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更新日:2020年4月1日

コラム「こんにちは、アシストです」(2020年4月号)

「すべては 子どもたちのしあわせのために!」~津田相談員~

私は、昨年の3月までの38年間、教師として仕事をしていました。

これは今からもう30年以上も前に、私が初めて5年生の担任をしていた、『新卒』の頃の話です。

ある日の給食を食べ終わった、掃除の時間のことでした。私が当時勤めていた学校は全員掃除だったので、学級の子どもたちは、それぞれが自分の担当する場所に行って掃除をしていました。

教室にいた私の所に、何人かの男の子と女の子が息を切らして走ってきました。見るとその子どもたちは、理科室の掃除当番の子どもたちでした。

(子ども)「先生、理科室の壁に掛かっている時計を落として、時計のガラスを割っちゃいました。」

(私)「何やっているの。なんで掃除をしていて、時計が壁から落ちるのさ。」

(子ども)「………。」(沈黙)

(子ども)「先生。ごめんなさい。」

(私)「遊びながら、掃除をしていたんでないの。」

(子ども)「………。」(沈黙)

この後、子どもたちからよく話を聞きました。すると理科室の黒板の上に掛かっていた時計が曲がっていたので、その時計をまっすぐに直そうと椅子の上に乗ったり、教卓の上に上がったりしたのだけれど、どうしても届かずに困ってしまったということでした。その時思いついたのが、掃除に使う長い回転ぼうきの柄で時計を真っ直ぐにすることでした。やり続けているうちに、時計が壁から外れて床に落ちてしまい、時計のガラスが割れてしまったということだったのです。

リーダーの女の子は何度も私に謝りましたが、私は興奮した態度で、「何できちんと掃除をやらないんだ。」とブツブツ呟いていました。

放課後になり、このことを同じ学年の先輩の先生に話をすると、その先生は私にこう話をしてくれました。

「私も若い時に、先生と同じような経験があったよ。でもその時、後でこう思っ

たんだ。ガラスが割れて自分の所に駆け付けた子どもに、『大丈夫だったかい。

みんな怪我はしなかったかい。』まずこう声を掛けられる教師になりたいと思ったんだ。理科室を掃除していた子どもは、先生にどんな言葉を掛けて欲しかったのかな……。先生は、『子どもを見ている』けど、まだ『子どもが見えてはいない』んだよね。」

その話を聞いた時、私は言葉が出ませんでした。今思い返してみると、その同じ学年の先輩の先生は、『新卒』4年目の私に教師としての心構え(『魂』)を教えるため、自分も若かった時にそんなことがあったのだと『作り話』をしてくれたのだと思います。

次の日、私は学級の子どもたちに昨日のことを話し、理科室の掃除当番だった子どもたちに、何度も、何度も、心から謝りました。

3月で子どもアシストセンターの相談業務に携わらせていただいた、相談員としての私の『新卒』1年目が終わりました。

この1年間、子どもたち本人からの相談はもちろんですが、保護者の方々からも様々な相談をいただきました。

4月になり、子どもアシストセンターの相談員としての『新卒』2年目がスタートした今、改めて自分の教師としての生活がスタートした『新卒』の頃の出来事を思い返し、『すべては子どもたちのしあわせのために』という初心に立ち返り、しっかりと『子どもが見える』ように、自分なりに毎日毎日努力し続けていこうと決意を新たにしています。子どもたちの心の奥底にあるものを的確に察知し、その揺れや動きに寄り添った「子どもアシストセンターならではの『魂』のある相談」になるようにしていくために…。

 

令和2年4月1日

 

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