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更新日:2019年11月26日

臨床工学科について

 臨床工学技士は、昭和62年に国家資格として誕生し、比較的歴史の浅い医療資格で、治療領域における生命維持管理装置の操作及び医療機器の保守点検を主たる業務とし制定されました。当院では、平成16年度より単科として独立部署となり、現在13名の臨床工学技士(CE:Clinical Engineer 以下CE)が勤務しています。
 現在勤務している臨床工学技士はそれぞれ体外循環技術認定士、呼吸療法認定士、透析技術認定士などの学会認定資格を有し、さらに各医療機器メーカー認定の保守資格を取得し、臨床支援と機器管理の両面で医療に不可欠な医療機器の専門職として業務を行っています。また、院内での研修会開催や情報発信として「臨床工学科通信」を発行しています。

臨床工学科の理念と行動目標 

理念

臨床工学の知識と技術の専門職として、良質で安全な医療技術を提供する

行動目標

  1. 患者さんの人格を尊重し、安心・安全な医療を実践する
  2. 最新の知識や技術の習得に努め、常に向上心を持って高度急性期医療に応える
  3. 医師や他の医療関係者との緊密な連携を図り、効率的なチーム医療を展開する
  4. 医療機器の保守・管理を通し、業務改善と病院経営に貢献する

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こんな業務を行っています

ME機器保守管理業務

 「医療機器管理業務マニュアル」に則して、医療機器安全管理責任者のもと臨床工学科が事務局となり、院内共通使用機器(人工呼吸器、シリンジ・輸液ポンプ、除細動器等)の院内中央管理医療機器の保守点検を行い、修理も可能な限り行っています。(70機種以上、約2600台)これらを中央管理し、機器貸借先部署を含めコンピューターでシステム化し運用しています。 部署管理機器(30部署、約1200台)は各部署から提出の点検計画書と点検実施報告書の記録を一元管理し、定期的保守管理の徹底を図っています。
 また、安全に医療機器が使用されるように医師や看護師等に研修会を開き、スタッフの知識・技術の向上に努めています。

 

高気圧酸素治療業務

 大気圧より高い気圧環境の中で、酸素を吸入することにより病態の改善を図ろうとする治療です。体内酸素量の増加により、生体内の循環障害・低酸素状態の改善効果、酸素の抗菌作用を利用し細菌の発育を阻害する抗菌効果、生体内にできた気体を圧縮・再溶解することにより末梢循環を改善し、組織の浮腫を軽減させる生体内気体の圧縮・溶解効果があります。特殊な環境での治療ですので、患者さまが治療に対する不安を持たないよう、安全に治療工程が進むように努めています。

 

 

手術室関連業務

 手術室関連では、心臓・大血管手術の際に使用する人工心肺装置及び心筋保護装置の操作や、腹腔・胸腔鏡手術等で使用する内視鏡ユニットの準備・設定・操作、脳神経外科・整形外科手術での運動誘発電位のモニタリング、手術支援ロボット「da Vinci」ダ・ヴィンチの準備・設定を行っています。「da Vinci」の適応手術は「前立腺悪性腫瘍」「腎悪性腫瘍」のみでしたが、新たに12手術が追加され、消化器外科、(心臓を除く)胸部外科、産婦人科の一部手術でも使用できるようになりました。医師や看護師と協力して安全な手術が行われるよう努めています。

救命救急センター・ICU業務

 3次救急を担う救命救急センターや、手術後などの重篤な病態の患者さまの治療を行うICUは、生命維持管理装置を多く使用する現場です。 人工呼吸器の点検、経皮的心肺補助(PCPS:Percutaneous Cardio Pulmonary Support)、大動脈内バルーンパンピング(IABP:Intra Aortic Balloon Pumping)装置の点検、各種急性血液浄化やアフェレシスなどの治療を行っています。また、重症呼吸不全に対して体外式膜型人工肺(ECMO:Extra Corporeal Membrane Oxygenation)の導入も積極的に行っています。緊急を要する患者さまの治療のため、24時間on call体制で血液浄化や機器トラブル時の対応を行っています。

 

心臓カテーテル検査・治療業務

 血管造影室は、狭心症や急性心筋梗塞に対して心臓や血管などに異常が無いかをX線装置を使用して検査および治療を行う場所です。そして、心臓の血管が狭くなっていた場合には、それを広げる治療を行います。CEの業務は、心電図や血圧などのバイタルサインのモニタ、記録を行うポリグラフの操作、心内圧、弁口面積、シャント率、FFRの測定・解析・データ管理、血管内イメージング(IVUS・OCTなど)の操作、ロータブレーター、Crosser、IABPの準備・操作など、デバイスや機器の管理と操作を主に行っています。近年では重症下肢虚血に対して末梢血管治療も増加しています。

不整脈カテーテルアブレーション業務

 カテーテルアブレーションとは、不整脈を引き起こす異常な心臓内の局所にカテーテルを使用して焼灼を行い、正常なリズムを取り戻す方法です。カテーテルの先端付近には電極と呼ばれる金属がついていて、カテーテルを体外の専用機器に接続することにより、心臓内の電気現象を記録したり、心臓を電気刺激したりすることができます。正式には経皮的カテーテル心筋焼灼術と呼ばれ、カテーテル手術の一つに分類されます。
 我々もカテーテル室業務の一環として業務支援してさせていただいています。

植え込み型デバイス業務

 ペースメーカーや植え込み型除細動器(ICD:Implantable Cardioverter Defibrillator)、心臓再同期療法の両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D:Cardiac Resynchronization Therapy Defibrillator)などを植え込む手術の立ち合いや、MRI撮像時や手術時の設定変更を適時行っています。
 また、遠隔モニタリングにも介入して循環器内科医師と共同で確認し、CEの担当者が電子カルテにデバイスの情報を記載しています。現在、ICD、CRTD患者60名ほどが登録されています。

 

透析室・アフェレシス業務

 透析室では透析液を作成する機械の管理や、透析開始時のシャント穿刺から開始操作、終了時の返血操作など、さまざまな業務を行っています。当院の透析患者数の約9割以上が検査や手術を目的とした患者さまです。そのため、各種合併症を有した患者さまの透析中の容態変化に即座に対応すべく、医師・看護師と連携し安全な透析治療を提供しています。難治性ネフローゼ症候群や高コレステロール血症の患者さまに対しLDL吸着や、クローン病や潰瘍性大腸炎の患者さまに対する白血球除去療法、血液型ABO不適合生体腎移植などを行うレシピエントや自己免疫疾患の患者さまに対し、抗体除去療法が必要な場合には、血漿交換療法を施行しています。

院内機器ラウンド業務

 1日1回NICUの呼吸器の使用状況や回路の接続状態などの確認を行っています。今後は電子カルテのACSYSを活用し、点検内容を記録できるようにしたいと考えています。 
 また、救命救急センターや一般病棟で使用する医療機器の使用状況、現在の保管・使用場所などを臨床工学科のPCに記録しています。使用中のPCPS、IABP、人工呼吸器に関しては電子カルテのACSYSを利用し、点検内容の記録を行っています。

 

17.jpg 除細動器は、必要なときに確実に使用できることが望ましく、管理強化のために一年点検に加え、月一簡易動作点検を行っています。現在は、簡易動作チェックマニュアルを用いて行っていますが、今後点検の頻度や方法は改善していきたいと考えています。

 

 

 

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学会・論文等発表 

<平成30年度>

door to balloon time短縮に向けて
市立札幌病院 臨床工学科 板坂竜
第10回Abbot Case Review Conference 2018年7月6日

PCPS 「教育セミナー」
市立札幌病院 臨床工学科 猫宮伸佳
サッポロライブレモンストレーションコース2018 2018年9月1日~2日

PCPSの限界なのか―LOSに対する補助循環の今後は―
市立札幌病院 臨床工学科 前中則武
Jasect 北海道地方会 2018年9月23日

キャピオックスFX15R30Vは本邦のスタンダードとなり得るか
市立札幌病院 臨床工学科 那須敏裕
Jasect 北海道地方会 2018年9月23日

市立札幌病院におけるECMOの現状
市立札幌病院 臨床工学科 前中則武
第5回北海道東北臨床工学会 2018年10月6日

door to balloon timeからみたECPRにおける検討
市立札幌病院 臨床工学科 前中則武
CCT 2018 2018年10月26日

「シンポジウム」当院における救命救急センターでの業務内容
市立札幌病院 臨床工学科 板坂竜
第2回日本集中治療医学会北海道支部学術大会 2018年11月3日

当院でのヘパリン濃度測定を用いたACT管理方法の検討
市立札幌病院 臨床工学科 板坂竜
第44回日本体外循環技術医学会 2018年11月10日~11日

曲線流入型脱血ポートを有する静脈リザーバーの実験的検討
市立札幌病院 臨床工学科 猫宮伸佳
第44回日本体外循環技術医学会 2018年11月10日~11日

Goodpasture症候群を発症しVV-ECMO導入下に血漿交換を行い救命し得た1例
市立札幌病院 臨床工学科 板坂竜
第46回日本集中治療医学会学術集会 2019年3月1日~3日

<平成29年度>

重症左室低心機能のV-A ECMO 2症例
市立札幌病院 臨床工学科 竹浪延幸
Jasect地方会 補助循環勉強会 2017年4月21日 札幌

Long term ECMOにおける当院での取り組みと他職種の関わり
市立札幌病院 臨床工学科 猫宮伸佳
第27回 日本臨床工学技士会 2017年5月20日~21日

ECPRにおける当院の取り組み
市立札幌病院 臨床工学科 板坂竜
第9回 Abbot Case Review Conference 2017年6月16日

急性血液浄化における抗凝固管理
市立札幌病院 臨床工学科 猫宮伸佳
第1回 北海道急性血液浄化フォーラム 2017年6月30日

市立札幌病院におけるECPR・VA-ECMO・VV-ECMOの全貌
市立札幌病院 臨床工学科 前中則武
大分補助循環セミナー 2017年7月8日

市立札幌病院におけるECPRの現状と今後の展望
市立札幌病院 臨床工学科 前中則武
第13回 CE critical care Meeting 2017年7月22日

EVTデバイスについて
市立札幌病院 臨床工学科 板坂竜
サッポロライブレモンストレーションコース2017 2017年9月1日~2日

救命救急センターでのon-line HDFの経験と課題
市立札幌病院 臨床工学科 板坂竜
第1回日本集中治療医学会北海道支部学術大会 2017年9月9日

Porcelain aorta合併透析患者における体外循環の検討
市立札幌病院 臨床工学科 那須敏裕
第43回日本体外循環技術医学会 2017年10月7日~8日

病院外ECPRに求められるPCPS装置
市立札幌病院 臨床工学科 前中則武
第43回日本体外循環技術医学会 2017年10月7日~8日

第1種高気圧酸素治療装置の更新を経験して
市立札幌病院 臨床工学科 柴田祐樹
第52回日本高気圧環境・潜水学会学術総会 2017年11月11日~12日

大動脈基部形成術および大動脈弁形成術における内視鏡下逆流テスト
市立札幌病院 臨床工学科 前中則武
第28回北海道臨床工学技士会 2017年11月19日

弾性繊維性仮性黄色腫に合併した若年性多枝病変に対しPCIで血行再建した1例
市立札幌病院 臨床工学科 板坂竜
第46回日本心血管インターベンション治療学会北海道地方会 2017年3月31日

<平成28年度>

学童期におけるPCPS導入症例の検討
市立札幌病院 臨床工学科 猫宮伸佳
Jasect北海道地方会 補助循環勉強会 2016年4月16日 札幌

当院におけるヘプコンを用いたACT管理
市立札幌病院 臨床工学科 前中則武
第2回Medtronic 勉強会 2016年4月22日 札幌

冠動脈造影を理解しよう『基礎セミナー①』
市立札幌病院 臨床工学科 那須敏裕
サッポロライブデモンストレーションコース2016 2016年9月4日 札幌

慢性期に冠動脈瘤形態を呈した病変に対しcovered stentを留置した1例
市立札幌病院 臨床工学科 板坂竜
第43回CVIT北海道地方会 2016年10月15日 札幌

症例に適した経皮的心肺補助への取り組み
市立札幌病院 臨床工学科 前中則武

JMS社製「ECmoVA」の臨床使用評価
市立札幌病院 臨床工学科 猫宮伸佳
第42回日本体外循環技術医学会大会 2016年10月22日 東京

GMA療法における穿刺困難2症例の検討
市立札幌病院 臨床工学科 野宮亜里沙
第37回日本アフェレシス学会 2016年11月25日 横浜

血液型不適合腎移植における単純血漿交換療法の検討
市立札幌病院 臨床工学科 金野敦
移植談話会 2016年11月26日 札幌

PCPSの安全管理と工夫
市立札幌病院 臨床工学科 那須敏裕
第11回医療安全セミナー 2016年11月27日 札幌

市立札幌病院におけるECMO中の呼吸管理の現状
市立札幌病院 臨床工学科 前中則武
東京都臨床工学会「循環セミナー」 2017年1月28日 東京

血液型不適合腎移植における単純血漿交換療法の検討
市立札幌病院 臨床工学科 金野敦
第50回日本臨床腎移植学会 2017年2月14日 神戸

短期間で遭遇したICD lead failure 2症例を経験して
市立札幌病院 臨床工学科 那須敏裕
第9回植え込みデバイス関連冬季大会 2017年2月16日 大阪

ECPRにおけるPCPS管理の指標
市立札幌病院 臨床工学科 前中則武

PAV+を用いたECMO管理の経験
市立札幌病院 臨床工学科 板坂竜
第44回日本集中治療学術集会 2017年3月9日 札幌

小型化された補助循環装置の特徴と比較
市立札幌病院 臨床工学科 猫宮伸佳
第27回日本経皮的心肺補助研究会 2017年3月11日 札幌

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今後に向けて

臨床工学科は、医療機器の操作・保守のスペシャリストとして、安全な医療が行えるようにチーム医療の中で日々貢献しています。今後、医療機器の高度化・複雑化がいっそう進む中、多方面でより安全で安心な専門的かつ最新医療技術を提供できる臨床工学科体制を構築し、発展させていきたいと考えています。