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更新日:2012年5月23日

平成24年度第2回定例市長記者会見記録

日時

2012年4月27日(金曜日)14時15分~

場所 記者会見室
記者数 17人

市長から下記の話題について発表しました。

引き続き、次の話題について質疑が行われました。

配布資料

発表内容

ホームページ「札幌市平和バーチャル資料館」の開設について

 ことしは、札幌市が平和都市宣言を行ってから20周年という記念の年でございます。

 この機会に、市民、そして、次代を担う子どもたちに、あらためて、戦争の悲惨さを知り、平和の尊さといったものについて思いをめぐらせていただくために、さまざまな取り組みを予定しているところであります。

 その一環といたしまして、ホームページ、「札幌市平和バーチャル資料館」を開設し、きょうから公開をさせていただくということをお知らせするものであります。

 このホームページでは、札幌市民の戦争体験談を映像などで分かりやすく紹介するということのほかに、市民の皆さま方から協力をいただき収集いたしました戦時中の暮らしに関する資料を写真でご紹介しようというものであります。また、クイズも掲載をしておりまして、子どもたちに関心を持ってもらえるような工夫も凝らしているところであります。

 戦争を体験された方々の言葉の一つ一つには、人生が凝縮された重みというものがございます。戦争体験世代の高齢化ということが進んでおりますさなかでありますが、いかに次世代に語り継いでいくか、これは大きな課題でございます。このホームページが、その役割の一端を担うことができればというふうに考えております。

 札幌市といたしましては、教育の現場での活用を検討しておりますが、家庭や地域でも、ぜひ積極的にこのホームページをご活用いただきたいと考えております。

 また、今後は、戦場カメラマンとして有名でございますが、渡部陽一さんをお招きいたしましての講演会の開催のほか、区民センターや図書館と連携した催しなど、1年を通じてさまざまな事業を展開し、「平和都市さっぽろ」の推進を図っていくという考えでございます。

 詳細は随時お知らせしてまいりますので、周知のほうは皆さま方によろしくご協力をお願いしたいというふうに考えております。

「第35回WACS(世界司厨士協会連盟)世界会議」等への参加について

 姉妹都市でございます韓国の大田広域市で行われます「第35回WACS(世界司厨士協会連盟)世界会議」に私が参加をさせていただくために、5月1日から3日まで出張することになりましたので、お知らせをするものであります。

 これは、同連盟に加盟しておりますシェフをはじめ、食の専門家が世界中から参加する国際会議でございまして、このたび、組織委員長でございます同市の廉弘喆(ヨム・ホンチョル)市長から直接お招きをいただいたところでございます。

 韓国政府といたしましても、韓国の料理の世界化というものを目指しておりまして、政府を挙げてこの会議を強力にバックアップをしておりまして、「韓食世界化推進団」の名誉会長として李明博(イ・ミョンバク)大統領夫人が名を連ねておられる、そういう会議でございます。

 私は、開催式の中であいさつをさせていただく機会をいただいておりますので、その場で、北海道、札幌の食材の素晴らしさということだとか、こういう食材を生かした食文化をアピールしてまいりますとともに、こういう大きな世界大会が、近い将来、札幌で開催されることを望んでいるということをスピーチとして申し上げてこようということにしているところでございます。

 また、現地では、「大田国際食品産業展」というものが同時開催をされまして、札幌市は、ここに姉妹都市PRブースを設けまして、大田広域市との共同によるMICEの誘致の取り組みのほかに、「さっぽろオータムフェスト」や「さっぽろスイーツ」等の事業を紹介するなど、食を切り口とした札幌のPRを行うことにいたしております。

 サッポロビール株式会社にも協賛をいただきまして、ビールやさっぽろスイーツを味わいながら、札幌に関心を寄せていただけますように、そういう催しも企画しているところでございます。

 これら会議と食品産業展を合わせまして、97カ国から約3万人の参加者と約35万人の観覧者が見込まれている催しでございます。

 「北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区」の取り組みが本格化をいたしますこの時期に、絶好の機会というふうに考えておりまして、この機会を活用させていただき、北海道、札幌の食の魅力をしっかりアピールしてまいりたい、このように考えているところでございます。

質疑応答

電力需給と原発の再稼働問題について(1)

朝日新聞

 5月5日に3号機が停止して、泊の原発がすべて停止すると。あらためて、再稼働についてご見解を伺いたいと思います。

市長

 これまで何度かお話をさせていただいておりますが、正式に、5月5日に止まると、日本の原発が全て停止するということになるわけでありまして、再稼働についてということでありますが、今、いろいろな方が言っておられますけれども、福島第一原発の事故が何によって引き起こされたのかということが究明をされなければ、安全性に対する国民の理解を得られないと、このように考えておりますので、事故調査といったものが極めて急がれる、そして、それに対する対策といったものが、どういうものが正しいものなのかということを、しっかり議論をされ、対策を立てられなければ、なかなか再稼働というものは難しいのではないか、このように考えております。

電力需給と原発の再稼働問題について(2)

北海道新聞

 原発絡みで、大飯原発ですけれども、再稼働に向けて政府がいろいろ動いていますが、政府の一連の動きを、市長はどのようにご覧になっているかということをお尋ねしたいのです。

市長

 感想的に言えば、感覚的に言えば、非常にどたばたとした、前のめりという感じを否めないというふうに思います。

 当初、国会での議論も少し聞かせていただいておりましたが、原発周辺の皆さん方の同意とか理解といったものを求めなければいけないというお話がありましたけれども、少し、それとは違うテンポで行われているのではないかというふうにも思いますし、特に滋賀県と京都府の知事が出されております7項目の質問等にはしっかりと答えないといけないにもかかわらず、どうやら、その質問にも、いまだ回答が出されていないように思いますので、その上での再稼働に向けた動きというのは、私は相当無理があるのではないかというふうに思っているところでございます。

北海道新聞

 それと、泊ですけれども、先ほどもお話がありましたけれども、5月5日に止まりまして、国民全体が原発がない国を体験することになるわけですが、実際に原発が全部止まるということを国民が体験するのと、大飯原発が、今、可能性はほとんどないですけれども、再稼働して原発ゼロということを国民が体験しない場合と二つ考えて、ゼロになったということを体験することによって、再稼働論議というのが相当変わってくるのかなと。ごめんなさい、分かりにくいかもしれませんが…。

市長

 感想的に言えば、原発がないということを、もともとは昭和30年代にはなかったわけでありますので、われわれの世代も含めて、この40数年の間、必ず原発がどこかで動いているという状況の中で生活をしてきたわけでありますので、文化的なショックというものを味わうことになるというふうに思います。

 そして、常に、原発がなければエネルギーが足りないのだということを言われ続けてきたという現状があるというふうに思いますので、それが全部停止しているという状況は、相当、文化的なショックをわれわれは味わうことでありますし、いま一度、原発とエネルギーの問題について、自分の問題として、自分たちの問題として考えていく大きな機会になるのではないかというふうに思います。

北海道新聞

 先ほど、やっぱり、福島の原因究明が大切で、対策はそれを踏まえて考えなければいけないというお話がありましたけれども、市長が、これから原発がゼロになって、再稼働論議がこれからさらに本格化していくのかなと思いますが、その中で大事に思うというか、注目していく点というのは、やっぱり、そういう点なのかということと、もう一つ、再稼働をめぐって国あるいは道に対して望みたいことがあれば伺いたいのです。

市長

 先ほども申し上げましたけれども、まず、事故調査委員会の報告書が出ていないという状況にございます。

 そしてまた、過日、ある雑誌に第二原発の写真が掲載されました。東電の発表によりますと、第一原発と第二原発は違うと、第二原発のほうは新しいので、地震(による揺れ)で無傷であったというふうに言われてきたことが、どうやらそうではないというふうなレポートも散見するようになりました。

 そのようなことから、地震による津波の対策ではなくて、地震というものについて、今回の原発事故をもっともっと深刻に考えられなければならないというふうに私は思います。

 そして、再稼働については、当然、そのことが、全ての疑問が解かれるまでは、私は、市民がそれに納得的に同意を、あるいは、理解を示すということはないのではないかというふうに思っております。また、先ほども申し上げましたけれども、京都、滋賀、両知事が出されました7項目の提案は、本当に考え抜かれたものだというふうに私は思いますし、中でも電力の需要についての第三者検討委員会をつくれという、検証を電力会社、供給側ではなくて、第三者が評価をするべきだと、そのためには、しっかりとしたデータを正直に出してもらうということを求めておられるのは、極めてもっともな話だろうというふうに私は思っているところであります。

北海道新聞

 国と道に望むことはありますか。

市長

 それは、私は、そういうことをどこでも申し上げているわけで、既に、多くの方々が言われておりますので、もちろん、泊の問題になれば、当然のことながら、私は発言をしなければならないというふうに思っております。

電力需給と原発の再稼働問題について(3)

朝日新聞

 泊にもかかわってくる大飯原発の問題ですけれども、再稼働に向けた、政府が決めた暫定的な安全基準については、どうお考えですか。

市長

 そもそも、暫定的に考えるべきではないというふうに考えております。

朝日新聞

 この基準をクリアすれば、原発の再稼働を認めるかどうかという4閣僚の了承を得ての手続きになっていますけれども、それ自体は、そもそも認めるべきものではないという考えですか。

市長

 私は、そのように思います。

 これだけの事故を起こして、今、これだけの解決できない問題に直面している時に、とりあえずということはないでしょう、ということを、私は、何か暫定的うんぬんというふうにいつもやられますけれども、本格的な対策を取らずに原発を動かすというのは、いかがなものでしょうかというふうに考えるところであります。

朝日新聞

 あと、この23日に、北電さんのほうから、この夏の電力需給の見通しが示されましたけれども、それによると、一昨年並みの猛暑ですと、7月、8月が予備力ゼロで厳しくなる、これについてはどう思いますか。

市長

 ですから、これも、正確な検証が行われないといけないというふうに思います。これまで、ずっと需要予測、あるいはデータというものが、こう言っては悪いですけれども、本当にそうでしょうかというふうに思いながら、それに対しても不信感を持たれているというのが現状だと私は思います。いろいろな方から、そういう発言もあります。それに対して答えができているかどうかといったことについて、今、国が検証する形でやっておりますけれども、もっともっと多くの研究者や専門家に検証するということに参加をしていただく、そういう道をつくらないと、全体が納得することにならないのではないか、そんなふうに思います。

 5月の連休明けに、またもう1度発表されるというふうなことをお聞きしましたが、その内容も含めて注目をさせていただきたい、こういうふうに思います。

朝日新聞

 分かりました。

 5月にどういう判断が出るのか分からないですけれども、今のところ、北電側のほうでは、夏場にそういう電力不足が起きる恐れがあるとして、後々、泊も再稼働ということで動いていますけれども、ちょっと短絡的ですが、夏までに再稼働の必要性があるというふうに市長はお考えですか。

市長

 考えていません。夏までに、全ての対策を立てられるというふうには思わないものですから。最低限、指摘をされていることは、単に計画だけでいいですよというようなことにはならないと思うのですよ。地震というのは、計画的に来るものではありませんので、計画を立てておけばいいですよという、そういう基準だとか判断というのは許されないことだというふうに私は思います。

朝日新聞

 この先の、再稼働についての議論は長期的になるとして、もし再稼働という議論になる場合に、地元の同意という局面が必ず出てくるのですけれども、その場合、半径何キロメートルまでの自治体から地元同意を得るのがいいとお考えですか。

市長

 いろいろなレベルがあるというふうに思いますが、私が従前申し上げていたのは、うちのまちは被害が及ぶという危険性を感じているところは全てだというふうに思います。

朝日新聞

 札幌市のほうはどうですか。

市長

 当然、含まれます。西風が吹きますのでね。

 今、SPEEDI(スピーディ:緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)のデータが欲しいということを、北海道や国に対して何度も要望させていただいておりますが、規制庁ができてからでないと渡せないとか、何かよく分からない理由で、私どもの手元にはないという状況でありますけれども、ただ、普通に考えても、半径60キロメートル、70キロメートル圏内というところに札幌市は位置しておりますし、西風が吹くことは、われわれの生活体系の中ではっきりしておりますので、季節にもよりますけれども、当然、札幌市が被害を受けるということを前提にした、さまざまな物の考え方をしなければなりませんし、特に防災対策等についてはしっかりとした議論をするためにも、正確な情報を頂戴できる防災協定なり、安全協定なり、こういったものを結ばなければいけない、私はそのように思います。

朝日新聞

 ありがとうございました。

札幌市の孤立死対策について(1)

STV

 きょうも、ライフラインの連携会議というものが開かれましたけれども、ことし1月の白石区の姉妹が孤立死したという件で何点かお伺いしたいのですけれども、今回の問題では、生活保護の相談窓口での対応というのが、いろいろ報道の話題になっていると思うのですが、市長は、この現状の対応ということについて、どのようにお考えになっていらっしゃって、また、もし、今後、こうしていきたいというようなお考えがあれば、まず、そこをお聞かせください。

市長

 まず、生活保護というのは、申請主義ということが大前提でありますので、相談に来られた時に、相談を受けて申請することもあり得るし、自ら頑張るという道を選ぶ方もおられます。これを聞き取り、そして、懇切丁寧にご説明をし、任意の選択をしていただくということが日常的に行われているわけでありますので、そのことが適切に行われていたかどうか、これは、あるいは、申請を抑制するような方向に誘導的に持っていくということがあったとすれば、それは反省しなければならないというふうに思いますが、それは、かなり、そうではないのではないか、きちんと一応説明をさせていただいているというふうに理解をしております。

 ただ、今回の場合は、3回おいでになっているということについては、これは、やはり、もう少し突っ込んだことができなかっただろうかという反省はさせていただきたいなというふうに思います。

 さらに、それを、単に相談しっ放しという、そのまま置いておくということについては、われわれも、もう少し考えなければならないということで、対策といたしまして、例えば、相談に来られたけれども、申請をせずに、そのままお帰りになった、申請書を持ち帰ったというようなことがあった、しかし、ずっと来られないという場合には、システム的に、1カ月を経過いたしますと、その後、どうなっているかということをチェックするために、名前がコンピューター上に上がってくるというふうな工夫を、今、取らせていただきまして、こちらから、お困りの時には、もう1度、おいでくださいというふうな案内書を出させていただくという改善をさせていただいているところであります。

STV

 今のお話とも多少重複すると思うのですけれども、今週発表もありましたけれども、知的障がい者の方たちの実態調査の中で、郵送して調査書を書いてもらうということと同時に、各戸別訪問という形をやっていらっしゃって、われわれも、その取材をさせていただいた中で、それが非常に来ていただいてありがたいという声が多かったのですけれども、生活保護の場合は、申請して、受給が始まれば、家庭訪問もありますが、例えば、面接相談だけでは実態が分かりづらいなどというときに、そういった戸別訪問というのか、これが、市長がおっしゃるような、もう一歩踏み込んでということなのかもしれませんけれども、そういったことができるといいのではないかと思うのですが、そういったことに関しては、何かお考えになっていることはありませんでしょうか。

市長

 理想的には、生活実態把握ということで、全てについて、ご相談があれば、同行させていただいてというようなことが、理想としてはあるかもしれませんけれども、しかし、年間23,000件ほどの相談件数がございまして、札幌市行政の力量といいますか、実行する人員として、それを確保することは、著しく困難なことであるというふうに思いますので、これは、やはり、そういう申請書を持ち帰られた方に対して、その時から1カ月間何も音沙汰もない場合は、どうしていますかという声掛けをするという、文書送付という形で、とりあえず、関係をつなぎ合わせて、不幸な事態にならないようにさせていただくところまで、今、対策を取らせていただいているところであります。

STV

 最後に、先ほどちょっと、午前中にありました、ライフラインの情報、関係機関との情報共有ということが話し合われました。これまでも、市役所内での情報共有というものも課題に上がっていますけれども、そのたびに聞かれるのが、個人情報保護の壁ということなんですけれども、この辺りについて、基本的に、悪くしようと思ってできた法律ではないのでしょうけれども、やはり、この個人情報の壁ということがあって対策が進まないというのであれば、今後、改善していかなければいけないことではないかと思うのですけれども、この辺り、個人情報の壁ということに関して、市長はどのようにお考えでしょうか。

市長

 極めて悩ましい問題だというふうに言わざるを得ないというふうに思います。個人情報保護法があることによって、本来、手を挙げていただくべき方がいるにもかかわらず、手も挙げられないで、その方に届ける行政サービスのチャンスがないという状況になることは、本当に大変問題がある事態という感覚を持っているわけでありますが、それを乗り越えるためにどうしたらいいのかということは、まだまだ厳しい状況があると。これは、アンケート調査でも、民生委員さん、一番身近な方に情報をお伝えすることについて、これは嫌だという方が多い、約68%の方がそう言っておられるという、そういうふうに思っておられる方が多いということ自体が、社会の包容性がないということを表すものだと思いますが、現実の問題として、そういうふうに嫌だというふうに思われる方がいるという状況から、どうやってそうではない状態にするかというのは、とりあえずは、役所から積極的にアクセスするしか方法はないのだろうなというふうに思います。

 そんな意味で、先ほどの、まず、第1弾には、おいでいただいて、それに対して、その後、音沙汰がないという、ある意味ではリスキーな状況にあるかどうかについて、お話をこちらからさせていただくということを考えているわけであります。

STV

 ありがとうございます。

札幌市の孤立死対策について(2)

読売新聞

 先ほどの孤立死に関連して、ちょっとお話を伺いたいのですが、先日、実態調査で、支援が必要と思われる方が大体100人という数値が初めて出たのですけれども、これは、今まで行政のほうでも把握できていなかった数値で、一歩前進だと思うのですけれども、この数値に関して、まず、上田市長はどのように捉えていらっしゃるのかということをお聞きしたいです。

市長

 決して少ない数ではないというふうに思います。知的障がいがある約13,000人のうち、サービスを受けられていないというふうな状況の中におられる方約1,200人の中の101人がリスキーな状況にあるという結果だったということで、(知的障がい者全体の)1%弱ではありますけれども、少ない数ではないというふうに理解をいたしております。

読売新聞

 それと、今回、白石区の孤立死の問題では、事業者側との情報共有のあり方ということが一つ問題になっていると思うのですが、きょうも、事業者との2回目の会議があったと思うのですけれども、その際にも、札幌市のほうから事業者側に、供給を停止した方に対して生活相談を呼び掛けるビラを配れないかという提案があったのですが、結局、事業者としては、なかなかいい反応はなかったのです。

 その一方で、他都市で、千葉県市川市では、東京電力と協定を結んでいて、供給を停止する際には情報提供をしてもらうとか、実際に個人情報保護の壁を乗り越えている場所もあるわけですが、そこら辺は他都市でできて札幌市でできないわけはないんじゃないかなと思う面もあるのですけれども、市長としてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。

市長

 私もそういうふうに思います。一番、事業者の皆さん方が心配されているのは、供給停止をする際に、いわば、お客さまでありますので、どのような理由によって料金を不払いにされているのかということについて分からないまま、生活困窮者という評価をするということに抵抗を感じておられるということではないかというふうに思います。

 市川市の事例は、私も側聞しておりますけれども、それは東京電力との間のそれなりのいろいろなご苦労があったと思いますが、しっかりやられたのだなというふうに思います。

 妥協案としては、私は、役所の責任として事業者の皆さん方に依頼をしている、そのことを文言として載せるということ、どのような事情で供給停止になられるのかは分かりませんが、「もし、生活でお困りという事情であるならば、どうか、早急に、区役所なり、最寄りの役所にご相談ください、ご相談させていただきます、何々区役所」というような文書を添えることによって、役所発信の文書として配布をいただく、配布を事業者にご依頼するということは可能ではないかということも含めて、提案をさせていただきたいというふうに思っております。

読売新聞

 分かりました。

 最後に、今回の白石区の件で、今後、民生委員の協力というのもだんだん期待されているところだと思うのですけれども、既に高齢者の見回りなどで相当な負担が掛かっていることとか、専門的な知識がない方に依頼することに対して、どうなのだろうという反応もあると思うのですが、そこら辺は、市長はどのように考えていらっしゃいますか。

市長

 民生委員の仕事の重要性は、日に日に、高齢社会に向かいまして、大きなものになってくるわけであります。しかも、その活動の幅が非常に広いということ、極めてボランタリーな内容であって、高貴な精神の持ち主でなければ耐えられないという、そういうお仕事だというふうに思いますが、幸いなことに、多くの市民の皆さん、ベテランの市民の皆さん方が、この活動に参画していただいているということに、本当に心から敬意を表したいというふうに思います。

 ただ、先ほど来ありますように、生活保護ということだけではなく、障がいだとか、介護だとか、さまざまな専門知識がなければ、適切なアドバイス、あるいは情報収集、見守り等もできないというふうに、時代はだんだん変わりつつあるわけでありますので、研修、あるいは専門家によるアドバイスとか、そういったバックアップ体制をしっかりとっていくということをこれからやっていかなければならないということをわれわれも認識しておりまして、ぜひ、近々、またそういう計画を立てさせていただいた上でお願いを申し上げることにしたいというふうに思っております。

読売新聞

 分かりました。ありがとうございます。

電力需給と原発の再稼働問題について(4)

毎日新聞

 原発の話に戻ります。

 エネルギー政策の今後のあり方について、例えば、もう、脱原発で、完全にそういう方向で進んでいくべきだというふうにお考えなのか、それとも、事故の原因を調べて、きちっと対策を取れば、そこは認めていくというふうにお考えなのか、そこら辺の今後のエネルギー政策のあり方についてどのようにお考えなのか、お聞かせください。

市長

 基本的には、原子力発電所の危険性を絶対に排除するわけにはいかぬというふうに思いますし、そういう意味では、ほかの替わり得る発電方式を、早急に対策を取っていくべきであると。最も有力なのは、ガス、コンバインドサイクル発電ですか、それが有力だというふうに言われておりますけれども、そういうことの技術開発をしていかなければいけないのではないかというふうに思います。それと、再生可能エネルギーですね。この両方でベストミックス、エネルギーといったものを考えていくべきだろうというふうに思います。もう一つは、省エネということ。この三つが合わさって、エネルギーを本当に考えていく、全体で考えていく、一番の近道ではないかなというふうに思います。多少、理想論かもしれませんが。

毎日新聞

 そうしますと、過渡期と言うのでしょうか、すぐにそういう形にできるというのは相当難しい部分もあると思いますが、その時までは原発もカットするということですか。

市長

 これは、ですから、非常に難しいご質問で、今、政府がエネルギーの需要について検証している、それをしっかり見た上でないとものは言えないというのが状況だというふうに思います。

電力需給と原発の再稼働問題について(5)

朝日新聞

 それに関連してですけれども、電力不足による産業への影響というのはどういうふうにお考えですか。

市長

 よく言われる言葉として、「経済性と安全性」、安全性に若干問題があっても、経済的な必要性が高いので、それは一定程度、われわれはリスクを我慢しなければならないという議論がございます。それには、私は賛成できないし、これは政府もそのように言っておられたはずです。経済性と安全性は別物だと。危険な状況の中で、危険がいったん顕在化したときに、経済も何も吹っ飛んでしまいますよという、論理的に当然のことでありますが、そのことは繰り返し言っておられたと思いますので、そのとおり、私はそういう判断が正しいというふうに思います。

朝日新聞

 そうなると、やっぱり、経済への影響を考慮した再稼働というのは、もうあり得ないということでしょうか。

市長

 それは、今のエネルギーの現状をしっかり分析した上で、総合的に考えなければならないというふうに思いますけれども、それは、当然、安全性ということが担保されなければいけないということになろうかというふうに思います。

朝日新聞

 あと、ちょっと現実的な対策としてですけれども、この夏の目に見えてくる電力不足に備えて、市としては何か対策というのは考えておられるのでしょうか。

市長

 25日に、庁内の節電対策連絡会議を開催させていただきまして、まずは札幌市の中での(市有施設の)電力需要が全体の約7%というところがありますので、ここが相当頑張れば、相当の影響があることになります。その節電の方向性といったものをいろいろな各分野にお願いしていくという、そういう準備を、今はさせていただいているということであります。

電力需給と原発の再稼働問題について(6)

北海道新聞

 今の相当頑張ればという部分ですけれども、各局で今検討している最中だとは思うのですけれども、やっぱり、市としては、範を示さなければいけないということもあると思うので、市長の意気込みとして、何%ぐらい削減を目指したいとか、そういうお気持ちがあれば、ちょっと伺いたいのですけれども。

市長

 10%というのは一つの目安だというふうに思いますが、市役所も相当、LEDに替えて努力をしてまいりましたので、もう少し見てみなければ、単に数字だけでは分からないところも、どこからどのぐらい減るかという、現状からどうかというような見方をするには、頑張りと数字が必ずしも一致しないところもありますので、もう少しいろいろな分析をした上で、お答えをさせていただきたいと思います。

電力需給と原発の再稼働問題について(7)

読売新聞

 原発の関係で、先ほど、防災協定や安全協定を結ばなければならないという発言がありましたけれども、市長は、これまで、どちらかというと、協定そのものにはこだわらず、まず、情報提供ということを言っていたと思うのですが、その辺は、ちょっと心境の変化があったのでしょうか。

市長

 いえ、同じ意味に理解していただきたいと思います。

読売新聞

 まず、大前提として情報提供と。

市長

 はい。

読売新聞

 その上で、やはり、協定を札幌市と北電が結ぶ必要はあると。

市長

 はい。

読売新聞

 今後、申し入れ…。

市長

 それは、安全協定の中には、即時に情報を提供するということが盛り込まれている内容だというふうに理解しておりますので、私は同じ意味に理解しております。

読売新聞

 私は、ちょっと違うふうに捉えてしまいました。

 これまでは、むしろ、協定という形よりも、まずは情報を、なかなか、協定を結ぶとなると、多分、北電のほうもいろいろクリアしなければいけないハードルがあると思うので、そういう言い方をしていたように思ったものですから。

市長

 どちらでもいいのですけれども、一番恐れておられるのは、原発に対する意見を、民意という形で、周辺自治体が述べるチャンスが提供されることについて、あまり広くないほうがいいのではないかというお考えがあるやに思いますので、安全協定等を結ぶのには、相手の立場もございますので、当面ということでは、情報の即時的な開示、リアルタイムでわれわれに提供していただくということは最初に追求しなければならないことであろうと、こんな思いでいたところであります。

東日本大震災の被災地からのがれきの受け入れについて

読売新聞

 すみません、あと、いつもの瓦れきで。

 例の国の基準なのですけれども、埋め立て可能としている8,000ベクレルの基準ですが、この基準に対して、市長は、不信感というか、疑念を持たれたのはいつごろからなのでしょうか。

市長

 8,000ベクレルというふうに言われている時からです。

読売新聞

 たしか、あれは昨年の6月ぐらいに検討委員会で出てきたと思うのですが、そのころから、本当にこれで大丈夫なのかと。

市長

 というよりも、どうしても管理しなければならないことだという理解です。厳重な管理をしなければいけないということです。ですから、集中的にやらなければいけない。長い時間をかけて、それは国の責任において、漏れ出さないように管理をしなければならないことではないでしょうかという考え方でございます。

読売新聞

 では、どちらかというと、基準よりも、管理のあり方ですかね。広域処理もふさわしくないということも含めて。

市長

 そうでしょうね。

読売新聞

 分かりました。

電力需給と原発の再稼働問題について(8)

時事通信

 先ほどの節電の話ですけれども、これから市としてというか、市民の方々に何か取り組みをお願いするとか、そういう考えはないのでしょうかというのが1点です。

 それから、ここ数カ月、燃料費が上がっていて、電力料金が少しずつ値上げになっているのですけれども、この現状は、ある程度仕方ないと捉えられるのかどうなのか、それをお聞きしたいと思います。

市長

 料金が上がることについて、仕方ないとは思わないのですけれども、どういう対策があり得るかということになると、なかなか対策が取りにくいと。外交といいますか、国の産油国に対する安定的な関係をつくっていくということ、世界経済の安定をどう考えるかというふうな大きな枠組みで考えないと、なかなかいい方向にはならないだろうと基本的には思います。

 そういう、政府を動かしていくのはわれわれでありますので、われわれの苦しさ、あるいは、経済に合わない価格設定になっているよということは、肌身で感じた者が述べるのが一番いいかというふうに思いますので、声を上げていくということは、続けていかなければならないことだと、そんなふうに思います。

 市民に対しての要請というのは、先ほど来も申し上げておりますけれども、やはり、データをしっかり持ち合わせないと、我慢をしてください、節約をしましょうと言っても、どこが問題なのか、そのことを説得的に申し上げることができなければ、これは空振りになってしまうというふうに思いますので、今、そんな材料を集めさせていただいているところであります。ピークカットとかいろいろありますけれども、それで本当にいいかということも含めて、しっかり議論をさせていただきたいと思います。

 

 この内容については、重複した言葉遣いや、明らかな言い直しがあったものなどを整理した上で作成しています。(作成:札幌市広報課報道係)

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