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更新日:2011年11月9日

平成23年度第10回定例市長記者会見記録

日時

2011年10月26日(水曜日)14時00分~

場所 記者会見室
記者数 15人

市長から下記の話題について発表しました。

引き続き、次の話題について質疑が行われました。

配布資料

発表内容

「パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)2011」の開催結果について

 PMF2011が無事に終了いたしましたので、その開催の結果と今後の行動についてお知らせをしたいと思います。

 今回で22回目ということになりましたPMFでありますが、東日本大震災がございまして、世界から非常にメンバーが集まるものですから、開催が危ぶまれるというふうな状況もございましたけれども、多くの皆さま方のご支援によりまして、こういう時だからこそやるべきだというふうなたくさんの力強いご意見、励ましの言葉を全世界から頂戴して開催にこぎ着け、そして全38公演を予定どおり開催することができました。札幌駅前通地下歩行空間でのライブの実施だとか、野外公演を増やすというようなことをした上に、好天に恵まれたことなどによりまして、震災の風評被害の影響が懸念される中での開催であったにもかかわらず、2年ぶりに4万人を超える方々に会場まで足を運んでいただいたところでございます。成功裏に収めることができたことを、本当に多くの市民の皆さま方に心から感謝を申し上げたい、こんなふうに思います。

 今回は、音楽を通じて日本の復興の一助になりたいという熱い思いの下に、芸術監督でございますファビオ・ルイジ氏をはじめたくさんの教授陣やアカデミー生に参加をいただいたわけであります。そして、素晴らしい演奏でわれわれに勇気を与えていただいたというふうに思います。1つ1つの演奏会が、「がんばれ日本 がんばろう日本」という合い言葉を掲げた素晴らしい演奏をやっていただいたと、私も参加をしながらそのように感じ取ったところでございます。

 また、震災被災者の支援のために多くのご寄付も頂いたところであります。ファビオ・ルイジ氏ら4人のアーティストの方々から合計で約630万円のご寄付を頂戴いたしました。演奏会会場に設置をいたしました募金箱、これは市民の皆さま方からのものでありますが、約87万円、それに2つのチャリティーコンサートのチケットの収益金約1400万円を加えまして、合計で約2100万円を義援金として贈ることができる、そういう状況になりました。

 ご協力いただきました皆さま方の厚意といったものに心から感謝を申し上げたいというふうに思います。

 この2100万円の使い道、義援金の寄付先でございますけれども、この選定に当たりましては、やはり音楽に集った皆さま方からのものでありますので、音楽の面から被災地を支援していきたいというふうな考え方に立ちまして、全国楽器協会が設立した「こどもの音楽再生基金」、それから「岩手県吹奏楽連盟」、それと「日本赤十字社」、この3団体に寄付をすることといたしました。また、メーンスポンサーであります野村グループを通じまして、東日本大震災で被災をいたしました小中学校に楽器を寄贈するというお金にも使わせていただくことになりました。

 なお、寄付金の伝達でございますが、今月31日に岩手県吹奏楽連盟に対しましてPMFの事務局の職員が贈呈に訪れることにいたしました。全国楽器協会、ここには11月1日に、私がPMFの理事長として、札幌市東京事務所におきまして、寄付を伝達してまいります。この全国楽器協会は、壊れた楽器を無償で修繕するという事業をやっておりまして、被災地のブラスバンド等々で楽器が傷んでしまっている、これを積極的に直してあげるというふうなことで音楽活動に使っていただけるような、そういう支援の仕方をしようということで、PMFに集われた皆さま方の気持ちをしっかりお伝えしたい、こんなふうに思っているところでございます。

 被災地の子どもたちの心を癒やして、明るい笑顔を取り戻して元気になっていただく、そして、その演奏によってまた地域の方々が元気になる、そんな一助になることを心から期待したい、こんなふうに思っているところでございます。

札幌大通地下ギャラリー「500m美術館」のオープンと「さっぽろアートステージ2011」の開催について

 地下鉄大通駅とバスセンター前駅を結びます地下通路に整備をいたします500m美術館のオープンでありますけれども、過日もお知らせいたしましたが、来月の3日、文化の日に迫ってまいりました。そのオープニングに向けまして、記念イベントの概要が決まりましたので、お知らせをいたします。

 11月3日、当日でありますが、記念式典で書道のデモンストレーションが行われるほか、札幌で活躍をしておりますアーティストが即興で描きますライブペインティングだとか、平岸高校の生徒が参加いたしまして作品を作り上げる転写ワークショップ、これを実施いたします。

 また、オープニング記念展では、札幌で活躍をしておりますアーティストの作品を一堂に集めまして、前期と後期の2期に分けて市民の皆さん方にお披露目をすることにしております。

 11月3日から来年1月までの前期展でございますが、23人の60作品が登場いたします。映像作品、立体作品、500m美術館の特徴を生かした長さのある作品など、さまざまなジャンルの作品が楽しめるものでありまして、本当に多くの市民の皆さん方にご期待いただきたい、このように思っております。

 この500m美術館の企画を生んだのが、ことし7回目を迎えます「さっぽろアートステージ」でございます。今週29日から12月4日まで、市内各所で演劇、音楽、美術などの文化芸術イベントが集中的に開催されますので、この点もぜひ市民の皆さま方にご活用いただきたいというふうに思います。

 ことしは、特に地下歩行空間のほぼ全体をアートステージの会場に仕立てまして、11月5日と6日の2日間、キックオフイベントを開催いたします。ライブ演奏やフリーマーケット、ワークショップなどが行われるわけでありますが、5日のオープニングセレモニーでは、音楽と映像、ダンスを融合させました創作オリジナルステージも披露されることになっております。

 これは、札幌駅前通地下歩行空間の開通記念式典で上映をされる予定だったものでありまして、ちょうど3月12日に開通式を行うということで準備をしていたわけでありますが、本当に直前の11日午後2時46分、あの東日本大震災が起こりまして、とても記念式典を行うことができないということで取りやめをさせていただいたものでありますが、その再現とまではいきませんが、やはり、準備をしたものについて、ここでもう一度、皆さまと一緒にお祝いをするというようなことも含めて考えた企画でございます。

 地下歩行空間では、キックオフイベント開催後も大型アート作品の展示だとか、クロスロードライブなどが行われる予定でございます。

さらに、芸術の森美術館では、29日からアートステージの特別連携事業といたしまして、サブカルチャーに焦点を当てた展示、「札幌ビエンナーレ・プレ企画2011」というものが開催されることになっております。

 芸術の秋でございます。市民の皆さま方には、創造性が刺激されるようなさまざまなアートに触れて楽しんでいただきたい、このように考えております。

「創造都市さっぽろ」の取り組みについて

 札幌市は、文化や芸術の多様な表現に代表される創造性、これを生かして、産業振興だとか、地域の活性化といったことを図っていこう、こういうふうに考えておりまして、さまざまな都市課題を、これらを原動力に解決を図っていきたいと、「創造都市さっぽろ」の推進に取り組んできているところであります。

 世間一般には「クリエイティブシティ」というふうに言われますけれども、札幌の場合は「アイデアズシティ」、それを「創造都市」というふうに呼んでおり、平成18年3月に「創造都市さっぽろ」という宣言を行いまして、2年後の平成20年度には、この間の創造都市の取り組みが評価をされまして、文化庁長官表彰「文化芸術創造都市部門」における受賞をさせていただきました。その後も、札幌駅前通地下歩行空間や創成川公園、あるいは、今ご案内いたしました500m美術館など、都心における創造的活動の場の整備をするという事業が着々と進められてきたところでございます。

 今後は、これまでに培われました創造的な環境を基にいたしまして、札幌にある既存の資源の魅力をさらに高めて、観光やビジネスなどの交流人口の増加につなげていくために、世界に向けて札幌の魅力を発信していく必要があると考えております。

 札幌市では、この世界に向けた発信の取り組みの一環として、「ユネスコ創造都市ネットワーク」への加盟を目指しておりまして、11月16、17日に韓国のソウルにおいて開催されます、ユネスコ創造都市ネットワーク会議に参加をすることとなりました。

 このユネスコ創造都市ネットワーク会議は、創造都市ネットワークのデザイン分野で既に加盟をしておりますソウル市の市長からお招きを受けて私がそれに参加をするということにしたものでございます。この会議への参加を通じて、ユネスコ本部に対して加盟に向けた札幌市の意気込みといったものを、プレゼンテーション等々を通じましてアピールするとともに、会議に参加する都市との情報交換、あるいは交流に加えましてプロモーションも行ってまいりたい、このように考えております。

 また、11月22日には、札幌市において、産学官で構成いたします「創造都市さっぽろ市民会議」との共催で、「創造都市さっぽろ国際シンポジウム」を開催することとなりました。メディアアートの分野で先進的な取り組みを行っている方を国内外からお招きいたしまして、新しいメディアと都市の活性化ということについて講演をいただいたり、討論を行っていく予定でございます。

 これら国際会議やシンポジウムで得られました知見というものを今後の施策に生かしていくとともに、シンポジウムのPRや市民参加を通じて、創造都市さっぽろの考え方やネットワーク加盟の意義などについて、多くの市民へ理解を広げていきたい、こんなふうに考えているところでございます。

質疑応答

「パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)2011」の開催結果について

北海道新聞

きょうの話題提供でPMFの寄付ですけれども、寄付先の内訳で岩手県が出てくる理由と、日赤と楽器寄贈の金額が随分細かく分かれているのですけれども、簡単で結構ですので、理由があれば教えてください。

市長

 岩手は、特に被害が大きかったというふうにわれわれは情報を持っておりまして、受理した寄付を被災地の学校の音楽活動への支援やコンクール参加費の補助として使用し、熱心に活動を行っているという情報の中で決めさせていただいたことであります。それから、修繕という意味合いでは、子どもの音楽再生基金ですか、そこに1000万円という一番大きいお金を差し上げて、赤十字のほうは、使途についてはこちらで指定できないものですから、残額をというような扱いでございます。

北海道新聞

 ちょっと、しつこくてすみません。

 日赤と楽器寄贈の金額が1円単位まで出ているのですけれども。

市長

 日赤は、そういう意味で、残額という意味合いで端数が出ました。それから、野村グループを通じた被災した小中学校への楽器寄贈は、それは既に特定したものがございますので…。

北海道新聞

 そっちで請求していると。

市長

 はい。

平成23年の札幌市人事委員会勧告について

北海道新聞

 分かりました。

 2点目ですが、本日、人事委員会が職員の給与を引き下げよと、2年ぶりですか、月給については2年振りの引き下げ勧告をされたわけですけれども、市長の受け止めと対応について教えてください。

市長

 先ほど、人事委員会から給与についての勧告を頂戴いたしまして、感想といたしましては、やはり非常に厳しい状況にあるというふうに思っておりますけれども、人事委員会がしっかり地元企業の調査をしていただいた上でこれだけの差があるということでございますので、月給についての給料表を見直すというような形になろうかというふうに思いますけれども、真摯(しんし)に受け止めて、勧告を順守するという方向で、今、検討しているところであります。平成11年からずっと下がり続けておりまして、平成11年から今日まで合計いたしますと、職員の手取りが、99万5千円と約100万円近く減じてきているという状況がございます。職員にとっては大変厳しい状況だというふうに思いますけれども、社会の状況がそういう民間の状況でもありますので、私どもは、民間準拠、人事委員会勧告、人事委員会制度を順守したいという考えで、そのような検討を現在進めているところでございます。

乳幼児健診の民間委託について

北海道新聞

 話題は変わりますが、母子保健事業のあり方をめぐって、来週、月末に有識者会議が開かれますけれども、ここでは、結構、反対論も出ていました乳幼児健診の民間委託についても議論されると思います。この問題について、市長の基本的なお考えを伺わせてください。

市長

 乳幼児の健診制度だけに絞って、それだけが独り歩きしているように、世上、議論されている側面がございます。しかし、私は、そういうことではなくて、もちろん、生まれる前から、妊産婦の皆さん方の相談事業、あるいは生まれてからの健診の問題、それ以後の3歳、5歳、18歳ぐらいに至るまでの全体的な、お母さんと子どもの関係、あるいは家庭の関係等も含めて、必要な行政サービスを、あるいはサポートを必要とする方々に対して適正なサポートが届くようなシステムを考えたいという意味合いで、その過程で、乳幼児健診の委託ということも含めて、人材の適正な配置、札幌市の持っている人的な能力、資源といったものを最も適切に配置できるような制度とはいかなる形態があり得るだろうかということで私どもはご検討いただきたいということで審議していただくわけであります。これは、乳幼児だけではなくて、全体の保健制度といったものを考えた上で、例えば高齢社会になったときの高齢者に対する本当に必要とするサービスというのは何なのかといったことも、やはり、今までの待ちの行政から行動する行政へ転換をしていくというようなことも展望しながらご議論いただきたいな、こんなふうに考えているところであります。

大阪府知事と大阪市長のダブル選挙について(1)

北海道と札幌市における二重行政について(1)北海道新聞

 大阪のほうで、市長選、知事選をめぐって、橋下知事が大阪市長に出られるとか、政治的な動きになっていますけれども、市長は、こうした動きをどのようにご覧になっているかという率直な感想と、道との間での二重行政の弊害みたいなものを感じる場面があるのであれば、お願いします。

市長

 大阪の知事選と市長選が意図的に同時に行われるようになったということでありますけれども、私どもに聞こえてくるのは、大阪都構想と、それから政令指定都市の特別自治市という、その争いだというふうに報道等では聞こえてまいりますけれども、私は、地方自治、特に市長選挙における争点としてはふさわしいものではないというふうに…、私の感想はですよ。基礎自治体の役割というのは、私はやっぱり1人1人の市民がどう自治するかということと、いかに安心・安全なまちをつくっていくのかという、そのことが最も大切なことであって、いかに市民が自治しやすい自治体をつくっていくかということが議論されるべきであろうというふうに思うからであります。

 その意味において、どうも制度が、大都市だとか大阪都、あるいは特別自治市というふうな制度論で、しかも、それはその制度論を掲げていったところで直ちにそれでどうなるわけではもちろんないわけでありまして、全国の大都市の制度を含めて法律上の措置をしなければならない、そんな見通しもどうなのかということについてもまだまだ議論が足りない部分があるわけでありますので、一気にこれで何でも解決できるというような誤解を与えるような、そういう選挙であってはならないというふうに私は考えております。

 一方、札幌と北海道の関係はどうなのかということでありますが、政令指定都市19市で昨年提起いたしました特別自治市ですね、大都市制度については特別自治市にするべきであると。これは、広域自治体とは全然独立した自治体として、基礎自治体である大都市は、そのように全てが自分のところで、税金、あるいはその使い方も自分たちで決められるようにするべきだ、こういう考え方でありますが、これもなかなか、横浜とか、大阪とか、名古屋とか、こういう本当に歴史的に、国家戦略的に都市が前面に出て日本の経済を引っ張っていくというような役割を担っているまち、あるいは、同一県に2つも3つも、神奈川などは政令市が3つありますね。そういうところと560万人もの人口の北海道にあって、唯一、その3分の1ぐらいの人口を占める札幌市、政令市との関係とはいささか同じくできないというふうに考えておりまして、この特別自治市の提言をするに当たりましても、各自治体における歴史的な役割、地域的な役割といったものがそれぞれ違うので、これは個別に考えるところもあるということをしっかり、例外規定といいますか、付記をさせていただいているところであります。

 二重行政ということが一番大きな問題であるわけでありますが、今、現実に札幌市と北海道との関係での役割分担というのは相当進んでおりまして、明らかに無駄だ、これがあるためにたくさんのお金が掛かっている、あるいは二重行政をなくしたらがばっと財政的な余裕ができる、倹約ができるというものは、ほとんど私はないのではないかというふうに考えております。職員の手間の問題として、どうしても北海道を通じて国に上げていかなければならないものがいくつかあることはあるわけでありますが、それがいわゆる直通で行けるようになったとして、どれだけ経費が、二重行政の一番のデメリットだと言われている経費の無駄遣いといいますか、多重的に使うということを解消しようとする、そのことによって財政的な無駄遣いをやめる、そういうふうな効果はあまり望めないのではないかというふうに今は考えているところであります。

「創造都市さっぽろ」の取り組みについて

北海道新聞

 ありがとうございます。

 もう1点、創造都市のほうですけれども、ユネスコ創造都市ネットワークに本年度中にも申請したいという話を議会でされていましたけれども、加盟することで市民にとってどういうふうにメリットが還元されるのか、その辺りはどのようにお考えになっていますでしょうか。

市長

 これは、どういうふうにお答えしたらいいのかな。創造都市ということ自体、直接、市民が、とてもお金が経済的に楽になるとか、そういう意味合いのことは、結果として長い目で見ればそういうことになると思いますけれども、加盟したからすぐそうなるというふうなことではないというふうに思います。それよりも、都市のブランドだとか、都市がこれから多くの世界の先進的な取り組み等々を学び合い、みずからのまちを本当に活性化していくということに役に立つといったことが大きなメリットではないかなと、そんなふうに思っております。

 先ほど、平成18年にアイデアズシティの宣言をしたというふうに申し上げましたけれども、日本の各都市でも創造都市ということを言っておりまして、その場合、ほとんどの英語訳がクリエイティブシティというものであります。このユネスコのものも「CCN」、「クリエイティブシティネットワーク」というふうに、クリエイティブシティと言っているわけです。ところが、札幌はそうではなくてアイデアズシティだと言っているのですね。それはどこが違うのかというと、クリエイティブというふうになると、一部のクリエーター、あるいは一部のアーティスト、あるいは芸術というふうなところに閉じ込められた範囲の狭いものに感じられるということを、何とかそうではなくて、ここに住む1人1人の市民がアートを媒介とし、そして、今、自分たちが営んでいる生活それ自体を変えていくような意欲を持てるまちにしていこうという意味合いで、みんな、アイデアを持っていくんだぞ、活性化していくんだぞ、いろいろなチャレンジをしていくんだぞというふうな気風を、私たちは、この創造都市ネットワークの中に入ることによってこれからつくっていく、そういう運動をみんなでやっていこうというものにつなげていきたい、こんなふうに考えているところであります。

北海道新聞

 ありがとうございます。

警察庁が公表した自転車交通総合対策について

STV

 昨今、札幌市も、市内で自転車の数がすごく増えてきています。その中で、警察庁が自転車の迷惑行為についての摘発を強化するように全国の警察に指示しましたが、このことについて市長はどうお考えですか。

市長

 これを警察に言われなければならないというのが悲しいところだというふうに思いますが、本当に自転車は、歩道の上では交通強者であるわけですね。歩行者が交通弱者の関係になります。そこでは圧倒的に強者であります自転車を操作する方々に対する徹底的な教育がなされなければ、安全、快適な都市生活はできない、自転車と歩行者が共存できないということになると思いますので、私は、本来はもっと自覚的に、自転車に乗る方々の優しい気持ちだとか、基本的に守らなければならないルールだとか、規則、法律は当然のことでありますが、そういうものを、警察庁のほうでさまざまなガイドライン等々を出されるのでしょうけれども、学習するいい機会にしていかなければならない、こんなふうに思います。

STV

 その上で、市長はこれまで自転車というのはエコな乗り物として推奨してきた部分もあると思うのですが、今後の自転車と都市の共存のあり方、共存してまちをつくっていくあり方についてどういうふうにお考えですか。

市長

 まちの許容力にも限界があるというふうに思います。それは、われわれが今、駐輪場を造ってみて、これで自転車に乗って通勤したい、あるいは通学したいという人たちの要望を全てかなえられるかというと、なかなかそこまではいかないですし、相当莫大(ばくだい)な費用が掛かるというようなこともございます。そうなりますと、やっぱり、一定程度の制限といったことも考えなければならないことになるかもわかりません。それは、いろいろな制限の仕方があります。駐輪禁止地域をつくるというようなことも1つでしょうし、自転車を使いにくくするということも1つの方法だというふうに思います。ただ、あまりドラスチックな区画付けをすると本当に不自由な街になってしまうということも勘案しながら、どうやったらいいのかということは、今、いろいろ駐輪場を造るスペースを探しながら、または、新しいビルを建てられるときには、そのビルを建設する過程で収納する駐輪場スペースをどう確保していただけるかということも協議しながら、できるところまで一応やって、乗り方についてはしっかり教育し、勉強してもらって、そして折り合いを付けていくということをやりながら、それでも飽和状況になったときにどうするかということを考えていきたいというふうに思います。

原子力安全委員会の作業部会が示した防災指針の見直し案について

日本のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加について

TVh

 2点あるのですけれども、まず1つは、先週、原子力安全委員会の作業部会で原発防災圏30キロ拡大という案を出して、市長のほうでは札幌も入れるべきだと以前からずっと訴えられていますけれども、これについてあらためてお考えをお聞かせいただきたいのと、もう1点は、TPPの問題で、もう間もなく、参加するかどうか、国のほうでは結論を出すと思うのですが、市長としてはどのように考えていらっしゃるのか。この2点をお願いします。

市長

 いわゆるUPZ(緊急防護措置区域)、50キロというものを設定し、あるいはEPZ(防災対策重点地域)の8キロから10キロといったものが30キロまで拡大と。これは、危険な状況が起こったときに退避をする、あるいは、どういう防災計画を立てるか、そういうことの1つの基準を案として発表されたわけであります。これはやはり、福島が今、現実にどういうことになっているのかということを考えますと、札幌がその中に入っていないということを私は承服し難いというふうに思います。これをどういうふうにして決めたのか、本当に疑いを持たざるを得ないような、私は、現実離れした決め方ではないかなというふうにさえも思えたりもいたします。あまりこんなことを言ったら怒られるのですけれども、広くすればお金が掛かるのではないかとか、そういうふうに考えているのではないか、あるいは大都市が入ったら面倒なことになるなというようなことをおもんぱかってこんなことを言っておられるのではないかと思うのですね。それはやはり、そうではなくて、どうやったら人の生命、身体、自由といったものが守られるかという、そのためにはどういう準備をしなければならないのか、そういうネットワークをつくるのにはどうしたらいいのかということをわれわれは本当に考えてもらわなければ、信頼に足る防災計画ではないというふうに私は思うのですね。

 そんな意味で、泊発電所との関係から言えば、札幌市はどうしても入れてもらわなければいけない、190万人もの人がどうやって退避をするのか、どういう防護策を取ったらいいのかという計画を立てなければいけない、私はそのように思いますので、この発表のありました提案についてはもう少し慎重にお考えいただきたい、こんなふうに思います。

 TPPは、今、緊急にいろいろ結論を出しそうなことを報道等でお聞きいたしますけれども、従前から申し上げておりましたように、日本の特に農業が壊滅的な打撃を受けるのではないかというふうな意見が一方にあり、日本の物は品質がいいから打ち勝てるのだというふうな考え方もあるわけであります。もちろん品質はいいというふうに思いますけれども、どこにも負けない素晴らしい物をたくさんの国民の皆さん方が頑張ってここまで作ってきたわけでありますので、それがつぶれないようにするにはどうしたらいいかという議論が、もう少ししっかり農業政策を立てていただいて、その上でなければ相当難しいことになるのではないか。私たちが大事にしている日本の社会の資源が貿易の自由化ということで崩壊するということに私は忍びがたい思いを持つ一人でございます。

札幌コンテンツ特区について

HBC

 コンテンツ特区について伺いたいのですが、具体的には、例えば、どんな映画を札幌を舞台に撮ってほしいというような夢はお持ちでしょうか。もしあれば、具体的に聞かせてください。

市長

 夢はもうたくさんありますけれどもね。

 やはり、札幌がロケの場所になるということでありまして、そういうことを狙うものでありますので、札幌のきれいな所を一生懸命撮っていただきたいと思います。大通公園とか、モエレ沼とか、12月に観光施設が再開されます藻岩山とか、そういうところが、やはり、本当に世界に向けて、こんな素晴らしい所があるよということが分かるような映画が作られることをとっても希望しております。

 きのう、中国映画週間ということで、6人ほど、映画制作者と俳優さんも出席されていましたが、レセプションということでパーティがございまして、私も出席させていただきましたが、中国映画家協会の主席の方が、「初めて来たけれども、素晴らしい所だ」と、もう絶賛ですね。「きれいな街で、本当に素晴らしい」ということを連発されておりまして、「『非誠勿瀀(フェイチェンウーラオ)』(邦題:『狙った恋の落とし方。』)があれだけの人気が出たけれど、あの程度でいいの」というふうに、「私ならもっといいのを作るよ」と言わんばかりの、それは札幌で作るのだというようなことを、冗談交じりに言っておられましたが、非常に心強い思いがいたしました。

 どんな映画がいいのかというのは、いろいろな使われ方をですね、特に雪の魅力だとかといったことも札幌の財産だと思いますので、「非誠勿瀀」は夏場でありましたけれども、冬の北海道を、これはどこにも負けず、素晴らしいものがあるのではないかなというふうに思いますね。

HBC

 例えば、市長のお好きなハリウッドスターですとかがもしおいでだったら、ついでにお聞かせいただいて、そういう方が来ていただける企画はありませんか。

市長

 そうですね…。「ダイ・ハード」で札幌市役所が壊されても困りますし…。どうしましょうか。いい映画、今まで、「硫黄島からの手紙」とかのロケ地の候補地の1つにはなったそうです。そういうふうなこともありますので、割と、フィルムメーカーの皆さん方が札幌を注目していただいているということをうれしく思いますので、どんなのと言われたら、みんなおいでというふうに私の立場から申し上げたいなと、こんなふうに思います。

東日本大震災の被災地からのがれきの受け入れについて

朝日新聞

 2点お伺いしたいことがあります。

 まず1つは、がれきの受け入れについてなのですけれども、先日、これは弊紙の報道なのですけれども、環境省が今、受け入れについて全国の自治体に確認をする調査を行っていると。それで、その回答欄に「受け入れない」という選択肢がないために非常に困惑しているというような報道がありまして、これについて、札幌市はどういうような回答をされましたでしょうか。

市長

 まだ回答はしておりません。28日が期限だというふうに聞いておりますが、北海道を通じて照会があったことは事実であります。

 私どもは、受け入れないというか、何をどれだけという質問状なものですから、それには白紙で臨むつもりであります。「特記事項」という所に、私どもの基本的な立場、放射性物質が付着しているものについては受け入れる考え方はないということははっきり申し上げて提出したいというふうに考えております。

北海道教育委員会による教職員の服務実態調査について

朝日新聞

 あともう1点、これもまたちょっと教育マターで恐縮なのですけれども、先日、大きく報道されていた、会計検査院が、道内の教職員に不適切な勤務実態があって、それを受けて、文科省が道教委に対して教職員の4年間分の調査を指導すると。それを受けて、さらに道教委のほうでは範囲を広げて、さらに調査するというようなことになっているかと思うのですが、札幌市は、一応、道教委に協力して調査を行うということですけれども、まず1つは、そういった不適切な勤務実態が、どの程度かまだ明らかになっていませんけれども、そういうことについてどうお考えかということと、また、こういうような調査をすることについては、内容を見ますと非常に細かいところまで調査するようなのですが、そのことについてのお考えをお聞かせいただければと思います。

市長

 明らかに違法とか、やってはいけないことをやっているということがもしあるとすれば、それは、当然、現場でチェックできているはずなのですね。管理者がいるわけですから、校長先生、教頭先生ですね。それが、そうではなかったということであれば、明らかに違法というものではない。会計検査院から見れば、本務から外れているではないかというふうな判断なのだろうと思うのですけれども、私はよく分かりませんけれども、例えば組合活動とか、これは明らかに職務時間にはやってはいけないと、これはいいと思うのですけれども、それ以外の研修等々にはかなりの幅のあるものではないかなと私は思います。

 人間を教育するわけですから、教科だけではなくて、教員というのは全てについて勉強するということが要求をされている方々でありますので、その研修の意味というのは、非常に幅広く現場では運用されているのではないかなと、そんなふうに思いますので、そこは、あまりぎくしゃくして、みんなが時間を都合し合いながらしっかり勉強しよう、研修しようとしているものを事細かにあげつらうというようなことがもしあるとすれば、少しお気を付けいただかないといけないのかなと。それは、かえって萎縮をし、そして、子どもたちの教育に決していい影響を与えないのではないか、そういうふうに私は心配をしております。

 道教委の調査には、先ほどお聞きしましたけれども、札幌市教育委員会としては協力させていただくというふうに答えておりましたので、私の心配だけちょっと申し上げました。

大阪府知事と大阪市長のダブル選挙について(2)

北海道と札幌市における二重行政について(2)

読売新聞

 大阪の件なのですけれども、市長は、橋下さんが掲げる大阪都構想について、評価というか、どうお考えになっているかという点と、あと、先ほど、道との役割分担はかなり進んでいて、二重行政も解消されているのではないかということでしたが、道と札幌市の関係で、今後、新たな制度なりを求めていくようなことはございませんか。

市長

 大阪都構想というものが、それをやってどういうふうになるのかということについてですね、はっきりしたものを私はあまり聞き及んでいないというのは本当に残念なところであります。形として、8つぐらいに都市を分割して、自治の何十万人かの単位にしていこうと、そういうことだという形は聞いておりますが、それによって、もちろん、区長、区議会議員といったものを選んでいくわけでありますから、行政の効率化と逆行することではないかというふうな1つのものもありますけれども、自治がしやすくなるのかどうなのかということと、統一的な方向性を出すのに本当にそれが役に立つのか、私にはちょっと分かりかねるのですが、それをやることによってすべて解決するのだというふうな幻想を与えるようなことがあってはならないというふうに、私が先ほど申し上げたのはそういう趣旨でございます。

 東京都の23区と東京都の関係、大阪都の大阪都と各区の関係、これが同じものなのかどうなのかですね。もっともっと情報がないと何とも言えないなと。中京都などという話もあれば、新潟州などという話もございまして、いろいろ市長会等でも情報は頂戴しますけれども、どれもはっきりしたものがあまり分からないという状況で、言っておられる方も、言うたびにそこの話が変わってくるとかという側面もないわけではないのです。ですから、なかなか、これを選挙の、それをやれば全体が変わってしまうぞというふうな話題には、私は、あまり適切な命題といいますか、課題ではないのではないかなと、そんなふうに思っております。

 道との関係で、私ども行政面での役割分担ということを申し上げましたけれども、これは、本当はですね、私は良くないことだと思っております。役割分担というのは、二重行政を解消するという意味合いでの役割分担は大事ですけれども、むしろ、今の時代は、私は、北海道は札幌をいかに使いこなすのか、札幌の都市機能を他の市や町や村にどう使いこなしてというか、貢献できるようなシステムを構築していくかということが北海道の役割だと私は考えます。

 私どもは、そういう考え方でおりますので、都市間連携ということを、一生懸命、今やっておりまして、6市連携あるいは石狩管内の8市町村の連携、広域圏組合と言っておりますが、こういったものを大事にしながら、いわゆる中核市といいますか、北海道における中核市6市がですね、それぞれの振興局なりで都市としての役割をどうやって担っていくのか。それを連携しながら北海道全体が盛り上がっていくというふうな、足らざる部分を札幌でどう補っていくのかというような議論を進めているわけでありますので、北海道政と札幌市政の関係もますます密接に、そういう観点で、都市間連携を増進させる、その役割を担っていただくためにさまざまな議論をさせていただきたいなと、そういうふうに考えております。

(以上)

 

 この内容については、重複した言葉遣いや、明らかな言い直しがあったものなどを整理した上で作成しています。(作成:札幌市広報課報道係)

 

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