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更新日:2011年2月26日

さつきとデナリが単独生活へ戻りました/ララの近況

画像:ホッキョクグマのさつきとデナリ。さつき、デナリを威嚇。
手前:さつき 奥:デナリ 2008年5月16日(同居初日) 

画像:ホッキョクグマのデナリとさつき
手前:デナリ 奥:さつき

 2008年8月21日(木曜日)、デナリとさつきが単独生活に戻りました。
 5月中旬からおよそ3ヶ月間、デナリとさつきは同じスペースで生活してきましたが、さつきに発情行動がみられず、デナリと交尾するまでには至りませんでした。
 自然界ではホッキョクグマに限らず、クマの仲間は群れることなく単独で暮らしています。
 野生でホッキョクグマの個体同士が出会うのは、繁殖の時や、陸地で海が凍るのを待っている時、親子(母子)でいる時などだけです。交尾の可能性のある季節は過ぎ、デナリとさつきの2頭は、本来そうあるべき単独での生活に戻るのです。
 ただし、彼らの相性は悪くないので、来年また繁殖時期になれば同居させる予定です。次回はデナリとさつきの間に子供が出来ることを期待してください。
 そもそも群れで生きるということはどういうことでしょうか?一頭でいるよりも天敵を見つけやすく、防御・逃走がすばやくできる、連携して食料を確保できる、繁殖の時期に相手を探す必要が少ない、などの利点があります。
 けれども、群れることによって生じる不利益もあります。食料不足や縄張りや順位、メスを巡る争いが生じるほか、病気にかかると蔓延する可能性もありますし、群れ同士の交配により遺伝子の多様性が失われるといった問題もでてくるのです。
 ホッキョクグマは食物連鎖の上位におり、人間以外の天敵はほとんどいません。また、食料も単独で確保することができます。ですから群れを作る必要がないのです。
 デナリ、ララ、さつきが(繁殖期以外は)それぞれ一頭でいることは、自然なスタイルなのです。

画像:夜の動物園でのララ。
夜の動物園でのララ

画像:潜水ララ
活魚捕獲のため潜水中のララ

 一方ララは、2008年2月~5月にデナリと共に暮らし、その間に繁殖行動がみられたので、妊娠している可能性が高いです。
 ここ数ヶ月はとても落ち着いた様子で、出産の期待が持てます。同じペアで3度も自然繁殖が成功した例はあまりないので、今回無事に赤ちゃんが成育すれば、世界的快挙となりそうです。今後、出産・育児のための冬ごもりに備えて、ララのエサの量を増やしていく予定です。
※これまでに生まれたデナリとララの子ども:ツヨシ(2003年12月生・釧路市動物園へ転出)、ピリカ(2005年12月生・おびひろ動物園へ転出)

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種の保存と環境/温暖化の影響

 

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