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更新日:2023年1月20日

生物多様性と事業活動

生物多様性シンボルマーク・キャッチコピー生物多様性の保全は、市民、事業者、行政などの各主体がそれぞれ取り組まなければならない課題です。
事業者は、直接又は間接的に生物多様性から恩恵を受ける一方で、事業活動を通じて生物多様性に様々な影響を与えています。また、製品やサービスを通じて広く社会に生物多様性の恵みを供給するなど、事業者は社会の一員として重要な役割も担っています。
このページは、生物多様性と事業活動の関わりや事業者が考えるべき生物多様性の保全について紹介します

生物多様性の恵みによって成り立つ事業活動

事業者の皆様は、自らの事業活動が生物多様性の恵みによって成り立っていると考えたことがあるでしょうか?水産物木材
野菜例えば、農林水産業は、農作物や木材、水産物など生物多様性からもたらされる様々な自然の恵みによって事業活動が成り立っています。また、飲食業やスーパーマーケットなどの小売業では、生物資源を商品として扱っており、直接的に生物多様性と関わっています。
それでは、サービス業や運送業など、一見、生物多様性と関わりがなさそうな業種ではどうでしょうか?
どの業種でも、事業活動を行うには、紙やエネルギーなどの資源を例外なく使用しています。
電球紙は、世界の森林資源を消費することでもたらされています。また、エネルギーのほとんどは石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料であり、エネルギーの利用は化石燃料の産出国の生物多様性や生物多様性からの恵みを利用させてもらっているということになります。
このように考えると、あらゆる業種の事業活動が生物多様性の恵みによって支えられていることがわかります。

事業活動が及ぼす生物多様性への影響

事業活動は生物多様性の恵みに支えられている一方、その事業活動は生物多様性に大きな影響を及ぼしています。排ガス
例えば、建物や道路を建設したり、土地を利用することは、その地域の自然環境に影響を与えます。
また、工場から排出されるガスや、不適切に処理された廃水・廃棄物などは、大気汚染や水質汚濁、土壌汚染などの自然環境の悪化を招き、その周辺の生物多様性にも影響を与えます。
温暖化様々な事業活動で欠かせない電気や熱などのエネルギーの消費は、CO2などの温室効果ガスの排出を伴い地球温暖化を招きます。温暖化は、多くの種の絶滅や生態系の崩壊などを引き起こすといわれており、地球上に生息する全ての動植物に影響を与えることになります。
つまり、直接的・間接的の差はあるものの、全ての事業活動は生物多様性に何らかの影響を与えているのです。

事業活動継続の危機

事業活動は、生物多様性の恵みに支えられている一方、その生物多様性に影響を及ぼしています。このことは、事業活動が原因で自らの事業活動が持続できなくなるかもしれないという危険性があることを示しています。
下図は、生物多様性と事業活動の関係を示したものです。生物多様性と事業活動

左の図は生物多様性に配慮した事業活動を行った場合ですが、この場合、生物多様性の喪失は最小限にとどめられ、そこから得られる恩恵を享受し続けることで、事業が継続されていきます。
一方、右の図は生物多様性に配慮せず事業活動を行った場合ですが、この場合、生物多様性に何らかの悪影響を及ぼし生物多様性の喪失が進んでしまうことで、そこから得られる恩恵も少なくなっていきます。そしてこのことが事業規模の縮小や事業継続の危機を招く結果となってしまうのです。
事業活動において生物多様性に配慮することは、自らの事業活動を継続させるために必要不可欠な取組であるといえます。

生物多様性の保全に取り組むには

1自らの事業活動と生物多様性との関係を把握しましょう

生物多様性保全の第一歩は、自らの事業活動が生物多様性とどのような関係にあるかを知ることです。
事業活動の種類はあまたありますから、当然、生物多様性との関わり方もそれぞれ異なります。
自らの事業が、直接的・間接的にどのような生物多様性の恵みに依存しているのか、また、生物多様性にどのような影響を与えているのか、関係が把握できれば、次に生物多様性の保全に必要な取組を検討することができます。

2必要な取組を検討し実施しましょう

自らの事業活動が生物多様性とどのような関係にあるのかを把握したら、今度は、生物多様性の恵みを継続的に利用し将来にわたって事業を継続するために、また、生物多様性に与えている負の影響を軽減するために、どのような取組が重要かを検討し、実践します。
効果の大きい取組を検討・実施することはよいことですが、当然コストや時間などの制約の範囲内で取組を行う必要があるため、今行っている事業活動の中で配慮事項を設けるなど、すぐにできるところから始めていく姿勢も重要となってきます。

3具体的な取組例

下に、各事業活動における生物多様性保全のための取組例を示します。

  • 原材料調達
    ・資源利用量の低減を図る。
    ・生物多様性に配慮した原材料調達を促進する(海洋管理協議会(MSC)、森林管理協議会(FSC)などの環境認証を受けた材料を選ぶ)。
  • 販売
    ・取り扱う製品・サービス等が生物多様性に与えている影響を確認する。
    ・生物多様性に配慮した製品等の扱いを促進する。
    ・生物多様性に配慮した製品・サービス等について、配慮の内容等に関する情報を表示する。
  • 投融資
    ・プロジェクトへの融資において、審査基準に生物多様性への配慮を盛り込む。
    ・事業者への投融資において、対象事業者における生物多様性への配慮を確認する。
  • 研究・開発
    ・生産方法や工法等の研究・開発において、それらが生物多様性に与える影響を考慮する。
    ・生物多様性に配慮したサービスや販売・営業方法を検討する。
  • 海外の大規模事業
    ・事業を実施する場所が、生物多様性の保全上、保護価値が高いと考えられる地域でないかどうかを、保護地域等の指定や重要な自然環境のリスト等によって確認する。
  • 土地利用
    ・土地利用を変化させる場合には、生物多様性について適正に配慮する。
    ・保有地の管理等を行う場合には、外来種の導入等のような、地域の生物多様性への負の影響を及ぼさず、生息・生育環境の創出や生態系ネットワークの創出等のように正の影響をもたらすよう考慮する。
    ・開発などを行う際には、事前にその土地の生物多様性に及ぼす影響を予測・評価し、影響の回避、低減を行う。
  • 事業場の操業
    ・排水量・水質、化学物質等について、生物多様性への影響把握・種類や量等の確認及び低減対策等を実施する。植樹
    ・光について、場所等に応じ、漏れ光の抑制や点灯季節、時間の十分な配慮を実施する。
  • 生物資源の利用
    ・持続可能な林業や漁業に関する認証制度を活用して、生物多様性に配慮する。
    ・ポリネーター(花粉媒介動物)や害虫駆除における外来種の利用を避ける。
  • 輸送
    ・外来種を持ち込まないように配慮する。
    ・低公害車の利用やアイドリングストップを行う。
  • 野外における観光
    ・観光地までの観光旅行者の輸送において、アイドリングストップや低公害車両等にするなど生物多様性に配慮する。
    ・地元食材の積極的な活用を図り、地産地消を推進する。

生物多様性保全へ向けた取組を実施するメリット

  • 生物資源の持続可能な利用に取り組むことは、生物資源の長期的な確保と調達の安定化につながります。
  • 原材料調達や生産時に生物多様性に配慮することは、商品のブランド価値の向上につながします。さらに、事業者の姿勢を示すことで、企業ブランドの向上にもなり、新たな顧客の獲得にもつながりえます。
  • 生物多様性への配慮やそれを通じた地域社会への配慮は、社会的責任投資等を重視する投資家へのアピールにつながります。
  • 従業員満足度の向上、人材の確保につながります。
  • 生物多様性の保全技術など、保全と持続可能な利用を進めることを可能とする新たな技術などの市場の創出が期待できます。

その他関連情報

本ページは環境省で公表している「生物多様性民間参画ガイドライン」を参考にして作成しています。
当ガイドラインには、事業活動における生物多様性保全へ向けた取組についての基本原則及び取組方針のほか、業種ごとの具体取組事例なども記載されています。事業を行う際の参考としてください。

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