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更新日:2020年7月1日

コラム「こんにちは、アシストです」(2020年7月号)

「子どもの成長と大人のかかわり」~谷山調査員~

5月の25日に緊急事態宣言が全面解除になって少しほっとした部分もあるのですが、北海道はまだまだ安心できる状況ではなく、感染リスクがゼロになったわけではありません。新型コロナウイルスの感染拡大から、不要不急の外出の自粛で家に居る時間が長くなり、どうしてもテレビを見る時間が増えてしまいました。ほとんどの人がマスク姿の異常さ、同時に、朝から晩まで危険と不安を煽るようなワイドショーで、精神的に不安定に陥りやすい状況が続いています。この新型コロナウイルスの感染が広がる前は、「ウイルス」と聞けば、インフルエンザよりは、むしろパソコンやスマホのことを日常的にイメージする機会が多かったのですが、今は、電子顕微鏡に写った表面に不規則に突起が並んだ、いかにも悪そうな様子の新型コロナウイルスの姿を直ぐに想像するようになりました。新型コロナウイルスは、私たちの日常の生活の在り方を大きく変え、少し不自由な新しい生活様式の毎日です。新型コロナウイルスの完全な感染拡大の防止や収束のためには、今までと同様に、私たち一人ひとりの意識や行動が重要であり、そのことを試されているときでもあるように思います。必ずこの事態を終息させ、「希望に満ちた輝かしい未来を勝ち取ろう!」「来年のオリンピックを実施しよう!」など、願わざるを得ません。

新型コロナウイルスの影響で子どもたちの日常の生活環境や生活状況は、今まで経験したことのない異例の事態です。子どもたちは、「遊び」や「仲間とのかかわり」の中で成長していきますが、人との内的にも外的にも制限されると、そのことによって、子どもたちの受けている「こころのダメージ」が危惧されます。社会の力・大人の力が、今まで以上に子どもとのかかわりにとって必要な時と感じるのは私ばかりではないと思います。

今、新型コロナウイルスの関係で、大人も子どもも大きなストレスを抱えています。そんな中、保護者から子どもの子育てに関しての相談が少し多くなっている気がします。親の子育てなどのおもいの相談のたびに、子の幸せを願わない親はいないと、我が子の子育てのことを思い出して、相談内容の対応を考えています。我が子の卒業写真や友だちと写っている写真を見ると、どの子よりも自分の子が一番かわいく、運動会、学習発表会などの学校行事でたくさんの子どもたちがいる中でも、すぐに我が子が分かり、輝いて見えました。子どもの将来については、「自分自身の事を自分で判断して、責任を持って行動する」という自立した人になってほしい思いつつ、子育てを振り返ってみますと、親目線で、親のおもいや願いなどからいろいろなレールを引いてきたという反省があります。そんな子どもとのかかわりにいろいろと悩んでいた時に、谷川俊太郎さんの「あわてなさんな」という詩に出会いました。

花をあげようと父親は云う / 種子が欲しいんだと息子は呟く / 翼をあげるわと母親は云う / 空が要るんだと息子は目を伏せる / 道を覚えろと父親が云う / 地図は要らないと息子がいなす / 夢を見ないでと母親が云う / 目をさませよと息子がかみつく / 不幸にしないでと母親は泣く / どうする気だと父親が叫ぶ / あわてなさんなと息子は笑う / 父親の若い頃そっくりの笑顔で

親は花と翼を用意して、人生という空を彩り豊かに飛んでほしいと願いますが、必ずしもその願いが叶うことではありません。「親」という漢字は、子どもを木の上に立って見ているという語源を聞いたことがあります。この詩から、我が子が自らの手で花を咲かせるのを傍らでじっと見守る、親にできるのはそれだけなのかもしれないと勝手にこの詩の解釈をしたことを懐かしく思い出します。

その場所に行けば、子どもの頃の気持ちが蘇る場所が私にはあります。今自分の子ども時代のことを思い出すと何か特殊なゴーグルをつけて毎日生活をしていたいように思います。きっと、世界はうんと狭い範囲しか見えなかったかもしれませんが、同時に他の人には見えないようなものが見えたり、発見もあったりしていたのではないでしょうか。子育ては大変ですが、「人生はすべて実験であり、実験の数は多ければ多いほどよい。失敗したら、もう一度起き上がればよい。転んだってなんともない」という、俯瞰的なおもいと人生の先輩としての矜持をもっていなければと、子育てを終わりつつある現在、少し寂しい思いもありますが、ふと我が子をみたときに思うときがあります。

 

令和2年7月1日

 

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