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更新日:2011年2月26日

減少の原因と人間の関与

 絶滅してしまった動物でドードーというハトの仲間の動物はモーリシャス島に生息した飛べない鳥で、1681年に絶滅してしまいました。餌は果実を主に食べ、カタツムリなども食べていました。

 絶滅の原因は人間が食用とするために乱獲したこと、犬や猫や豚を移入して、それらが雛や卵を食べてしまったことなどが挙げられます。日本でも2003年10月10日最後の1羽キンが亡くなって日本産トキが絶滅しました。トキは森林の中の高い松の木などに巣を作り、餌は田に棲んでいる小動物、魚、昆虫などですが、何故絶滅してしまったのでしょう。田を荒らす害鳥とみなされ駆除された、狩猟による乱獲、開発により森林が減少し巣を作る場所がなくなってしまった、農薬の使用により小動物や魚などの餌が少なくなり、残っているものも汚染されてしまった、などの原因が挙げられます。

 また、絶滅が危惧される動物も増加し続けていますが、その原因は何でしょう。海、河川、湖沼の水質汚染やごみの投棄の影響があります。プラスチックの輪がくちばしや羽にはまり、餌を食べたり飛ぶことができない水鳥、タンカーの座礁により油まみれになり、羽の中まで水が浸み込んで低体温症の海鳥は死を待つしかありません。

 東南アジアやアフリカなどの熱帯雨林に住んでいる多くの動物は、森林の伐採や農業、牧畜、道路建設などの開発により、森林の減少や分断により生息数が急激に減少しています。オランウータンがすむ熱帯雨林も焼き畑農業やパームヤシなどのプランテーション建設のため、25年後にはなくなってしまうといわれています。

 オランウータンはかつて東南アジア全般に広く分布していましたが、現在ではボルネオ島とスマトラ島の狭い地域に生息しているだけで、両島あわせても30,000頭に満たないとみられます。オランウータンの個体数は、100年前に比べると90%以上、過去20年間に80%減少したといわれており、ハーバード大学の調査結果では20年後にはいなくなるといわれています。オランウータンは「森の人」という意味ですが、森の恩恵を受けて生活するとともに、食べた木の実の種を糞とともに撒き、身体に種や花粉を付けて運ぶなどを通じて、森を育てる役割も果たしています。オランウータンが元気に生息できることは熱帯雨林の健全度を示すバロメーターともいえます。

 熱帯雨林は多くの生き物を育て、また多くの生き物に育てられ、多様な生態系を維持してきましたが、人間の介入によりどんどん減っています。また、もともといなかった生物を人間が持ち込み、従来生息していた生物が影響を受けている場合も多くハブを駆除する目的で移入されたマングースはアマミノクロウサギやヤンバルクイナを捕食し、それらの減少の原因になっていますし、繁殖力の強いブラックバス、セイヨウマルハナバチ、ウチダザリガニ、アライグマなどが在来種に大きな影響を与えています。

 このように、環境破壊などによる生息環境の悪化、食肉用、毛皮を取るためやペットとして売るための密猟、移入生物の影響など、減少の原因はほぼ全て人間が関与しているのです。

(平成20年3月18日・種の保存担当部長 大谷倫子)

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画像:ドードー
ドードー
画像:オランウータン
オランウータン
画像:プラスチックの輪がはまって死んだ水鳥
プラスチックの輪がはまって死んだ水鳥
画像:森林伐採
森林伐採


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