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更新日:2023年1月25日

札幌市衛生研究所年報-他誌投稿(2007)

他誌投稿抄録
年報第34号(2007年)


  家庭における乳幼児のタバコ曝露の実態 -尿中ニコチン代謝物測定による検討-

厚生の指標53 6-9, 2006
矢野公一*1、花井潤師、福士勝、菅原有希*1、毛利優子*1、高本厚子*1、伊澤栄子*1、藤田晃三
2004年9~11月、札幌市南保健センターでの乳幼児健診児を対象に、36家族(38児)の母と児の尿中ニコチン代謝物(コチニン)を測定した。喫煙する27家族中6家族の児がコチニン陽性であった。陽性児の母はすべて喫煙者で、コチニン陽性であった。母がコチニン陽性の児は20人で、このうち母乳栄養の9児中5児がコチニン陽性であった。一方、非母乳栄養の11児では1児のみがコチニン陽性であり、ニコチンあるいはコチニンが母乳を介して児に移行することが示唆された。また、生尿とろ紙抽出液中の尿中コチニン濃度は良好な相関を示した。
*1札幌市南保健センター


 札幌市におけるタンデム質量分析計による新生児マス・スクリーニングのための体制整備

日本マス・スクリーニング学会誌, 16,1,65-72, 2006
野町祥介,本間かおり,花井潤師,田上泰子,水嶋好清,福士 勝,藤田晃三,長尾雅悦*1,窪田 満*2
札幌市では2005年4月からタンデム質量分析計(以下、タンデムマス)による新生児マス・スクリーニングのパイロットスタディを開始した。その際、近年高まっている遺伝学的検査における倫理的配慮の重要性に鑑み、従来の新生児マス・スクリーニングシステムにパイロットスタディを組入れることに伴う問題点を解決するために、新生児マス・スクリーニング関連の実施要綱及び要領の改定を行い、検査の周知方法や申込方法の変更等を行った。これによって、従来の新生児マス・スクリーニング検査事業に支障をきたすことなく、タンデムマスによる新生児マス・スクリーニングのパイロットスタディが可能となり、その有効性と有用性を評価する体制が確立された。
*1独立行政法人国立病院機構西札幌病院 *2北海道大学病院小児科


 札幌市におけるタンデム質量分析計による新生児マス・スクリーニングのデータ処理システム (2)検査データ処理と内部精度管理

日本マス・スクリーニング学会誌、16,1,79-84,2006
花井潤師,本間かおり,野町祥介,田上泰子,福士 勝,藤田晃三
札幌市では平成17年4月から、タンデム質量分析計(以下タンデムマス)を用いる新たな代謝異常症マス・スクリーニングのパイロットスタディを開始した。研究の開始にあたって、タンデムマスの測定データを取り込み、自動的に判定処理を行い、検査結果を出力するデータ処理システムを作成した。 また、判定結果は検査データとともに事務処理プログラムに転送し、成績発行・精査の依頼処理などを行なうこととした。さらに、これまでのアミノ酸代謝異常症検査などの内部精度管理を参考にして、タンデムマスを用いる代謝異常検査の内部精度管理データベースを構築した。


 アミノ酸代謝異常症一次検査法としてのタンデム質量分析計法

日本マス・スクリーニング学会誌, 16,1,85-90, 2006
野町祥介,花井潤師,田上泰子,福士 勝,藤田 晃三
先天性アミノ酸代謝異常症検査は、指標物質である血中アミノ酸の測定により行なうが、札幌市ではタンデム質量分析計による新生児マス・スクリーニングのパイロットスタディを開始するにあたり、従来のアミノ酸代謝異常症一次検査法を、高速液体クロマトグラフィー法からタンデム質量分析計法に変更するための基礎的検討を行なった。その結果、両法による測定値の間には良好な相関があり、タンデム質量分析計によりアミノ酸代謝異常スクリーニングが可能であった。


 札幌市におけるタンデム質量分析計による新生児マス・スクリーニングのデータ処理システム (1)事務処理システム

日本マス・スクリーニング学会誌, 16,1,73-77, 2006
本間かおり,花井潤師,野町祥介,田上泰子,福士勝,藤田晃三
札幌市において2005年4月から、タンデム質量分析計による新生児マス・スクリーニングのパイロットスタディを開始するにあたり、検査の希望の有無を登録するなど、これまでのスクリーニングとは異なった受付処理に対応し、かつ、従来の事務処理システムと連動して運用できるシステムを開発した。


 神経芽細胞腫スクリーニングの研究的実施の可能性に関するアンケート調査集計結果

厚生労働科学研究費 子ども家庭総合研究事業 「登録症例に基づく神経芽細胞腫マススクリーニングの効果判定と医療体制の確立」研究班
日本マス・スクリーニング学会誌, 16,3, 53-56, 2006
花井潤師,福士 勝,藤田晃三,檜山英三*1
 「登録症例に基づく神経芽細胞腫マススクリーニングの効果判定と医療体制の確立」研究班による「前向き介入研究」において、より多くの施設の研究班への参加を模索するために神経芽細胞腫マス・スクリーニングの研究的実施の可能性についてアンケート調査を行った。その結果、ほとんどの自治体では研究的実施の可能性が難しいことが示唆されたが、検査施設独自の実施には、行政として協力できる可能性が示された。また、限られた検査施設や自治体にあっては、条件が整えば、研究的な実施の可能性があることも示唆された。このことから、今後、研究班への参加施設の増加を目指し、自治体、関連医療機関、学会等から、積極的な働きかけを行うことが重要である。
*1 広島大学自然科学研究支援センター・広島大学病院小児外科


 行政、検査機関、採血医療機関、精査・治療機関が連携したタンデムマス新生児スクリーニングの試験研究実施体制の確立

日本先天代謝異常学会誌, 22, 74-76, 2006
福士 勝
タンデムマス新生児スクリーニングの試験研究の実施体制を確立するため、札幌市における新生児スクリーニング関係機関の連携システムを再構築した結果、大きな障害もなく実施できることができた。


札幌市におけるタンデム質量分析計による新生児マス・スクリーニング経過報告2  
平成18年度厚生労働科学研究費補助金(子ども家庭総合研究事業)分担研究報告書 わが国の21世紀における新生児マススクリーニングのあり方に関する研究, 99-104, 2006
野町祥介,太田優,坂上絵理奈,臼井知美,阿部敦子,太田紀之,福士 勝,藤田晃三,長尾雅悦*1,窪田満*2
札幌市では2005年4月から希望者を対象にタンデム質量分析計による新生児マス・スクリーニングを研究的に開始した。2006年12月までに先天性代謝異常症等検査を受けた27,508人のうち27,116人(98.9%)がタンデム質量分析計による多項目検査(以下;タンデム検査)を希望し、その結果、通常検査項目で3名、タンデム検査で5名を精査とした。前者のうち1名が古典的フェニルケトン尿症、後者のうち1名がグルタル酸尿症2型として見出された。
*1独立行政法人国立病院機構西札幌病院 *2手稲渓仁会病  院小児科


新生児スクリーニング検査施設基準の検討 -新生児スクリーニングの検査費用と 検査施設規模-
平成18年度厚生労働科学研究補助金(子ども
家庭総合研究事業)分担研究報告書 わが国の21世紀における新生児マススクリーニングのあり方に関する研究,67-70, 2006
福士 勝,藤田晃三,梅橋豊蔵*1,山口清次*2
新生児スクリーニング検査受託施設が妥当なコストで検査を受託できるようにするため、現行6疾患スクリーニング及びタンデム質量分析計スクリーニングにおける適切な検査費用を現在使用されている検査法に基づいて試算した。1新生児あたりの検査費用は年間検査数が多いほど低く効率的であり、年間3万新生児以上が検査施設基準として妥当と考える。また、現行スクリーニング原価試算では旧厚生省の平成12年度の補助金単価よりも最大で400円程度高い結果となったが、タンデム質量分析計スクリーニングを導入した場合でも200円から400円程度の追加で実施可能と試算された。新生児スクリーニングの実施主体である自治体と検査受託施設は、検査施設基準を満たし、かつ妥当な費用に基づく適切な委託契約を締結することにより、精度の高い検査を実施することを保証すべきである。
*1熊本保健科学大学,*2島根大学医学部小児科


札幌市における検査済みろ紙血の保存・利用に関する現状と問題点

 平成18年度厚生労働科学研究費補助金(子ども 家庭総合研究事業)分担研究報告書 わが国の21世紀における新生児マススクリーニングのあり方に関する研究,152-155, 2006
藤倉かおり,野町祥介,吉永美和,太田優,太田 紀之,福士勝,藤田晃三
先天性代謝異常検査で保護者が記入する申込書 に、検査済みろ紙血の保存・利用について「了承します」「了承しません」の二択で選択してもらうことにしたところ、その承諾率は全体で約93%であった。この承諾率は医療機関によって82%から100%まで差がみら れ、この原因を検証するため、新生児スクリーニングに関する医療機関での説明方法に関する調査を行った。しかし、保護者に対する説明方法と承諾率との間には特に関連性は見られなかった。また、検査済みろ紙血の保管スペースの節約を目的として、妊婦甲状腺機能検査の採血用ろ紙の様式を変更し、検体受付の際は氏名等記入部分と採血用ろ紙部分の両方にナンバリング後、のり付けをはがして、ろ紙部分のみを連結可能な匿名の状態で冷凍保存することとした。この方法により保管すべきろ紙は、従来の約3分の1の大きさになり、同じ冷凍庫に3倍の検体数が保管できるようになった。この様式は、将来、先天性代謝異常症等検査のろ紙にも応用できるものと考える。


2005/06シーズンの札幌市におけるインフルエンザの流行状況について

 病原微生物検出情報 27,305-307,2006
菊地正幸,山本 優,吉田靖宏,宮下妙子, 藤田 晃三
2005/06シーズンの札幌市におけるインフルエンザの流行状況について、2006年5月~6月にかけてインフルエンザ患者報告数が再び増加し、また、同時期にB型ウイルスが多く分離されるなど、これまでにない傾向が認められたことを報告した。 


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