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札幌市のタンデム質量分析計による新生児マス・スクリーニングのパイロットスタディにおいて、2006年4月から2007年3月までの1年間で新生児代謝異常症等検査を受検した16,120件(前年度比743件増加)のうち15,897件(98.6%)がタンデム質量分析計による多項目検査を希望した。その結果、4例を精査とし、うち1例がグルタル酸尿症2型、2例がプロピオン酸血症であり、これらの患児を早期に見出すことができた。また、検査法をタンデム質量分析法に移行したアミノ酸代謝異常症3疾患(フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症)の検査においては、16,120件中2例を精査とし、うち1例が古典的フェニルケトン尿症であった。(29-36ページ
タンデム質量分析計によるアミノ酸及びアシルカルニチン類の一斉分析には、それらのブチル誘導体を用いる方法が一般的である。しかし、ブチル誘導体化のための前処理に2時間程度を要すほか、複数のプレートの前処理を同時に行えないなどの非効率的な側面が存在する。これを改良するために、Perkin Elmer社製のキットを用いた非誘導体化法による一斉分析が、当所の分析システムで使用可能かどうか、他の方法と比較等を行うことで検討したところ、良好な成績が得られた。(37-47ページ)
市販食品における食物アレルゲン物質の非意図的混入の把握を目的として、アレルゲンとして小麦、食品として粉類を選択し、小麦タンパク質量の調査を実施した。平成18年3~6月に市内販売店で購入した、包装の原材料に小麦の表示がなく、小麦製品と製造の施設または設備を共有する旨の注意喚起の表記のない粉類(20社30製品)中の小麦タンパク質量を、アレルゲン検査のための厚生労働省通知に示されたELISAで測定した。その結果、5社5製品から、厚生労働省通知で陽性の判断基準とされている10μg/g以上の小麦タンパク質を検出した。(48-54ページ)
平成18年度に報告したガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を用いた多種農薬の一斉分析法について、アセトニトリルによる抽出後の塩析時にリン酸緩衝液を添加する操作を加え、添加回収試験の回収率が向上するか検討を行った。添加回収試験の回収率が50%から150%の範囲にあったものは161農薬中101農薬(63%)から145農薬(90%)へと増加し、リン酸緩衝液の添加が回収率の向上に有効であった。また、GC/MS測定時にイオン源部の温度設定を高くすることで目的物質の感度が向上することが示唆された。(55-70ページ)
2006年度に検討したアセフェート、オメトエート、メタミドホス同時分析法で、メタミドホスの回収率が低かったキャベツと回収率がほぼ良好であったいちごを用いて、アセトニトリル抽出液の精製法を検討した。その結果、塩を添加し陰イオン交換ミニカラムで精製したところ、キャベツでのメタミドホスの回収率が改善した。(71-75ページ)
ダイオキシン類分析における、河川湿泥からの高速溶媒抽出装置による抽出方法及び湿泥抽出試料中の多環芳香族炭化水素類(PAHs)の除去を目的としたクリーンアップ方法の検討を行った。湿泥からの抽出は、高速溶媒抽出装置(ASE200)を用いてアセトンとトルエンの段階抽出を行い、従来の風乾試料からのトルエンソクスレー抽出と同等の抽出効果が得られることを確認した。また、生物検定法における夾雑物質であるPAHsの除去に10%硝酸銀シリカゲルが有効であることを高分解能GC/MSで確認した。これらの結果から、ASE200による湿泥抽出試料に10%硝酸銀シリカゲルを2層にした多層シリカゲルカラム処理を行なった際のPAHs除去効果を確認した。(76-82ページ)
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