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更新日:2014年4月4日

精神科看護倫理指針

精神科看護に携わる看護職員は、精神的健康について援助を必要としている患者とその家族に対し、個人の尊厳と権利擁護を基本理念とし、専門的知識と技術を用いながら自律性の回復を通して、その人らしい生活ができるよう支援することが必要である。
しかし、対象となる患者は、病状により身体的精神的に最善とされる判断ができないことがある。そのため法的根拠のもと、患者が望む療養生活の制限を伴う治療が行われることがあり、看護職員はこのような治療関係の中で倫理的葛藤を生じる。私たち看護職員は、治療上必要な制限に対して十分な説明を行い可能な限り対象となる人の同意を求めながら、必要最小限となるように専門的知識や技術をもって応えることが必要である。さらに対象の個別性を尊重しながら、地域社会生活への復帰を支援する役割が求められている。
そのため遵守すべき行動の規範を精神科看護倫理指針として以下に定める。

  1. 私たちは、患者の基本的人権を尊重し、尊厳と権利を擁護します。
  2. 私たちは患者とその家族に対し、説明と同意に基づいた意思決定を支援し治療へ参画できるよう努めます。
  3. 私たちは、患者が苦痛や不安、行動制限によってもたらされる身体的、精神的弊害が最小限になるように努めます。
  4. 私たちは職務上知り得た情報の管理を適正に行います。

行動指針

  1. 私たちは、患者の基本的人権を尊重し、尊厳と権利を擁護します。
    1. いかなる場面においても患者の人権を尊重し、患者の価値観を大切にします。
    2. 患者が望む生活を送ることができるように、地域社会の人々との連携を図ります。

  2. 私たちは、患者とその家族に対し、説明と同意に基づいた意思決定を支援し治療へ参画できるよう努めます。
    1. 患者とその家族に対してインフォームドコンセントの原則に基づき、自ら意思決定を行えるように支援します。
    2. 治療の同意が得られない場合には患者の身体的精神的安全を優先し、家族にも十分説明した上で治療を実施します。

  3. 私たちは、患者が苦痛や不安、行動制限によってもたらされる身体的、精神的弊害が最小限になるように努めます。
    1. 行動制限に対する利益と弊害を十分に認識し、行動制限が適切かどうか十分検討します。
    2. 患者自身が行動を自己管理でき、安全な生活を送ることができるように支援します。

  4. 私たちは職務上知り得た情報の管理を適正に行います。
    1. 患者とその家族に対して適切な支援を行うために知り得たさまざまな情報を適正に取り扱い守秘義務を遵守します。
    2. 行動制限上必要な所持品の預かりについて、適正に管理、保管します。

用語の定義

行動制限:隔離・拘束や面会、電話、外出・外泊、持ち物の制限など治療上判断される個別的制限や病棟で入り口の施錠、生活時間の限定など安全管理上判断される全体的な制限のこと。

参考文献

  1. 精神科看護の定義 精神科看護倫理綱領:社団法人 日本精神科看護技術協会
  2. 鈴木和子、渡辺裕子:家族看護学―理論と実践 第2版 1999年8月
  3. 市立札幌病院看護部 看護記録委員会作成 看護における「共有・同意」に関する指針