれ88.8%、78.3%であった。1986~1990年出生群の≧1時16分、≧1:128、≧1:256の抗体保有率は、それぞれ91.6%、81.4%、68.5%であり、他の出生群と比較していずれも有意に低値であった。麻疹蔓延防止対策として、若年世代の感受性者へのワクチン接種勧奨が必要である。

札幌市における麻しん抗体価の疫学調査―妊婦甲状腺スクリーニング乾燥ろ紙血液を用いた検討-

第271回例会 日本小児科学会北海道地方会 2008年02月 札幌市
矢野公一、吉永美和、藤倉かおり、福士勝、中田修二*1、菊田英明*1、富樫武弘*1


2005~2006年の妊婦スクリーニングろ紙血液を用いて、麻疹PA抗体価を測定した。1961~1990年生まれを5年毎の生年群に分け、各生年群の上限を400人として計2202人を対象とした。平均抗体保有率(1時16分以上)は、96.9%であったが、2007年末で17~21歳の1986~1990年生年群(371人)の抗体保有率は91.6%と低値であり、この世代の麻疹感受性者への予防接種が望まれる。


*1札幌市小児科医会

ヘパリンリチウム採血管がQuantiFERON TB-2G検査結果に影響を及ぼした事例

第4回結核感染診断技術研究会平成19年6月、大阪市
川合常明、広地敬、坂本裕美子、吉田靖宏、宮下妙子、矢野公一(札幌市衛生研究所)、高橋恭子、藤田晃三(札幌市保健所)


2007年4月に結核の接触者健診において78名を対象にQFT検査を行った結果、Nil値がCDCの基準値0.7 IU/mlを超え、また判定の結果、陽性20名・判定保留15名であった。患者との接触状況及びツ反の結果等から推定した以上に陽性・判定保留が多かったため、同一被験者の再採血及び再検査を行い検討したところ、特定メーカーのヘパリンリチ

ウム採血管を使用した際、QFT検査のNil値が高値を示し、判定結果に影響を及ぼしていたことが判明した。

QFT検査におけるヘパリン採血管の影響について

平成19年度地方衛生研究所全国協議会北海道・東北・新潟支部微生物研究部会総会
平成19年10月、新潟市
吉田靖宏、川合常明、広地敬、坂本裕美子、宮下妙子、矢野公一(札幌市衛生研究所)


要旨は上記に同じ

ヘパリンリチウム採血管がQuantiFERON TB-2G検査結果に影響を及ぼした事例

第4回結核談話会 平成19年11月、札幌市
川合常明、広地敬、坂本裕美子、吉田靖宏、宮下妙子、矢野公一(札幌市衛生研究所)、高橋恭子、藤田晃三(札幌市保健所)


要旨は上記に同じ

食肉のカンピロバクター汚染実態調査と使用培地の検討

第59回北海道公衆衛生学会 平成19年11月、札幌市
坂本裕美子、川合常明、廣地敬、吉田靖宏、宮下妙子、矢野公一(札幌市衛生研究所)、向井猛、渡部紀勝、清水洋子、青山智子、重永恭典、菅原麻未、布見大輔、赤石準一、梅田和照、羽田美智子、森田直秀(札幌市各区衛生担当課)、坂東成次、矢ケ崎和明、宮北佳恵、伊藤今日子(札幌市保健所)


カンピロバクターが原因と考えられる食中毒事例が近年増加している。喫食調査結果から、食肉(特に鶏肉)、レバー等の生食、または加熱不十分な状態で摂取したことが原因と推定される事例が多数あることが分かった。そこで市販鶏肉、レバーについて、カンピロバクター汚染実態調査を実施し、鶏肉30検体中14検体、レバー11検体中1検体からCampylobacter jejuniを検出した。また、食品のカンピロバクター検査については、標準的検査法が確立していないことから、増菌培地3種類、分離培地2種類を用い培地による分離状況の相違を比較検討し、その結果を報告した。

市販粉類における非意図的小麦タンパク混入について(ELISAによる測定)

第44回全国衛生化学技術協議会年会
2007年11月 三重県
扇谷 陽子、酒井 昌昭、宮下 妙子、矢野 公一


市販食品における食物アレルゲン物質の非意図的混入状況の把握を目的として、アレルゲンとして小麦、食品として粉類を選択し、小麦タンパク質量の調査を実施した。この結果、原材料の表記に小麦がなく、小麦製品と製造の施設・設備を共有する旨の注意喚起の表記のない粉類30製品中、17%に相当する5製品から、厚生労働省通知で陽性の判断基準とされている10μg/g以上の小麦タンパク質が検出された。

GC/MSを用いた農産物中残留農薬一斉分析法の検討

第44回全国衛生化学技術協議会年会
2007年11月 三重県
葛岡修二、伊勢香織、鈴木恵子、酒井 昌昭、宮下妙子、矢野 公一


平成18年度に報告したGC/MSを用いた農産物中の残留農薬一斉分析法の改良を目的として、前処理法およびGC/MSの測定条件について検討を行った。この結果、前処理については、塩析の際のリン酸緩衝液添加により、多くの農薬成分で添加回収試験の回収率が向上した。また、GC/MSの測定条件については、イオン源部の温度設定を高く(230℃→300℃)することにより、一部の農薬については感度の向上が期待され、さらに、検量線の直線性を向上させる可能性が示唆された。

札幌市におけるAOT40を用いたオゾン評価について

第59回北海道公衆衛生学会
2007年11月 札幌市
惠花孝昭、立野英嗣、林 恵子、五十嵐正次、 井上邦雄、矢野公一


2004年度及び2005年度における10地点の1時間値を用いて、AOT40によるオゾン濃度の評価を行った。その結果、2004年度の発寒局では11.3ppm・hを示したが、他地点と2005年度の全地点において0.23~7.81ppm・hと10ppm・hを下回り、今のところ樹木に対するオゾンの影響はないものと推定される。


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札幌市保健福祉局衛生研究所保健科学課

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ファクス番号:011-841-7073