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この条例では、動物園のあるべき姿について、市営、民営問わず動物園の運営目的(「動物園とは」参照)、活動理念、実施事業を明らかにし、併せて円山動物園の基本的な取組事項を規定しています。
この条例では、動物園、水族館、昆虫館その他いかなる名称であるかを問わず、以下のすべてに該当する施設を「動物園」としています。
動物園の活動における基本的な考え方として次の3つを掲げています。
動物園の実施事業について、保全活動、良好な動物福祉の確保、活動情報の公表の3つについて規定しています。
野生動物の保全のための活動として次の(1)から(6)を規定しています。
画像:円山動物園の今後飼育展示する動物種の分類表
繁殖等によりその種の保全に貢献できるか、良好な動物福祉を確保できるか、その動物の展示や教育活動を通して保全への行動を促すことができるかなどを考慮し、収集計画を立てることなどを指しています。
画像:円山動物園におけるコウモリ調査
日々の動物飼育や診療結果から得られる行動の変化や血液検査等の記録により生理・生態を解明していくことが重要です。
また、上の写真のような、野外での野生動物の生息実態や生息環境の調査も必要な取組です。
画像:円山動物園のホッキョクグマ館
例:円山動物園のホッキョクグマ館におけるガイド(生息地の環境問題等)
例:ミヤコカナヘビの保護増殖事業における飼育及び繁殖の取組
例:野生動物の保全に関する情報交換を行う関係者会議への参加
上記のほか、野生動物の生息域内保全に関する取組その他野生動物の保全を推進するために必要な活動を行うことについても規定しています。
これは生息域内保全との関わりを持つことを指しています。
動物園で行う繁殖や教育活動などは、野生動物の保全に貢献することを目的に行うことから、野生動物が生息する現地における保全活動(生息域内保全)の動向も踏まえ、その活動と連携した取組を行うことが重要となってきます。
動物園自らが生息域内保全を実施することも目指していきますが、それ以上に動物園で行う活動が生息域内保全につながっていくように取り組むことを明確にするために規定しています。
例:生息地の調査や環境保全活動、生息地の環境や動物を守るための講習会など
この条例では、「動物福祉」とは「動物が置かれた環境に起因する動物の身体的及び心理的状態」を指します。
「動物が置かれた環境」とは、次の絵のように「栄養」「健康」「環境」「行動」「精神」の5つの領域を指しており、動物福祉は、それらが良い状態なのか悪い状態なのかによって、複雑に相互に作用し、その動物の全般的な状態は変わってくるものと考えられています。
この動物福祉を良好にしていくために動物園が行う取組として、次のことを規定しています。
動物園は、前2条に定める事項の取組状況について、インターネットの利用その他適切な方法により適宜公表しなければならないことを規定しています。
円山動物園が将来にわたり社会的役割を果たし、持続可能な運営を目指すために以下のことを基本にして取り組んでいきます。
円山動物園が第8条に規定する「良好な動物福祉の確保」の取組を着実に強化していくための基本的取組事項を規定しています。
さらに、2015年に起きたマレーグマの死亡事故の反省を踏まえ、再発防止に向けた市の姿勢を示すとともに、良好な動物福祉の確保のため、円山動物園の業務における管理監督者や円山動物園の飼育動物の飼育、診療等に関する業務を行う職員の職務上の心構えについて規定しています。
【心構えの内容】
※飼育動物の飼育、診療等に関する業務を行う職員は、飼育や診療に限らず飼育動物の生命、健康状態等を左右する重大な業務に携わる全ての職員を指しています。
円山動物園において動物の展示及び教育活動を行うに当たってのルールを規定しています。
(円山動物園以外の動物園は対象外です。)
ただし、上記1.については、生物多様性の保全に寄与する教育的効果があり、かつ、良好な動物福祉を確保しているものと市民動物園会議が認めた場合は行うことができることとししています。
生物多様性の保全と良好な動物福祉の確保に留意した施設の整備や管理を行うことを規定しています。
市は、自然災害、感染症(新型のウイルス、鳥インフルエンザ、口蹄疫等)、動物の逸走など、飼育動物又は利用者等の生命の危機を生じさせる事象に対応するための計画を策定し、その計画を実施できる体制整備を行うことを規定しています。
高病原性鳥インフルエンザが流行している場合に各入園者入口に消毒マット等を設置し防疫することや、定期的に動物が飼育施設から逃げ出してしまったことを想定した訓練などを指しています。
市は、円山動物園と国内外の政府、地方公共団体、大学等の研究機関、動物園その他動物園の活動に関連する機関等との間で積極的な連携及び協力が図られるよう取り組まなければならないことが規定されています。
市は、野生動物の診療、動物の飼育管理等に関し、専門的知識又は経験を有する職員を確保するよう努めなければならないことを規定しています。
また、市長は、職員の育成を図るため、研修の実施、研究及び発表の機会の確保その他必要な措置を講ずるよう努めなければならないことを規定しています。
円山動物園の運営に関する情報をインターネットなどで公表することや、利用者、市民、事業者等からの意見を適切に反映させるよう努めることを規定しています。
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