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更新日:2011年2月28日

学会発表抄録(2006年)

日本動物園水族館協会北海道ブロック秋季飼育技術者研究会

「新動物病院の設立と病院を活用した教育プログラムについて」

山本秀明・伊藤真輝・輿石多江

 旧動物病院(動物病理研究室)は昭和54年に設立され、主に園内動物および野生動物の保護活動を行ってきたが、治療、解剖、X線撮影等を兼用の施設で行っていることや、保護・入院室と検疫室が混同していることなど、種々の問題があった。そこで施設の老朽化に伴い、これまでの問題点を改善し、平成17年11月、新たに動物病院(名称:園内動物病院)を設立した。
 園内動物病院は、鉄骨コンクリート造り平屋建て、床面積375平方メートルで、旧動物病院の約3倍の広さがあり、治療室、解剖室、X線室等、それぞれの用途に応じた部屋を確保している他、新たに種の保存室を設けるなど、将来に亘り幅広い分野で使用可能な施設とした。さらに入院室と検疫室をそれぞれ3部屋確保し、小型鳥獣類から大型鳥獣類まで収容できるスペースを備えている。また、治療室へと続く観覧者用の通路および大窓を設け、治療風景も観覧できるようになっている。さらに、各部屋のスペースが大幅に拡大したことや動物園を教育施設として利用したいという入園者の要望等により、小中高校生を対象に病院を活用した教育プログラムを7月から実施している。内容は、園内動物病院の案内のほか、動物園の役割や獣医師の仕事の解説、生体を用いた簡単な診察治療等を実施し、「開かれた病院」活動を展開している。

 

 

「子供動物園における教育プログラムについて」-円山動物園のリスタートに向けて-

 

成田 明・三原嘉之・三浦 圭 他

 近年の動物園は、レクリエーションや社会見学のみではなく、動物とふれあう体験や学習など目的を持った入園者が多い。また、各種学校からは、職場体験や総合学習など、教育施設としての利用が増加している。
 子供動物園では、16年度からリスザル餌やり体験、17年度からウサギ・モルモットのふれあい、ミニホースの散歩、飼育体験事業を、それぞれ週2回程度実施していたが、それ以上に参加要望が多いのが現状であった。
 18年度から、一般入園者への教育の場の提供、団体向けの学習機能の充実を目的として、馴致で動物の行動をより引き出した、「教育プログラム」の作成を開始した。各プログラムは、「安全第一(人・動物・キーパー)」、「テーマを設ける」、「持続可能な内容」であることを留意点とした。また、入園者の意見を参考にして、見直し・改善を継続すること、同時に子供動物園の環境整備を実施して、総合的な向上を目指した。
 10月1日現在、ウサギ・モルモットのふれあい教室、卵不思議体験、ウサギ牧場、モルモットのタッチング、ニワトリガイド、アヒルガイド、ワタボウシタマリンの散歩、ヒツジの散歩、シロフクロウのフライト、エゾモモンガの飛行、飼育体験事業などの実施により、14467名の参加があった。
 子供動物園教育プログラム作成の経過を報告する。


日本動物園水族館協会北海道ブロック春季飼育技術者研究会

「海獣舎における参加型ふれあいイベントの実施と今後の課題」

土佐貴樹

 現在、当園の海獣舎では、トド1頭、ゼニガタアザラシ3頭、ゴマフアザラシ3頭の合計7頭を飼育展示している。海獣舎での餌やりは、従来から入園者に人気の高いイベントのひとつであったが、より一層印象強くアピールできるよう、参加型ふれあいイベントとして工夫改良を行った。また、海獣舎では昨年度から上下水道料金節減のためにプールの一部使用制限、水換回数の抑制、水深調節を行っているが、動物の健康管理や環境衛生、展示効果への影響を最小限に抑えるよう考慮しながら、いかに取組みを継続するかが今後の課題となっており、これらの実施状況についても併せて報告する。
 イベント実施時間の周知をまず図る必要があると感じたため、従来からの園内放送による案内に加えて、正門、西門、動物園センターおよび海獣舎フェンスのイベント予定表に実施時間の掲示を行い、入園者への周知を図った。また、給餌しながらの解説が中心の内容から、餌やり体験をできるだけ増やし、間近でのふれあい体験ができるようにした。また、実施回数も1日1回のところを、昨年夏から14時半と16時の2回に変更し、入園者に人気の高いイベントを閉園まで楽しめるよう工夫した。

 

「展望レストハウス新設について」

朝倉卓也

 当園では以前から悪天候時にも休憩し、お弁当を食べることができるレストハウスが1箇所あったが、収容人数不足等の問題があり、更なる増設が要望されていた。このたび外部の助成により、施設の建設が可能になり、検討した結果ニホンザルを飼育しているサル山横に、展望レストハウスを新設した。(RC造地上2階建 延床面積290平方メートル 約130人 総工費約1億3千万円)設計時の基本コンセプトを、「遊ぶ」「学ぶ」「くつろぐ」の3つとし、ただの休憩や食事の場所としてではなく、「動物観察の場」「子供の遊び場」「親から子供への教育の場」「情報発信の場」等の要素を取り入れた。建物内部の仔細は、1階は親子連れ、子供達の利用をメインと考え、3つのゾーン(ゆったりゾーン、子ザルゾーン、赤ちゃんザルゾーン)とサル達の探索給餌スペースがある。3つのゾーンとも靴を脱いで利用し、遊んだり、ガラス越しに間近にサル達を観察することができる。2階は展望、食事スペースであり、サル山側は全面ガラス張りで、山の最上部とほぼ同じ高さから、お弁当を食べながらサル達を観察することができる。
 今後は展示物等の充実を図るとともに、子供達の宿泊研修の場所としてなど多目的に使用していきたい。

このページについてのお問い合わせ

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〒064-0959 札幌市中央区宮ケ丘3番地1

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ファクス番号:011-621-1428