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更新日:2012年12月26日

よもやまくにがまえにとばなし

第25回 被災地の郷土資料に思うこと~ニャン左衛門からの手紙 ふたたび~

2012月8月のおはなし

みけです。

『よもやまとしょかん話』では昨年の夏、岩手県大船戸市役所へお手伝いに行っていたニャン左衛門の手紙を掲載して、東日本大震災後の被災地のようすを紹介しました。(第14回 ニャン左衛門からの手紙

震災から2年目の夏も、ニャン左衛門の陸前高田市立図書館滞在記をお届けします。郷土資料を収集するとはどういうことなのか、図書館に働く私たちも初心にかえり、考えさせられる報告です。

 

昨年の東日本大震災で、岩手県の陸前高田市立図書館は、ほとんどの資料が津波で流され、図書館は壊滅状態になっていました。

しかし、震災から1年を過ぎた今年の春、元の場所とは別な場所にプレハブによる仮設の図書館を建て、全国からの様々な支援を受けながら、活動を再開しました。とはいっても、まだ館内で貸出ができる状態にはなく、まずは全国から送られてきたたくさんの本を分類してラベルを貼ったり、表紙を保護するシートを貼ったりしなければなりません。ボランティアを募集していたので、僕は6月12日から15日までの4日間、現地でお手伝いをしてきました。

ボランティアの中には、「力になりたい」一心で東京から駆けつけた方もいましたし、近隣の図書館から「今日は非番だから」と、車で一時間かけて定期的に通っている司書もいました。

現地には、図書館再開のために新しく採用された臨時職員が数名。いずれも図書館で働いた経験のない若い女性たちで、仕事を覚えようと一所懸命でした。

みんな図書館が大好きなんです。そんな彼女たちがふと作業の手を休め、食い入るように見入っていた本があります。震災が起きるずっと以前に発行された、陸前高田市の日常生活を写した写真集です。

「ああ、これ知ってる!」とか、

「わあ、懐かしい!」とか、

「あれ?この学校は新校舎になる前のやつかな」とか、

「へえ!こんなんだったんだあ!」とか、

「なんか、涙出てくるね」とか・・・。

彼女たちは、それはもう嬉しそうに歓声をあげて見入っていました。目の輝きに、他の資料を見ていたときとは明らかな違いがありました。

津波で失われた街並みとそこにあった暮らし、二度と戻らない故郷の景色、その景色のずっと昔の姿までも、鮮やかに伝えてくれている写真の数々―。

他の地域の人から見れば、たぶん何の変哲もない普通の商店街、通学路、人々の様子が撮られている写真集です。全国の本屋さんで売られるようなものではなく、この地域だけで僅かに配布された資料のようでした。おそらく被災を免れた方から寄贈されたものでしょう。

再開準備をしている図書館に寄贈される郷土資料はごく僅かです。貴重な街の歴史や文化や人々の息吹を伝える数多くの郷土資料が流され、残念ながら、大半はもう二度と戻ることはありません。

これから再出発する陸前高田市立図書館。一冊の郷土資料がもたらした彼女たちの目の輝きと嬉しそうな表情を、僕は決して忘れないでしょう。

景色

 

  ちょっとまじめなニャン左衛門より

 

 

郷土資料については、こちらもどうぞ。

 

第10回 もらってうれしい郷土資料の話

 

現在の陸前高田市の図書館情報は、こちら。

陸前高田市 市内図書館情報

 

みけ

 

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