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更新日:2023年2月13日

4.(1)安全を確保する「対応」の確認

地震発生時には、各自が身の安全をはかり、事態に対応することが求められます。そのためには、「安全確保」「応急対応」「被害の拡大防止」「被害の把握と記録」「帰宅者への対応」について、適切な行動をとれるよう備えましょう。

1.とっさの安全確保

自分の身を守る

「自分の身は自分で守る」が原則です。危険な物から離れて身を守ります。

具体的な行動指示

利用客のいる場所では「机の下にもぐってください」、「窓ガラスや陳列棚から離れて」、「頭を守って低い姿勢に」など、具体的に指示をします。

誘導

お店の人が利用客を避難誘導しているイラスト

屋外では、ビルの外壁、ガラス、看板などの落下物が想定されます。あわてて建物の外に飛び出すと危険なため、落ち着いて行動するよう周囲に呼びかけます。転倒・落下する危険がある物の近くにいる人などには、安全な場所への誘導が必要です。

初期消火

火災が発生した場合、周囲に知らせながら、協力して消火します。

従業員や利用客の安全確認

従業員や利用客などが?無事か、その場に何人いるかなどを確認します。

【災害時の危険な思い込み】

災害時の心理として、どんな場面でも「自分だけは助かる」という根拠のない思い込みによって、非常時なのに適切な行動をしないことがあります。
こうした心理による行動の遅れを避けるためにも、情報や指示を待つのではなく、どんな対応をすべきかを各従業員が理解し、自らの判断で率先して行動できるようにしておく必要があります。

 

【緊急地震速報を活用する】

緊急地震速報は、震源に近い観測データから各地の大きな揺れの到達時刻や震度を予測し知らせる気象庁の予報・警報です。緊急地震速報を受信活用して、工場や作業場などで機械を緊急停止させたり、店舗やオフィスなどで各自が安全確保をして、被害を軽減することが期待されます。活用方法について検討しましょう。

 

2.応急対応

応急手当・搬送

けが人を担架に乗せ車で搬送しようとしているイラスト

大規模な災害では、普段とは異なり救急車がすぐに到着するとは限りません。けが人が多数発生した場合は、応急手当をするとともに、医療機関まで搬送することが必要となることもあります。
訓練はこちらから「7.企業ぐるみで高める防災力

閉じ込め確認

エレベーターが停止したら、閉じ込められている人がいないか確認し、必要なら保守業者に救出を依頼します。
個室などでは、室内の人が意識を失っている可能性も考慮し、内部を確認しましょう。

 

【エレベーターは使用できない前提で対応】

東京消防庁による東日本大震災の被害状況などを調査するアンケートによると、都内の防災管理対象物1,602件のうち、エレベーターが停止したのは91.9%、うち29件で閉じ込めが発生しました。点検が終わり再稼働するまでは、車いすの利用者などを階段で移動させる必要がありました。エレベーターは使用できない前提での対応が必要です。

参考資料:「東京消防庁管内における東北地方太平洋沖地震時の対応状況等の調査結果」/東京消防庁予防部/平成23年8月

 

3.被害の把握

施設・設備の被害把握

被害状況をチェックしているイラスト

復旧の見通しを立てるために、建物や設備の被害把握を行います。
再稼働の前に、設備などで専門技術者による点検や調整を要する物があれば、点検を依頼します。
情報収集の項目例はこちらから「4.企業の安全を守る(2)安全を守る「体制」づくり

安否の確認

従業員の安否を、外勤者なども含めて確認します。また、家族の安否や自宅被害についても把握しましょう。
安否確認の方法はこちらから「4.企業の安全を守る(2)安全を守る「体制」づくり

人的な被害把握

従業員の被災状況をまとめ、業務体制にどの程度の影響があるか把握します。
情報収集の項目例はこちらから「4.企業の安全を守る(2)安全を守る「体制」づくり

4.被害の拡大防止

危険物などの安全措置

元栓を閉めているイラスト

火気使用機器を含めて、危険物などを扱う事業所では、元栓や安全弁、電源の確認を行うなど、漏えい・引火・出火などの防止措置を行います。
また、危険箇所は部外者が立ち入らないよう立ち入りを制限します。

被害情報の提供

災害直後は正確な情報を集めづらく、誤った情報が広がりやすくなります。テレビやラジオなどで確認できた被害の状況や、交通機関の運転再開見通しなどの正確な情報を整理し、従業員、利用客などへ伝えましょう。

5.帰宅者への対応

原則「むやみに移動を開始しない」

大勢の人が一斉に帰宅を始めると、混乱が増幅したり、火災や建物倒壊などに巻き込まれる恐れがあります。また、道路に群衆があふれると緊急車両の通行の妨げにもなります。
原則むやみに移動を開始しないこととし、従業員や帰宅困難者への対応を確認しておきましょう。

従業員は一旦職場に待機

一斉帰宅を抑制するため、従業員が職場にとどまれるよう、待機場所や装備などを準備しましょう。

帰宅の判断基準

介護が必要な家族がいる、小さな子どもが自宅に残されているなどの帰宅を優先する要件や、日没までに帰着できない距離なら残留するなど、判断基準を決めておきましょう。

待機場所の運営に必要なもの

毛布、簡易トイレ、床に敷くマット、段ボール、照明、拡声器、掲示用品、飲料水、食料など

帰宅の行動指針も示す

基本は徒歩で移動し、経路の安全を確認して複数人で行動し、帰宅後は自社に連絡を入れるなど、行動指針を決めておきましょう。

帰宅する際の携行品

従業員各自で装備を用意しておきましょう。
飲料水、食料、携帯電話、ラジオ、地図、懐中電灯、雨具、タオル、歩きやすい靴など

利用客など帰宅困難者への協力

一時滞在場所で帰宅困難者に毛布や水を渡すイラスト

観光客や、大規模集客施設などの利用客、通勤・通学距離の長い人たちが、駅周辺や路上に滞留し、帰宅困難者になることが想定されます。受け入れの可否や協力できることを事前に決めておきましょう。

一時滞在場所を提供する

会議室やエントランスホールなどを、一時滞在場所として提供します。
開設期間と利用ルール、利用可能な設備などを明示(掲出)するほか、災害関連情報の周知などを行い、秩序だった運営をします。また、冬の寒さを考慮し、毛布などの防寒用品を用意しておきましょう。

一時滞在場所の運営に必要な物

従業員の待機場所と同様の装備を用意します。

 

【帰宅に関する方針を設ける】

東日本大震災での、首都圏企業における帰宅困難者への対応調査によると、739社のうち約4割が、従業員を職場にとどめる指示をしました。それにもかかわらず、当日は帰宅困難者による大混乱が発生し、行政や企業による対応のあり方が課題となりました。
各企業で、夜間、悪天候、厳冬期などを想定し、「翌朝以降帰宅する」「交通機関が回復するまで職場待機する」「短距離の人以外は職場待機する」「子どもの対応が必要なら帰宅する」などルールを設け、被害状況を踏まえつつ、一斉帰宅による混乱を防ぐ対策が必要です。

 

 

【必要な情報提供を】

東日本大震災での首都圏の帰宅実態に関する調査によると、帰宅中に必要と感じた情報として「家族の安否」「地震に関する被害状況」「鉄道・地下鉄の運転開始時間」が上位にあげられています。これらの情報を企業からも速やかに伝えることが、無理な帰宅や混乱を防ぐ一つの対策になり得ると考えられます。

参考資料:第2回首都直下地震帰宅困難者等対策協議会資料「帰宅困難者対策の実態調査結果について?3月11日の対応とその後の取組?」/内閣府(防災担当)/平成23年11月

 

 

【帰宅支援ステーション】

帰宅支援ステーションステッカーの画像

北海道とコンビニ各社が、帰宅困難者の支援をする協定を結んでいます。黄色いステッカーが目印です。

<支援内容>
帰宅困難者に対して、水道水やトイレ、地図による道路情報などの提供、ラジオなどによる通行可能な道路に関する情報提供などを行います。


はじめに|1.札幌でも大地震が起こる・・・|2.企業で想定される大きな被害|3.防災協働社会を目指して|4.企業の安全を守る|5.地域の安全に貢献する|6.企業活動を継続する|7.企業全体で高める防災力|8.お役立ち参考資料

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