ここから本文です。

更新日:2016年6月3日

札幌市衛生研究所-学会発表(2004)

新生児マス・スクリーニングを契機に発症前ン欠損診断されたシトリ症の1例

第31回日本マス・スクリーニング学会
2003年10月、熊本市

田上泰子、野町祥介、水嶋好清、尾崎恒一、藤田晃三、山口昭弘*1、窪田満*2、中嶋健夫*3、長尾雅悦*4

シトリン欠損による成人発症II型シトルリン血症の一部は新生時期に発症するNICCD症状を発症するが、それ以前に多種アミノ酸血症や高ガラクトース血症をしめすことがあるためマス・スクリーニング検査陽性例として見出される場合がある。札幌市のマス・スクリーニングで見出された本例は初回Phe 3.9mg/dl、再検査Met1.5mg/dlを契機に発症前診断され、コンサルタント医の監督下で適切な処置を受ける機会を得た。

*1 日本食品分析センター千歳研究所
*2 北海道大学医学研究科小児科
*3 市立札幌病院新生児科
*4 国立療養所西札幌病院小児科

ウィルソン病患者の病型と遺伝子型の解析

第31回日本マス・スクリーニング学会
2003年10月、熊本市

野町祥介、中澤恵実理、田上泰子、水嶋好清、尾崎恒一、藤田晃三、福士勝*1、山口昭弘*2、窪田満*3

パイロットスタディとして実施されているウィルソン病マス・スクリーニングにおける陽性例の確定診断法として責任遺伝子ATP7Bの直接塩基配列解析を実施してきた。これにともなって各症例の多様な病型を収集する機会を得、データを比較した。その結果、発症年齢と発症時血清銅濃度の間に相関がみとめられた。また10歳以前に発症する例では、発症時のGOTがより高い例が多かった。一方で遺伝子型と病型の相関はみとめられなかった。

*1 札幌市保健福祉局健康衛生部
*2 日本食品分析センター千歳研究所
*3 北海道大学医学研究科小児科

薬剤感受性難聴mt DNA責任変異スクリーニング

第31回日本マス・スクリーニング学会
2003年10月、熊本市

山口昭弘*1、吉田瑞生*2、新谷朋子*2、永見徹夫*2、川口竜一*3、朝倉光司*3、野町祥介、田上泰子、佐藤昇志*4、菊地浩吉*4

ストレプトマイシンなどのアミノ配糖体により誘起される後天的な薬剤感受性難聴の責任変異としてミトコンドリアDNA(mtDNA)1555A>Gおよび961delTの存在が、予防的観点から最近注目されてきている。今回、私たちは後天性難聴患者を対象として、一部ハイリスク家系の解析を行った。その結果6家系中4家系から1555A>G変異が、1家系から961delT変異が同定された。

*1 日本食品分析センター千歳研究所
*2 札幌医大耳鼻咽喉科
*3 市立室蘭総合病院耳鼻咽喉科
*4 札幌医大病理

神経芽細胞腫スクリーニングにおける採尿用具の統一化に関するアンケート調査結果

第31回日本マス・スクリーニング学会
2003年10月、熊本市

花井潤師、福士勝*1、穴沢昭*2、木下洋子*3、石山洋*4、河内豊*5、沼田公介*6、竹島清美*7、田崎隆二*8、鈴木恵美子*9(日本マス・スクリーニング学会技術部会 神経芽細胞腫スクリーニングガイドライン検討グループ)

神経芽細胞腫スクリーニング検査の標準化を目的として、昨年度の本学会にて、基本となる検体の取扱について「神経芽細胞腫スクリーニングにおける検体管理に関するガイドライン(案)」を提案した。この検体管理の標準化をより効果的に運用するために、現在、各施設でまちまちとなっている採尿ろ紙や採尿容器の規格の統一化案を作成し、アンケート調査を行ったのでその集計結果を報告した。

*1 札幌市保健福祉局
*2 東京都予防医学協会
*3 神奈川県予防医学協会
*4 静岡県予防医学協会
*5 愛知県健康づくり振興事業団
*6 大阪血清微生物研究所
*7 大阪府立母子保健総合医療センター
*8 化学及血清療法研究所
*9 マス・スクリーニング精度管理センター

マス・スクリーニング中止後の神経芽腫死亡率の推定

第31回日本マス・スクリーニング学会
2003年10月、熊本市

西基*1、花井潤師、藤田晃三、一宮久恵*2、田中稔泰*2、畑江芳郎*3、武田武夫*4

神経芽細胞腫スクリーニングは、1990年前後にHPLCは変更され、この時期から4歳以下のNBの死亡率の減少が明らかになってきた。スクリーニングを中止した場合、4歳以下のNBの死亡率がどのように変化するか、諸疫学資料から推計した。

*1 北海道医療大学生命基礎科学講座
*2 北海道薬剤師会公衆衛生検査センター
*3 国立札幌病院小児科
*4 南郷医院

札幌市における胆道閉鎖症マス・スクリーニング(第2報)

第31回日本マス・スクリーニング学会
2003年10月、熊本市

水嶋好清、西野茂幸、阿部敦子、花井潤師、藤田晃三、窪田満*1、佐々木文章*2

札幌市では胆道閉鎖症の便色調カラーカードを使用する検査を平成13年度から開始し、2年間の検査状況と検査成績について報告した。

*1 北海道大学医学研究科小児科
*2 同小児外科

ELISA測定法における最適回帰関数の検討

第31回日本マス・スクリーニング学会
2003年10月、熊本市

稲岡一考*1、中村しのぶ*1、竹島清美*1、渡辺典子*2、本間かおり、福士勝、宮道徹*1、中山雅弘*1

「新生児スクリーニング・データ処理システム」における設定項目のうち、濃度換算結果に大きな影響を及ぼす最適回帰式の選択について追加検討を行った。

*1 大阪府立母子保健総合医療センター検査科
*2 (財)東京顕微鏡院マス・スクリーニング精度管理センター

母体バセドウ病児への抗甲状腺剤・l-T4同時投与の有用性の検討

第31回日本マス・スクリーニング学会
2003年10月、熊本市

田久保憲行*1、横田行史*1、下浜真里子*1、大津成之*1、風張眞由美*1、松浦信夫*1、百渓尚子*2、三上篤

母体の甲状腺受容体刺激活性が高く、新生児一過性バセドウ病の発症が予想される児に対して、抗甲状腺剤ならびにl-T4の同時投与を行い、発症抑制と甲状腺機能のコントロールについての有用性を検討した。

*1 北里大学医学部小児科
*2 東京都予防医学協会

マス・スクリーニングで発見されたR264H変異によるMethionine adenosyl transferase (MAT)欠損症の11例

第46回日本先天代謝異常学会
2003年11月、松江市

長尾雅悦*1、大柳和彦*2、窪田満*3、国谷良紀*4、森俊彦*4、田上泰子、野町祥介、藤田晃三

マス・スクリーニングにて発見される高メチオニン血症の原因として、ホモシスチン尿症、チロジン血症、シトリン欠損症などがあるが、実際はこれらの疾患と関係なく出現する Isolated Persistent HypermethionemiaであるMethionine adenosyl transferase (MAT)欠損症が最も多い。1980年~2002年に札幌市と北海道のスクリーニングで見出された11例では、マス・スクリーニング検査時の血中Met濃度は1~9mg/dlであり、全例において、MAT遺伝子の一方のアレルにR264Hか791G>Aを認め、もう一方のアレルは正常だった。

*1 国立療養所西札幌病院小児科
*2 大通りこどもクリニック
*3 北大小児科
*4 NTT東札幌病院

札幌市における生後1歳2か月の神経芽腫マス・スクリーニングの有効性

第19回日本小児がん学会
2003年11月、東京

花井潤師、藤田晃三、田中稔泰*1、一宮久恵*1、西基*2、畑江芳郎*3、内藤春彦*4、武田武夫*5

札幌市では、生後6か月と1歳2か月児の神経芽腫マス・スクリーニング(それぞれ6MS、14MS)を実施している。今回、札幌市と北海道における14MS導入前後の発病年齢と発生率を比較し、14MSの有用性について検討した。

*1 北海道薬剤師会公衆衛生検査センター
*2 北海道医療大学生命基礎科学講座
*3 国立札幌病院小児科
*4 国立札幌病院外科
*5 南郷医院

RLFPによる結核菌の型別分類

第55回北海道公衆衛生学会
小樽市、2003年10月

川合常明、廣地敬、大谷倫子、藤田晃三赤石尚一*1、高瀬愛子*1

札幌市内の2医療機関で分離された結核菌株を遺伝子型別法による制限酵素断片長多型(RFLP)を用いて解析した。

*1 札幌市保健所

腸管出血性大腸菌O26の集団発生に対応した検査法

第71回日本細菌学会北海道支部学術総会
網走市、2003年9月

廣地敬、川合常明、坂本裕美子、赤石尚一*1、大谷倫子、藤田晃三

2002年7月にほぼ同時期に2箇所の保育園で発生した腸管出血性大腸菌(EHEC)O26の集団発生の検査結果を基に、集団発生時の大量検体を効率的活正確に検査するために、分離培地及び増菌培地について検討した。

*1 札幌市保健所

札幌市における湿性沈着量の動向

第55回北海道公衆衛生学会
小樽市、2003年10月

惠花孝昭、立野英嗣、山本優、赤澤衛一、藤田晃三

郊外は都心部よりH+沈着量が多く、NO3-とnss-SO42-から求めた推定H+沈着量は都心部より低いため、中和に必要な塩基成分量が地域により異っていた。塩基成分にはCaCO3、NH3等があり、調査初期は車粉由来のCa2+の寄与、次第に自動車排ガス由来のNH3の寄与が大きくなる傾向がみられた。

大気中のフタル酸エステル類分析の問題点と留意点について

北海道・東北支部環境研研究連絡会
盛岡市、2003年10月

立野英嗣、惠花孝昭、山本優、赤澤衛一、藤田晃三

大気中のフタル酸エステル類はきわめて濃度が低く、分析を行う際はコンタミネーションに注意をはらう必要があるため、その問題点及び分析法の改良点等について報告した。

札幌市の胆道閉鎖症マス・スクリーニング

日本小児科学会北海道地方会第259回例会
札幌市、2004年1月

藤田晃三、水嶋好清、西野茂幸、阿部敦子、花井潤師、尾崎恒一、服部幸子*1、舘睦子*1、遠藤一行*2、佐々木文章*3、窪田満*4、松井陽*5

札幌市における胆道閉鎖症マス・スクリーニングシステムの概要と2年間の成績を発表した。松井らの考案した糞便色カラーカードを母子手帳の1カ月健診のところに綴じ込むことと、カードの回収を新生児マス・スクリーニングのシステムに載せることで、費用を抑え、スクリーニング効率を高めた。2年間で3名の患者を発見し、その頻度は約8,700人に1人であった。

*1 札幌市保健福祉局健康衛生部
*2 札幌市医師会産婦人科医会
*3 北海道大学医学研究科小児外科
*4 北海道大学病院小児科
*5 筑波大学小児科

麻疹撲滅に向けての実践的研究-札幌から麻疹ゼロへ-第3報

第29回札幌市医師会医学会
札幌市、2004年2月

富樫武弘*1、渡辺徹*2、舘睦子*3、高瀬愛子*4、藤田晃三

麻疹撲滅に向けた札幌市の取り組みを発表した。健診などを通じて1歳過ぎたらすぐに麻疹ワクチンを受けることの大切さを啓蒙し、その接種率向上を図ることの重要性を強調した。

*1 市立札幌病院
*2 手稲渓仁会クリニック
*3 札幌市保健福祉局健康衛生部
*4 札幌市保健所

ウィルソン病の病型解析

平成15年度厚生科学研究(難治性疾患克服研究事業)マス・スクリーニングの効率的実施及び開発に関する研究、研究班全体会議
東京都、2004年2月

野町祥介、中澤恵実理、田上泰子、水嶋好清、尾崎恒一、藤田晃三、福士勝*1、山口昭弘*2、窪田満*3

全国的にパイロットスタディが進められているウィルソン病のマス・スクリーニングにおいて、臨床症状に乏しい陽性例の確定診断法として、私たちは責任遺伝子の病因変異を同定する方法を検討してきた。今回、加えて、より効率的なスクリーニングを実施するために、責任遺伝子変異同定とともに、遺伝子型を同定することで、同病の多様な病型が類推可能か検討した。その結果、遺伝子型と発症年齢などの病型の相関関係は、現在までのところ、ほとんどみとめられない。一方で、発症年齢と発症時の血清銅濃度の間には相関関係のあることが予測され、また、10歳以前で発症する早期発症例は、発症時のGOT高値例が多く、逆に10歳以上で発症した例はすべて、発症時のGOTが150IU/l以下である傾向がみられた。

*1 札幌市保健福祉局健康衛生部
*2 日本食品分析センター千歳研究所
*3 北海道大学医学研究科小児科

ムコ多糖症の新生児マススクリーニングに関する研究-ELISAキットによる新生児濾紙血中ケラタン硫酸の測定-

平成15年度厚生科学研究(難治性疾患克服研究事業)マススクリーニングの効率的実施及び開発に関する研究 研究班全体会議
東京都、2004年2月

花井潤師、田上泰子、野町祥介、水嶋好清、藤田晃三、福士勝*1、折井忠夫*2、加藤俊*3、宮浦修一*3、岡村和夫*3

ムコ多糖症は、リソゾーム酵素の異常により、ムコ多糖が体内に蓄積する疾患である。近年、骨髄移植、酵素補充療法、遺伝子治療などの治療法が現実になりつつあるものの、これまで患者の早期診断は難しく、早期診断システムの開発が待たれている。今回、ケラタン硫酸(KS)に対する特殊抗体によるELISAキットを用い、新生児濾紙血中ケラタン硫酸を測定し、新生児スクリーニングの可能性について検討した。その結果、
1.ELISAによる濾紙血中KS測定により、正常群と患者群との鑑別が可能と考えられた。
2.新生児スクリーニングの濾紙血中KSは冷蔵保存で、数年間、安定であることが確認された。
3.1型ムコ多糖症患者2例について、新生児期の濾紙血中KSは正常値であった。
以上の結果から、少なくとも1型ムコ多糖症患児では、新生児期にKSの上昇が認められず、新生児濾紙血KS測定によるマス・スクリーニングは難しいと考えられた。

*1 札幌市保健福祉局健康衛生部
*2 中部学院大学
*3 生化学工業

前のページへ戻る

このページについてのお問い合わせ

札幌市保健福祉局衛生研究所保健科学課

〒003-8505 札幌市白石区菊水9条1丁目5-22

電話番号:011-841-2341

ファクス番号:011-841-7073