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更新日:2024年3月6日

ダニ媒介感染症

 

 【市民の皆さまへ】マダニに注意しましょう!

病源体を保有するマダニに咬まれると、ダニ媒介感染症を発症する可能性があります。マダニは春から秋にかけて活動が活発になりますので、レジャーや野外作業等で、山や草むら、藪などに入る場合には、マダニに咬まれないようにすることが重要です。

本ホームページでは、マダニに咬まれないための対策、マダニに咬まれた場合の対応、ダニ媒介感染症等について掲載しております。

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対策について

マダニに咬まれないための対策

  • 長袖、長ズボン、足を完全に覆う靴、帽子、手袋を着用しましょう。
  • 首にタオルを巻く等、肌の露出を少なくしましょう。
  • シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れましょう。登山用スパッツを着用するとより効果的です。
  • 上着や作業着は、マダニを目視で確認しやすい明るい服がお薦めです。
  • 上着や作業着を脱ぐ場合は、家の中に持ち込まないようにしましょう。また、体にマダニが付着しないように注意して脱ぎましょう。
  • 屋外活動後は入浴し、マダニに刺されていないか確認してください。特に、わきの下、足の付け根、手首、膝の裏、胸の下、頭部、髪の毛の中等がポイントです。
  • DEET(ディート)という成分を含む虫除け剤の中には、服の上から用いるタイプがあり、補助的な効果があるといわれています※あくまでも補助となりますので、使用の際は他の対策と組み合わせてご活用ください。
  • 国立感染症研究所が作成しているパンフレットに図解がございますので、併せてご確認ください。パンフレット「マダニ対策、今できること(国立感染症研究所)」

マダニに咬まれた場合の対応

マダニの多くは、人や動物に取り付くと、皮膚にしっかりと口器を突き刺し、数日から、長いものは10日間以上吸血しますが、咬まれたことに気がつかない場合も多いと言われています。

吸血中のマダニが体に付いているのを見つけた場合、無理に引き抜こうとしないでください。無理に引き抜こうとすると、マダニの一部が皮膚内に残り、化膿したり、マダニの体液を逆流させてしまったりする恐れがあるので、医療機関(皮膚科)でマダニの除去・洗浄等の処置をしてもらってください。

また、マダニに咬まれた後、数週間程度は体調の変化に注意し、発熱等の症状が認められた場合は医療機関で診察を受けてください

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マダニが媒介する感染症

一般的なダニ媒介感染症について紹介いたします。

ダニ媒介脳炎

ダニ媒介脳炎にはいくつかの種類があり、その主なものとして、ロシア春夏脳炎、中央ヨーロッパ型ダニ脳炎があります。

ダニ媒介脳炎の詳細については、以下のサイトをご覧ください。

主な症状等

潜伏期間は、通常7日~2週間。

中央ヨーロッパ型脳炎では、発熱、筋肉痛などのインフルエンザ様症状が出現し、2~4日間続きます。そのうちの約3分の1は、髄膜脳炎に進展し、痙攣、眩暈、知覚異常などがみられます。

ロシア春夏脳炎では、高度の頭痛、発熱、悪心などの後、髄膜脳炎に進展します。

発症した場合の致死率は、中央ヨーロッパ型脳炎では、1~2%、ロシア春夏脳炎は20%といわれており、回復しても数割の方で神経学的後遺症がみられます。

感染経路

ウイルスを保有するマダニに刺咬されることによって感染します。また、感染した山羊や羊等の未殺菌乳を飲んで感染することもあるとされています。通常、人から人に直接感染することはありません。

治療方法

ダニ媒介脳炎に特異的な治療方法はなく、対症療法となります。

予防接種

国内の一部の医療機関では輸入ワクチンとして予防接種が行われており、札幌市内においては、平成29年4月24日より「市立札幌病院・感染症内科外来」で16歳以上の希望者を対象に接種を行っています(有料)。詳細は以下ホームページをご確認ください。

発生状況

これまで、国内で5例確認されております(いずれも道内)。

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重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

SFTSは2011年に中国の研究者らによって発表されたSFTSウイルスによるダニ媒介性感染症です。

2013年1月に国内で海外渡航歴のない方がSFTSに罹患していたことが初めて報告されて以降、九州・四国・中国・近畿地方で患者が確認されています。

SFTSの詳細については、以下のサイトをご覧ください。

主な症状等

潜伏期間は6日~2週間。

主な症状は、発熱と消化器症状(嘔吐、下痢、腹痛等)で、重症化し、死亡する場合もあります。他にも頭痛、筋肉痛、意識障害等の神経症状、リンパ節腫脹、下血などの出血症状等が報告されています。

致死率は、中国の報告では6〜30%といわれています。

感染経路

SFTSウイルスを保有したフタトゲチマダニ等に咬まれることで感染します。また、SFTSを発症したイヌ等から感染する可能性があります。北海道でもSFTSウイルスの遺伝子を持つマダニが確認されています。

SFTSウイルスの検出状況の詳細は、<速報>重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスの国内分布調査(第二報)(国立感染症研究所)をご覧ください。

治療方法

治療は対処療法のみで、有効な薬剤やワクチンは確立されておりません。

予防方法

上記マダニに咬まれないための対策と併せて、以下ペットの対応についても御注意いただきますようお願いいたします。

  • 動物を飼育している場合、過剰な触れ合い(口移しでエサを与えたり、動物を布団に入れて寝ることなど)は控えてください。動物に触ったら必ず手洗い等をしましょう。
  • 動物のマダニは適切に駆除しましょう。ペット用のダニ駆除剤等がありますので、かかりつけの獣医師に相談してください。
  • 散歩後にはペットの体表のチェックを行い(目の細かい櫛をかけることも効果的です)、マダニが咬着している(しっかり食い込んでいる)場合は、無理に取らず、獣医師に除去してもらうのがよいでしょう。
  • 飼育している動物の健康状態の変化に注意し、体調不良の際には動物病院を受診してください。
  • 野生動物は、どのような病原体を保有しているか分かりません。野生動物との接触は避けてください。
  • 体に不調を感じたら、早めに医療機関を受診してください。受診する際は、ペットの飼育状況やペットの健康状態、また動物との接触状況についても医師に伝えてください。

発生状況

北海道内及び札幌市における患者の発生はありません。

SFTSの発生状況については、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)(国立感染症研究所)をご覧ください。

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ライム病

野生のマダニによって媒介されるボレリア属菌による感染症です。

欧米諸国では高緯度地方を中心に多く患者が発生しています。

国内では、1986年に長野県で初のライム病患者が報告され、それ以後、特に本州中部以北及び北海道で多く患者が発生しています。

全国及び北海道全域の発生状況につきましては、北海道感染症情報センターのページをご覧ください。

主な症状等

潜伏期間は3日〜16週間といわれ、多くは1~3週間です。

(発病後1ヶ月以内)

特徴的な遊走性紅斑が出ることが多く、インフルエンザ様症状(頭痛、発熱、筋肉痛等)を伴うことがあります。

(発病後数週~数ヶ月)

中枢神経症状(脳神経麻痺、意識障がい等)、心疾患、眼症状、関節炎、筋肉炎など多彩な症状が報告されています。

(発病後数ヶ月~数年)

慢性関節炎、末梢神経障がい、重度の皮膚症状等を示すといわれています。

国内では、慢性期に移行したとみられる症例は現在のところ報告されていません。

死亡例は2007年に1例報告されています。

感染経路

ライム病をおこす病原体であるボレリア属菌は数種類が確認されていますが、国内では、ボレリア・ガリニ(B.garinii)、ボレリア・アフゼリ(B.afzelii)が主な病原体となっていると考えられています。

国内では、ほとんどがシュルツェ・マダニに咬まれた後に発症しています。シュルツェ・マダニは本州中部以北の比較的寒冷な山間部に棲息し、北海道では平地でもよく見られます。

治療方法

ライム病の治療には、抗菌薬が有効です。

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回帰熱

野生のダニやシラミによって媒介されるボレリア属菌による感染症です。

アメリカ大陸、アフリカ、中東、欧州の一部で患者が発生しており、国内では、特に北海道で発生が確認されています。

主な症状等

発熱期と無熱期を数回繰り返す、いわゆる回帰熱が特徴です。

マダニ媒介性の回帰熱の潜伏期間は12~16日間といわれています。

(発熱期)

頭痛、筋肉痛、関節痛、咳等をともなう発熱、悪寒が見られます。

この際、脳炎や髄膜炎が見られることもあります。

発熱期が3~7日続いた後、一旦解熱し無熱期に移行します。

(無熱期)

無熱期では血中からは菌は検出されません。

5~7日後に再び発熱期に入るといわれています。

致死率は、海外の報告によると、適切な治療を行わない場合で5%未満といわれています。

感染経路

回帰熱を引き起こす病原体であるボレリア属菌が、ダニ若しくはシラミにより媒介され、感染します。

国内では、ボレリア・ミヤモトイ(B.miyamotoi)を保有するシュルツェ・マダニに咬まれることにより感染します。

治療方法

回帰熱には抗菌薬による治療が有効です。

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エゾウイルス感染症

エゾウイルスは、令和2年1月、北海道でマダニと思われる虫による刺咬後に発熱と下肢痛を主訴に受診した患者から検出された新規のオルソナイルウイルスです。

エゾウイルスは、北海道における不明熱性患者症例に対する平成26年(2014年)から令和2年(2020年)までの遡及調査等により、北海道において合計7例の患者の検体から当該ウイルスが検出されたことが報告されています。

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このページについてのお問い合わせ

札幌市保健福祉局保健所感染症総合対策課

〒060-0042 札幌市中央区大通西19丁目 WEST19ビル3階

電話番号:011-622-5199

ファクス番号:011-622-5168