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更新日:2014年4月4日

終末期看護倫理指針

終末期の看護では、患者さんの全人的苦痛が最大限緩和され、良質な日常生活が維持でき、人生最期の生をその人らしく生きぬくことが出来るように専門的な看護を提供することが必要である。また同時に、最期を共に生きる家族に必要な支援を行うことが求められる。
そのため、遵守すべき行動の規範を終末期看護倫理指針として以下に定める。

  1. 私たちは、患者の全人的苦痛を最大限緩和し、人間としての尊厳を尊重します。
  2. 私たちは、信頼される医療を提供するために、十分な説明と情報を提供し、治療や療養生活の過ごし方など、自らの意思で決定できるよう支援します。
  3. 私たちは、患者を支える家族に対しても、大切な人の喪失を受け止め悔いの残らない看取りができるように支援します。
  4. 私たちは、最適な医療を提供するために、専門性を生かしたチーム医療を行います。

行動指針

  1. 私たちは、患者の全人的苦痛を最大限緩和し、人間としての尊厳を尊重します。
    1. 患者のこれまでの生活とその背景を尊重し、最期まで患者が望む自分らしい生き方ができるように支援します。
    2. 症状コントロールを適切に行い、身体的・心理的・社会的・霊的苦痛を最大限緩和し、QOLの維持、向上に努めます。

  2. 私たちは、信頼される医療を提供するために、十分な説明と情報を提供し、治療方法や療養生活の過ごし方など、自らの意思で決定できるよう支援します。
    1. 病状の変化に応じて十分な説明を行います。また、患者や家族が病状をどのように理解し受け止めているかを確認し支援します。
    2. 私たちは、患者の意思や心境を患者のアドボケーターとして他職種や家族に伝え、患者と家族にとって最善の選択ができるよう支援します。
    3. 患者と家族の望む終末期の過ごし方について意思決定できるように他職種と連携を図り、十分な情報提供に努めます。
    4. 患者と家族が決定した意思と選択を尊重し、最後までそれを支えます。

  3. 私たちは、家族が大切な人の喪失に対して悔いの残らない看取りができるように支援します。
    1. 家族とのコミュニケーションを大切にしながら、家族のニーズを把握し、そのニーズに応えられるように努めます。
    2. 家族の揺れ動く気持ちに寄り添い、必要によっては他職種へ積極的に働きかけ、十分な情報が得られるように努めます。
    3. 家族が予期悲嘆を表出できるよう気持ちに寄り添い、大切な人の喪失に対する心の準備ができるよう支援します。

  4. 私たちは、最適な医療を提供するために、専門性を生かしたチーム医療を行います。
    1. 患者さんの意思決定に基づき、診療科医師、緩和チームや看護師、コメディカルが協働し、チーム医療を提供します。
    2. 最期までその人らしい生き方ができるように、地域の医療機関と連携し、安心して必要な医療が受けられるように支援します。

用語の定義

終末期:最善の医療を尽くしても、病状が進行性に悪化することを食い止められずに死期を迎えると判断される時期
予期悲嘆:患者の死を予期したときに起こる、嘆き、悲しむ反応のこと
全人的苦痛:患者の苦痛は、身体的側面だけではなく、精神的苦痛・社会的苦痛・霊的な側面から構成されており、それらが相互に関連した痛み
QOL:クオリティ・オブ・ライフ。個人を主体とし、個人が感じるその人の生命の質と生活の満足度のこと。2)

引用文献

  1. 社団法人日本医師会:グランドデザイン2007-国民が安心できる最善の医療を目指して-各論,2007.
  2. 看護大事典:医学書院

参考文献

  1. 佐藤禮子:絵でみるターミナルケア 人生の最期を生き抜く人へのかぎりない援助,学習研究社,2006.
  2. 柏木哲夫:緩和ケアマニュアル ターミナルケアマニュアル改訂弟4版,最新医学社,2001.
  3. 日本看護協会:看護倫理 終末期医療