ここから本文です。
円山動物園では、トガリネズミ類の生態解明のため、昨年度より北海道大学低温科学研究所大舘智志研究室および東海大学生物学部生物学科河合久仁子研究室・佐藤陽子研究室とともに共同研究を開始し、非公開施設にてトガリネズミ類を飼育しています。昨年9月には、根室市で捕獲したヒメトガリネズミ2頭が妊娠していることが判明し、世界初となる出産事例を確認することができました。
今年度は、飼育下において交尾から出産・育児などの繁殖サイクルの成功を目指してペアリングを実施していましたところ、6月5日から6月24日にかけて同居させていた、昨年当園で生まれたヒメトガリネズミ同士のペアで交尾が確認され、7月2日に4頭の新生仔が誕生いたしました。残念ながら、誕生した新生仔は7月4日までに全頭が死亡してしまいましたが、本種において、飼育下での繁殖は報告例がなく、昨年度の出産事例に続いて世界初の繁殖事例となりました。
現在も、オスとメスの組み合わせを変えながらペアリングに取り組んでおり、今回の出産に至ったペア以外でも交尾が確認されるなど、飼育下繁殖が期待できる状況にあります。トガリネズミ類の繁殖期は冬前まで続くと考えられているため、ペアリングを継続して繁殖行動の解明および飼育下繁殖の成功を目指してまいります。現段階では、非公開施設で飼育しているため、園内ガイドなどを除き皆さまにご覧いただくことはできませんが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。<経過>
オス個体
令和3年9月8日 根室市内で捕獲された妊娠個体より生まれる。
メス個体
令和3年9月10日 根室市内で捕獲された妊娠個体より生まれる。
令和4年6月5日~24日
雄雌同居実施
令和4年7月2日
4頭の仔を出産(7月4日までに全頭が死亡)
●ヒメトガリネズミ(Solex gracillimus)
分布日本では北海道のみに分布。他に朝鮮半島北部、中国東北部、ロシア極東部
体長約5~6cm(尾を除く)
体重約4.5g
●円山動物園でのトガリネズミ類飼育状況(令和4年7月17日現在)
・ヒメトガリネズミ13頭
・オオアシトガリネズミ5頭(7月1日に誕生した幼齢個体3頭を含む)
・エゾトガリネズミ1頭
・トウキョウトガリネズミ(チビトガリネズミ)1頭
このページについてのお問い合わせ
Copyright © City of Sapporo All rights Reserved.