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更新日:2011年2月15日

第2期図書館協議会 第3回会議 平成20年12月10日

1.日時

平成20年(2008)年12月10日(水曜日) 10時00分~11時00分

2.会場

札幌市中央図書館 3階 研修室A

3.出席者

梶委員、河村委員、菊地委員、小田委員、佐藤委員、乳井委員、成田委員、平野委員、細谷委員
(欠席者)西委員、三谷委員

4.傍聴者

1人

5.会議次第

1.開会

2.議事内容(概略)

事務局資料説明

○インターネット予約(2008年8月28日開始)の状況について

・今までホームページ上で蔵書検索のみを行なっていたが、さらにパソコンあるいは携帯電話から図書館の本を予約し、受取施設も指定できるようにした。
初日の予約件数は約6,000件。その後は落ち着いてきている。

・予約件数
 4月から8月 60,000件/月
 9月から11月 87,000件/月(前年比約1.6倍)

・貸出平均
 4月から8月 618,000件/月
 9月から11月 629,000件/月(前年比約1.1倍)
インターネット予約の影響は、今後出てくると思われる。
返却も同様の伸び。

○視聴覚資料の図書並み取扱い実施(2008年11月27日開始)の状況について

・視聴覚資料は所蔵館(中央図書館、山の手、東札幌、清田)のみで取り扱い、借りた館に返却していたが、図書並みの取扱いにし、予約・貸出・返却が全施設でできるようになった。

・図書と同様にインターネットで予約し、自分で受取施設を指定できるようにしている。

・初日は約300件の予約。現在は1日100件程度
今後徐々に定着していくと思う。

これらの新サービス開始後、大通カウンターを受取り先にする利用者が大変に多くなってきている。貸出、返却の部分で、都心の図書館機能が利用者にとって大変便利なものとして、インターネット予約の認識がさらに高まり、定着していくと考えている。

乳井会長

今のインターネット予約について、質問を受けたいと思う。

細谷副会長

実施前に懸念されていた、いわゆる安易な予約をして取り置き期限が過ぎて戻される件数はどの程度あるか。

千葉業務課長

統計はないが、予約棚に取り置きしてある本は明らかに増えた。取りに来ないで棚に戻される本も増えているが、取り置きしている本と戻す本の比率は以前と変わっていないと思う。
ただ、予約の伸び率が貸し出し率の方にまだ十分に反映されてきていないと思うので、もう少し様子を観察したい。

細谷副会長

今後、予約だけして受け取りにこなかったという数を統計的にとる予定はあるか。

千葉業務課長

統計値の取り方は難しい。日々の手作業になり、電算的な数値がとれない。

乳井会長

予約の年齢層が変わったという印象を受けるか。

千葉業務課長

統計値としては年齢等がまだ出ておらず、インターネットによる利用者層の変化のデータは今のところ持っていない。

乳井会長

携帯電話だと若い人が使うと思った。統計とまでは言わないが、動きがわかったら知らせてほしい。

千葉業務課長

カウンター職員の印象として、小さな図書館や図書室では、利用者層が少し変わってきたという声も聞く。今まで、地域の小さな図書室を使わなかった人が受取り先を指定して、そちらを訪れているという動きは出てきていると思う。

成田委員

年齢層や利用者層が変わると本のジャンルにも変化があると思う。以前のアンケートで、よく利用する資料分野と充実すべき資料分野というものがあった。例えば、前は高齢者向きや主婦向きのものが割と多く出たのが、このごろは経済、社会の系統のビジネスのウエートが増えてきているようだとか、今後そういう傾向がとれる可能性はあると思う。

千葉業務課長

毎月、資料の選定会議をしており、予約が多くかかってきた本についての購入調整などをしている。担当者にも、インターネット予約が始まってからの予約が集中する本などの動向をとらえるようにと指示をしているが、今のところ、まだ大きな傾向の変化は出てきていないようだ。
インターネットでの利用が定着していくに従い、少し傾向が変わってくるかもしれないので、観察していきたいと思っている。

乳井会長

どういう変化が起こるのか注意深く見ておいて欲しいとお願いする。

乳井会長

それでは、今日の本題に入りたい。
河村委員にお願いしていた図書館サービスの拡充に向けた図書館運営のあり方の報告が上がっているので、その報告を受けたい。

河村委員

では、運営のあり方小委員会からの報告をさせていただく。
昨年12月から4回に渡り小委員会を開催し、運営のあり方について検討した。図書館から示されたのは、札幌市においても行政の効率化、経費の低減を目的に業務の見直しが必要になっているので、その上で、今後の図書館サービスを維持、向上させるための人と財源を確保していくため、運営手法としての指定管理者制度の導入を含めた検討を行ってほしいとのことだった。
小委員会では、まず、各都市で導入されている指定管理者制度についてのメリット、デメリットについての検討を進めた。図書館のすべての業務を、将来的にも行政が責任を担っていくかという点で議論があり、図書館を取り巻く社会状況の中で、サービスの維持、向上を図るための経営効率を進める必要から、指定管理者制度の導入もあり得るのではないかという意見もあった。
しかし、指定管理者制度の導入自体の歴史がまだ浅く、デメリットと言うべき問題の指摘が多数あり、特に、図書館のような公共的なサービスに対して、まだ早急な是非を出す状況にはないという議論が行われた。
その後、業務委託についても検討した。図書館側に検討材料となる図書館業務の内容、性格を含めた業務分析に関する資料の作成を依頼し、図書館における業務全体についての説明を受けた上で、主に図書館業務の委託について、どのような業務がなじむかという点について委員から意見をもらった。
その結果、直接利用者に提供する図書館サービスにあっては、業務内容の細分化も可能かもしれないが、一体で考えた方が効果的ではないか。委託よりも、非常勤職員を生かし、正職員と非常勤職員が同じサービス業務に携わる状況を、業務を分けることでサービスに関する人件費の抑制が図られるのではないかという意見もあり、これらも含めて報告書を作成させた。
なお、図書館運営のあり方については、現行図書館サービスに対する評価・検証の結果をあわせて、図書館サービス全体のあり方をこの場において検討していただきたい。

乳井会長

一つは指定管理者制度については、現時点では時期尚早でなじまないだろうということ。もう一つは、図書館業務は細分化が難しいということ。3点目としては、今の財政の中で考えるならば、非常勤職員という形がある。図書館職員が持もっている習熟するという大きな要素を押さえていってはどうかという形で、三点の報告にまとめられたと理解している。
この点について、評価検証の報告とあわせて、全体の報告をつくり上げていかなければいけない。社会的な情勢から行財政についての枠組みが非常に厳しくなってきたことが1点。情報化が進んで行って、いわゆる図書館のサービスのあり方が非常に変わってきている点。少子高齢化の問題への対応、若者の読書離れに関する図書館の位置という形で、今までとはサービスのあり方が違ってくる部分も多いので、それも検討していかなければいけない。現在から中期ぐらいにわたって、いかに解決策を見つけていくかという厳しい課題が課せられていると思う。
この報告に関し、図書館としてどのように受け取られたかについて聞きたい。

橘管理課長

報告書の中にあった一般職員から非常勤職員に置き換えるということについては、経費的な部分の節減を図ることは可能だということは十分理解している。しかしながら、非常勤職員の場合、一般職員の4分の3程度の短時間勤務である。また非常勤職員も定数の管理が行われており、職員を置き換えても非常勤職員が大幅に増えるというわけではない。
新たな図書館サービスに必要な要員の確保につなげるには非常に難しいかと考えている。
また、現在は一般職員も非常勤職員も同じカウンター業務を行っているが、一般職員については、庶務経理や施設管理や人事管理、計画の策定なども行っているので、管理業務については、非常勤職員にすべて置き換えられるということにはならないと考えている。

乳井会長

非常勤職員に置き換えていくには、かなり知恵を絞らないとうまくいかないということだと思う。基本的に、勤務時間や定員の問題から、新しいサービスへの要員の振り分けは非常に難しい。さらに、管理業務に関してどこまで踏み込めるのかという難しい問題が要点になる。

細谷副会長

何年か前に統計を比較したときには、札幌市の図書館経費は政令指定都市の中で高い方ではなく、圧縮しなければならないほど多いとは思っていない。他の政令指定都市と比較して、もっと圧縮しなければという実数があるのか。

橘管理課長

それぞれの都市の実情や弱い部分、首長等の政策の中で予算が決められている。自治体間で置かれている状況が違うので、簡単に横並びの比較はできない。
札幌市の中でも、予算についてはここ何年も5%ずつ削減されてきている。義務的経費は余り大きく変わらないので、その大きなしわ寄せが図書購入費等に来ているのはどこの自治体も同じであり、もっと財政状況が厳しいようなところでは、半分や3分の1になるということも多く見られている現状だ。その中で、札幌市はまだ緩やかな減少にとどまっていると思う。
今後の予測はつかないが、必ずしも金額を減らすことだけではなく、それぞれの自治体が置かれている状況の中で何をしなければいけないかというところを併せて考えていく。札幌市の例では、経費の見直しは普段から進められているところだが、併せて、従来からのスクラップ・アンド・ビルドや、いろいろな観点からの議論が進んでおり、外部評価や包括外部監査など第三者の目を入れながら、市民の需要にこたえるとともに経費的な部分では効果的に進めるということをより厳しくしていかねばならないと考えている。

細谷副会長

インターネット予約の開始や新たなサービスを展開しつつ、これ以上の図書館の果たすべき役割と利用の拡大を踏まえて、少なくともこれが現時点で最大限の努力であって、指定管理者制度導入は困難だという結論を出すことは可能だ。
費用対効果という点では、より高い効果率をというのは当然の前提だが、この間の委員会での議論を通して、重要な点としてのサービスの継続性に関しては、指定管理者では不安が残るという結論が出ているわけだから、一定程度、非常勤職員への置き換えを進めつつ、その範囲内で直営を継続するという結論はあり得るかと思う。

橘管理課長

指定管理者制度というのは、国の法律で、民活を促進しようということで平成15年度から始まった制度である。制度が始まってから、まだ一度ぐらい、指定管理者の入れかえもようやく2期目に入るかどうかだ。
現段階では、指定管理者には問題点もあるというのはご指摘のとおりだと思うし、札幌市において是非を決めることは時期尚早だという小委員会の答申どおりかと考えているが、将来的には指定管理者制度も今のままの状態が続くとは限らないので、今後改善をされて、いろいろな手法を考えていく中で、内容や方法によっては可能になるかもしれない。

細谷副会長

総務省から指定管理者制度の導入については十分慎重を期するようにという通達が出たり、社会教育法の改正指針に当たって、指定管理者について慎重にという附帯決議が出ている状況であることも踏まえて論議したいと思う。

乳井会長

評価をして枠組みが決まっていながら、その中で新しいサービスが起こり、またそれに対応してサービスを行なうが、そこには組織の問題や費用の問題が必ず発生し、すぐに解決していくのは難しい。
先ほどの三つの柱の中で、指定管理者については時期尚早であるという結論を得たことは踏まえていきたいと思う。
2点目は、図書館サービス業務は一体化したものではあるが、既存のものだけではなく、新しいものにどう対応していくかという問題点を、引き続き検討していかなければいけない。
もう一つは、常勤、非常勤の問題も新しいサービスに絡めてもう少し検討させていただきたい。委託の問題も全部含めて話をする形で先へ進めていくことでよいか。
今後はいろいろな例をデータとしてもらい、取りまとめて整理をし、検討材料にしていきたいと思っている。作業については、全体でまとめて、皆さんの前に提示しながら協議会として話を進めていく。そのために菊池委員、河村委員からの評価とあり方に関する報告を丹念に比べていく。
今日は委員会の報告を承認することとし、これから先、資料のことなどについては、私と事務局が窓口になって提供していく。
その他、ご質問、意見があったらお願いする。

佐藤委員

札幌らしい教育の推進として、読書が三つの柱の中に上がってきている。子どもたちへの読書をより進めていくために公共図書館として何をしていくのかというものも打ち出していく必要があると思う。

乳井会長

これからどのように読書力を育てていくかということは教育の問題とかかわって、連携していかなければいけない。当然、議論の中に入ってくると思うので、ぜひ委員からもいろいろな意見をいただきたいと思っている。
それぞれの小委員会については、これをもって解散する。これから先は、取りまとめをしながら、先へ進めてまいりたいと思う。

細谷副会長

大通カウンター利用者には20代、30代の女性と、もう少し年齢が上の男性が多いという感じを持っている。しかし午後7時までだと間に合わないこともあり、地区図書館のような返却ポストが欲しい。

松井調整担当課長

ブックポストの設置は放火などの問題もあり、鉄道法等の中で難しいため現在は設置されていない。
ただし、ビルの建て替え等のため、近い将来に移転しなければならない可能性があり、新しい場所を探しているが、その際に最初から防炎加工等したものを設置できないか交通局などと検討している。

乳井会長

厚生労働省の名簿の件が出ている。いわゆる図書の貸し出し禁止についての対処は、事務局の中に委員会があるのか。

千葉業務課長

プライバシーに関する本など、図書館での取り扱いを検討しなければならない場合に、資料検討会議を設けている。常設ではなく問題が起こったときに随時設置し、館長以下、課長、その資料を担当している係まで入れて検討している。
今回の件は、以前に同様のケースがあったので、全員が集まっての会議は開催していないが、取り扱いは合意し決定している。
いろいろな方がいろいろな観点で調べ物等に使うものだから、各種名簿を一律に閲覧制限や利用制限せずに、通常どおりの取り扱いとした。
ただし、このような報道で名簿などに対する関心が高まり、興味本位で見にくる人が出ると、資料保全の面で問題になる。従来から書庫に保存してある資料は閲覧票の記載が必要だが、その際に、住所、名前を確認させてもらい、確認するものがないという場合にはカウンターの周辺で閲覧してもらう措置を講じている。

乳井会長

大通カウンターの利用者にはお勤めの方の利用が多い。従前は館内検索機からの予約のみだったが、インターネット予約開始で、パソコンや携帯での予約に移行している方が多い。

乳井会長

インターネットその他を使っていくと、今回のような問題が随分出てくると思う。それに対応する委員会があるということがわかった。
事務局からご連絡があったら、お願いする。

橘管理課長

先ほど会長から、資料等について今後調査をして皆さんにご提示するという話があったが、作成等に時間がかかるので、次回開催は別途ご連絡したい。

3.閉会

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