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更新日:2018年10月2日

札幌市衛生研究所-調査研究(2018)

先天性甲状腺機能低下症スクリーニング精密検査時結核の尿中ヨードについて(PDF:234KB)

ヨードが先天性甲状腺機能低下症スクリーニングに及ぼす影響を調べるため、スクリーニングで要精密検査となった児とその母親の初診時の尿中ヨード濃度を測定し、その測定データと診断結果を照合するとともに、対照群と比較した。対象期間に精密検査医療機関を受診した児のうち30名が先天性甲状腺機能低下症または潜在性甲状腺機能低下症として治療中または経過観察中であり(永続性群)、26名は一過性甲状腺機能低下症または一過性高TSH血症であった(一過性群)。児の尿中ヨードは、対照群(49名)に対して永続性群と一過性群では有意に高かったが、永続性群と一過性群の間には有意差は認められなかった。永続性群の母親23名と一過性群の母親19名、および対照群の母親49名における尿中ヨードの比較では、いずれの群間でも有意差は認められなかった。スクリーニングで要精密検査となった児が永続的な甲状腺機能低下症であるか一過性の症例であるかを初診時の尿中ヨード値から推定することは難しいと考えられた。

タンデムマスによる血中アミノ酸の一斉分析法の検討(PDF:472KB)

先天性代謝異常症スクリーニングにおいて指標となるろ紙血中アミノ酸について、現行の二次検査法の分析可能数を上回る14種類を分析可能なLC-MS/MSによる一斉分析法を開発した。精度管理用ろ紙血検体を分析したところ、日内変動、日間変動ともに小さく、精度良好であった。さらに、新生児マススクリーニング検体を分析し、現行の一次検査法の測定結果と良好な相関があることを確認した。

札幌市におけるPM2.5地域特性と発生源解析について(PDF:1,366KB)

2015年度から2017年度において、札幌市で採取された微小粒子状物質(PM2.5)の成分分析結果について、その特徴や発生源について考察を行った。当市の特徴として、質量濃度は全国平均と比較して、2~3μg/m3程度低値であったが、有機炭素(OC)、元素状炭素(EC)ともに高値であり、質量濃度に占めるOC、ECの割合が高い傾向にあった。質量濃度が2日以上連続して15μg/m3を超える場合を高濃度事例と定義し、9つの事例について、その高濃度要因の検討を行った。レボグルコサンが高濃度になる場合は、バイオマス燃焼が要因であると判断できるが、硫酸アンモニウムやOC、ECが高濃度となる場合、発生源の特定は困難な場合が多かった。レセプターモデルであるPMF法を用いて発生源解析を行ったところ、7つの因子に分けることが妥当であると判断され、その含まれる成分割合等から、海塩粒子、石炭燃焼、道路交通系、土壌粒子(黄砂)、バイオマス燃焼、半揮発性粒子、重油燃焼の7因子とした。土壌粒子は春季に高く、重油燃焼は夏季に高く、バイオマス燃焼は秋季に高く、半揮発性粒子は冬季に高い傾向がみられた。高濃度事例について、推定した高濃度要因とPMFの解析結果と比較を行った。それぞれの結果に大きな矛盾は認められず、PMFの結果の方がより詳細な発生原因の推定を行うことができた。ただし、今回の計算結果は改善の余地があり、成分の分配や寄与割合は参考として評価すべきである。

 

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