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更新日:2016年6月3日

札幌市衛生研究所-調査研究(2002)

 高速液体クロマトグラフィーによるアミノ酸代謝異常スクリーニング
-1.検査法の変更にともなう基礎検討-(PDF:513KB)

新生児マス・スクリーニングの検査項目における先天性アミノ酸代謝異常症3疾患の検査は、それぞれ指標物質であるアミノ酸を定量することによって行われている。札幌市では、2001年9月からこれら3疾患の一次検査法を、微量ケイ光法から高速液体クロマトグラフイー法に移行した。今回、検査法の変更にともない基礎検討を行った結果、HPLC法は操作法が簡便で高い測定精度を有する有用な一次検査法であると考えられた。(31-37ページ)

 高速液体クロマトグラフィーによるアミノ酸代謝異常症マス・スクリーニング-2.データ処理と内部精度管理システム-(PDF:326KB)

札幌市において、新生児のアミノ酸代謝異常スクリーニングに、HPLCを用いたアミノ酸分析システムを導入した。アミノ酸分析マクロプログラムや内部精度管理データベースを用いたデータ処理システムにより、コントロール濾紙血や検体の測定値の変化とともに、機器のトラブルを的確に判断することが可能となり、より高精度なアミノ酸代謝異常スクリーニングの実施が可能となった。(38-43ページ)

 札幌市における神経芽細胞腫スクリーニング結果(2001年度)(PDF:186KB)

2001年度に札幌市で行った生後6か月と14か月を対象にした神経芽細胞腫スクリーニング(以下、それぞれ6MS、14MS)の結果、6MSでは1例(開始からの合計66例)、14MSでは4例(合計22例)の患児を発見した。全例、腫瘍摘出手術が行われ、病理組織学的検査の結果、臨床病期1期、2期の神経芽細胞腫と確定診断された。スクリーニング開始当初からの発見頻度は、6MSでは4,663人に1人、14MSでは5,832人に1人となった。なお、両スクリーニングで発見された患児5名は、いずれも予後不良因子を有しておらず、予後良好な神経芽細胞腫であった。(44-47ページ)

 先天性副腎過形成症スクリーニング改良の試み
~エンザプレートNeo-17α-OHPの基礎的検討~(PDF:264KB)

CAHスクリーニング方法を改良する目的で、改良型抗体を用いる試薬であるエンザプレートNeo-17α-OHPについて、基礎的検討および従来型試薬であるN-17α-OHPや高感度HPLC法との比較等を行い、その有効性を検討した。その結果、低濃度から高濃度域までELISA法として十分な再現性があり(17-OHP直接法:CV=11.28-14.14%、17-OHP抽出法:CV=7.24-15.33%)、従来法よりも真値に近く信頼性のある結果が得られ(新生児検体n=278のHPLC法対17-OHP抽出法相関:R=0.852、患者検体n=9の同相関:R=0.981)、陽性者検出のためのカットオフ値の設定も可能なことから(17-OHP抽出法>4.5ng/ml)、改良型試薬の導入が有効なスクリーニング法構築のための一つの選択肢となることが示された。(48-56ページ)

 総セルロプラスミン測定ELISAを用いた乳児期生尿によるウィルソン病マス・スクリーニングの基礎的検討(PDF:117KB)

札幌市では新生児乾燥ろ紙血液を用いて血清中セルロプラスミン(以下CP)濃度を測定することにより1995年4月からウィルソン病の新生児マス・スクリーニングを行ってきた。しかし、新生児期では、検査時期として尚早で、一部の患者において血清CP値の低下が顕著ではなく、疑陰性例が多いことが予測された。このため、新生児期以降での検査法の検討を開始した。今回、札幌市で実施している乳幼児の神経芽細胞腫マス・スクリーニングの尿検体を用いることを前提に、全CP量測定用高感度ELISA法による基礎的検討を行ったが、乳児期の尿中CP値は全般に低値であり、ウィルソン病のスクリーニングには不適と考えられた。(57-61ページ)

 札幌市における妊婦の甲状腺機能スクリーニングとその児のクレチン症スクリーニング検査結果について(PDF:104KB)

妊婦甲状腺機能スクリーニングの過去5年間の検査成績と、その児の甲状腺機能への影響についてまとめた。バセドウ病、橋本病は妊婦において高頻度に認められ、スクリーニングは早期発見と治療管理に有効であった。また、新生児の先天性甲状腺機能低下症スクリーニングにおいては、一部の例で妊娠中に母親から抗甲状腺剤または抗TSH受容体抗体の移行による一過性甲状腺機能異常が認められた。(62-69ページ)

 集団感染事例における腸管出血性大腸菌O26分離培養法の検討 (PDF:197KB)

2002年7月のほぼ同時期に2個所の保育園において腸管出血性大腸菌(EHEC)O26志賀毒素1(+)による集団感染が起こった。両保育園の園児、職員及びその家族の便832検体、保存食40検体、ふきとり21検体、計893検体の培養検査を行った。その結果、両保育園児47名(うち有症者21名)、A保育園の職員2名(無症状)、B保育園の家族5名及びB保育園の水遊び用組み立て式プール底のふきとり1検体からEHEC O26が分離された。
本事例の検査結果を基に、今後同様な集団発生時の大量検体を効率的かつ正確に検査するために、分離培地及び増菌培地について検討を加えた結果、(1)セフィキシム・亜テルル酸カリウム加ラムノース・マッコンキー培地(CT-RMAC)がEHEC O26の選択性に優れていた、(2) modified Escherichia coli brothを用いた42℃18時間増菌培養の併用により、更に検出感度が向上した、(3)CT-RMACにセロビオースを添加することによりEHEC O26の選択性を向上させることが可能である、と考えられた。(70-75ページ)

 2000~2001年度の札幌市におけるノーウォークウイルス遺伝子の検出成績(PDF:367KB)

 2000年度および2001年度に札幌市で発生した食中毒等の事例において採取された糞便材料154検体について、3種類のプライマーを用いてノーウォークウイルスの検査を行い、検出された遺伝子型と各プライマーの検出率を比較検討した。ウイルス遺伝子が検出されたのは47検体で、G1型が27検体、G2型が20検体であった。NV81/82-SM82プライマーではG1型、Yuri22R/FおよびP1/P3プライマーではG2型の検出率が高かったが、2つのgenogroupの遺伝子を単独のプライマーで検出することはできず、当面複数のプライマーの併用が必要と考えられる。(76-82ページ)

 大豆のイソフラボン量について;産地による比較(PDF:365KB)

大豆のダイゼイン、ゲニステイン等イソフラボン量を把握することを目的として、道内で流通している乾燥大豆を中心にその測定を行った。
平成13年12月~平成14年5月に購入した道産大豆13検体、北海道以外で栽培された国産大豆4検体、輸入大豆3検体の計20検体中のイソフラボン類であるダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン及びこれらの配糖体計12種類を測定した。この結果、測定したイソフラボン類の総量は、道内で栽培された大豆13検体で2,200~5,400μg/g(アグリコン換算値:1,200~3,000μg/g)の範囲であった。供試大豆中値が最も高かった音更大袖は、栽培年が異なる2検体を測定したが、5,400及び4,000μg/gといずれも高い値を示した。値が最も低かったスズマルについても、同様な2検体で2,200及び2,800 μg/gと低い値を示した。北海道以外で栽培された国産大豆4検体は2,000~3,400μg/g(アグリコン換算値:1,100~2,000μg/g)、輸入大豆3検体は4,000~4,900μg/g(アグリコン換算値:2,100~2,600μg/g)であった。種類別では、いずれもゲニステインとその配糖体の割合が高く、その重量割合は52~71%であった。また、そのほとんどが配糖体として存在し、最も多いマロニル化配糖体の重量割合は、70~90%であった。アセチル化配糖体は、ほとんど検出されなかった。
音更大袖やスズマルは北海道の一般的な栽培品種であり、北海道産の大豆のイソフラボン量の範囲は幅広いと考えられた。また、他の地方産大豆との比較から、北海道で栽培されたことのみにより、イソフラボン量が増加するとは考えられない結果であった。(83-89ページ)

 平成12年度、13年度の札幌市における残留農薬の検出状況について(PDF:363KB)

平成10年度に報告した農薬の系統分析法を用いて、平成12年度及び平成13年度中に収去検査として持ち込まれた農産物234検体について分析した結果、69検体から29農薬を検出した。食品衛生法の規格基準に違反するものは無かったが、国産の春菊と輸入品のブルーベリーについて、それぞれキャプタンとジメトエートが登録保留基準を上回って検出された。また、試験時に同時に行った添加回収試験において、回収率を絶対検量線法と標準添加法の2種類の方法で求めて比較した。(90-106ページ)

 札幌市における乾性沈着に対する黄砂の影響について(PDF:138KB)

平成11年4月から札幌市内の粒子状物質の乾性沈着量を把握するため、比較的簡便なダストジャー法を用いて、不溶性粒子状物質の沈着量や可溶性粒子状物質のイオン成分濃度などについて1週間ごとの調査を続けている。平成11年度から平成13年度のデータを用いて、年度別等の不溶性粒子状物質、可溶性粒子状物質の各イオン沈着量の挙動や春先の水素イオン沈着量の減少と減少率の推定、および、黄砂が降ったことを示す指標について検討を行ったので報告する。
不溶性粒子状物質の年度沈着量の範囲は13~19g/m2であり、主なイオン沈着量の範囲は、水素イオンで1.0~1.3mmol/m2、非海塩由来硫酸イオンで2.6~3.6mmol/m2、硝酸イオンで2.6~3.6mmol/m2、非海塩由来カルシウムイオンで3.1~5.4mmol/m2であった。3月と4月の水素イオン沈着量の減少は黄砂の影響によるものと考えられ、減少率は約60%、年間では約20%に達した。
最後に、黄砂が発生したと考えられる週に採取した粒子状物質の可溶性成分を分析すると、水素イオンと非海塩由来カルシウムイオンの沈着量比が0.1以下を示すことが多く、黄砂が降ったことを示す指標として使用できる可能性があると思われた。(107-112ページ)

 札幌市内河川中の内分泌撹乱化学物質調査(第2報)(PDF:1,394KB)

平成11年度から5ヵ年計画で実施している札幌市内河川中の水質及び底質における内分泌撹乱化学物質調査を、平成12年度は3地点、平成13年度は4地点で実施した。平成12年度は、調査した22物質のうち水質から8物質、底質から10物質が、平成13年度は調査した23物質のうち水質、底質から2物質が検出された。各物質の分析方法について検討を進め、PCBは高分解能MSにより検出下限値を下げ、女性ホルモンはELISA法からGC/MS法に変更し多成分分析を図った。(113-125ページ)

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