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更新日:2016年6月3日

札幌市衛生研究所-調査研究(2001)

札幌市における神経芽細胞腫スクリーニング結果(2000年度)(PDF:197KB)

札幌市で実施している生後6か月と14か月の乳幼児を対象にした神経芽細胞腫スクリーニングにおいて、2000年度には、新たに、6か月スクリーニングで4例、14か月スクリーニングで2例の患児を発見した。発見患児はスクリーニング開始以降、6か月スクリーニングが65例、14か月スクリーニングが18例となった。
6か月スクリーニングで発見された症例のうち、1例は生後8か月の精査時には腫瘍が確認されず、経過観察となったが、その後、尿中VMA、HVA値が上昇し、生後14か月の時点で再度精密検査をした結果、右副腎部と膀胱背部に同時多発の神経芽細胞腫が発見された。(31-34ページ)

札幌市における胆道閉鎖症スクリーニング(PDF:134KB)

平成13年5月から乳児を対象とした便色調検査による胆道閉鎖症スクリーニングを開始した。
本スクリーニングの方法は、患者と正常者の7種類の便色調写真を掲載した胆道閉鎖症検査用紙(以下「検査用紙」)を保護者に配布、保護者が乳児の便を写真と比較して該当する番号を記入し1か月健診の際に医療機関に提出、医療機関から郵送される検査用紙を当所にて判定するというものである。
スクリーニングの結果、8月までに3,264名を受付けて患者を1名発見することができ、患者は目標である生後2か月以内に手術を受けることができた。(35-39ページ)

札幌市における新生児ウィルソン病マス・スクリーニングの実施成績と見逃し例について(PDF:101KB)

札幌市では新生児乾燥濾紙血液を用いて血中セルロプラスミン濃度を測定することにより、1995年4からウィルソン病の新生児マス・スクリーニングを行っている。2001年3月までに104,117名の新生児を検査し、1名を精査としたが、患者の発見には至っていない。
また、1996年に本マス・スクリーニングにおいて正常判定された児の1人が、ウィルソン病患者と判明した。これをふまえ、再採血基準の見直し、あるいは別の時期でのスクリーニングなどの方法について検討する必要がある。(40-44ページ)

札幌市における先天性代謝異常症ハイリスク・スクリーニング(第2報) ―JICA関連諸国からの検体の検査状況―(PDF:112KB)

札幌市では1990年度よりJICA国際協力の一環として、各国の医師、及び医療技術者を対象に集団研修「新生児・乳児マススクリーニング」コースを行っており、発展途上国におけるマス・スクリーニング事業の普及に大きく貢献している。この研修を通じて札幌市のハイリスク・スクリーニングを紹介し、各国の先天性代謝異常症が疑われるハイリスク児の濾紙血、濾紙尿検体を受け入れてきた。最近5か年において、13か国579名の検体についてスクリーニングを行い、うち56名(9.7%)に先天性代謝異常症の化学診断がなされた。(45-52ページ)

結核菌の制限酵素多型分類:第二報;分析結果報告(PDF:274KB)

札幌市内の医療機関2施設より提供された結核患者からの分離菌株129株について制限酵素断片長多型(Restriction fragment length polymorphism:RFLP)分析を行った。
検出されたバンド数は0~16本であり、平均10.3本であった。共通性のあるRFLPパターンは11種類に大別され1パターンあたり2~11株あり合計40株あったが、その他の株には共通性がほとんどみられず多型性のパターンが認められた。
集団感染が疑われた事例においてはRFLPパターンが一致し、同一感染源であることが裏付けられた。(53-57ページ)

甘草使用食品におけるグリチルリチン酸量(PDF:197KB)

医薬品として使用されるグリチルリチン酸は、長期大量使用による副作用が報告されたことから、一日最大配合量に定めがあるが、食品添加物として使用されている甘草(甘味の主成分:グリチルリチン酸)は、使用量に制限がない。そこで、甘草を使用した食品中のグリチルリチン酸量を調査する目的で、これらを衛生試験法・注解(日本薬学会編、2000年版)による高速液体クロマトグラフ(以下HPLCと略)を用いる方法で測定した。漬物・調味料等58検体を測定し、その濃度は1~1,519μg/gの範囲であった。濃度が高かったのは糖類・甘味料として甘草単独で使用されていた5試料で、510~1,519μg/gの範囲であった。糖類等と併用された食品の含有量は1~547μg/gの範囲で、その多くは、100μg/g以下であった。グリチルリチン酸の甘さは砂糖のおよそ250倍であるものの含有量が少なく、かなりの甘さを他から得ていると考えられる量であった。全体として、今回測定した範囲では、一般的な量の食事をした場合、食品由来では医薬品として規制のある量までは摂取しないと考えられた。ただし、グリチルリチン酸は一般用医薬品や医薬部外品などにも多く使用されているため、これらを服用している場合は、食品由来との総和が継続して高くならないように注意する必要があると考えられる。(58-63ページ)

新築住宅における室内空気中の化学物質濃度(PDF:907KB)

当所では保健所と共同で、平成10年度から市内の一般住宅における室内空気中に含まれる各種化学物質濃度の調査を行っている。平成11年度も揮発性有機化合物(VOC)41物質及びアルデヒド類16物質について調査を行った。この調査結果のうち、新築住宅におけるこれらの物質濃度について検討したところ、ガスクロマトグラフ-質量分析装置で測定したVOCとしてトルエン、キシレン、p-ジクロロベンゼン、エチルベンゼン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、リモネン、ウンデカン、デカナールなどが最大値で100μg/m3以上出され、その総量は33.3~1358.1μg/m3の範囲であった。厚生労働省が指針値を定めている物質では、トルエンが4施設、p-ジクロロベンゼンが2施設で指針値を超えていた。
一方、高速液体クロマトグラフで測定した低級アルデヒド類としては、ホルムアルデヒドのほかアセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、ヘキスアルデヒド、アセトンなどが最大値で100μg/m3以上検出された。このうち、ホルムアルデヒドはすべての調査対象施設から検出され、その濃度は24.1~191.1μg/m3の範囲であり、厚生労働省が定めている指針値を超えたのは2施設であった。さらに低級アルデヒド類の総量は86.7~1153.0μg/m3の範囲であった。(64-72ページ)

札幌市における乾性沈着量について(PDF:181KB)

大気中に放出された酸性物質は、降水による湿性沈着と降水によらない乾性沈着の経路で地表面に沈着し、土壌等を酸性化する原因となる。湿性沈着量は、すでに全国調査が実施されているが、採取法等の困難さから乾性沈着量は実施されておらず、酸性沈着量の把握を困難にしている。
全国環境研協議会酸性雨調査研究部会では平成11年度から平成13年度まで乾性沈着量把握のため、乾性沈着成分濃度調査を行っており、当所も参加している。今回は2年間のデータを基に、沈着速度が既知の二酸化硫黄(SO2)、硫酸イオン(SO42-)、ガス状硝酸(HNO3)、硝酸イオン(NO3-)の月別乾性沈着量の推定値、年度別の乾性沈着量が酸性沈着量に占める割合について報告する。
SO2沈着量は0.6~2.1mmol/m2/月の範囲にあり、冬季は夏季の2倍程高い値を示した。SO42-沈着量は0.04~0.14mmol/m2/月にあり、SO42-沈着量はSO2沈着量に対して平均で8.3%であった。HNO3沈着量の範囲は0.5~2.1mmol/m2/月であり、NO3-沈着量は0.006~0.065mmol/m2/月であった。また、NO3-沈着量はHNO3沈着量に対して平均で2.7%であった。最後に、SO2等の酸性沈着量に占める乾性沈着量の割合はSO42-として32~45%、NO3-として50%と推定できたが、採取法の関係で二酸化窒素(NO2)を測定していないため、NO3-としての乾性沈着量の割合は小さく見積もられていると考えられる。(73-78ページ)


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