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更新日:2012年9月28日

平成24年度第9回定例市長記者会見記録

日時

2012年9月14日(金曜日)15時30分~

場所 記者会見室
記者数 22人

市長から下記の話題について発表しました。

引き続き、次の話題について質疑が行われました。

配布資料

発表内容

 市立中学校生徒の死亡事故について

 まず、冒頭に、先日、市立中学校の生徒さんが死亡される事故が発生いたしました。亡くなられた生徒さんのご冥福をお祈りするとともに、大切なご家族を亡くされましたご遺族の皆さん方に対して、心からのお悔やみを申し上げたいと、このように思います。

 未来のある子どもが自ら命を絶つという道を選んでしまったのは、本当につらく、悲しく、残念で、胸がつぶれる思いでございます。

 生徒たちに行いましたアンケート調査や聞き取り調査からは、現時点では、なぜそのような行動に出られたのか、的確な情報は見つかっていないという状況と報告を受けておりますが、学校や教育委員会では、子どもたちの心のケアに十分配慮しながら、今後も引き続き、事実の把握に努めるということにしているところでございます。

 また、本日、先ほど開催されました教育委員会会議では、こうした事態に至った背景の調査や、再発防止の取り組みについて検討いたします、5人の委員から成ります調査検討委員会が設置をされたと報告を受けているところでございます。

 札幌市といたしましては、このような痛ましい出来事が繰り返されることがないように、この調査検討委員会の検討の状況等を踏まえまして、再発防止に取り組んでいく所存でございます。

 今夏の節電の取り組み状況について

 きょうは、政府と北海道電力からの夏の節電要請期間の最終日に当たる日でございます。まずは、市民や事業者の皆さん方の節電へのご協力によりまして、電力が逼迫(ひっぱく)することなくこの日を迎えられたことに心から感謝を申し上げたい、このように思います。

 最大需要電力が想定された8月の市有施設のピークカットは、2010年と比しまして、削減量で1万6,275キロワットでございまして、削減率は14.5%となりました。7月に引き続きまして目標を上回ることができ、消費電力量においても削減率で12.1%となったところでございます。

 なお、今回の節電で節約できました経費は、7月と8月を合わせますと約1億円という節約ができたわけでありますが、この浮きました経費につきましては、努力をした各局・区で、今後、節電対策に主として使わせていただく、活用するように指示をしたところでございます。

 また、節電プロジェクトを展開いたしまして各種事業を進めてまいりましたが、1万人の市民の参加を目標にしておりました「さっぽろ節電大キャンペーン」では、目標を大きく上回ります約2万8千人に節電宣言をしていただき、節電運動の大きなうねりを感じているところでございます。「LED推進キャンペーン」につきましても、予想を上回るペースでお申し込みいただきまして、大変好評のうちに、間もなく終了する予定となっているところでございます。

 これらの結果は、多くの市民の皆さんが高い節電意識を持って取り組んでいただけた成果だと考えております。

 札幌市は、節電要請期間終了後も引き続き、庁舎の照明の間引きだとか、日常的に取り組める項目につきましては、継続し、節電に取り組んでいく考え方を持っているところでございます。

また、20日から始まります定例市議会に、節電対策に係る補正予算の提案をする予定とさせていただいているところであります。具体的には、区役所の照明のLED化をはじめ、冬季の節電を視野に入れた節電キャンペーンとLED推進キャンペーンの第2弾の実施など、さらに取り組みの強化というものを図ってまいりたいと考えております。

 今後、札幌市では、この夏の取り組みの結果を踏まえまして、冬の節電に向けた対策の検討を進めていく予定でございます。市民の皆さん方には、引き続きまして、このご協力をお願い申し上げたい、このように考えているところでございます。

 ドイツ・ミュンヘン市等からの帰国報告について

 先週、ドイツ・ミュンヘン市等への出張の概要につきまして、この場で少しお話をさせていただきたいと存じます。

 ミュンヘン市で開催されました姉妹都市提携40周年を記念する式典には、札幌市からの訪問団やミュンヘン市関係者ら約100人が参加いたしまして、会場では、「ビールのまちさっぽろ」プロジェクトの一環で撮影をいたしました、札幌市民からミュンヘン市民に向けたお祝いの乾杯の映像を放映いたしました。サッポロビールを振る舞いまして、札幌のビール文化をPRしてきたところでございます。

 ミュンヘン市のウーデ市長さんとは、さらに今後、友好関係を緊密にするということを確認しながら、行政分野におきましては、交流のための職員の相互派遣ということを具体的に検討するということに合意をさせていただきました。

また、札幌商工会議所訪問団とともに、ミュンヘン市の再生可能エネルギーの先進事例というものを視察させていただきましたことは、環境エネルギーの問題をどうビジネス展開していくのか、ビジネスとどう結び付けていくのかということを考えるよい機会になったものと思っております。

 視察先の「ウンターハッヒング深層地熱発電所」は、およそ120度の低温の地熱エネルギーでも発電ができる方法というものを採用しておりまして、地域に、この発電をした電力と暖房熱を供給しているという施設であります。

 風力発電のベンチャー企業である「フタッグ社」からは、ビルの屋上などで発電をする方法の研究が進められているとのお話をお伺いしたところであります。

 両社とも、決して大きな発電施設ではありませんが、工夫を凝らして、独自性のある取り組みを行っておりまして、札幌の中小企業が環境ビジネスに取り組む際の参考になるものと考えております。

 また、ミュンヘンの商工会議所では、会員企業の経営効率を高めるために、エネルギーロスのチェックや改善の助言を積極的に業務として行っておりまして、一定の成果を上げているとのことでございました。今後、札幌商工会議所にも、このような中小企業を支援をする、省エネという側面から支援する取り組みを検討していただけるように呼び掛けをしてまいりたい、このように考えております。

 このほかに、オーストリアのウィーン市では、中心部にございます「シュピッテラウごみ焼却場発電所」と、欧州最大の木質バイオマス発電所「ジメリングバイオ発電所」を視察してまいりました。これらは、電力と暖房熱の両方を供給する熱電併給システムでございまして、特に、ジメリングバイオマス発電所は、新たな雇用の創出、これは、森で木を刈り取ってくるといいますか、そういう人々が大変必要だということもございまして、新たな雇用を創出することだとか、森林の活性化にも貢献している点でも、学ぶべきところがたくさんある施設であったと、このように考えております。

 ウィーンには、このほかにも地域ごとに熱電併給施設が点在をしておりまして、長年かけて、少しずつ環境施策に取り組んできた結果、まち全体が今、連携をして、効率のよいエネルギー活用の実現に至っているところでございます。われわれも、地道な取り組みを重ねていけば、最小限のエネルギー源で最大限の効果を挙げる理想的なまちの姿を実現できる可能性が十分にある、そんな明確な理念を持って、今、札幌で先輩たちがつくっていただきました熱供給公社だとか、こういうエネルギー供給、集中暖房、集中的な熱エネルギーの提供、これを発電というようなことも含めてしっかり検討していく、そんな努力を続けていかなければならない、こんなふうに強く感じたところでございます。

 さらに、カールスルーエ市では、近距離交通システムを視察してまいりましたけれども、路面電車にサイドリザベーション方式が採用されておりまして、これから札幌市も導入するに当たりまして大変参考になるものでございました。

 また、カールスルーエ市では、世界初のメディアアートの美術館・研究所として有名な「ZKM(ツェット・カー・エム)」を訪問をしてまいりました。今までにない斬新な作品の数々は、ITなど新しい技術を用いた芸術表現でありますメディアアーツ分野に特に力を入れていこうとしている「創造都市さっぽろ」の取り組みに刺激を与えてくれるものというふうに考えております。

 以上のように、このたびの出張では、先進的な取り組みを札幌商工会議所とともに学ぶことができたと、これから新産業を興していく上で大変有意義なものだったと、このように考えております。

 ミュンヘン市とは、これまで、市民レベルでの文化交流が中心でありましたけれども、姉妹都市提携40周年を契機に、環境などの新しい分野での交流というものを組織的に進め、お互いのまちづくりに役立てていきたいと、強い思いを持ったところでございます。

質疑

 冬に向けての節電の取り組みについて(1)

読売新聞

 先ほど、冒頭に市長からありました節電の関係で、早くもこの冬に向けて補正対応をされるということなのですが、まだ夏はこれから終わろうとしている段階であれなのですが、まず、この冬の節電に向けて、冬がどのような状況になるだろうかということを、まだ具体的な数値はありませんが、冬に向けて、どのような認識でいらっしゃって、できればどのような対策で、市民にどういう言葉で訴えていきたいか、節電に向けた対策のことで教えてください。

市長

 基本的には、事業で使う、工場を動かしたり、お店の照明だとか、そういうものについては夏と変わらないというふうに思います。皆さん、努力をして、最小限で頑張ろうというふうにされてきたのだというふうに思います。

 問題は、家庭で使う暖房が、これがもろに夏とは違う電力の使用にプラスアルファになると考えますので、この部分をどれだけ市民の工夫によって節減していくことができるかということで、まさに市民生活に焦点を当てた節電計画なり運動といったものをさらに強化していかなければならないだろうと、こんなふうに思っております。

 暑い時にはクールシェアなどということが言われておりました。暖かさを求めて、暖をとるためのウォームシェアなりホットシェアなり、そういうふうなことも工夫しながら、できるだけ電力、エネルギーを節約する関係を築き上げていくことができるようないろいろな提案をさせていただきたいと思いますし、市民の皆さん方からもさまざまな工夫、アイデアといったものを提供していただきながら、私たち札幌市が皆さん方にそのことをお伝えし、みんなでやっていこうという機運を盛り上げていきたいと、こんなふうに思っているところであります。

 市立中学校生徒の死亡事故について(1)

読売新聞

 また話が変わりまして、冒頭にありました、白石区の中学1年生が亡くなった事案のことです。

 先ほど、教育委員会会議で、第三者3人を交えた調査検討委員会が設置されたわけなのですが、ただ、そのメンバーを見てみますと、昨年の(市立中学校生徒の死亡事故の時の)調査委員会とメンバーが同じでした。実際に、昨年はいじめの事実というのは結果として確認できず、そしてまた、そこで再発防止策を講じたものの、また新たに、こういう今回の痛ましい事案がまた発生してしまったわけなのですが、果たして、同じメンバーをまた選んだことについて、拙速感があるのではないかという批判が今後出てくると思うのですが、今回の人選と、それから、今後、検討委員会に求める調査の姿勢について、お聞かせください。

市長

 3年連続して、こうした痛ましい事故が発生しておりまして、本当にやり切れない気持ちがありますが、昨年の調査検討委員会のメンバーの専門家、学識経験者、お医者さん、弁護士という方々が同じなのはどうなのかということでありますが、昨年の調査についても、ご遺族を含め、ご信頼を得た方々でありますし、今回についても、候補者として、ご遺族の皆様方に、こういう方にやっていただきたいと思うのだが、というふうなことを事前にお問い合わせさせていただいております。

 そういう意味から言いますと、信頼されるメンバーというふうに私どもは考えておりますので、特段のご異議があれば、もちろん、いろいろなことも考えなければなりませんが、今、新たに別の委員であるということについてのご希望等、あるいは不公正さ、あるいは秘匿されるのではないかというふうなことを疑う状況ではないというふうに考えておりますので、特に問題はないのではないかと。

 それから、9月5日に発生した事故でありますので、きょうで丸10日ぐらいの時間のうちにこの検討委員会を立ち上げたということは、拙速ということよりは、迅速な対応ということで、私どもは、しっかりとした調査をしていただけるように、時間もそこそこかけていただきながら、何が真相だったのかということを究明していただき、今後のわれわれの参考にさせていただきたい、こんなふうに考えているところであります。

 冬に向けての節電の取り組みについて(2)

北海道新聞

 冬の節電の関係なのですけれども、ロードヒーティングは結構電力を食うと思うのですが、一方で、止めてしまうと相当、車の交通なんかも危ないということになりますけれども、市長は、ロードヒーティングの停止というものについてどのように考えていらっしゃるかということを教えてください。

市長

 ガスのところもございますが、一番たくさん電気エネルギーを使う場所でもありますので、徹底的な融雪剤の散布とかで対応できるところはそれに切り替えるということがまず第一だというふうに思います。そして、どうしても必要な所は、最小限、電気を使って融雪をすると。個別の場所というものと、対策が功を奏するかどうか、代替措置が功を奏するかどうか、安全性の問題というものを考えながら、十分に慎重に対応したい、こんなふうに思います。

 政府が決定した「革新的エネルギー・環境戦略」について

北海道新聞

 もう1点、きょう、政府が、「革新的エネルギー・環境戦略」案というものを閣議決定しているはずなのですけれども、その中身なのですが、原発ゼロを目指すとしながらも、核燃料サイクルは継続するという一見矛盾しているような中身にも受け止められるのですけれども、市長はどのようにご覧になっていますでしょうか。

市長

 私も矛盾していると思います。

北海道新聞

 もうちょっと何かいただけますか、感想など。

市長

 核燃料サイクルというのは、まさに使用済み燃料を再処理するという、そしてプルトニウムを取り出す、その取り出したプルトニウムをもう1回、MOXにしたりして燃料化して、そして原発を継続していくという政策なわけです。

 従いまして、原発は2030年代にゼロにするという方針を出されたのであれば、今更、再処理をし、プルトニウムを取り出し、それを燃料化するというふうな方策というものは、どこに必要性があるのかということになりますし、再処理をするということは、ますます処理が困難な高レベル放射性廃棄物を産出するということにもなります。

 学術会議等でも、深地層処分については考え直せと、こういうふうなお話がございます。もっともな話だと思います。そして、使用済み燃料の第1のバリアーでありますペレットを詰めてある燃料被覆管等を溶かさないで、そのまま、使用済み燃料のまま、最終処分に向けて保存していくという方法を提言しているわけでありますので、それからいっても、そういう一連の核燃料サイクル理論をやめようという状況の中でのお話だとすれば、非常に問題のある決定かなと考えているところでございます。

 腸管出血性大腸菌O157による大規模食中毒事案について

HTB

 O157の集団食中毒の件で2点あります。

 きょうで、市の保健所の会見からちょうど1カ月がたちました。今現在、思われていること、感じていること、当時を振り返ってということも含めてお話をいただきたいと思います。

 2点目は、きのう、「さっぽろ食の安全・安心推進委員会」が行われまして、(食の安全・安心を推進するための条例の)骨子がまとまりました。市長が回収の勧告ができるという権利も盛り込まれて提言されるということで、市長自らが判断する、かなり責任の重い件になるかなと思っております。この件についてもお話をいただけますでしょうか。

市長

 私たち日本人が非常に好む浅漬けという食品が、不完全な製造過程、ここまでは分かっているわけですね、それで、O157という極めて毒性の強い大腸菌を消費者に食べさせてしまったということ、その上、7人の死亡者を出すという非常に重大な結果、さらに150人規模の患者を生じさせる、食中毒事件としては極めて大きな事件が発生したことについて、誠に残念に思いますし、北海道の、食に対する安全ということが非常に大事な地域である、これも大事にしてきたところが破られてしまったということについて、ざんきに堪えないという思いがいたします。

 お亡くなりになりました皆さん方に、心からのご冥福をお祈りするとともに、健康被害を負われた方に対しては、本当にお慰め申し上げたいといった気持ちでいるところでございます。

 かくなる上は、原因究明とそれに対する対策ということで、しっかりとした調査をし、そして、その上で、再発しないような、業界を挙げての取り組みをしていただくべく、さまざまな取り組みをさせていただいているところであります。

 一つは、食品業界全体に対して、9月10日にセミナーを開催させていただきまして、食品の安全についての意識を徹底していくというような取り組みをさせていただきましたが、漬物業者、業界の皆さん方に対して講習会を開かせていただいて、今回の調査結果で分かる範囲のこと、まだ最終的なところまでは分かっていないものはありますけれども、しかし最低限、これだけは守りましょうよという講習を受けていただくということも兼ねまして、食品に対する安全性を保障し、また、それに対する信頼を回復するという努力をしていきたい、こんなふうに思っております。

 市長が回収勧告をできるというのは、これまでも、当然、早期に、怪しいと思ったものについては保健所サイドからも回収の勧告をするというような、勧告という制度はないにしても、事実上の行政指導というものはさせていただいておりますが、それを、より明確な形で、市長の回収勧告権限といったものを付して、食品の安全性に対する重大な責任があるということについて、内外にお示しをしていきたい、そして実効性を上げていきたい、こんなふうに考えているところでございます。

 公契約条例について

北海道建設新聞

 市長、公契約条例について2点お聞かせください。

 まず、昨夜、市長もパネリストとしてご出席された公契約条例の市民集会を含めて、一連の集会を終えての今の感想と、条例制定に向けた思いをお聞かせください。

 それと、2点目が、きのうの集会でも、議論の大部分が、入札制度改革ということが大きなテーマだったかと思うのですけれども、その中でも、特に、市の発注工事でくじ引き、抽選が多発しているという現状に対しての市長の見解と、あと具体の対策みたいなものがありましたら、ぜひお聞かせください。

市長

 この間、何度か市民の皆さん方の集会に出席させていただきまして、あるいは、業界の皆さん方ともお話をさせていただいて、今日に至っているわけでありますが、賃金を保障するということについては、誰しも異論のないところというふうに思います。

 建設業界につきましては、きのうも集会で、中小建設業協会の方から、多分、設定労賃といいますか、を下回る労賃を支払っているところはあまりないのではないかと、だから、公契約条例の肝であります最低賃金といいますか、賃金保障のレベルでは、業界としてはさほど抵抗はないのではないかというふうにおっしゃっていることをお聞きしまして、ひとつ安心をしたわけでありますが、問題は、やはり入札制度、落札をする機会があまりにも不確定で、また、低落札ということにいつもされてしまう、あるいは、くじ引きという、合理的か非合理的かについては評価が分かれる制度にいってしまうというですね、それが多発しているという、そういう状態に対する悲鳴のような話を頂戴いたしまして、これはやはり、それにどう対策をするのかということについては真剣に考えなければならないと。

 以前から、どうするかということについては考えてきたつもりではありますけれども、やはり、一般競争入札制度の中で一定程度の政策的な総合評価方式なり、札幌市の政策に合う行動を取っておられる業者さんについては、それなりの優遇をするなりですね、というようなことで、差ができやすい方策を取っていくようなことが現実的な対策ではなかろうかと、そんなふうに思っているところであります。

北海道建設新聞

 ありがとうございます。

 電力需給と泊発電所の再稼働問題について

北海道新聞

 節電の関係なのですけれども、この夏は、札幌市民をはじめですね、協力があって、逼迫することなく乗り切れたと。現時点で、夏は逼迫しなかったことによって、泊の再稼働の議論にどのような影響が出るか、市長のお考えをお聞きします。

市長

 夏に入る前に、泊の原子力発電所が動かないと計画停電になるということを盛んに言われておりました。それを回避するために、市民は一生懸命努力をしたのだろうというふうに思いますし、われわれも努力をさせていただきました。

 今回、要請期間が終了するという、この期に及んで、直ちに冬の停電ということがやはり叫ばれるというのは、非常に再稼働ありきといいますか、というふうな形で言われるのは、少し問題があるのではないかというふうに思います。いかにわれわれが努力をできるかということについてこそ、この夏に努力をした内容を分析し、どこまでならみんなもっと努力できるのか、どこまでならみんな我慢できるのか、そんなことをしっかり、電力会社も含めて一緒に考えるという方向性を示していただけるような情報発信というのがなされるべきではないか、そんなふうに考えているところでございます。

 市立中学校生徒の死亡事故について(2)

読売新聞

 2点、質問させていただきます。

 まず、自殺問題についてなのですけれども、今、市教委や外部の有識者を交えて調査検討委員会が始まるとありましたけれども、今後の調査の進め方なのですが、経過を一応、どういう流れで動いているかというのを定期的に外部に報告するというのも重要ではないかと思うのですけれども、状況報告のあり方というのは、市長としてどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

市長

 これは、委員会の持ち方で、調査の細部にわたって全部公開できるかどうかというのは、トータルな人間の心理の問題、生活実態、さまざまな人間関係全てについて、やはり点検をしなければならないことだというふうに思いますが、教育委員会と学校サイドとしては、学校との関係でどうだったのかということが、第一義的にまず考えなければならないことだというふうに思います。

 そんな意味で、お子さんと関係のあった子どもたちとの関係、その相手方のお立場もあるでしょうし、さまざまな人間関係の中で考慮しなければならないこともたくさんあるだろうと、そんなふうに思いますので、すべてがガラス張りでできるかどうかについては、私は、そこは良識に従った配慮をしなければならない部分もあるのではないか、そんなふうに思います。

 ただ、いつまでも長々と調査ということになりますと、これまた非常に問題がありますので、一応、2カ月程度で調査を終えるというふうな目途を上げておりまして、その間に、これだけ多くの皆さま方のご心配をいただいている事件でもありますので、しかるべき中間報告とかというようなことはしていただけるように、私の方からも希望させていただきたい、こんなふうに思います。

 今後のヒグマ対策について

読売新聞

 分かりました。

 それと、話は全然変わるのですけれども、ヒグマについてなのですが、ことしは例年に比べてかなりの目撃件数が出ていますが、中でも、去年は10月がすごく多くて、またことしもこれから増えるのではないかと思うのですが、札幌市として、今後、何か新しい対策とか、どのような体制で臨もうと考えていらっしゃいますか。

市長

 私も大変憂慮しているところでありますけれども、これからが、10月、冬眠に入る前の活動というものが非常に活発になり、都市部に迷い込むというようなことも出てくることが想定をされます。基本的には、すみ分けをするという大きな目標を持ちながら、クマに学習をしてもらうといいますか、ここは人間の領域だということを分かってもらうという方法を、時間をかけてやらなければならないということと、緊急的には、防御柵、侵入できないような柵を作る、あるいは電気柵、さらには有刺鉄線、そういったもので、公共の場所とか人がたくさん集まり出入りするような場所については、そんな具体的な防御措置を取りたい、そんなふうに思っております。

 一般市民の皆さん方には、生ごみをまちの中に長期間置かないとか、そういうふうなごみについての私たちの基本的なルールといったものをしっかり守っていただくことによって、野生の動物がそれをあさりに来るというようなことを避ける、そんなまちづくりの一環としても努力していかなければならないことを呼び掛けたいと、こんなふうに思います。

読売新聞

 まだ具体的には決まっていないと思うのですけれども、電気柵を公共の場所にというのは、何か、具体的に、例えば学校とか、今考えていらっしゃることはありますでしょうか。

市長

 既に、盤渓小学校等については、電気柵を作って設置させていただいているところでありますし、他にもどこかありましたか、今やっているのは…。

事務局

 定山渓自然の村ですとか、北方自然教育園ですとか…。

市長

 滝野(自然学園)とかですね。

事務局

 これは、指定管理者のほうで設置しております。

読売新聞

 そういった施設をこれから増やしていくと。

市長

 そうですね。農業被害もございますので、そこら辺についてもいろいろこれから議論しなければいけない、そんなふうに思います。

 「日本維新の会」について

読売新聞

 今週11日なのですが、道庁のほうで高橋知事が、先日旗揚げした例の橋下新党「日本維新の会」について、何といいますか、そういった国政を目指す人が地方からそういうふうに声を上げているというのは、同じ北海道でそういう地方を預かる身として、非常に心強いと、頑張ってもらいたいという、橋下新党に対するエールを送る場面がありました。その点、やはり、北の政令市を預かっている上田市長の目から見て、ああいう地方から国政に進出していこうという日本維新の会、そのあり方についてどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

市長

 国会議員の皆さん方は、全て地方から出ているように私は思いますけれども。当然、地方のことを考えながら、全ての議員さんは国政に携わっているというふうに思っておりますけれども、中央集権的な国家体制であるという主張のもとに、地方分権、地方主権というものを実現するために国政の場で活躍をしたいと、こういうグループができたという、そういう限りにおきましては、特に、私は地方の声が本当に国に届くという関係をつくるためには、大いに発言するべきであるというふうに思います。

 しかし、新党の維新の会がそれにふさわしいかどうかについては、その維新八策とかを読ませていただきましたが、あまりよく分からないということもございますので、もろ手を挙げて新党大賛成とは…、例えば、憲法9条の解釈の問題についてもばらばらと出てくるお話、こういう基本的な憲法解釈、集団的自衛権を認めるのだというようなことをおっしゃったり、教育の問題について、教育基本法と抵触するようなお話がなされたり、そういうようなことが八策の中にばらばらと織り込まれていることについては、私は承服し難いというふうに明確に申し上げておきたいというふうに思います。

読売新聞

 ということは、やはり、少なくとも、地方から声を上げることについては評価するものの、ただ、ああいう政党、団体としては、エールを送る気になれないと。

市長

 それは、ご自由だというふうに思います。国民が選ぶことですから、それは、私が批判すべきことでもありません。ただ、新自由主義といいますか、競争というものが前面に出た主張を、また、されるのについては、今、公契約条例等、われわれは貧困とどう向き合うかという議論をしている時に、競争してどうなるのか、その結果が、今日の、200万円以下の収入の方が本当にたくさんいらっしゃって、あしたの生活をどうするか、将来設計、生活設計ができないというふうなことが問題になっている時に、そのことが前面に出ない政策を掲げられる考え方については、私は地方分権とあまり関係ないのではないかな、そこのところをごちゃ混ぜにされますと、非常に困惑をするといいますか、そんな思いでいるのが、私の現在の心境であります。

 「札幌国際芸術祭2014」のゲストディレクターに就任した坂本龍一氏の政治活動について

読売新聞

 すみません、もう1点。

 おととい、記者会見に出させていただいてお伺いした、札幌国際芸術祭を2年後に開いて、それで、著名な坂本龍一さんが、いわゆる芸術監督、ゲストディレクターということで決まりました。

 ただ、先日、西のほうの山口市のほうでも、あちらでもやはり同じような芸術祭の総監督のような立場に就いていらっしゃるのですが、ただ、そこの山口市の市役所側が、市議会の議会答弁の場で、何といいますか、坂本龍一氏は、やはり脱原発という立場からいろいろ声を上げて活動をしていらっしゃいます。ただ、やはり、そういう一方の立場で、特定の思想を持った政治活動をされている方を、いわゆる税金を、公金を支出して行う総監督という立場で活動してもらう上では、やはりそういった、特定の政治活動を自粛してもらうべきではないかと、そういう議会側の声に対して、山口市の当局は、それも時期を定めて要望していきますというような、そういった答弁をされていたようなのですが、また同じく、やはり札幌市のほうでも、坂本龍一氏のそういった活動について、公の立場に立つわけですけれども、そういった観点から、坂本龍一氏の脱原発であるとか、特定の思想を持った政治活動について、どのようにこれから対処されていくかということをお伺いしたいと思います。

市長

 非常に大事なことだというふうに思いますけれども、札幌国際芸術祭を、私たちは都市と自然というテーマで展開していこうというふうに考えております。しかも、メディアアーツという新しい芸術分野を含めた発展的な、将来を見据えた、人々のさまざまな希望だとか、さまざまなイメージが広がる、そういう力を与えていただくことができる芸術祭にしていきたい、そういう構想であることを十分にご理解いただいた上で、最も適任者として、坂本さんを私どもは選任させていただいたことは、一昨日、選任の理由と経過の中で申し上げたところであります。

 坂本さんがどういうお考えを持っておられるかということについては、多くの市民の皆さんが関心を持っておられると思いますけれども、国際芸術祭に彼の思想を反映、あるいは、今の政治的な発言やに見える部分を展開してもらうことについては、私どもはご遠慮いただくということについて、当然、これは約束の前提であります。しかし、個人として、そのようなお考えをお持ちになり、かつ、活動されることについて、私は何も問題がないというふうに考えておりますので、そこは分別をしっかりつけて、かつ行動していただくということは、これは大人の約束だというふうに私は考えております。

読売新聞

 ありがとうございます。

 ドイツ・ミュンヘン市等からの帰国報告について

北海道新聞

 ミュンヘン視察の部分でお聞きしたいのですけれども、カールスルーエの部分ですが、先ほど、市長は、参考になる部分があったという話だったのですけれども、向こうの路面電車はいろいろ他にも取り組みがあったと思うのですが、もう1度、これから札幌市の市電で生かせる部分はどんなところがあったのかということをお聞かせください。

市長

 カールスルーエは、誠に、森の中にできたまちでございますので、郊外からたくさん人が集まってくるということをどう保障するかということで、ああいう近距離交通体系というものができたようでございます。

 札幌において、同じ状況ではもちろんありません。しかし、これからの高齢社会における路面電車の役割というのは、非常に日増しに大きくなってくるだろうというふうに思います。電車というのは、横のエレベーターというふうに言われているぐらいの、平行移動のエレベーターのようなものであるというふうに言われているわけであります。とにかく、電車が、停留所というのですか、この距離が300メートルから400メートルと、3分、5分歩けば必ず電車に乗れるという、そういう状況を街じゅうにつくっていくということが、どれだけ人々の交通、移動の利便性にかなうかということは、カールスルーエの例を見て、非常に感動的にさえ思ったところでございます。

 それから、やはり、低床車両をしっかり導入しておりまして、あるいは、自転車をそれに乗せることができるというような試みといいますか、電車の活用、これは、特に郊外に出る時に、自転車を電車に乗せて郊外に行って、そして親子で自転車で帰ってくるというような、非常に豊かなレクリエーションといったものをサポートするのにも役に立っているというようなことを見ますと、やはり、心の豊かさとか、ライフサイクルの中で電車が占めているまちの重要な役割ということについて認識を深めたところでございまして、札幌も、同じようにはいきませんけれども、少なくとも、街の中について利便性を高める、そういうことに市電が役に立てばいいなと、こんなふうに思ったところであります。

 「(仮称)札幌市暴力団の排除の推進に関する条例」について

北方ジャーナル

 暴力団排除条例なのですけれども、先日、審議会から答申があって、もうすぐ大枠が出されると思うのですが、これは、都道府県の条例がそろった時とか、もっと前の暴対法の時なんかも、主にジャーナリストの方々の議論にあったのですが、いたずらに暴力団構成員の方たちの権利を侵害することにならないかという議論があって、今回の答申を見ると、暴力団と交際するなかれという文言は盛り込まれていなかったのですが、今の時点で確認しておきたいのは、将来、彼らであるとか暴力団の家族、親戚を差別してしまったりとか、そういうことを促すのではないだろうかという懸念に対しては、どういうふうにお考えになりますか。

市長

 まず、公契約から外すということは当然のことだというふうに思います。

 それから、密接関連者というところが少し問題が残るということも認識をいたしております。どう付き合っていたか、全然知らなかったとかいうようなこともあり得ることでもありますので、そこら辺はどう絞りをかけるかということは問題だと思います。

 それから、暴力団自体があってはならない、それを職業とすること自体は、非常に問題であるということは、多くの国民が思うところであります。ただ、その構成員の人権という観点からいえば、何もしていないのに、その信条だけで処罰をするとか、所得だけで処罰をするとか、そういうふうなことは、これは法治国家でありますので、できないというふうになります。何らかの行動をし、何らかの契約をし、何らかのアクションということについて、それが違法な活動にならないようにする、われわれは最大限の防御をしていくということになろうかと思います。

(以上)

 

 この内容については、重複した言葉遣いや、明らかな言い直しがあったものなどを整理した上で作成しています。(作成:札幌市広報課報道係)

 

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