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更新日:2016年6月3日

札幌市衛生研究所-学会発表(2005)

 札幌市における新生児、乳児マス・スクリーニング事業

北海道小児保健研究会平成15年度総会、2004年5月15日、札幌市
藤田晃三

札幌市における新生児、乳児マス・スクリーニング事業について、その変遷を述べると共に、検査法、スクリーニング成績、今後の課題などについて講演した。

 麻疹撲滅に向けての実践的研究-札幌から麻疹ゼロへ-第4報

第30回札幌市医師会医学会、2005年2月20日、札幌市

富樫武弘*1、渡辺 徹*2、館 睦子*3、高瀬愛子*4、藤田晃三

北海道における麻疹流行阻止に向けて、麻疹予防接種率の向上を目指した取り組みについて発表した。

*1市立札幌病院小児科、*2手稲渓仁会クリニック小児科、*3札幌市保健福祉局健康衛生部、*4札幌市保健所

 ろ紙血を試料としたシトリン欠損症遺伝子診断

第32回 日本マス・スクリーニング学会 2004年10月宮城県仙台市

野町祥介、田上泰子、中澤恵実理、水嶋好清、福士勝、藤田晃三、窪田満*1、長尾雅悦*2、山口昭弘*3

シトリン欠損症の一部は新生児期に胆汁うっ滞や肝脂肪変性を伴う一連の症状を示すことがある。加えて多種アミノ酸血症やガラクトース血症を示すことで、マス・スクリーニング陽性例として見出されることが多い。 そこで、マス・スクリーニング検査のろ紙血検体を用いた同疾患確定診断法として、シトリン欠損症の主要な病因変異を制限酵素法により同定する方法を確立した。これによって、他の代謝異常疾患やサイトメガロウィルス感染との断の実施が可能となる。

*1北海道大学病院小児科、*2(独)国立病院機構西札幌病院小児科、*3(財)日本食品分析センター千歳研究所

 ラウンドアップ・レディ・大豆の定量PCRによる含有率の測定~基礎的検討~

第56回北海道公衆衛生学会、札幌市、2004年11月

扇谷陽子、相澤 博、大川一美、藤田晃三

厚生労働省通知の定量PCR法で、ABI PRISM 7000を用いて遺伝子組換え作物であるラウンドアップ・レディ・大豆(以下RRSと略)の含有率を測定する際の定量限界を、 標準プラスミド及びRRSの含有率が明らかな大豆粉末を用いて、測定内・測定間の変動等を測定することにより調べた。この結果、十分均一化された試料では、RRS含有率0.5%まで測定可能と判断された。

 新生児期の血中アミノ酸濃度と出生体重との関係について

低出生体重児の2回目採血の重要性

第32回日本マス・スクリーニング学会2004年10月宮城県仙台市

田上泰子、野町祥介、花井潤師、水嶋好清、福士勝、藤田晃三、山口昭弘*1

新生児マス・スクリーニング検査では偽陰性例を防ぐため出生体重2000g以下の児について2回目の検査を実施している。今回哺乳良好な例に限って、各アミノ酸の血中濃度を初回、2回目で体重別に比較した。その結果、Leu、Met、Ile、Val値は体重の増加とともに上昇する傾向があり、Pheは一定、Tyrは低下する傾向を示した。これらの結果、一律のカットオフ値では初回に示される低値傾向により、見逃しすことが考えられるため、2回目検査の重要性が認識された。

*1(財)日本食品分析センター千歳研究所

 タンデムマスによる新生児スクリーニングの基礎的検討

平成16年度厚生労働省科学研究(子ども家庭総合研究事業)わが国の21世紀における新生児マス・スクリーニングのあり方に関する研究 研究班全体会議2005年02月東京都

阿部敦子、野町祥介、花井潤師、田上泰子、水嶋好清、福士 勝、藤田晃三、重松陽介*1

*1福井大学看護学科

 札幌市におけるタンデムマスによる新生児スクリーニングシステムの構築

第32回平成16年度厚生労働省科学研究(子ども家庭総合研究事業)わが国の21世紀における新生児マス・スクリーニングのあり方に関する研究 研究班全体会議 2005年02月東京都

野町祥介、阿部敦子、花井潤師、本間かおり、田上泰子、水嶋好清、福士 勝、藤田晃三、遠藤一行*1、窪田 満*2、長尾雅悦*3

札幌市では2005年4月からタンデム・マスによる新生児マス・スクリーニングを研究的に開始する。この研究の目的は、現在の新生児マス・スクリーニングに、タンデム質量分析計を導入することにより、対象疾患項目10項目以上を増やし、スクリーニング事業の効果を高めるにある。研究の内容としては、インフォームド・コンセントの書式の検討、検査法の精度の検討、対象疾患の検討、採血日齢・検査時期の妥当性の検討、治療体制の確立、追跡調査システムの整備等である。今回、希望者を対象とした当検査を、現在のシステムに導入するために必要な現行システムの見直しを行なった。その結果、以下の点の改善・変更が必要と考えられた。

  • 受検の意志を確認できる検査申込書を、検査所で回収できるように複写式とする。
  • 検査の意義の理解と啓蒙のためにパンフレットを作成する。
  • 本検査希望検体とそれ以外の検体の混在した状況に対応する受付システムを整備する。
  • 検査法の精度等を評価するため、追跡調査システムを整備する。

今後は産科医療機関やコンサルタント医とも連携して、体制を整備する。

*1札幌市医師会産婦人科医会、*2北海道大学小児科、*3国立病院機構西札幌病院小児科

 札幌市におけるクレチン症マス・スクリーニングの10年間の検査成績

第32回日本マス・スクリーニング学会2004年10月宮城県仙台市

本間かおり、原田敦子、三上篤、水嶋好清、福士勝、藤田晃三、母坪智行*1、田島敏広*2、藤枝憲二*3

札幌市のTSH・FT4全件測定によるクレチン症スクリーニングの検査成績について、TSHとFT4濃度の分布や要再採血率、要精密検査率、患者数等の10年間の推移を調べた。TSHの平均値は徐々に低下しており、1997年4月に産科医療機関に対してヨード消毒剤の使用中止を勧奨した成果が、その原因の1つとして考えられた。

*1斗南病院小児科、*2北海道大学医学研究科小児科、*3旭川医科大学小児科

 新生児ろ紙血液中α-L-iduronidase活性測定によるムコ多糖症I型スクリーニングの可能性

平成16年度厚生労働省科学研究(子ども家庭総合研究事業)わが国の21世紀における新生児マス・スクリーニングのあり方に関する研究 研究班全体会議

2005年02月東京都

花井潤師、田上泰子、野町祥介、水嶋好清、福士 勝、藤田晃三、山口昭弘*1、窪田 満*2、Nestor A. Chamoles*3、折居忠夫*4

ムコ多糖症(MPS)1.型の欠損酵素であるα-L-Iduronidase(以下ID)について、ろ紙血中酵素活性測定法を開発し、新生児ろ紙血を用いたマス・スクリーニングの可能性を検討した。新生児スクリーニングろ紙血3mmディスク1枚を用いて、ろ紙血中ID活性を測定した結果、健常新生児80例のID活性は4.83±1.68 (mean±SD, nmol/ml blood /hr)であったが、MPS I型患者8例では1.11±0.32となり、患者群と健常群を良好に鑑別することが可能であった。本測定法は、基質の選択により、MPS1.型とともに、他のMPSスクリーニングの可能性は期待できるものの、病型に応じた測定系が必要であり、一次スクリーニング検査としての利用は難しいと考えられた。しかし、一次スクリーニング後の確認検査や精密検査において、ろ紙血を用いて酵素診断が可能な点で有用であると考えられた。

*1財)日本食品分析センター、*2北海道大学病院小児科、*3Laboratory of Neurochemistry,Argentina、*4中部学院大学

 新生児ろ紙血中α-L-iduronidase活性測定によるムコ多糖症1.型(Hurler症候群)スクリーニングの可能性

第32回日本マス・スクリーニング学会 2004年10月仙台市

花井潤師、野町祥介、田上泰子、水嶋好清、福士 勝、藤田晃三、山口昭弘*1、窪田 満*2、Nestor A. Chamoles*3

3mmディスク1枚を用い、ろ紙血中α-L-iduronidase活性測定を開発した。この方法により、新生児ろ紙血検体を用いて、患者と健常群を良好に区別することが可能であった。今後、基質の選択により、MPS I型とともにII型等のムコ多糖症の新生児マス・スクリーニングの可能性が期待できる。

*1財)日本食品分析センター千歳研究所、*2北海道大学医学研究科小児科、*3LABORATORY OF NEUROCHEMISTRY, URIARTE 2383,Argentina

 北海道における出生コホート別に見た神経芽腫死亡率の推移

第32回日本マス・スクリーニング学会 2004年10月 仙台市

西 基*1、花井潤師、藤田晃三、一宮久恵*2、田中稔泰*2、武田武夫*3、畑江芳郎*4

北海道における神経芽腫死亡率の推移を出生コホート別に計算し、急性リンパ性白血病や他の悪性新生物と比較した。

*1北海道医療大学、*2北海道がんセンター小児科、*3北海道薬剤師会公衆衛生検査センター

 腸管出血性大腸菌O26の集団発生に対応した検査法

第71回日本細菌学会北海道支部学術総会、網走市、2003年9月

廣地敬、川合常明、坂本裕美子、赤石尚一*1、大谷倫子、藤田晃三

2002年7月にほぼ同時期に2箇所の保育園で発生した腸管出血性大腸菌(EHEC)O26の集団発生の検査結果を基に、集団発生時の大量検体を効率的活正確に検査するために、分離培地及び増菌培地について検討した。

*1札幌市保健所

 札幌市内における地下水水質について

第56回北海道公衆衛生学会 札幌市 2004年11月

中吉憲幸、今西守、中村孝臣、藤田晃三

札幌市内の井戸深度は地域的に大きな相違がある。市内の地下水水質は、各項目間の相関はあまり認められず、むしろ井戸の深度、地域、季節による相違が大きいことが明らかになった。 また、鉛は市内全域で高確率で検出され、環境基準を超過する事例もみられた。

 札幌市における大気中の酸性ガス成分の測定

―小川式パッシブサンプラーを用いて―

56回北海道公衆衛生学会、札幌市、2004年11月

惠花孝昭、立野英嗣、五十嵐正次、中村孝臣、藤田晃三

パッシブサンプラー法によって、SO2、O3、NO、NO2を市中心部と郊外の2地点で調査した。SO2、NOは冬季に、O3は春季に高層オゾンの影響と思われる高い濃度を示し、NO2は季節的なパターンはみられなかった。O3を除くガスは郊外より都心部が高濃度を示したが、交通量や暖房等の影響と考えられる。

 著書等

藤田晃三

先天性代謝異常スクリーニング 北海道小児科医会編、こどもクリニック、北海道小児科医会、札幌

発刊2004年11月1日、P130-131


   

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