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更新日:2024年4月26日

SAPPORO未来デザイントーク 暮らしを「科学の目」から見る

インタビュイー

辻 晋治(つじ しんじ)
エア・ウォーター北海道株式会社
事業連携部企画グループ部長

大手流通企業の施設管理責任者、ビルメンテナンス会社の省エネサービスプロジェクト推進者として、既存設備を活用した省エネを実践。
現在は主に企業向けのエネルギー効率化のエキスパートとして、商業施設や事業所、ホテル、病院等の省エネ対策設計や支援、省エネ活動の勉強会、講演会などを行っている。
一般社団法人省エネ推進企業会フラットエナジー顧問も務める。

動画バージョン

※本動画は、令和5年度に実施した、さっぽろ 省エネ家電で家計を応援キャンペーン事業で作成したコラム動画です。補助金情報など古い情報が含まれている場合がありますのでご容赦ください。

文章バージョン

独特な北海道のライフスタイル

●空気を循環させて快適に
北海道は寒さが厳しいので、「暖かいほうが快適」とストーブをつけていると、つい部屋が暑くなりすぎて、それに慣れてしまいがちです。暖房のかけすぎは身体を壊す場合もあるので、身体にも家計にもやさしい暖房を心がけましょう。ただし設定温度を20℃にしても、暖かい空気は天井面に滞留するため足元が冷えてしまいます。部屋の空気を循環させて、できるだけ床面と天井面の温度差をなくす工夫をしましょう。

【部屋の空気を循環させ、温度差をなくす工夫】

  • サーキュレーターを使う
  • エアコンの羽を下に向けて、暖かい空気を下に送る

●日本一部屋が暖かい北海道
私は関西生まれで、以前母が冬の北海道へ来た時にすぐ「帰りたい」と言われました。寒いからではなく「ホテルの部屋が暑すぎる」と言うのです。今は部屋ごとに温度調節できるホテルが増えましたが、外が寒いので「室内を暖かくすることがサービス」という感覚があったようです。調査によると、北海道は部屋の温度がずっと全国で1番高く、同じ北国の東北や北陸と比べても暖かいのは、北海道の生活習慣がよく出ていると思います。

冬のリビングの平均気温 冬の朝起きたときの寝室の温度

●キーワードは熱源転換
暖房や給湯などに使うエネルギー(熱源)を変えることを「熱源転換」といいます。例えば北海道では暖房に灯油やガスを使うことが多いと思いますが、近年は電気を使った「ヒートポンプ」の技術が進んでいますから、夏の暑さ対策も含め、冷暖房を寒冷地仕様のヒートポンプ(省エネ型寒冷地エアコン)に変えることも選択肢の一つだと思います。また、エアコンは外出先から携帯電話で操作して「家に帰る前に暖めておく/冷やしておく」といったことも可能。生活リズムや便利さなども考慮して、電気に転換するのも一つの方法です。

【ヒートポンプのしくみ】

  • 空気中などの熱を集めて必要な場所に移動させる技術
  • 少しの電力で大きな熱を利用することができる
  • 効率の良い熱源転換は省エネやCO2排出量削減に効果的

ヒートポンプの仕組み

せっかくの省エネ家電、効率的な使い方は?

●エアコンは室外機もお手入れを
エアコンは室内機だけでなく室外機もお手入れも大切です。室外機の熱交換器にホコリがつくと効率が下がるので、掃除機のブラシをつけて吸い取りましょう。また、室外機を西日が強く当たる場所に置くと日影に置く場合と比べ電気代に差が出ます。さらに周りに物を置くと空気の流動性が下がり、電気代が余計かかるうえ耐久性も落ちてしまいます。できるだけ暑くならない場所に設置し、周りに物を置かないようにしましょう。

【エアコンの効果的な使い方】

  • 室外機もホコリや汚れを掃除する
  • 室外機はできるだけ日影の涼しい場所に設置する
  • 室外機の周りに物を置かない

エアコンのフィルター掃除による効果

●換気扇を上手に活用
換気扇は台所の湯気や油煙などを外に出す時に使いますが、エアコンで冷房する際も、まず部屋の上部に溜まった熱い空気を換気扇で抜き、それからエアコンをつけると冷却スピードが早くなり、電力を大幅に削減できます。また、空気を出すには「同じ量の空気を入れる」必要があります。例えば、リビングを換気する時は廊下のドアなどを少し開け、より涼しい空気を入れるとエアコンの負荷がぐんと下がります。

【換気扇の上手な使い方】

  • エアコンで冷房する前に、換気扇で部屋の熱気を抜く
  • 換気する時は、外から同じ量の空気を入れる

家の換気構造

空調の効率的な使い方のコツ

科学で楽しく省エネを考える

●節水も省エネになる
「節水と省エネ」はあまり関係ないと思われがちですが、そんなことはありません。水道の蛇口は混合栓になっていて、コック一つで温度を変えることができますよね。そこから出る水が減ると自然にお湯の量も減りますから、お湯を作るエネルギーが減り、水が減る以上にエネルギーの削減になります。また、水は電気を使ってポンプで送るため、節水によってポンプの稼働が減り、電気の節約とCO2排出量の削減になるのです。

【節水と省エネのつながり】

  • お湯の使用量が減り、お湯を作るエネルギーが減る
  • 水を送るためのポンプに使うエネルギーが減る

1人の1日の使用水量

●暮らしの中で、楽しい発見を探そう!
節水のように無駄を見直すと、省エネやCO2排出量削減につながることがたくさんあります。節約は「ケチっている」というイメージがあるかもしれませんが、空気の熱や対流、温度、湿度など、すべては理論に基づく「科学」です。お子さんといろいろ相談しながら節約に挑戦すると、理科好きになるかもしれません。みなさんもぜひ楽しみながら「こんな工夫をしたら、これだけ電気代が下がった」という発見をしてみてください。

省エネとは

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札幌市環境局環境都市推進部環境政策課

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