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トガリネズミは温帯から寒帯の森林や草原に住んでいる体重1.5~20gほどの小型の哺乳類で、北海道には、オオアシトガリネズミ、ヒメトガリネズミ、エゾトガリネズミ、トウキョウトガリネズミの4種が生息しています。
私たちの身近に生息している動物ですが、姿を見せることは稀であり、生態や繁殖など、多くのことが解明されていません。
円山動物園では、トガリネズミ類の生態解明のため、本年6月から、北海道大学低温科学研究所大舘智志研究室及び東海大学生物学部生物学科河合久仁子研究室と共同研究を開始したところですが、この度、大きな進展がありましたので報告させていただきます。
<経過>
令和3年8月18日
根室市内でトガリネズミの捕獲調査を実施。捕獲し円山動物園に搬入したヒメトガリネズミ15頭のうち、2頭の妊娠を確認。
令和3年9月8日
妊娠個体のうち1個体が6頭の仔を出産
令和3年9月10日
妊娠個体のうち1個体が7頭の仔を出産
・野生下、飼育下のいずれにおいても、ヒメトガリネズミの産仔の報告は、過去に記録がなく、今回のように、生きた状態で妊娠個体を捕獲し、その後、飼育下での出産事例は世界初の報告ではないかと考えています。
・親の子育ては順調で、現在合計11頭(2頭死亡)の産仔が生育しています。新生児の体重は0.3gでしたが、13日後には2.6gまで成長しました。
・現在展示はしておりませんが、今後は、ツイッターでこの貴重な産仔の生育状況をお知らせしていきます。
●ヒメトガリネズミ(Solexgracillimus)
分布日本では北海道のみに分布。他に朝鮮半島北部、中国東北部、ロシア極東部
体長約5~6cm(尾を除く)
体重約4.5g
●円山動物園でのトガリネズミ類飼育状況(令和3年9月21日現在)
・ヒメトガリネズミ15頭(今回生まれた産仔除く)
・オオアシトガリネズミ1頭
日本でもっとも大きなトガリネズミ。過去に産仔に関する記録の報告あり。
体長5~10cm。
・トウキョウトガリネズミ(チビトガリネズミ)2頭
世界最小の哺乳類のひとつ。全長4.5~4.9cm。絶滅危惧2.類(VU)
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