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感染症サーベイランス事業のうち、眼科定点の検体の病原体検査結果(6年間)について分析し、今後の眼科定点における病原体検出のあり方について検討した。(35-40ページ)
食中毒の発生は札幌市では年間約9件である。過去17年間の食中毒様症状発生事例から、食中毒検査に際しての患者便などの必要採取数を検討した。(41-45ページ)
核酸増幅法による結核菌検体直接検出診断用試薬であるAmplicor Mycobacterium kit(AMP)およびMycobacterium Tuberculosis Direct Test(MTD)が市販された。
今回、従来法の塗抹・培養と2種類の診断用試薬について比較検討した。
感度はAMP85.7%、MTD90.9%、特異度はAMP96.2%、MTD90.6%で大きな差は認められず、良好な結果が得られた。また検査結果の迅速性の点からも有用性が高いと考えられた。
しかし、核酸増幅法は細菌の死滅後であっても目標DNAが残っていれば検出してしまうので診断に際しては臨床症状、所見、検査成績を総合して決定すべきである。(46-48ページ)
今季の札幌市におけるインフルエンザの初分離は1995年11月のインフルエンザAソ連型であった。1996年1月から2月にかけてAソ連型が分離されるなか少ないながらA香港型が分離された。3月下旬以降は分離数のうえからA香港型がAソ連型を上まわった。さらに4月末以降、B型2株が分離された。最終的な分離数はAソ連型66株、A香港型68株、B型2株の合計136株となった。今季のインフルエンザウイルスについて特記すべきことはAソ連型、A香港型は従来HA・HI試験に使用してきたニワトリ赤血球を全く凝集しないことであった。(49-52ページ)
札幌市で行っている1歳2カ月スクリーニングを受検した幼児11,980人について、採尿後、受付および検査終了までの日数の経過と尿中VMA、 HVA値との関連を調査した。採尿後、受付までの経過日数はメジアンで3日、検査終了まで8日、受付から検査終了まで5日であった。
尿中VMA値は採尿後の経過日数に影響を受け、採尿後受付までが1日目の検体に比べ、平均値は7日目で9.1%、10日目で13.7%低下した。今後、採尿から受付までの日数は可能な限り短くなるよう採尿方法等の指導を徹底する必要がある。(53-56ページ)
札幌市内在住の全乳幼児を対象にした生後6カ月および1歳2カ月の神経芽細胞腫スクリーニングの結果、1995年度には新たに、6カ月スクリーニングで1人、1歳2カ月スクリーニングで4人の患児を発見し治療が行われた。14カ月スクリーニングの発見頻度は6,367人に1人で当初予想された頻度よりも高率であった。このことから、発見例の中には自然退縮する腫瘍の存在が示唆されたが、同時に、2回目のスクリーニングにより、6カ月スクリーニング陰性群からの発病例も未然に防止していると考える。(57-60ページ)
1989年4月から1995年12月までに札幌市内の産婦人科医療機関を受診し、甲状腺機能検査を希望した妊婦から採血された乾燥濾紙血液を用いて、風疹赤血球凝集抑制抗体の測定を行った。1961年以降出生のワクチン接種群は1961年以前出生未接種群に比較して、抗体陰性率が9.8%から6.4%に減少しており、女子中学生を対象に1977年に開始された風疹ワクチン接種の効果がみられた。(61-63ページ)
飲用井戸水の大腸菌群検査について、酵素基質法のMMO-MUG法、X-GAL法及びLB-BGLB法の3方法による検出率、陽性を示した菌種等の比較検討を行なうとともに、MMO-MUG法、X-GAL法については培養時間による呈色反応、呈色後冷蔵保存した場合の色調の変化についても比較検討した。
酵素基質法はLB-BGLB法に比べ陽性率が高く、菌種により発色パターンが異なっていた。MMO-MUG法とX-GAL法の検査結果はよく一致し、X-GAL法は呈色後冷蔵保存しても色調が変化しないことから、MMO-MUG法のスクリーニング試験として使用可能であると考えられた。(64-70ページ)
平成2年から平成6年までの5年間における中央、東、芸術の森の3地点の降水成分の挙動について解析した。
この結果、中央では春季から夏季において平成2年から平成4年までpHが低下し、H+の年間沈降量の増加も観測された。又、同一時期にnss-Ca2+濃度の低下が見られたことから、中和成分であるnss-Ca2+の減少がpHの低下をもたらしたものと推定された。nss-Ca22+濃度の低下の原因は平成3年以降のスパイクタイヤの使用禁止によりアスファルト粉塵量が減少したことに起因すると考えられた。(71-77ページ)
平成6年度の中央、東、芸術の森の3地点の降水分析デ-タを用いて多変量解析により、降水の総合的な特性の解析を試みた。
この結果、重回帰分析により、pHの変動要因として東ではnss-SO42-が低下要因、nss-Ca2+が上昇要因、又、芸術の森ではnss-SO42-、NO3-、Cl-が低下要因、nss-Ca2+、Na+、Mg2+、NH4+が上昇要因として寄与していることが明らかとなった。
主成分分析の結果から降水の特性を示す指標として2個の主成分(Z1、Z2)が抽出され、Z1は総合的な降水の汚染度を示し、Z2は人為的発生源による汚染の程度を示す指標と考えられた。又、これらを用いて地域別、季節別の特性を指標化したところ、地域、季節の特長をよく反映しており、有用な方法であることが示された。(78-83ページ)
非分散赤外分光光度法による連続測定装置を用いた二酸化炭素と大気中窒素酸化物測定装置を用いて、平成8年6月1日から6月30日までの1月間一酸化窒素及び二酸化窒素の連続測定を行った。
この結果、二酸化炭素濃度は、最大値399ppm、最小値338ppm、平均値は357ppmであった。また、窒素酸化物濃度は、一酸化窒素が最大値50ppb、最小値0ppb、平均値8.8ppb、二酸化窒素が最大値46ppb、最小値1ppb、平均値13.7ppbであり、窒素酸化物濃度としては最大値78ppb、最小値1ppb、平均値22.7ppbであった。
二酸化炭素濃度と窒素酸化物濃度との相関を求めたところ、相関係数は0.56であり、これらの濃度間には正の相関が認められた。
また、二酸化炭素濃度の風向別の測定結果では、東風の場合には全平均値と比較して約10ppm以上高い値を示した。
さらに、二酸化炭素濃度と風速との相関を求めたところ、相関係数は-0.53であり、負の相関が認められた。(84-87ページ)
昭和62年度から平成6年度までおこなった、北海道・東北ブロック酸性雨合同調査の当所で採取した一降水全量のデータと平成7年度に同一条件下で独自に調査したデータを含めた、9年間の一降水のデータを基に陽イオン濃度、陰イオン濃度やNO3-/nss-SO42-比などの各種指標値の傾向について調べた。
その結果、NO3-/nss-SO42-比は、9年間大きな変化は認められず、約0.50であった。このことは、初夏の降水の酸性化に寄与する酸も、硝酸より硫酸であることを示している。また、アルカリ成分で中和されない硝酸や硫酸のH+が増加する傾向にあった。降水中の中和に寄与する成分は、Ca2+が主であったが、車粉の減少に伴いCa2+も減少傾向にあり、今後とも中和されないH+が増加する傾向が続くと思われる。(88-92ページ)
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