ここから本文です。

更新日:2022年6月13日

札幌市動物園条例(条文)

令和4年6月6日条例第30号 

 

札幌市動物園条例

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 動物園(第7条―第9条)

第3章 認定動物園(第10条)

第4章 円山動物園 (第11条―第19条)

第5章 動物園応援基金 (第20条―第22条)

第6章 市民動物園会議(第23条)

第7章 雑則(第24条)

附則

 

我が国の動物園は、これまで、地球上の様々な動物を飼育展示し、繁殖に取り組むとともに、調査研究から得られた野生動物の生態等の情報を、動物の展示や教育活動等を通して市民に伝え広めてきました。市民は、命ある野生動物を観(み)ることで生き物や自然の不思議さを感じ、知的好奇心を高める憩いの場として動物園に親しんできました。
一方、現在地球上では、生物多様性が急速に失われ、絶滅の危機に瀕(ひん)している野生動物がいる中、動物園が生物多様性の保全に果たす役割はますます重要になっています。
あわせて、動物の飼育に当たっては、飼育動物の欲求を満たし、その動物にとって幸せな暮らしをつくっていくという考え方が近年世界的に広がっており、動物園には、野生動物を将来にわたり守っていくことを考えながら、科学的知見に基づいた飼育管理や適切な獣医療を実践することが求められています。
札幌市では、1951年に子どもたちの学びの場や市民の憩いの場を提供するために円山動物園を設置し、多くの市民に親しまれてきましたが、過去には良好な動物福祉の確保に対する取組が不十分であったことにより尊い命を失う事故を起こしてしまいました。このため、札幌市では、この反省の下、円山動物園の飼育管理体制や長期的な運営方針を見直し、良好な動物福祉の確保と生物多様性の保全に重きを置いて取り組んできたところです。
しかしながら、動物園が生物多様性の保全の役割を持っているという認識が社会全体に十分に広まっているとはいえず、また、現行法令では動物園がその社会的役割を果たすための取組が明確には示されていません。これらのことが、円山動物園を含む動物園のあり方を不安定なものとしており、動物園の持続可能な運営のためには、この状況を変えていくことが重要な課題となっています。
そこで私たちは、動物園の生物多様性の保全における役割と良好な動物福祉の確保に対する責務を明らかにし、さまざまな協働を通じて動物園の活動を真に野生動物の保全へとつなげる仕組みを構築して、将来世代にわたり野生動物が存続できる自然と人が共生する社会をつくり育てていくために、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、動物園が野生動物の保全を通じて生物多様性の保全に重要な役割を果たしていることに鑑み、動物園の活動に関し、基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、動物園に関する施策等について定めることにより、現在及び将来世代のために野生動物を保全し、自然と人が共生できる持続可能な社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 生物多様性 生物多様性基本法(平成20年法律第58号)第2条第1項に規定する生物の多様性をいう。
(2) 野生動物 家畜化されておらず、かつ自然環境下において生息する動物をいう(当該動物を動物園において飼育し、又は繁殖したものを含む。)。
(3) 動物園 動物園、水族館、昆虫館その他いかなる名称であるかを問わず、生物多様性の保全に寄与することを目的として、野生動物を主とした飼育及び展示を行うほか、野生動物の繁殖による生息域外保全の取組並びに野生動物の保全に関連する調査研究及び教育活動を行う施設をいう。
(4) 動物福祉 動物が置かれた環境に起因する動物の身体的状態及び心理的状態をいう。
(5) 生息域内保全 生態系及び自然の生息地を保全し、並びに存続可能な種の個体群を自然の生息環境において維持し、及び回復することをいう。
(6) 生息域外保全 主に生息域内保全を補完するため、生物多様性の構成要素を自然の生息地の外において保全することをいう。
(7) 累代飼育 動物を3世代以上にわたり安定的に繁殖させることにより、飼育下にある動物の個体群を維持することをいう。

(基本理念)
第3条 動物園の活動は、その動物園において飼育する動物(以下「飼育動物」という。)の良好な動物福祉を確保しつつ、野生動物の保全を通じて、生物多様性の保全に寄与することを旨として行われなければならない。
2 動物園の活動は、野生動物とそれを取り巻く環境が生態系の重要な構成要素であることを認識する機会を提供し、もって豊かな人間性と感性が育まれることを旨として行われなければならない。
3 動物園の活動を行うに当たっては、市民及び事業者との協働により取り組まれるよう努めなければならない。

(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、動物園における生物多様性の保全に関する取組を推進するための施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(市民の責務)
第5条 市民は、生物多様性の保全の重要性を認識し、その日常生活に関し、生物多様性の保全に配慮するとともに、動物園が行う生物多様性の保全に関する取組に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)
第6条 事業者(動物園を運営する者を除く。)は、動物園が行う生物多様性の保全に関する取組への理解を深め、協力するとともに、生物多様性の保全に配慮した事業活動を行うよう努めるものとする。

第2章 動物園

(保全活動)
第7条 動物園は、この条例の目的を達成するため、次に掲げる活動を行うものとする。
(1) 動物の収集に関すること。
(2) 野生動物の保全に資するための調査・研究に関すること。
(3) 野生動物の生態及び生息環境を伝えるための動物の展示に関すること。
(4) 野生動物の保全への意識を醸成し、及び行動を促すための教育活動に関すること。
(5) 生息域外保全のための累代飼育に関すること。
(6) 関係機関等との野生動物の保全に関する情報交換に関すること。
2 前項に定めるもののほか、動物園は、野生動物の生息域内保全に関する取組その他野生動物の保全を推進するために必要な活動を行うよう努めるものとする。

(良好な動物福祉の確保)
第8条 動物園は、飼育動物の良好な動物福祉を確保するため、最新の科学的知見に基づき、その種に適した飼育管理の要件及び個々の要求に応じた飼育環境の下で飼育するよう努めるとともに、疾病の予防及び治療を適切に実施できる獣医療体制を整備するものとする。
2 動物園は、動物福祉に関する規程(以下「動物福祉規程」という。)を定めるとともに、当該動物園における飼育動物の動物福祉を定期的に評価し、必要に応じて改善のための措置を講じるものとする。
3 動物園は、最新の科学的知見及び専門的な助言に基づき、動物福祉規程について、定期的に見直しを行い、必要な変更を加えるものとする。

(活動情報の公表)
第9条 動物園は、前2条に定める事項の取組状況について、インターネットの利用その他適切な方法により適宜公表しなければならない。

第3章 認定動物園

第10条 市長は、動物園の健全な発展を図り、もって生物多様性の保全に寄与させるため、動物園(円山動物園を除く。)のうち、この条例の目的及び理念に沿った取組を行うものとして別に定める要件(第4項において「認定要件」という。)に適合すると認められるものについて、その申請により、札幌市認定動物園(以下「認定動物園」という。)として認定することができる。
2 市長は、認定動物園を認定しようとするときは、あらかじめ、市民動物園会議の意見を聴かなければならない。
3 市長は、認定動物園の野生動物の保全活動に対する市民、事業者等の理解と関心を深めることができるよう、認定動物園の当該保全活動の広報に努めるほか、認定動物園に対し、当該保全活動に関する情報提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。
4 市長は、認定動物園が認定要件に適合しなくなったと認めるときは、その認定を取り消すことができる。

第4章 円山動物園

(運営方針及び実施計画の策定)
第11条 市長は、円山動物園の運営に関し、総合的かつ計画的な運営方針(以下この条において「運営方針」という。)を策定するものとする。
2 市長は、運営方針に沿った円山動物園の運営を実施するため、円山動物園の運営に係る中期的かつ具体的な計画(次項及び第4項において「実施計画」という。)を策定するものとする。
3 運営方針及び実施計画は、この条例に定める事項との整合性を確保して策定するものとする。
4 市長は、生物多様性の保全に関する情勢の変化を勘案し、及び市の施策の実施状況等を踏まえ、必要に応じて、運営方針及び実施計画の見直しを行い、必要な変更を加えるものとする。

(円山動物園における良好な動物福祉の確保)
第12条 市は、円山動物園において飼育動物の良好な動物福祉が確保されているかどうかについて、定期的に市民動物園会議の評価を受けなければならない。
2 市は、前項の評価の結果を円山動物園の業務運営の改善に適切に反映させるとともに、当該評価の結果の反映状況を公表しなければならない。
3 市は、円山動物園の動物福祉規程の制定又は改正に当たっては、あらかじめ、市民動物園会議の意見を聴くものとする。
4 市は、前項の動物福祉規程を改正したときは、速やかに公表しなければならない。
5 円山動物園の業務について管理又は監督の地位にある職員は、飼育動物の飼育、診療等に関する業務において、良好な動物福祉の確保が図られるよう、組織管理体制の整備に特に意を用いなければならない。また、円山動物園の飼育動物の飼育、診療等に関する業務を行う職員は、当該業務が飼育動物の生命、健康状態等を左右する重大な業務であることを自覚し、当該業務の遂行に当たっては、良好な動物福祉の確保が図られるよう、特に意を用いなければならない。

(円山動物園動物福祉の日)
第13条 市民の動物福祉に関する理解及び関心を深めるとともに、円山動物園の職員の動物福祉の向上に関する意識の高揚を図るため、7月25日を円山動物園動物福祉の日とし、動物福祉の向上に関する普及啓発及び学習会その他の動物福祉の向上に資する取組を行うものとする。

(動物の展示及び教育活動における原則)
第14条 円山動物園において動物の展示及び教育活動を行うに当たっては、野生動物に関する情報を正確に伝え、その尊厳を尊重するものとし、次に掲げる事項を行ってはならない。ただし、第1号に掲げる事項について、生物多様性の保全に寄与する教育的効果があり、かつ、良好な動物福祉を確保しているものと市民動物園会議が認めた場合は、この限りでない。
(1) 利用者に野生動物に直接接触する機会を提供すること。
(2) 動物に人を模した姿、格好又は行動をさせようとすること。
(3) 動物の本来の生態とは異なることを、人の姿、格好又は行動に当てはめて表示すること。

(施設の整備及び管理)
第15条 市は、円山動物園の施設を整備する際には、生物多様性の保全及び良好な動物福祉の確保に資するよう留意しなければならない。
2 市は、円山動物園の施設管理に当たっては、飼育動物の安全の確保に万全を期するとともに、良好な動物福祉の確保が図られるよう留意しなければならない。

(危機管理)
第16条 市は、飼育動物並びに利用者、職員及び円山動物園の周辺地域の住民その他の関係者(以下この条において「利用者等」という。)の安全に配慮し、自然災害、感染症、飼育動物の逸走その他の飼育動物又は利用者等の生命の危機を生じさせる事象について、これに対応するための計画を策定するとともに、当該計画を実施する体制を整備しなければならない。

(連携)
第17条 市は、円山動物園においてこの条例の趣旨に沿って事業を実施するため、円山動物園と国内外の政府、地方公共団体、大学等の研究機関、動物園その他動物園の活動に関連する機関等との間で積極的な連携及び協力が図られるよう取り組まなければならない。

(専門的知識を有する職員の確保等)
第18条 市は、円山動物園においてこの条例の趣旨に沿った動物の飼育管理等の業務を適切に実施するため、野生動物の診療、動物の飼育管理等に関し、専門的知識又は経験を有する職員を確保するよう努めなければならない。
2 市長は、円山動物園の職員の育成を図るため、研修の実施、研究及び発表の機会の確保その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(公表等)
第19条 市は、生物多様性の保全に関する取組その他の円山動物園の運営に関する状況についてインターネットの利用その他適切な方法によりその内容を公表するものとする。
2 市は、円山動物園の運営に当たっては、利用者、市民、事業者等からの意見を適切に反映させるよう努めなければならない。

第5章 動物園応援基金

(寄附文化の醸成)
第20条 市は、動物園の野生動物の保全活動及び良好な動物福祉の確保に関する取組(以下「野生動物の保全活動等」という。)に対する市民、事業者等による資金的支援が活発に行われ、動物園の野生動物の保全活動等に係る寄附文化が市民、事業者及び市との協働により醸成されていくために必要な環境づくりに努めるものとする。

(動物園応援基金)
第21条 市は、動物園の野生動物の保全活動等に係る寄附文化の醸成に資するとともに、動物園の野生動物の保全活動等の促進に資するため、別に条例で定めるところにより、動物園応援基金を設置する。

(助成)
第22条 市長は、前条の動物園応援基金を財源として、認定動物園に対し、野生動物の保全活動等に係る資金の助成を行うことができる。
2 市長は、前項の助成を行うに当たっては、あらかじめ、市民動物園会議の意見を聴かなければならない。

第6章 市民動物園会議

第23条 動物園における生物多様性の保全に関する施策の推進に関し必要な事項について調査審議等を行うため、市民動物園会議を置く。
2 市民動物園会議は、次に掲げる事務を行う。
(1) 市長の諮問に応じ、動物園に係る施策及び円山動物園の運営に関し調査審議し、及び意見を述べること。
(2) 市長の諮問に応じ、円山動物園の動物福祉規程の制定又は改正に関し調査審議し、及び意見を述べること。
(3) 市長の諮問に応じ、円山動物園における飼育動物の良好な動物福祉の確保に関する取組について評価を行い、及び意見を述べること。
(4) 市長の諮問に応じ、認定動物園の認定に関し意見を述べること。
(5) 市長の諮問に応じ、認定動物園に対する助成に関し意見を述べること。
3 前項各号に掲げる事務を行うほか、市民動物園会議は、必要があると認めるときは、動物園に係る施策及び円山動物園の運営に関する事項に関し市長に意見を述べることができる。
4 市民動物園会議は、委員10人以内をもってこれを組織する。
5 委員は、学識経験者、公募に応じた市民その他市長が適当と認める者のうちから市長が委嘱する。
6 委員の任期は、3年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
7 委員は、再任されることができる。
8 特別の事項を調査し、又は審議させるため必要があると認めるときは、市民動物園会議に臨時委員を置くことができる。
9 市民動物園会議に、必要に応じ、部会を置くことができる。
10 市民動物園会議は、その定めるところにより、部会の決議をもって市民動物園会議の決議とすることができる。
11 市民動物園会議の庶務は、環境局において行う。
12 前各項に定めるもののほか、市民動物園会議の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が定める。

第7章 雑則

(委任)
第24条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。

附 則

(施行期日)
第1条 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第2章、第3章、第22条並びに第23条第2項第4号及び第5号並びに附則第4条(札幌市基金条例(昭和39年条例第6号)第8条の改正規定に限る。)の規定は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において市長が定める日から施行する。

(札幌市附属機関設置条例の一部改正)
第2条 札幌市附属機関設置条例(平成26年条例第43号)の一部を次のように改正する。

別表1市長の項市民動物園会議の目を削る。

(札幌市附属機関設置条例の一部改正に伴う経過措置)
第3条 この条例の施行の際現に前条の規定による改正前の札幌市附属機関設置条例別表1に規定する市民動物園会議(以下「旧市民動物園会議」という。)の委員である者は、この条例の施行の日に、第23条第5項の規定により市民動物園会議の委員として委嘱されたものとみなす。この場合において、当該委嘱されたものとみなされる委員の任期は、同条第6項の規定にかかわらず、同日における旧市民動物園会議の委員としての任期の残任期間と同一の期間とする。

(札幌市基金条例の一部改正)
第4条 札幌市基金条例の一部を次のように改正する。
(1) 第2条第1項に次の1号を加える。

(23)動物園応援基金(以下「動物園基金」という。) 動物園の野生動物の保全活動及び良好な動物福祉の確保に関する取組(以下「野生動物の保全活動等」という。)の促進に資する。

(2) 第4条中「及び新型コロナ対策支援基金」を「、新型コロナ対策支援基金及び動物園基金」に改める。
(3) 第8条に次の1項を加える。

13 動物園基金は、円山動物園及び認定動物園(札幌市動物園条例(令和4年条例第30号)第10条第1項に規定する認定動物園をいう。)における野生動物の保全活動等の促進に必要な場合において、予算の定めるところにより、これを処分することができる。

このページについてのお問い合わせ

札幌市円山動物園

〒064-0959 札幌市中央区宮ヶ丘3番地1

電話番号:011-621-1426

ファクス番号:011-621-1428