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更新日:2025年2月19日

アカハナグマ「ホセ」の安楽死処置について

 熱帯⿃類館で飼育しているアカハナグマの「ホセ」(オス・12歳)について、昨年末から腎機能障害と後躯⿇痺のため、園内動物病院に⼊院し、⽣活の質を少しでも向上させるため、体位変換や飲⽔介助、清拭などの看護と治療を継続しておりました。しかしながら、病状がさらに悪化し、これ以上の回復を⾒込むことはできず、今後全⾝状態の急速な悪化により、死亡するまでの間に著しい苦痛が継続すると考えられたため、園内で検討を重ねた結果、安楽死処置を実施することを決定し、令和7年(2025年)2⽉17⽇午後4時41分に安楽死処置により死亡しましたのでお知らせいたします。

 令和6年(2024年)12⽉中旬より、顕著な⾷欲不振や未消化便が認められており、整腸剤投与による症状の改善が乏しいことから12⽉26⽇に⿇酔下検査を実施いたしました。

 ⿇酔下検査で腎臓の機能が著しく低下した状態であることが確認されたため、⾷欲が改善するよう点滴や投薬等による治療を実施してまいりました。

症状の経過

令和6年(2024年)12月31日(火曜日)

 腎臓の機能に関する⾎液検査数値は改善傾向であるものの、依然として腎臓の機能は著しく低下した状態であることが確認されたため点滴量の増加を⾏いました。また、後ろ⾜にふらつきが認められました。

令和7年(2025年)1月3日(金曜日)

 後ろ⾜のふらつきの悪化により、⾃⼒での起⽴が困難となりました。X線検査の結果、脊椎の圧迫骨折と変形が確認されたため、動物病院内のICUに入院し、治療を継続することとしました。また、腎臓の機能に関する⾎液検査数値の改善が乏しいことが分かりました。

令和7年(2025年)1月5日(日曜日)

 ⾃⼒での排尿が困難となったため、圧迫排尿(お腹の上から膀胱をゆっくり圧迫して排尿を促す処置)を開始しました。

令和7年(2025年)1月9日(木曜日)

 呼吸が荒くなり、⾃⼒での採餌が困難となりました。レントゲン検査の結果、腎臓の治療に伴い肺に⽔が溜まり呼吸がしづらい状況となっていることが分かったため、呼吸を助ける酸素吸⼊や肺に溜まった⽔を出すための薬の投与を開始しました。

令和7年(2025年)1月13日(月曜日)

 腎臓の機能に関する⾎液検査数値の改善が乏しく、肺に溜まった⽔についても改善が認められませんでした。

令和7年(2025年)1月16日(木曜日)

 積極的な治療にも関わらず腎臓の機能に関する⾎液検査数値の改善が乏しいことから、回復の⾒込みがないと判断しました。そのため、積極的な治療による「ホセ」への負担を考え、緩和的なケアを中⼼に⾏うこととしました。

令和7年(2025年)1月27日(月曜日)

 依然として採餌、起⽴、⾃⼒排尿が困難な状態が続き体重減少も著しく、削痩が進⾏していました。

令和7年(2025年)2⽉9⽇(日曜⽇)

 食欲廃絶が続き、削痩と脱水が進行し、尿量も徐々に減少してきました。また、下半身だけでなく上半身の動きも弱くなり、頭を上げることも困難になりました。

令和7年(2025年)2⽉16⽇(日曜⽇)

 「ホセ」の⽣活の質を少しでも向上させるため、体位変換や飲⽔介助、清拭などを継続しておりましたが、下半⾝だけでなく上半⾝を動かすことも困難となりました。飲⽔介助が困難になったことに加え、意識も朦朧として外部への反応も乏しくなり、尿があまり作られない状態に⾄りました。

令和7年(2025年)2月17日(月曜日)

 「ホセ」の病状については回復が⾒込まれず、今後全⾝状態の急速な悪化により、死亡するまでの間に苦痛が継続すると考えられたため、円⼭動物園として安楽死処置の実施を決定し、午後4時41分に安楽死処置により死亡しました。

安楽死処置について

 当園では、飼育動物の良好な動物福祉を確保することを⽬的に、円⼭動物園が遵守すべき動物福祉に関する必要事項を定める「札幌市円⼭動物園動物福祉規程」を令和5年(2023年)3⽉9⽇に策定しました。

 あわせて、同規程に基づく「札幌市円⼭動物園安楽死処置実施ガイドライン」を定め、傷病動物の⽣活の質(QOL)を維持することが難しいと判断した場合に、安楽死処置の実施を円滑に意思決定ができる体制を整えました。同ガイドラインは、世界動物園⽔族館協会(WAZA)が⽰す「野⽣⽣物への配慮、世界動物園⽔族館動物福祉戦略」およびアメリカ獣医師会が定める安楽死処置ガイドラインを参考とし、国内園館の安楽死処置への考え⽅を調査のうえ制定しました。

 今回、安楽死処置検討会議(「ホセ」の飼育に関わる職員と診療に関わる職員による検討会議)において「ホセ」の⽣活の質(QOL)の評価を実施しました。その結果、餌を⾷べ、⽔を飲み、⾃由に動き回るなど、アカハナグマ本来の⾏動をとることができず、回復の⾒込みがない。今後、病状の悪化により更なる苦痛を伴うことが予測されると判断し、市⺠動物園会議円⼭動物園動物福祉部会への報告を経て、2⽉17⽇午後3時に、円⼭動物園として安楽死処置の実施を決定しました。

 安楽死処置は、「ホセ」を少しでも恐怖や苦しみから解放するために⿇酔薬を投与後、⼼停⽌を起こす薬剤を投与し、2⽉17⽇午後4時41分、眠るように亡くなりました。

解剖結果について

 安楽死処置後、北海道⼤学獣医学部で病理解剖を実施した結果、以下の所⾒が確認されました。

  1. 重度の削痩及び中等度の貧⾎
  2. 肺における多病巣性の⽯灰化
  3. 両側性腎症
  4. 第四胸椎の⾻折とそれによる脊椎の圧迫
  5. 第12-13、13-14胸椎の軽度椎間板ヘルニア

 

 来園以来、市⺠の皆様に愛され、親しまれ続けてきたホセの冥福を⼼からお祈りいたします。

関連リンク

 

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〒064-0959 札幌市中央区宮ケ丘3番地1

電話番号:011-621-1426

ファクス番号:011-621-1428