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更新日:2016年6月3日

札幌市衛生研究所-調査研究(2004)

 札幌市における神経芽細胞腫スクリーニング結果(2003年度)PDF:35KB)

札幌市で行っている生後6か月児を対象にした神経芽細胞腫スクリーニングにより、平成15年度には、新たに5例の患児を発見し治療が行われた。生後6か月スクリーニングの発見例は合計で76例となり、発見頻度は4,398人に1人となった。一方、生後14か月児のスクリーニング検査においては、平成15年度には発見例はなかった。生後6か月児のスクリーニングは厚生労働省の休止通知により、平成15年度をもって休止となったが、札幌市では、生後14か月児を対象にしたスクリーニングは継続して実施していくこととなった。(31-34ページ)

 ウィルソン病の臨床像・病型と遺伝子変異型(PDF:75KB)

全国的に進められているウィルソン病マス・スクリーニングのパイロットスタディと並行して、臨床症状に乏しい本症の確定診断法の一つとして、私たちは責任遺伝子の病因変異を同定する方法を検討してきた。これまで70例以上の確定診断を行ない、今回、そのうち41例について臨床像・病型と遺伝子変異型の比較検を試みた。その結果、臨床像・病型と遺伝子型の関連付けは困難であったが、発症年齢と発症時GOT値の間には有意な負の相関を認めた他、成人発症例において神経症状を伴う例が多い傾向があった。また2、3才で発症する例も存在することから、スクリーニング開始時期としては遅くても2~3才ごろまでが適当であると考えられた。(35-40ページ)

 ラウンドアップ・レディ・大豆の定量PCRによる含有率測定~定量限界の検討~(PDF:77KB)

リアルタイム定量PCR装置のABI PRISM 7000 Sequence Detection systemを用い厚生労働省通知の測定方法でラウンドアップ・レディ・大豆 40年3月2日系統(RoundUp ReadyTM Soybean,以下RRSと略)の含有率の測定を行う際の当所における定量限界を把握する目的で、標準プラスミド及びRRS含有大豆粉末を用いて作物由来及び組換え体由来部位のリアルタイム定量PCRを行った。
標準プラスミド溶液及び調整試料を用い、通知の方法で作物由来及び組換え体由来DNAのリアルタイム定量PCRを行った結果、62.5コピー相当以上での併行精度(Repeatability Relative Standard Deviation,RSDr)が25%以下であった。
RRSをおよそ0.1~5.0%含有する大豆粉末から抽出したDNA 50ng (n=2) を用い、通知による方法で定量した結果、組換え体由来のコピー数が63以上であったのは、0.5%以上含有している場合であった。
抽出DNAでの測定内の変動を調べるため、0.5%及び5.0%RRS含有大豆DNAを同時に定量 (n=12)した結果、作物由来と組換え体由来DNAのコピー数の相対標準偏差(Relative Standard Deviation、以下RSDと略)は、0.5%RRS含有大豆DNAは4.1%と10.5%、5.0%RRS含有大豆DNAは7.3%と7.6%であった。測定間の変動を調べるため、0.5~5.0%RRS含有大豆DNAを3重測定の平均値を測定値とし3回繰り返し測定した結果、作物由来及び組換え体由来DNAのコピー数と含有率のRSDは全て25.0%以下であった。
以上の結果により、十分均一化された試料においてRRS含有率0.5%まで測定可能と判断された。(41-47ページ)

 札幌市における大気中の酸性ガスの挙動について(PDF:68KB)

全国環境研協議会北海道・東北支部酸性雨部会では、乾性沈着量の調査の一環として二酸化硫黄(以下SO2とする)等の酸性ガス4物質とアンモニア(以下NH3とする)の大気中の濃度を把握するため、パッシブサンプラー法で平成14年10月から濃度調査を実施しており、当所も2地点で調査に参加している。今回,平成14年10月から平成16年9月までの月別データをもとに季節別や地点別での各成分濃度の動向を検討したので報告する。
平成15年度の年平均濃度は、SO2は札幌市衛生研究所(以下衛研とする)で2.4ppbv、芸術の森美術館(以下芸術の森とする)で1.3ppbvであり、一酸化窒素(以下NOとする)は衛研で11.8ppbv、芸術の森で1.4ppbvであった。SO2、NOの濃度と気温との間には負の相関があり、冬季に顕著に増加する季節的変動がみられた。二酸化窒素(以下NO2とする)の年平均濃度は衛研で16.1ppbv、芸術の森で4.2ppbvであり、NO2はSO2とNOとは異なり、気温との間に相関はみられず季節による濃度変動は少なかった。また、窒素酸化物(以下NOxとする)は衛研で28.0ppbv、芸術の森で5.7ppbvであり、NO/NOx比は衛研では冬季に0.6を超える年もあり、2地点とも冬季が高かった。オゾン(以下O3とする)の年平均濃度も25.9ppbvと26.7ppbvで同様の濃度を示し、10月から4月までは芸術の森の濃度が高く、5月から9月までは衛研が高い傾向がみられた。O3を除いたガス濃度は芸術の森より衛研が高い値を示したが、衛研が都心にあるため交通量や暖房等の排ガス量の影響と考えられる。(48-53ページ)

 油脂中のダイオキシン類分析の検討-水・メタノール添加の有用性について-(PDF:103KB)

油脂中のダイオキシン類を分析する際、アルカリ分解・溶媒抽出を行うと、試料液と有機溶媒が安定なエマルジョンを形成し、その後の抽出操作が不可能となる。分離の手段として試料量の減量および抽出溶媒の増量が考えられるが、検出下限の上昇、溶媒からのコンタミネーションの増加などが懸念される。今回、油脂類に関するこれらの困難を解決するために、オリーブ油、ラード、バターを用いて検討を行ったところ、水・メタノール(1時01分)をエマルジョンに加えることで有機溶媒層とエマルジョン層を効率的に分離できることがわかった。また、分析結果についても、内部標準物質の回収率は60~103%の範囲で、再現性も良好であった。(54-62ページ)

 札幌市内における地下水水質について(PDF:44KB)

平成10~13(1998~2001)年度に採水された札幌市内の地下水702検体について、金属・イオン等について短時間で一斉分析可能な項目をスクリーニング的に分析を行ない、札幌市全域の地下水水質の傾向を把握した。井戸の深度は良好な水質の帯水層が地質(地層)条件により左右されたためか、地域的に大きな相違があった。札幌市内における地下水の水質は、各項目間の相関はあまり認められず、むしろ井戸の深度、地域、季節による相違が大きいことが明らかになった。また、鉛は市内全域で高確率で検出され、環境基準を超過する事例も数多くみられた。(63-69ページ)

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札幌市保健福祉局衛生研究所保健科学課

〒003-8505 札幌市白石区菊水9条1丁目5-22

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