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更新日:2022年9月1日

川のまめ知識

 

 「水系」

水系の図 水源から河口まで、水の繋がっている、川の本流、支流、派流などの集まりを総称して「水系」と言います。
 その名前は本流が△△川ならば、△△川水系と呼ばれます。
 札幌には、石狩川を本流とする豊平川、厚別川、創成川を含む石狩川水系。琴似発寒川、中の川を含む新川水系。それと星置川水系の3つの水系があります。

 

 「河川の種類」

 川の種類はご存知でしょうか?
 一級河川、二級河川、準用河川、普通河川の4種類があります。同じ1本の河川も、下流から区間により、一級河川、準用河川、普通河川と変わっていくこともしばしばあります。
 ところで、一級河川・二級河川はどのような河川でしょうか?少し難しいのですが、「一級河川」は、国土の保全上または国民経済上特に重要な水系で国土交通大臣が指定した河川で、みなさんがよくご存知の石狩川、豊平川、月寒川、真駒内川などがこれにあたります。
 「二級河川」は、一級河川以外の水系で公共の利害に重要な河川で、知事が指定したもので、新川、琴似発寒川、星置川などがこれにあたります。また、一級河川以外の水系なので、二級河川と一級河川は別の水系であり、一級河川の上流に二級河川はありません。
 「準用河川」・「普通河川」は、またの機会に紹介します。

 「川の左岸と右岸」

月寒川 川の上流から下流に向かって見たとき、右側が右岸で、左側が左岸となります。

 

 

 

 「堤内地と堤外地」・「内水(ないすい)と外水(がいすい)」

豊平川 川には堤防が築かれている場合があります。堤防を境にして、私たちの住んでいるところが堤内です。川のあるほうが堤外です。しかし、逆に理解されることが多い河川用語です。
 したがって、「堤内に車乗り入れ禁止」と書かないと一般の人は理解されないかも?
 「川の中へ車を乗り入れないでください」はおかしいけど、「川の区域に車を乗り入れないでください」ならわかりますね。

 川のある堤外地を流れる水が「外水(がいすい)」です。その川に入るまでの水(堤内地を流れている水)を「内水(ないすい)」といいます。
 堤防が決壊して、外水氾濫が起こります。内水が川に排水できなくなって、内水氾濫が起こります。

 「堤防」・「低水路(ていすいろ)と高水敷(こうすいじき)」

豊平川 河川の洪水氾濫を防ぐために土を盛った部分を指します。山に接するなどの場合を除き、左右両側に設けられるのが一般的です。特別な場合には、堤防の材料としてコンクリートや鋼矢板が用いられますが、通常は土が用いられます。土は安価にどこでも手に入る材料であり、時間が立っても変化しません。また、草が生えることから、緑で覆うことのできる材料でもあります。しかし、欠点もあります。激しい水の流れに会うと、削りとられてしまいます。そこで、堤防の川側で流れが激しいところは、石やコンクリートブロックなどの護岸が施工されます。

 堤防の間で、ふだん川の水が流れているところが、「低水路(ていすいろ)」と呼ばれる部分です。これに対し、大きな河川では堤防の間に、低水路より一段高く、ふだんは水の流れない部分があります。これが「高水敷(こうすいじき)」です。「高水敷(こうすいじき)」は、ふだんは動植物の生育の場であったり、グランドや公園、イベント広場、雪堆積場などに利用されています。洪水時のみ水につかります。大雨により増水した川の水は、「高水敷(こうすいじき)」があると、幅が広がり、水深が浅くなります。そうすると流れる速度も遅くなりますので、堤防が削られる危険が弱まります。このように、「高水敷(こうすいじき)」は堤防を守る役目も担っていると言えます。

 「沈砂池(ちんさち)」

円山沈砂池 河川は水だけが流れているのではありません。土砂も流れています。洪水時には、大量の土砂が流れます。都市を流れる河川はジャマモノと考え、蓋をして地下に埋めていた時代がありました。神戸市は、昭和13年、地下化された「生田川(いくたかわ)」に六甲山の土砂が大量に流れ込み、大きな被害を産みました。阪神大水害です。
 このような教訓から、現在では河川はオープンであることが原則です。しかし、街づくりのため、どうしても地下化しなければならないこともあります。このためには、暗渠部分への土砂の流入を抑制することが必要です。土砂の流入を抑制するための施設が「沈砂池(ちんさち)」です。
 札幌市でも、地下化された円山川、界川、琴似川、硬石の沢川といった河川の手前には沈砂池が設置されています。

 「低低水路(ていていすいろ)」

追分川 洪水を防ぐため、河川改修が行なわれます。河川改修では、洪水時の川に入ってくる水を流すことを考えるため、川の断面は非常に大きなものとなります。しかしながら、通常時では、それほど多くの水が流れないことから、水深が非常に浅い川となることが多くあります。このことから一定の水深を確保するために、通常時に水が流れる部分として「低低水路(ていていすいろ)」が設けられています。
 「低低水路」は、川底をさらに低くしたところに設けられ、普段は、「低低水路」以外の川底には水が流れないことから、遊歩道などに利用されることも多くあります。
 札幌市の河川でも、雁来川、追分川、西野川など多くの河川で「低低水路」が設けられています。安春川の遊歩道も、多くはこの「低低水路」以外の川底を利用して設置されています。

 「運河・閘門(こうもん)」

手稲山口運河 船舶の移動のために人工的に造られた水路を運河と呼んでいます。河川と運河や運河と運河の水位に差がある場合、船舶を移動させるには、水面を調整する必要があります。この水面を調整させる施設が閘門(こうもん)です。かつて、札幌市内にも2箇所の運河が築かれました。
 創成川は水運のために掘られた大友掘に、吉田掘や寺尾掘が加わり、造られましたが、明治28年から30年にかけて、札幌茨戸運河として、整備が行なわれています。八ヶ所の水位調節のための閘門(こうもん)も設けられました。閘門(こうもん)1ヶ所の通過に1時間を要したようですが、利用は結構あったようです。しかし、運河の寿命は短く、明治44年に札北馬鉄株式会社が馬車鉄道を北7東1から茨戸まで営業すると、利用されなくなったようです。
 もうひとつは、閘門(こうもん)3ヶ所を持つ花畔銭函運河です。花畔側は砂地で、崩れやすく、小船でも利用は困難であったようですが、明治34年の北海タイムスによると札幌茨戸運河を上回る利用があったようです。銭函花畔運河の一部は、今でも山口運河として残っています。毎年、9月に、山口運河祭りが開催され、歴史を伝える紙芝居や往時をしのぶ運上船の運行が行なわれます。

 「床止め(とこどめ)・床固め(とこがため)」

落差工(中の川) 川を流れる水が川底を削り取ること、これを洗掘(せんくつ)と呼びます。この洗掘を防止し、河川の勾配を安定させるために設けられる河川を横断する施設が床止めです。
 砂防事業では床固めと呼ばれます。機能は同じです。床止めに落差がある場合、「落差工(らくさこう)」、落差がないか極めて小さい場合、「帯工(おびこう)」と呼びます。
 落差工があると、魚などの生物の遡上が妨げられます。したがって、魚が遡上できるよう魚道(ぎょどう)を設けます。西野を流れる中の川では、落差工に魚道を設置したことにより、サクラマスの産卵床が、年々上流に上ってきています。

 

 「排水機場」

雁来排水機場(雁来新川) 小さな河川や水路がより大きな川に合流していると、豪雨などにより、大きな川の水位が高くなって、小さな河川や水路に逆流してしまいます。このため、水門が設けられ、ゲートが設置されることを前回ご説明しました。しかし、水門のゲートを閉めてしまうと小さな河川や水路の水は流れるところがありません。そのままではどんどん溜まってあふれてしまいます。
 これを防ぐためには、水を汲み上げて大きな川に流さなければなりません。大きなポンプが設置されます。このポンプが設置された施設を排水機場と呼びます。札幌市内には、北海道開発局札幌開発建設部が管理する雁来排水機場の他、札幌市が管理する米里排水機場など16の排水機場があります。このように、排水機場は洪水から私たちのくらしを守る役割を果たしています。

 「遊水地」

東屯田川遊水地 豪雨により、河川の水位が上昇したとき、川の水の一部を流入させて、一時的にそこに貯めることにより、下流部の河川の負担を軽減させるための河川施設が遊水地です。遊水地には、自然の地形を利用したもののほか、池を掘り、堤防をめぐらすなど人工的に作られたものもあります。
 札幌市内には、モエレ(モエレ沼そのもの)、発寒川、伏籠川、東屯田川の4つの遊水地があります。このうち、札幌市が管理しているのは伏籠川、東屯田川の2つです。
 伏籠川遊水地には、普段は水が有りません。川の水位が上昇したときだけ、水が入ります。普段はグラウンドなどに利用されています。
 東屯田川遊水地は普段も水が有る所は、野鳥などが訪れることからバードウォッチングなどに、水の無い所はパークゴルフ場などに利用されています。

 「放水路」

精進川 洪水を安全に海まで流すためには、川幅を広げる河川改修を行います。しかし、市街地などでは、河川沿いに家などが張り付き、川幅を広げるための用地の確保が困難な場合があります。しかも川の途中に1カ所でも狭いところがあると、そこから洪水が市街地に流れここんでしまうため、危険性が増してしまいます。
 このような場合の対策として、市街地の中の川はそのままにして、市街地の上流から新たな川を作り、下流や海へと流すことが行なわれます。この新たに作られた川を「放水路」と呼びます。
 札幌市内にも精進川放水路、穴の川放水路、旧琴似川放水路、円山川放水路、望月寒川放水路の5つの放水路があります。
 茨戸川には、石狩市内に石狩湾新港へと導かれる、大きな石狩放水路が作られています。

 

 「流出抑制施設(雨水貯留地等)」

民間雨水貯留地 これまで、山林や田畑あるいは未利用地などが開発されると、地中に浸透して働く保水機能が低下し、雨水が、雨水管などで運ばれ、大量に早く、河川に流出します。いわゆる都市型洪水です。これを抑制するために設けられるのが「流出抑制施設」です。
 「流出抑制施設」には、浸透桝、浸透トレンチ、雨水貯留地、これらを組み合わせたものなどがあります。
 札幌市でも、「札幌市宅地開発要綱」で規定する開発事業者は、市街化調整区域などでは、原則として、「流出抑制施設」を設置するよう指導しています。こうして設置された「流出抑制施設」のうち、宅地分譲を目的としたものは、札幌市に無償で引き継がれます。現在、92の雨水貯留地やその他施設が引き継がれており、引き継がれなかった「流出抑制施設」は施工者が維持管理します。札幌市内には、100カ所以上のこうした「流出抑制施設」もあります。
 雨水貯留地は、専用の施設となっているもののほか、グラウンドや駐車場と兼用になっているものも数多くあります。

 「ダム」

豊平峡ダム 川をせき止めるための施設で、高さが15メートル以上のものをダムと呼びます。15メートル以下のものは堰と呼びます。豊平川水系にも5つのダムが有ります。
 アーチ式コンクリートダムの豊平峡ダム(ダムの高さ102.5メートル、総貯水量 47,100,000立方メートル)と重力式コンクリートダムで、豊平川の支流の小樽内川に設置されている定山渓ダム(ダムの高さ 117.5メートル、総貯水量83,300,000立方メートル)はともに、国(北海道開発局札幌開発建設部)が管理しています。この2つのダムは洪水調節と札幌市の水道水供給、北電の発電用水供給の目的を持つ多目的ダムです。藻岩ダムと砥山ダムは北電が発電用に設置したダムです。それぞれ藻岩発電所と砥山発電所で利用されます。
 残りのひとつは、一の沢ダムで大正15年に発電目的で設置されました。現在は、使用されていません。この一の沢ダムによって造られた湖は、「舞鶴の瀞(とろ)」と呼ばれ、定山渓温泉に近いことから、ボートなどによる舟遊びが盛んだったとのことです。

 「捷水路(しょうすいろ)」

石狩川と茨戸川 「捷水路(しょうすいろ)」はショートカットとも呼ばれます。河川の屈曲した部分を直線化し、流下能力を増加させた水路が「捷水路」です。
 石狩川は、名前の由来がアイヌ語の「イ・シカラ・ペツ(非常に曲がりくねった川)」が示すように、蛇行した川でした。それゆえ、流下能力が小さく、常に洪水の多い川でもありました。明治31年(1898年)の大洪水では、死者112人、流失倒壊家屋2,295戸、浸水家屋16,000戸という被害が報告されています。こうした洪水を防ぐため、生振捷水路ほか4つの捷水路が整備されることとなりました。
 生振捷水路は、大正7年(1918年)から14年(1925年)の歳月をかけ、昭和6年(1931年)に完成します。工事の結果、江別の水位は1mも下がったそうです。生振捷水路により、分断された元の石狩川が、現在の茨戸川です。現在の豊平川も、雁来から下流は、1941年に完成した捷水路を水が流れています。

 「堰(せき)」

西野浄水場取水堰(琴似発寒川) 農業用水や水道用水などを川から取るために、川を横断して、水をせき止める施設が堰(せき)です。堰(せき)により水位を上げ、水を導きます。頭首工、取水堰とも呼ばれます。
 固定堰(こていぜき)と、門扉をつけ、水位などを調節できる可動堰(かどうぜき)とがあります。札幌市の水道水の80パーセントは白川(しらいかわ)浄水場で、豊平川の水を使って造られます。白川浄水場傍の豊平川には、取水のための堰が作られています。

 

 「樋門(ひもん)・樋管(ひかん)」

樋門(下水道雨水)(望月寒川) 小さな河川や水路がより大きな川に合流していると、豪雨などにより、大きな川の水位が高くなって、小さな河川や水路に逆流することがあります。これを防止するのが樋門(ひもん)や樋管(ひかん)です。樋門や樋管は堤防の中にコンクリートの水路を通し、ゲートを設置して造られます。樋門と樋管の明確な区別はありません。
 特に堤防を分断してゲートが設置される場合、これを水門と呼びます。水門はゲートを閉めたときには堤防の役割を担います。川の中の堰(せき)に、開け閉めのできる門がついていることがありますが、閉めた時に堤防とはなりませんので、水門とは呼びません。

 

 「砂防えん堤」

砂防えん堤(左股川) 砂防事業では、土砂災害を防止するため、「砂防えん堤」と呼ばれる構造物を設置する方法が多く用いられます。
 「砂防えん堤」は、過去には「砂防ダム」と呼ばれていた時期があります。大雨で削り取られ、流出土砂を一時的にため、そのあと年月をかけ、少しずつ下流に流すはたらきをしています。この溜まった土砂により、川底が上がり、勾配が緩くなり、川の流れも緩くなります。また、河原が広がることから、多くの土砂を貯めることができるようになります。土石流が発生しても、そこに土砂を貯めることができます。さらに、土石流が河原がいっぱいに広がるので、力を弱めることができ、下流に被害が出るのを防ぎます。
 これまでは、このような不透過型の「砂防えん堤」が多く設置されてきましたが、最近は普段流れる土砂は下流に流し、土石流などの大きな岩や樹木などだけをくい止める、スリットなどが着いている透過型(オープンタイプ)の「砂防えん堤」も造られています。
 札幌市内にも多くの「砂防えん堤」が建設され、土砂災害から私達を守っています。

 「土石流」

 川底の石や砂が長雨や集中豪雨などによって削られ、一気に下流に押し流されてくるのが土石流です。地方によっては、「山津波」とか「てっぽう水」と呼んでいるところもあります。大きな石などが先頭になり、そのスピードは時速40kmを超えることもあるようです。一瞬のうちに家などが押し流されてしまいます。
 多くは大雨が原因で起こりますが、地震や地すべりで崩れた土が川に多量に流れ込んだり、火山の噴火によりたい積した火山灰に雨が降って起きることもあります。
 こうした恐ろしい土石流から被害を防ぐため、砂防事業は進められていますが、次のような現象がある場合、土石流の起こる前兆です。直ぐに川から離れ、避難してください。

  1. 山鳴りがしたり、木が裂ける音、石のぶつかる音がする。
  2. 雨が降っているのに、川の水が急に減った。
  3. 川が急に濁り、木が流れてくる。

 「特定外来生物」

オオハンゴンソウ(創成川) 「外来生物法」に規定される、海外起源の外来生物で、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすものや、及ぼすおそれのあるものの中から、指定されたの特定外来生物です。特定外来生物は、生きているものに限られ、個体だけでなく、卵・種子・器官なども含まれます。これまで148種類(平成30年4月1日現在)の生物が指定されています。
 特定外来生物は、飼育、栽培、運搬すること、輸入することは原則禁止です。また、野外へ放つ、植える、播くことは禁止です。外来生物被害予防三原則が定められています。

1.入れない 2.捨てない 3.拡げない

 特にオオハンゴンソウは、札幌市内の多くの地点で確認されていますので、くれぐれも運びだしたり、別な場所に植え替えたりしないようにお願いします。

特定外来生物等一覧

 「多自然川づくり」

蛇行区間(中の川) 「多自然川づくり」とは、河川全体の自然の営みを視野に入れ、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮した、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境や多様な河川景観を保全するまたは創出するために行なう河川管理と定義されています。
 平成18年10月13日、「多自然川づくり基本指針」が国土交通省により定められ、すべての川づくり(河川改修など)の基本は「多自然川づくり」を基本とすることとなりました。
 「多自然川づくり基本指針」では、過度の整正やショートカット(捷水路)を避けること、標準断面による一律の整備は避けること、川の瀬や淵、ワンド(河川沿いにある水のたまったところ)、河畔林などの現存する環境資源をできるだけ保全することなどを求めています。

多自然川づくり基本指針

 

 


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