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更新日:2023年8月18日

子宮脱センター

市立札幌病院産婦人科子宮脱センター

 わが国は高齢化社会を迎えようとしています。中高年女性を悩ます疾患のひとつとして性器脱があります。治療を受けている患者さんは年間5~10万人、潜在患者は500万人と推測されています。性器脱は骨盤臓器脱とも言われ、骨盤内にある臓器ヘルニアです。出てくる臓器の種類によって、子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤、小腸瘤などと呼ばれます。この病気が進行すると、日常生活に大きな支障を来たします。これらの性器脱の治療を積極的に行うために平成22年1月に子宮脱センターを開設しました。

症状

 脱出の程度により、腟に何かがはさまったような違和感や圧迫感があります。膀胱瘤があれば尿が出にくい、尿が近い、残尿感などの症状がみられ、直腸瘤があれば、残便感や便秘がみられます。また下腹部が引っ張られる感じや下腹痛が現れることがあります。いつも脱出している場合には、その部分が下着にすれて出血などの不快な症状がみられ、症状が進むにつれて、外出を控え、旅行、スポーツなども避け日常生活が制限されます。

原因

子宮脱センター図1

 女性の骨盤内には尿道、膀胱、子宮、直腸などの臓器があります。これらの臓器を恥骨から尾骨をつなぐ骨盤底筋というハンモック状の筋肉と靭帯に支えられ、力がかかっても落ちないような仕組みになっています。しかし骨盤底の筋肉が緩んだり、筋肉の一部に傷がついたりすると、重みに耐え切れず骨盤内臓器が下がり、腟壁が臓器に押されて体外に出てしまいます。

 

 

子宮脱センター図2

治療

 大きく分けて保存療法と手術療法があります。
子宮脱センター図3 保存療法としてペッサリーリングというリング状のものを膣内に装着して脱出を防ぐ方法があります。外来で挿入装着が簡単にできますが、リングによる膣の炎症を起こしやすいため定期的な通院管理が必要になる欠点があります。希望者には自己着脱型リングの指導も行っています。
 手術療法として数種類の方法があります。自分の組織のみで補強を行う方法(子宮を摘出して、膀胱側膣壁の補強と骨盤底組織へ吊り上げる縫合を組み合わせる方法)やメッシュという人工布で補強と吊り上げを行う方法(腹腔鏡下膣断端仙骨固定術LSCや経膣的メッシュ手術TVM)があります。
 それぞれ術式には長所短所があります。方法も複雑です。手術するかどうか、また手術するならどの方法がよいかは出ている臓器の種類や程度、生活習慣や全身状態、合併症などによって決まります。

現在の取り組み

 最近は子宮脱や膀胱瘤に対して再発率は従来の手術方法より低い腹腔鏡下膣断端仙骨固定術(LSC)を積極的に行っています。しかし全身麻酔で数時間かかる手術であるため高齢者の方や合併症の種類によってはお勧めできないこともあります。
丁寧な診察を行い、様々な治療の中でどの治療が最良なのかを患者様と十分相談して決めています。
 当院では泌尿器科を含めた他診療科との連携協力が行われており周術期合併症に関しても適切な対応が可能です。 

市立札幌病院 産婦人科 〒060-8604 札幌市中央区北11条西13丁目 電話 代表 (011) 726-2211