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野生のチンパンジーがかかえている問題がいくつかあります。これらの問題は、すべて人間の活動に起因しています。100年前には約200万人いたと考えられるチンパンジーは現在約20万人に激減。チンパンジーは今、絶滅の危機に瀕しています。(平成19年3月29日・記)
密猟
密猟の目的は、主に2つあります。1つ目は、お金を得るためです。商業目的で密猟をする人が後を絶ちません。1人の子供チンパンジーを捕獲するために、10人もの大人チンパンジーが犠牲になることもあります。これは明らかな違法行為です。保護区内でも普通に密猟が行われています。密猟が成り立つのは、幼いチンパンジーを自分たちの都合で買い取る人がいるということを意味しています。
2つ目は、食料にするためです。地元の貧しい人たちの一部の地域では、食料(蛋白源)としてチンパンジーが獲られています。また、作物を荒らすという理由でチンパンジーが駆除される場合もあります。
(写真提供:椙山女学園大学 五百部先生)
伝染病
エボラ出血熱の流行。エボラ出血熱は、人とサルに共通に感染する致死率の非常に高い感染症です。地域住民に加えて、高密度で生息していた相当数のチンパンジーとゴリラが死亡したと推測されています。地域住民は、罹患したゴリラなどの動物を食べて感染したと考えられています。
エボラ出血熱 Ebola hemorrhagic fever
病原体:エボラウイルスEbola virus
分布:アフリカ中央部及び西アフリカ
自然宿主:不明
臨床症状:インフルエンザ様症状が進行し重篤化。発熱、頭痛、腹痛、出血など
治療予防:ワクチンなし。治療は対症療法のみ
感染症法:1類感染症
森林破壊
焼畑農業が熱帯林減少の大きな原因といわれています。多くの場合、森林が回復不能になるまで同じ箇所で農業を続けたり、完全に回復していない森林を焼き払うことなどで熱帯林を減少させています。
また、薪炭材の過剰な採取も大きな原因です。アフリカなどの開発途上国では、熱量の多くを木材に依存しています。
さらに、近年はアフリカの森林の奥地まで開発の手が伸びてきています。世界的に見ると、アジアでの森林伐採量は減少していますが、アフリカでの伐採量は増え続けています。これらの原因の背景には、アフリカ諸国の貧困、急激な人口増加などの問題が複雑に絡み合うため、解決が難しいのが現実です。
日本人の消費する木材は約8割が海外からの輸入です。中でも、熱帯木材の輸入量は、中国についで世界第2位です(2001年統計)。
このまま破壊が進むと2030年頃には地球上から熱帯林が消失するともいわれています。
(写真提供:椙山女学園大学 五百部先生)
熱帯雨林破壊の影響
・ 多数の種の絶滅 地球上には500万~1000万種の生物がいるとされ、その40%近くが熱帯林に住むと考えられています。チンパンジーだけでなく、その大部分の生物の生存が脅かされます。
・ 洪水・土砂崩れなどの災害 熱帯雨林が伐採されると、雨の吸収が行われず、大規模な洪水や土砂崩れが発生します。
・ 地球温暖化を加速させる可能性 森林破壊による炭素の放出量は、化石燃料による放出量の30~40%にあたると考えられ、地球温暖化に影響がでるといわれています。
野生のチンパンジーの保護対策
野生のチンパンジーの保護活動は、現地政府の保護区面積の拡大やNGOなどの保護収容活動など、さまざまな対策がとられています。
その中の一つで、京都大学霊長類研究所のチームが中心となり、日本政府、ギニア政府などの援助を受け、保護活動に取り組んでいる例があります。これが、次に紹介する「緑の回廊プロジェクト」です。
保護されるチンパンジー (写真提供:椙山女学園大学 五百部先生)
緑の回廊プロジェクト
ギニア共和国ボッソウ村の近くには、20人前後のチンパンジーが1群れ住んでいます。ただし、周りは畑とサバンナとで囲まれ孤立しているため、このままでは、この群れが絶滅してしまう恐れがあります。ボッソウから東に4kmいったところに、ニンバ山という4~5群のチンパンジーが住んでいる場所があります。そこで、ボッソウとニンバのチンパンジーが互いに行き来できるように、分断された森を再生させる植林事業が行われています。サバンナに幅300m、長さ4kmの森と森をつなぐ、「緑の回廊」を造る計画です。
詳しくは京都大学霊長類研究所ホームページをご覧ください。
(写真提供:京都大学霊長類研究所)
(写真提供:京都大学霊長類研究所)
(平成19年3月29日・記)
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