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更新日:2022年1月21日

コラム「こんにちは、アシストです」(2021年4月号)

「ながらへば」~大鹿調査員~

百人一首で「長らへばまたこのごろやしのばれむ憂しと見し世ぞ今は恋しき」という歌があります。

現代語に訳すと「もし生き長らえたならば、このごろのつらい状況も懐かしく思い出すことが出来るのだろうか。だって、過去につらいと思っていた世の中が、今となっては恋しく感じられるのだから」という感じの意味になります。

私は小さいころから運動神経が悪くて、例えば一番低い跳び箱をみんなが注目している中で跳ばされたり、体育の授業でリーダーがじゃんけんで自分のチームのメンバーを選んでいくときに最後まで残されたりしたときは、つらいなぁと思いました。しかし、今となってはこのコラムに書くことが出来るほど、そういうこともあったなぁと懐かしく思い出したりすることが出来ます。

でも自分の悩みとは比較にならない程つらい目にあっている方々が沢山いることに弁護士になってから気づきました。一番安心することができるはずの家庭で安心することが出来ない方、大切な方を亡くしてしまったことを自分のせいではないかと責め続けている方、信じていた人にも裏切られて孤立無援だと感じている方、運が悪いとしか言いようがない理由でやることなすことが上手くいかず無力感を感じたり自信をなくしたりみんなに迷惑をかけているのではないかと悩まれている方・・・。このような辛い目にあっている方々は、たとえ時間が経ったとしても、先ほどの歌のように懐かしく感じたり、恋しく感じたりすることなどあり得ないのかも知れません。そうだったとしても、時間が経てば、辛い出来事自体が変わらなくても、とらえ方や考え方が変わっていくことはあると思いますし、この歌のような心持ちで、とにかく「生き長らえる」ことが大事なのではないかと自分に言い聞かせて日々を過ごしています。

そして、生き長らえるというのは、必ずしもその場に踏みとどまって、頑張るということではありません。時には、その場から全力で逃げ出したり、休憩したり、誰かに相談したりすることが必要な場合もあります。

子どもアシストセンターがその一助になれれば幸いです。

 

 

令和3年4月13日

 

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