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更新日:2014年4月4日

小児看護倫理指針

小児看護の対象である子どもは、成長発達過程にあり、認知・言語能力が未熟であるため意思表明・自己決定の問題が生じやすい。
小児看護の目指すところは、健康問題をもつ子どもが、家族や社会とのつながりの中で、個々の健康レベルに応じて健やかな成長発達を遂げることにある。看護職員は、医療を受けている子どもの権利を擁護し、その子どもの最善の利益を最優先に考えることが求められる。
そのため、小児看護に携わる全ての看護職員が、遵守すべき行動の規範を小児看護倫理指針として以下に定める。

  1. 私たちは、子どもの権利を尊重し、平等に、質の高い看護を提供します。
  2. 私たちは、ひとりひとりの成長発達や症状に応じた養育を受けることができるように支援します。
  3. 私たちは、子どもの身体的、精神的苦痛を最小限にし、安心できる環境の中で、子どもや家族と信頼関係を築き、心の通う看護を提供します。
  4. 私たちは、子どもとその家族に十分な説明や情報提供を行い、意思決定ができるように支援します。
  5. 私たちは、子どもの健やかな成長発達のために、地域の医療施設や教育機関と連携を図り、社会生活を支援します。

行動指針

  1. 私たちは、子どもの権利を尊重し、平等に、質の高い看護を提供します。
    1. 子どもの主体性を尊重し、最善の利益が得られるように支援します。
    2. 子どもの状態について家族と情報を共有し、家族が主体的に子どもの最善の利益を考えられるように支援します。
    3. 障害となるものから子どもを保護し、家族への教育指導、子どもへの精神的情緒的な支援を通し、子どもの権利を擁護します。

  2. 私たちは、ひとりひとりの成長発達や症状に応じた養育を受けることができるように支援します。
    1. 子どもの発達段階や健康問題に合わせて、疾患や治療が子どもの成長発達の妨げにならないように、教育(あそび・学習の機会)を保障します。
    2. 家族が、子どもの病気や治療を理解し、発達課題の達成や子どもの状況に合わせたセルフケアへの移行ができるように支援します。

  3. 私たちは、子どもの身体的、精神的苦痛を最小限にし、安心できる環境の中で、子どもや家族と信頼関係を築き、心の通う看護を提供します。
    1. 子どもの疾患による苦痛や、治療・検査・処置に伴う心身の苦痛を軽減するように努め、安全・安楽に治療・援助が受けられるように支援します。
    2. 入院による環境の変化や活動の制限・家族からの分離に伴うストレスなどの侵襲が最小限となるように支援します。

  4. 私たちは、子どもとその家族に十分な説明や情報提供を行い、意思決定が出来るように支援します。
    1. 子どもの生育過程や家族の価値観を尊重し、その子どもにとって最善の医療や看護を選択できるよう支援します。
    2. 年齢や発達段階、理解度に応じて子どもがわかりやすい言葉や方法を用いて説明し、子どもの同意や納得を得るように努めます。

  5. 私たちは、子どもの健やかな成長発達のために、地域の医療施設や教育機関と連携を図り、社会生活を支援します。
    1. 子どもが安心して社会生活を送ることができるように、社会資源を活用し、各科専門医や学校と連携して治療が継続できるように支援します。

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用語の定義

子ども:0~18歳 児童福祉法は「この法律で、児童とは、満18歳に満たないものをいう」もの(第4条)と規定している。

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参考文献

1) 濱田米紀:看護倫理と倫理的課題,倫理的意思決定モデル.小児看護35 (8).P932-943,2012

2) 日本小児看護学会倫理委員会:小児看護の日常的な臨牀場面での倫理的課題に関する指針 日本小児看護学会 2010.3

3) 「児童の権利に関する条約」全文
  http://www.mofa.go/mofaj/gaiko/jido/zenbun.html

4) 系統看護学講座.専門22 小児看護(1)小児看護学概論・小児臨床看護総論 医学書院