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一方で、我々ヒトとチンパンジーを含む類人猿には多くの共通点もあるのです。
・ 道具の使用
何種かの類人猿で、道具の使用が確認されています。チンパンジーも道具を使いこなす能力に優れており、日常的に簡単な道具を作ることもあるのです。この道具の使い方については、生息地や群れによっても異なるものもあり、チンパンジーの群れ独自の文化を築いているともいえます。
・ 脳・体型の大型化と認知能力
脳の形態的な変化はあるものの、類人猿は進化の過程で高い認知能力をもつようになり、脳そのものの大きさも進化しました。さらにそれに伴なって類人猿は体のサイズも大きくなってきました。脳は大量のエネルギーを消耗するため、代謝(たいしゃ)の効率をよくするために体全体を大型化させる必要があったのです。
・ 懸垂運動
懸垂運動は、ヒトを含むすべての類人猿に共通する特徴です。体の大型化に伴い、細い木の枝の上を渡ることは困難になりましたが、ぶら下がった懸垂姿勢での移動が可能になったのです。四足歩行動物では前肢の動きは限局されていましたが、類人猿は広い可動域と湾曲した指をもつことになりました。
・ 尻尾の喪失
現在のところ類人猿の尻尾が無くなった明確な理由は解明されていません。尻尾を持つサルたちは枝の上を渡り歩き、尻尾によってバランスをとりますが、一方で類人猿の懸垂姿勢、把握に依存した樹上生活が尻尾の意味を軽減させたのではないかと考えられています。
以上のように、ヒトと類人猿には多くの類似点があります。とりわけ最近の研究によって、ヒトとチンパンジーの遺伝子配列が約98%一致すると言う事がわかってきました。例えれば、ウマとシマウマほどの違いしかないのです。また、この数字はチンパンジーとゴリラの遺伝子の相関性よりも高く、このことから我々ヒトとチンパンジーとは現存する生物のなかでは、互いに遺伝子的に最も近い存在同士であることがわかります。この進化の隣人、チンパンジーを知ることは我々が自分自身を知るきっかけにもなるのではないでしょうか?
(平成19年3月29日・記)
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